平成23年度第4回那須塩原市行財政改革懇談会会議要録 ○日 時:平成24年3月15日(木)10時~11時40分 ○場 所:本庁舎303会議室 ○出席者:*委員7名 越前谷平八郎、大澤則之、大島三千三、笠間厚、国井初男、中村祐 司、和氣喜美子 ※欠席3名(菊地信之、澤井修、田代茂樹) *市側9名 市長、松下副市長、増田副市長、企画部長、事務局(企画情報課) 《懇談会の内容》 1.開 会 2.あいさつ <市長> 省略 <会長> おはようございます。お久しぶりです。前回の懇談会は 11 月に開催されまし たので、あれから 4 ヶ月が経過したことになりますが、私はあっという間に感 じました。その 4 ヶ月間に、私は地方自治の研究者として、いくつかの被災地 を訪れる機会がありましたが、被災地の中には行政の存続が問われている自治 体もあるようです。前回の懇談会では「持続可能な」という文言について議論 がありましたが、まさにそれが問われているのだと思います。栃木県の県北は、 放射能問題という大きな問題を抱えています。長期間に及ぶ、目に見えない問 題です。先日、福島県の郡山市を訪れる機会がありましたが、小中学校の子ど もたちが屋外で元気良く遊ぶ姿があまり見られませんでした。屋外での運動時 間が制限されているようです。それらは、今までに直面したことがないような 問題です。前回の懇談会では、行革を内部的な削減のみととらえず、積極的に とらえていくという意見が出ました。議会基本条例が制定され、今後は議会と 執行部が両輪となり、市政を進めていくことになります。那須塩原市が存続し ていくために、行革として何ができるか。今回は今年度最後の懇談会なので、 来年度に繋げるためにも、そのような視点で広く議論ができればと考えており ます。回数が限られた懇談会なので、中身の濃い議論ができるよう、本日もよ ろしくお願いいたします。 1 3.議事 (1)那須塩原市行財政改革推進計画について (説明) <事務局> 資料のとおり説明。 (意見等)意見等なし。 (2)その他 (説明) <事務局> 議会基本条例について、資料のとおり説明。 (意見等) <会長> 今回、成果個別シートが推進計画に追加添付されたが、実績がびっしりと埋 まれば、すばらしいことである。 また、議会基本条例の第 11 条の規定により、推進計画について議会の議決が 必要となった。いままでであれば報告等であった。全国的に見ても珍しいので はないか。これもひとつの改革である。我々懇談会も、そのことを念頭に置き ながら、議論を進める必要がある。 <委員> 私なりの行財政改革に対する考えを申し上げたい。行財政改革について、 「削 減は後ろ向き」という意見が出ているが、私は、行財政改革は時代の移り変わ りに応じて、行政運営・経営をしていくものであり、前向き・後ろ向き等の感 情的なレッテルは貼るべきではないと考えている。私は、那須塩原市は今後、 下り坂の行政経営を考えていく必要があるのではないかと思う。その理由は、 以下の 3 点である。 1 点目は、原発事故による放射能汚染問題である。那須塩原市の人口は現在増 加しており、まもなく 12 万人を迎えようとしているが、12 万人をピークに減少 に転じるのではないかと考えている。那須塩原市は、土地の魅力で人口が増加 してきた経緯があるが、放射能汚染により、子どもを持つ世代は転出を考えて いるのではないか。また転入を考えている人も、本市ではなく、他の地域を選 ぶのではないか。そのため、人口増加がストップし、減少に転じると考えてい る。また、少子高齢化の問題もある。 2 点目は、円高問題である。那須塩原市には海外のメーカーと競争している大 企業がある。私も民間企業で、海外競争を行ってきたが、企業の上部の経営者 であれば、日本のウェートを小さくすることを間違いなく考える。必ず近い将 2 来に、那須塩原市の人口・生産に繋がるような、大きな問題が起こるのではな いか。 3 点目は、現在国会で議論されている TPP である。十分な議論がされていない と新聞等では報道されているが、5 年もすればその結論が出るのではないか。TPP に参加した場合、本市の主要産業の 1 つである酪農産業が、致命的な影響を受 けるのではないかと考えている。補償問題等になると思うが、その後、業とし て継続できなくなるのではないか。 