当科における mFOLFOX6の現状

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日本大腸肛門病会誌(年問1−10号)第60巻第5号 2007年5月・第65回大腸癌研究会(2006年7月7日)
P−67当科における切除不能・再発大腸癌に対する
FOLFOX6投与症例の検討
P−69 当科におけるmFOLFOX6の現状
小池 淳一1,船橋 公彦’,岡本 康介1,菊池 由宣2,越
野秀行1,塩川 洋之’,斉藤 直康1,牛込充則’,後藤
榎本 俊行,長尾 二郎,斉田 芳久,中村 寧,中村
陽一,片桐 美和,長尾さやか,炭山 嘉伸
友彦1,寺本 龍生1
(東邦大学医学部外科学第三講座)
(’東邦大学医療センター大森病院消化器外科,2東邦大学医
当科では切除不能・再発大腸癌に対して,m−FOLFOX6の投
与レジメンを採用している.今回,切除不能・再発大腸癌に
対してのm−FOLFOX6療法の検討を行い.報告する.症例は
療センター大森病院消化器内科)
8例で,大腸癌が5例,直腸癌3例であった.男女比5:3
転移性癌,または切除不能進行大腸癌を有する21名で,男性
で,年齢は平均57.0歳であった、全例とも再発に対して治療
14名,女性7名,平均年齢は53.3歳であった・これらのうち
を行っている.再発部位は局所再発3例,肝転移5例,肺転
移3例であった.投与回数は3クールから11クールであっ
た.累積生存率は,2006年4月時点で100%である.前治療
歴は,治療歴なしが2例,CPT−11単独が4例,IFLが2例で
FirstlineでmFLFOX6を開始した症例は4例,secondline
あった.奏功率はCR:0例,PR:0例,NC:5例,PD:3
例であった.有害事象として,血液毒性は白血球減少7例,
好中球減少7例に認めた.非血液毒性は悪心を1例に認め
た.末梢神経障害は4例に認めた.有害事象によって治療を
中止した例はなかった.当院でのFOLFOX6療法は,まだ8
今回我々は,現在までに経験したmFOLFOX6療法について
導入方法や安全性について検討し報告する.対象は切除不能
では7例,Third line以上で開始した症例は10例であった.
前治療は主に,肝動注によるweeklyhigh dose5−FU(WHF),
5−FU+Levofolinate,TS−1+CPT11,LowedoseCPT11で
あった.mFLFOX6の投与回数は最高18回,中央値が5.5
回であった.当科ではCVリザーバー挿入を短期問の入院で
行い,初回からmFOLFOX6を外来で開始し,副作用対策と
してリンデロン錠や制吐剤の内服薬を併用することにより,
例と少数例で約半年の経過ではあるが,現時点で有害事象で
QOLを損なわずに継続することが可能であった.今後さら
に症例数を増やし,詳細な副作用の検討と奏効率を調べ報告
の中止例はなく,日本人においても受容性の高い化学療法で
する予定である.
ある.
成績
P−70大腸癌に対する当院における外来化学療法
mFOLFOX6治療に関して
川村純一郎1,長山 聡1,長谷川 傑1野村 明成1,渡
天谷
奨,宗本義則,寺田 卓郎,北村
祥貴,浅井
辺剛1,佐藤誠二1,伊丹淳1,岡部寛1,井上
陽介,
佐藤 嘉紀,竹原 朗,堀田幸次郎,
斉藤 英夫,
康行,飯田
P−68 進行・再発大腸癌に対するm−FOLFOX6療法の治療
立崇1,近藤 正人’,松本 繁巳2,西村 貴文2,嶋田
藤澤
克憲,笠原 善郎,三井 毅,浅田
裕t,坂井 義治1
善郎,
三浦 將司
(’京都大学医学部附属病院消化管外科,2京都大学医学部附
(福井県済生会病院外科)
属病院外来化学療法部)
2005年5月から2006年4月にmFOLFOX6のレジメンを
【目的】進行・再発大腸癌に対するm−FOLFOX6療法の有用
性と認容性を検討する【方法】対象は2005年6月より当院で
開始した30症例を対象とし検討した.男性19例,女性11
例.平均65.3歳、再発癌が14例,進行切除不能癌が16例.
m−FOLFOX6を施行した進行・再発大腸癌59例とした.背
初回手術時stageは2が3例,3aが4例,3bが3例,4が19
例.mFOLFOX6を1次治療としたものが3例,2次治療が
景は男/女=46/13,年齢64才(34−82),直腸癌/結腸癌=38/
21,初回治療/二次治療以降=10/49であった.治療効果およ
び有害事象を検討した.【結果】観察期間2ヶ月以上で解析し
得た44例における腫瘍縮小効果は,CRO例,PR14例,SD
12例,3次治療以降が13例・変更理由は,肝肺転移の出現増
悪が19例・平均投与回数は6.4回,4クール毎に評価した.
23例,PD7例で,奏効率(CR+PR/全体)26%,病勢コント
15例は継続中であるが,中止症例の理由は,3例がPD,3
例が死亡,3例がCV感染,2例がショック症状,2例が咽頭
ロール率(CR+PR+SD/全体)87%であった・LOHPに特
閉塞感,1例が末梢神経症状であった.評価病巣がある例で,
有な有害事象として,知覚性神経障害が全投与回数の89%,
本治療にてPRが5例,SDが9例認められ有効と考えられ
た.当院では2次治療以降としてmFOLFOX6を行った症例
全身性アレルギー反応が15%に認められた.Grade3以上の
好中球減少を27%,Grade1−2の血小板減少を42%認めた.
【結論】進行・再発大腸癌に対するm−FOLFOX6療法は初回
治療例のみならず,二次治療以降の症例に対しても十分に期
待できる効果を示した.
が殆どで,今後は1次治療での投与により更なる効果が期待
できると思われた.