高速・高精度アクチュエータの開発

研究課題中間評価調書
平成 20 年度 □ 当初予算
□ 補正予算
機 関 名 産業技術総合研究センター 課題コード
課 題 名
(
月)
H180906
記入日
平成
20
事業年度
H18
年度 ~ H22
年 8 月 21 日
年度
高速・高精度アクチュエータの開発
機関長名 中西 大和
担当(班)名 高度技術研究所 ナノメカニカル技術開発Gr
連 絡 先 018-866-5800
担当者名 森 英季
政策コード
H
政 策 名 産業の技術力・競争力の源となる科学技術基盤の形成
施策コード
1
施 策 名 科学技術を支える産・学・官それぞれの機能強化
施策目標名(評価指標) 年間特許出願件数
目標コード
1
重点(事項名) 精密加工・ナノテクノロジー
基盤
種
別
研究
○
開発
○
試験
調査
その他
県単
○
国補
○
共同
○
受託
その他
評 価 対 象 課 題 の 内 容
1.研究の概要
磁気記録や光記録の高密度化、半導体の微細線化等に伴い、0.1ナノメートルの超精密位置決め技術が求められている。圧電素子を応
用したナノモーションアクチュエータは、県内企業が磁気記録検査装置用に実用化しているが、今後更に厳しくなる性能要求に対し、市場
ニーズを先取りした研究開発を継続する。また、この技術をベースに半導体及び液晶関連の製造・検査装置に向けて、500μm角のX-Y平
面内の位置決めを行うナノモーションステージを新たに研究開発する。将来的には1000μm以上という大きな変位量も半導体や液晶関連
の製造検査分野で要求されており、高速で高精度な電磁力を応用したリニアアクチュエータの研究開発も平行して継続する。
2.課題設定の背景(問題の所在、市場・ニーズの状況等)
ハードディスク装置(HDD)用磁気ヘッドの検査装置は、現在9万台以上が工場内で稼働していると推定され、HDDの需要拡大に伴って
更に増加することが必要になるものと予想されている。現在、県内企業により商品化されたナノモーションアクチュエータの価格は約6万円
で、この検査装置への占有率を50%と仮定してもアクチュエータ単体で30億円近い市場が現存している。また更に高記録密度化に伴ったア
クチュエータの新規需要と市場規模の拡大が予想されている。一方、半導体や液晶産業を支える製造検査装置分野では、パターンの微細
化に伴ったアクチュエータが要求されており、HDD向け以上の市場規模が期待される。本研究では、”高速と高精度”を位置決め技術の課
題とした県内産業の育成を図る。
3.課題設定時の最終到達目標
①研究の最終到達目標
① Nano-motion Actuator の開発
共振周波数: 5kHzを維持しながら、30μm,50μm,100μm,300μm,500μmと動作範囲を広げ、3σにて0.1nm以下の位
置決め精度をコントローラを含めたシステムとしての実現。半導体や液晶関連分野の検査や製造時の微動調整用アクチュ
エータとして2D型の高速・高精度ステージの研究開発。
② Linear Actuator の開発
100μmストロークステージの開発を継続し、最大速度: 100μm/s で位置決め精度0.1nm以下の静圧空気軸受けとVCMを
基本とするリニアモータの研究開発を行う。またこの技術を2D型に発展させた平面駆動型モータを開発し、10μm角以上のX
-Y平面内を高速に走査し、高精度な位置決め技術の確立を目指す。
②研究成果の受益対象(対象者数を含む)及び受益者への貢献度
アクチュエータのシステム化で不可欠な駆動アンプや制御回路は、県内企業が連携して実用化を進めており、今後、統一ブラ
ンドでシステム受注できる環境を育成するため、幹事会社を中核とする県内企業間の連携を強化し、事業化を図ることが県
内産業への貢献となるものと考える。
4.全体計画及び財源
実施内容
Nano-motion
Actuator
Linear Actuator
計画予算額(千円)
当初予算額(千円)
一般財源
財源
国
費
内訳
そ の 他
(全体計画において
到達目標
計画
実績)
18
19
20
21
22
年度 年度 年度 年度 年度
① 最大変位30,50m仕様の開発
② 最大変位60m仕様の開発
③ 最大変位300m仕様の開発
④ 最大変位 500m仕様の開発
⑤ X-Y平面駆動型の開発
⑥ NMAの耐久性及び信頼性試験
① 100μmストロークステージの開
発(継続)と応用化
② 弾性支持機構を組み合わせた
円筒型VCMの開発
③ VCM型X-Y平面モータの開発
④ 高速・高分解能型荷重セン
サーの開発
(最終年度)
年度
合計
16,920 18,050 18,050 19,750 21,600
94,370
4,530
6,374
5,679
16,583
4,530
6,374
5,679
16,583
(標準様式~裏)
観点
1.
A
ー
ニ
ズ
の
状
況
変
化
2.
効
果
B
C
D
<内部評価委員>
500μm角のX-Y平面内の位置決めを行うナノモーションステージという新たなニーズが発生しており、ニーズに対応し
た研究開発が必要である。
<外部評価委員>
・記録メディア、半導体超精密位置決め技術へのニーズは多くの分野で拡大している。
A.ニーズの増大とともに研究目的の意義も高まっている C.ニーズの低下とともに研究目的の意義も低くなってきている
B.ニーズに大きな変動はない
D.ニーズがほとんどなく、研究目的の意義がほとんどなくっている
A
B
C
D
<内部評価委員>
県内企業へ技術移転がはかられ、県内企業が製造販売を行っており、研究開発の効果は大きいといえる。
今後、半導体関連業種への適用など、新たな展開を目指すべきである。
<外部評価委員>
・県内企業への技術移転の成果が拡大していることは好ましい。システムとしての開発を進展させ付加価値を上げるこ
とが期待される。
・競争が激しい分野なので開発のスピードアップが必要。
A.大きな効果が期待される
B.効果が期待される
3.
A
B
C.小さいな効果が期待される
D.効果はほとんど見込めない
C
D
<内部評価委員>
問題は無いといえる。
進 <外部評価委員>
捗 ・計画通りではあるが、もっと開発ペースをあげるべき。
状
況
A.計画以上に進んでいる
B.計画通りに進んでいる
4.
目標
達成
阻害
要因
の状
況
A
B
C.計画より遅れている
D.計画より大幅に遅れている
C
D
<内部評価委員>
無し
<外部評価委員>
・開発加速のために、産学官連携の枠を広げることが望ましい。
・各種メモリーの価格、容量がテーマ設定時と変わっている可能性があり、達成ハードルの適正度合に注意が必要。
A.目標達成を阻害する要因がほとんどない
B.目標達成を阻害する要因が少しある
C.目標達成を阻害する要因がある
D.目標達成を阻害する要因が大いにある
A 当初計画以上の成果が期待できる
B 当初計画どおりの成果が期待できる
C さらなる努力が必要である
D 継続する意義は低い
評価を踏まえた研究計画等への対応
産学官連携を維持発展させながら、半導体や液晶関連の製造検査装置に要求される新たなニーズに対応して
いる。生産性に直結する高速化を踏まえたサブナノメートルレベルの位置決め技術は未踏領域であり、この領域
の技術開発を先行することで、新たな事業展開を図ることが可能となる。
総合
評価
(参考)
過去の評価結果
事前
B
中間(19年度)
B
中間(年度) 中間(年度) 中間(年度) 中間(年度)