以上の 3 点から、市の税収が落ち込むと、今後大変なことになるのではない かと考えている。いままでのような単純な対応では、行政サービスの提供がで きなくなる。更に、まもなく合併 10 年を迎え、合併特例債の償還を迎える。合 併特例債は総額約 350 億円ということなので、市が 3 割負担するとしても、100 億円を返済することになる。税収が落ち込んでくる中で、その返済は困難では ないか。先を見ると、今まで考えられなかったような対応すべき課題はたくさ んある。それを後ろ向きに考えるのではなく、那須塩原市が存続していくため の現実と考えれば、効率的に仕事をこなし、行政サービスを円滑に提供してい く必要があるのではないか。長期的な視点を持って仕事を進めていくことこそ が、経営なのではないか。 <会長> 那須塩原市に住んでいる委員の中には、ご指摘にあった 3 点の問題を、実感 している方もいるのではないか。 前回の懇談会で、「那須塩原駅前の開発等、観光産業に力を入れてはどうか」 という意見が委員から出たが、現状を踏まえるとそれらの実現も困難か? <委員> 全般的な状況では、大きな問題を抱えているが、私は観光産業に力を入れる べきだと考えている。委員には、私が考える「塩原温泉のあるべき姿」を意見 として送らせていただいた。私は塩原・板室は、十分人を引き付ける観光資源 を持っていると考えている。一方、那須町も観光に力を入れているので、私は、 塩原は那須町とは違う観光地・温泉地として発展して欲しいと考えている。行 政と連帯し、腰を据えたまちづくりを行い、自然を利用したユニークな観光地 になって欲しいという意見である。今でも、自然を利用した観光立地を進め、 収入源・雇用の場になって欲しいという思いは変わらない。 <会長> 観光立地を進めていくためには、放射能問題を解決していく必要がある。放 射能問題は専門家でも見識が異なり、難しい問題となっている。 <委員> 推進計画の 4 ページで、「(4)人材の活用と育成」という項目があるが、テ 3 レビ・新聞等の報道で、被災地の自治体では、がれき問題が解決せず、多くの 課題が山積しているという報道がされている。これまでの自治体の要員だけで は解決できない課題を抱えている。そこで、本市にとって将来有望と考えられ る職員を、そのような被災地の自治体等に派遣してはどうか。そのような自治 体では、既存の垣根や枠組みでは解決できないような課題が山積しているので、 そこで働くことで貴重な経験が得られるのではないか。何年かして、その職員 が那須塩原市に戻ってくれば、那須塩原市のためにもなるし、被災地の自治体 の課題解決にも寄与することができる。そのような方法で人材育成を進めてい ただきたい。 <会長> 事務局としてはどうか? <企画部長> 阪神大震災、新潟中越沖地震、東日本代震災の際に、技師・水道担当を派遣 している。 また、本市の人口減少問題については原発事故の影響に関係なく、平成 27 年 の 11 万 9 千人をピークに減少すると思われる。全国では将来的に、8000 万人く らいまで人口が減少するのではないか。その中で問題となるのが少子高齢化、1 人世帯の増加である。その点に注意しながら行財政改革に取り組んでいるとこ ろである。 また、円高問題については、本市にはグローバル企業があるので、その撤退 も十分ありえると考えている。そこで、産業の 6 次化が切り口になるのではな いかと考えている。従来は単品で販売していた農作物を、市内で加工し付加価 値を付けることで、雇用の創出ができるのではないかと考えている。円高問題 には十分注意しながら対応していきたい。また、全国・世界に向けた観光産業 の構築も本市の課題である。 <会長> 委員の考える人材派遣は長期的なものである。那須塩原市はどうか? <企画部長> 短期派遣である。 <会長> 震災がれきの受け入れは、委員の指摘とは異なるが、被災地の支援となる。 しかしながら、栃木県では自県も被災地なので、震災がれきの受け入れは困難 というスタンスを取っている等、多くの課題もある。 <委員> 推進計画の 10 ページにゆ~バスの運行についての記載があるが、バスを小型 化し、きめ細かな路線を、本数を増やして運行して欲しい。ゆ~バスについて 4 利用しづらい等の声を聞くことがある。 <会長> 費用対効果の関係があるので、非常に難しい課題である。