安 倍 政 権 の 危 険 性 と メ デ ィ ア の 役 割 - マスコミ市民

【 特 集 】国 家 主 義 へ と ひ た 走 る 安 倍 政 権 と メ デ ィ ア
門奈
直樹
(本 誌 編 集 代 表 )
(立教大学名誉教授)
対談 安倍政権の危険性とメディアの役割
大治浩之輔
危険な国家主義へ向かって安倍内閣の暴走は続く。日本版NSC、特定秘密保護法、武器輸出三原則の大幅緩和、
そして解釈改憲と「積極的平和主義」の名のもとでの集団的自衛権の行使容認、さらには「私が責任者だ」と言っ
て立憲主義を否定する政治姿勢。それでも足りずに、ついには「公共放送」NHKにまで露骨に介入してきた。
あ ま り に も 危 な い 今 の 政 治 状 況 と メ デ ィ ア の 危 機 に つ いて 、 メ デ ィ ア 問 題 の 専 門 家で あ る 門 奈 直 樹 氏 と 放 送 の 現
大治
安倍政権のスタート以来様々な問題が起きています
■発足時から安倍政権を批判した海外メディア
的な批判は免れません。中・韓のみならず、アメリカ、ヨ
してA級戦犯が祭られる靖国神社に参拝すれば、当然国際
場で闘ってきた大治浩之輔氏に語っていただいた。
が、とりわけ昨年暮れの靖国参拝をきっかけにして、政権
も理解できないままに、手続き抜きの実質改憲に突き進も
判に晒されています。しかし、安倍政権はその批判の意味
した。第2次世界大戦の敗戦で、日本は東京裁判を受け入
うとしています。メディア問題の専門家として、門奈さん
ーロッパ諸国も含めて、まるでABCD包囲網のような批
れ講和条約を結んで国際社会に復帰したのに、それを無視
閣に組閣人事について「安倍氏は2013年の参議院選ま
の在り様に対して国際的な批判が目立つようになってきま
は今の在り様についてどうご覧になっているでしょうか。
では海外諸国との間に波風を立てることなく絆を構築し、
は「デフレ脱却の高揚感を推進力として、安倍政権は教育
るとき」というタイトルの投書が載っていました。そこに
同じような見方を、フィナンシャルタイムズも述べていま
んだように印象付けられる」という感想を述べています。
果敢にイニシアティブをとらない、動かしやすい人物を選
国内の景気浮揚に集中する。そのために組閣にあたっては
やNHKなどメディアに対して明確な方向を打ち出してい
す。
「 岸 田 氏や 小 野 寺 氏 が 重 要 な ポ スト に 起 用 され たと い
日の朝日新聞に、
「メ デ ィ アと 市 民が 試 され
る。だが安倍首相の姿勢は配慮や謙虚さを欠き、方向性も
うことは、安倍氏にとっては彼らを動かしやすいと見て取
門奈
2月
危うさに満ちているように思える。特定秘密保護法や靖国
ったからだ」と評しました。
の政治状況に対して市民も無頓着であることです。この投
てメディアがほとんど批判をしていないこと、そして今日
ました。いま問われているのは、そうした安倍政権に対し
本音は国民益を損なうことになりかねない」と書かれてい
で瞬時に世界に伝わる現代、不用意なあるいは剥き出しの
言や行動は、公の利益にかなっているのだろうか。ネット
らす可能性がある。安倍政権の誕生で今後日本は右に大き
生は、日本と隣国、特に中国との関係に大きな影響をもた
省の見直しを主張していることに関して、
「安倍首相の誕
す。BBC放送は、安倍首相が従軍慰安婦問題で謝罪・反
さらに悪化するだろう」と、かなり断定的に言及していま
いる。安倍氏が領土問題で強硬姿勢をとれば、日中関係は
政治家が政権に復帰し、アジアでは緊張と対立が起こって
た。しかし海外のメディアは、必ずしもそうではありませ
ていく政治状況が生まれた、という位置づけをしていまし
らの主張である「戦後レジームの見直し」に走り出す感じ
スブームに湧きました。安倍首相自身も、直ちにかねてか
大治
安倍政権が発足したときは、円安株高のアベノミク
く舵を取っていくだろう」という危機感を述べています。
ん。アメリカのウォールストリートジャーナルは、安倍内
メディアはねじれ国会が解消されて物事がすっきり決まっ
月に第二次安倍政権が誕生したとき、日本の
書は、まさに的を射たものだと思います。
はなくすべてが繋がっている課題である。安倍首相らの発 同じ時期に、ガーディアンは「日本の総選挙でタカ派の
神社参拝においても然りである。これらは別個のテーマで
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マスコミ市民 ’14.4 マスコミ市民 ’14.4
一昨年の
【特集】
国家主義へとひた走る安倍政権とメディア