我々懇談会として も、良いアイディアがあれば、そのようなところまで踏み込んで意見を出して いく必要がある。 <委員> 推進計画の 28 ページに敬老会事業の見直しについての記載があるが、段階的 に年齢を引き上げていくことになっている。80 歳になって敬老会に招待されて も、行くのが大変なので、参加者が少なくなるのではないか。敬老会の参加者 を見ると 75~80 歳が多い。 <委員> 私は、敬老会事業は、すぐにではないが廃止するべきであると考えている。 今、日本全体では若者が高齢者の費用を負担し、負担しきれていないことが問 題となっている。敬老会事業は市の財政負担で行っているが、そのような事業 は廃止にしていく必要があるのではないか。今まで高齢者に対して行なってき た手厚いサービスを、提供できなくなるということである。それを上手に実現 していくのが行革である。財政的に余裕があるうちは良いが、いつかはそのよ うな決断をする必要がある。ゆえに敬老会の年齢引き上げは良いことであり、 将来的には廃止になるのではないかと考えている。 <会長> 那須塩原市に限らず、多くの自治体が抱える課題である。賛否両論はあるか もしれないが、大きな切込みである。 <委員> 先ほど、企画部長の話にあった産業の 6 次化についてだが、農観商工連携は 市がリーダーシップを取って現在進めているところである。地元の食材を地元 で加工するということだが、現在は放射能問題という大きな問題がある。市と しての将来的なビジョンはあるのか? <企画部長> 放射能については除染していくしかない。現在、除染計画を策定中であり、 0.23μSv/h(年間 1mSV)という基準をもとに除染を進めていくことになる。そ の中で、農地についても除染を行っていく。しかしながら、現状で土から農作 物への放射性セシウムの寄与率は 1%程度となっており、その影響は少ないと考 えられる。そこで次に重要となるのが、どのように食材を加工していくかであ る。今年度、組織機構改革を行い、来年度から雇用推進室を設け、その中に専 門スタッフ等を配置する形で、重点的に進めていくこととなる。 <会長> 5 今朝の下野新聞に、食品の放射能の基準が新しくなるという記事が掲載され ていた。生産者にとっては死活問題である。基準値が動くと、基準値に対する 信頼性が低下する。専門家の意見も動いている。その中で安全性の PR・放射能 対策等を行うことは、非常に難しい。正確な知識を身につけ、安全性の PR・放 射能対策等を進めていく必要がある。 <委員> 毎年夏に、那須塩原市の広報で職員の平均人件費が掲載されているが 650 万 円位だったと思う。那須塩原市民の平均年収は 450 万円位だと思うので、市の 職員の方が給料が高いことになる。橋下大阪市長も同様のことをテレビ等で述 べていた。私の仕事上の経験だが、現在は円高で 1 ドル 80 円位なので、那須塩 原市職員の人件費をドルベースに換算すると約 8 万ドルになる。8 万ドルという とアメリカ以外では、部長クラスの人件費となる。そうなると那須塩原市では 全職員 800 人が部長クラスの人件費で働いていることになる。そうなると、職 員のトータルコストの削減に取り組む必要が出てくるのではないか。国では 7.8%の給与削減を行ったが、そのような暴力的なことはする必要はない。外部 の派遣職員でもできるようなことは派遣職員に任せて、そのような積み重ねで コストを削減していくのである。外部の派遣職員の場合は、表面的な人件費は 上昇しても、退職金・年金等の上積み部分でのコスト削減ができる。それだけ 正規職員は人件費が高いことになる。阿久津市長は自分の給料を 3 割削減する ことになっているが、そのようなことではなく、世間一般の給与水準と比較し たコスト削減に、本腰を入れて欲しい。市民に対して胸を張って申し開きでき るようなことを行って欲しい。今回の行革の資料には、そのような取組の記載 がなかったために、失望を感じてしまった。是非、行財政改革の大きな取組事 項として欲しい。 <会長> 推進計画に、給与削減に関する記載はないのか? <事務局> ない。 <委員> コスト削減を実現するためには、内部に意識を持った部長等が必要である。 外部からいくら指摘してもコスト削減は実現できない。是非、阿久津市長には 大きな指令を出して、コスト削減に取り組んでいただきたい。 <会長> 委員に確認したいが、行政は民間企業とは異なる。現在、民間のモラルハザ ードが問題となっている。民間では、一部の経営者が破格の報酬を得ている場 合がる。行政でもコスト削減を行う場合、一部の優秀な職員が破格の報酬を得 6 ても良いということになるのか?行政の場合、聖職者的な面もあるので、採算 が取れない仕事に取り組まなければならない職員もいる。そのために行政は、 同じような給料でリストラがないという体系を取っている。行政と民間のすみ わけをしっかりと行わないと、職員を募集しても誰も来ないような状況に陥ら ないか? <委員> 仕事の内容に応じて給与を支払うということである。部長や課長は幅広い行 政業務をこなしているので、それなりの給与を支払う必要がある。それ以外で、 もらいすぎている面があるのではないかということである。そこを削減すれば、 トータルコストの削減につながるのではないか。 <委員> 推進計画の 12、65 ページで、男女共同参画について平成 24 年度に見直しと いうことになっている。私は女性団体から当懇談会に参加しているが、女性団 体は浅香光代さん等を招いての講演会、施設見学、それらに関わる事務処理等 を市の補助金をもらって行っている。市の補助金がなければそれらが運営でき なくなる。市民協働推進課からは、計画を提出して進めていくので大丈夫とい う説明を受けているが、市としてはどのように考えているのか? <企画部長> 男女共同参画行動計画を平成 24 年度からリニューアルする。現在、議会基本 条例に基づき議会に付議しているところであり、議決されれば市民、関係団体 等にお示しできると思う。その中で、市に任せるのではなく、各団体で企画を 考えがんばって欲しい。 <会長> 非常に重要なご指摘である。限られた補助金の中で工夫し、努力している団 体もたくさんあると思う。行革と言って何でも削減してしまって良いものだろ うか? <委員> 推進計画の 11 ページで、農観商工連携事業とあるが、具体的にどのようなこ とを行っていくのか?また、12 ページで塩原保健センター運営事業の見直しと あるが、塩原保健センターが廃止になる話を聞いている。塩原保健センターの 下には、その温泉を利用した足湯がある。足湯も廃止になるのか?観光客が減 少している塩原にとって、足湯は貴重な観光資源である。農観商工連携事業を 推進していくのに、貴重な観光資源を廃止しても良いのか。 <企画部長> 農観商工連携事業については1次産品をどのように加工し、流通させるかと いうことで、具体的にはブランド認定連携事業の推進等を行う。現在、11 品を 7 那須塩原ブランドとして認定したところである。5月には日光・塩原に関係の ある東武鉄道が事業主体である東京スカイツリーの開業、また栃木県の首都圏 へのアンテナショップ進出等があるので、その中で PR を行なっていきたい。ま た、新たな商品開発等も行なっていきたい。いずれにせよ、方向性が決まって いない部分もあるので、今後検討していく形となる。 塩原保健センターについては9月末で廃止になる。温泉や足湯については、 近隣に市の類似施設があるのでそこに移管していく。また、元気アップデイサ ービス機能については、別途場所を確保し、そこに移転することになる。また 社会福祉協議会事務所、シルバー人材センター事務所についても移転を検討し ていくことになる。 4.その他 (説明)事務局 当懇談会の委員の任期は 8 月 8 日までである。来年度には、現在の集中行財 政改革プランの平成 23 年度の実績がまとまり、計画が完成することになる。そ のため、7 月下旬に任期最後の懇談会の開催を予定している。懇談会資料につい ては、開催通知と一緒に発送したい。 (意見等) <委員> 任期終了後、委員の再任はあるのか?私はボランティア連絡協議会から来て いるが、再任の場合、次のメンバーに引継ぎが必要である。 <事務局> 委員は任期終了時に一度リセットされる。その後の委員については、再任を 含め、今後検討していくことになる。 <会長> 本日は、大変ありがとうございました。 午前 11 時 40 分終了 8
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