安達 智子 2003 大学生の職業興味形成プロセス

大学生の
職業興味プロセス
問題
„
・自己効力感と結果期待が進路に関する興味に影響。
しかし、結果期待は効力感の影響を補足するに過ぎない
要因である。
ー手段性・表出性、自己効力感、
結果期待の役割についてー
安達 智子
„
2.進路選択のプロセス
進路選択のプロセス
将来の進路について探索しようとする意図は
自信だけでなく良い結果をもたらすという予
期によっても影響を受けていた。(
期によっても影響を受けていた。(安達,2001)
安達,2001)
„
就職活動では、個人の能力や努力と得られ
る成果の結びつきが不明確である。その為、
効力感から進路選択への影響を補足するも
のとして結果期待が影響する。(
のとして結果期待が影響する。(安達,2001)
安達,2001)
職業興味
自己の職業興味について情報を与えられた
学生は与えられていない者よりも情報検索の
効率性が高い。(
効率性が高い。(室山,1997)
室山,1997)
„
目的①
„
職業への興味が生起するプロセスには活動
に従事することでの結果期待が効力感と同
程度あるいはそれ以上の影響を及ぼすと予
測できる。この点について検討する。
進路選択の2つの側面(SCCTから)
1.選択の内容
2002HP096 高塩 万智子
„
SCCT(社会・認知的進路理論)
自己の能力や興味について理解を深める事
が成熟した職業決定に必要。(Persons,1909;
が成熟した職業決定に必要。(Persons,1909;
Super,1957)
↓職業興味は…
↓職業興味は…
職業選択活動や職業決定する重要な変数
ジェンダー
„
SCCTは効力感や結果期待などの認知が進
路発達において重要としているが、それらの
形成や変容に影響を及ぼす個人変数の作用
も認めている。その主なものとして性別があ
る。
„
SCCTは性別から進路発達に影響は及ぶプ
ロセスについて社会・文化的次元における性
(=ジェンダー)の観点から説明している。
1
目的②
方法(調査手続き)
A.進路に関する効力感や結果期待の形成過
程においてジェンダーが看過できない影響
を及ぼす事が予測される。この点について
検討する。
„
„
東京都内の一大学で2001
年1月と2002
年12
東京都内の一大学で2001年
月と2002年
月に質問紙調査を実施。
1年生から4年生までの393
名(男212
212名
名 女
年生から4年生までの393名(男
181名)の有効回答
名)の有効回答
181
B.また、各職業領域毎に特有の傾向について
も検討する。
方法(測度)
„
„
„
„
結果Ⅰ
①職業興味
VPI職業興味検査(雇用職業総合研究所,1985)
VPI職業興味検査(雇用職業総合研究所,1985)
②進路に関する自己効力感
Matsui & Tsukamoto(1991)
③進路に関する結果期待
②で使用した項目
④性役割パーソナリティ
PAQを邦訳した東
(1993)
PAQを邦訳した東(1993)
男性性=手段性
女性性=表出性
„
„
結果Ⅱ
結果Ⅱ
(職業領域毎による結果)
ジェンダー
現実的
研究的
企業的
芸術的
社会的
慣習的
▲
●
●
●
●
×
表出性
→効力
感
×
●
×
×
●
●
効力感・結果期待・職業興味
手段性
→結果
期待
×
×
●
×
●
●
表出性
→結果
期待
×
×
×
●
●
●
効力感
→結果
期待
●
●
●
●
●
●
効力感
→興味
●
●
●
●
●
●
„
結果期
待→興
味
●
●
●
●
●
●
尺度間の相関関係を算出した結果、尺度間
の関係性に性別、学年、系別による大きな傾
向差はなし。
考察Ⅰ
(職業領域毎の検討)
職業別の標準化パス解析後の有意傾向パスの関連性
手段性
→効力
感
TABLE1 より、手段性と表出性が自己効力感
と結果期待に影響し、自己効力感と結果期待
が職業興味につながるという因果モデルを構
築することはほぼ妥当。
現実的領域
・現実的領域におけるジェンダーの影響は手段性の
現実的領域におけるジェンダーの影響は手段性の
みであった事について・・・
・効力感から職業興味への直接効果より結果期待を
介した間接効果の影響が強い事について・・・
„
研究的領域
ジェンダーと結果期待のつながりが認められなかっ
た事について・・・
2
„
企業的領域
„
手段性のみが効力感と結果期待へのつながりを見
せ、職業興味への影響が結果期待よりも効力感の
方が高いことについて・・・
手段性と表出性の両方が効力感と結果期待に影響
を及ぼした事について・・・
„
„
慣習的領域
芸術的領域
考察Ⅱ
(研究目的①について)
„
社会的領域
効力感、結果期待と職業興味の関連
考察Ⅲ
(研究目的②について)
„
6領域の職業興味全てに対して効力感は
有意、有意傾向の影響を及ぼした。
結果期待は有意な影響を及ぼした。
よって・・・
ジェンダーと効力感、結果期待の関連
手段性と表出性のどちらか、あるいは両方が自己効
力感と結果期待のどちらか、または両方に影響を及
ぼしていた。
よって・・・
研究目的②の仮説は支持された。
研究目的①の仮説は支持された。
反省と今後の展望
„
①同じ活動内容について教示を変える事に
よって進路に対する効力感と結果期待を測
定したが、双方の回答が影響し合うという可
能性は否定できない。
„
②性別、学年、文系ー
②性別、学年、文系ー理系による大きな差は
ないとして分析を進めたが、就職活動を通し
て自己成長を遂げるプロセスもある。(
て自己成長を遂げるプロセスもある。(浦上,
浦上,
1996)
„
③今回、個人の心理変数を取り上げたが個
人がおかれている環境や背景などの変数を
取り入れそれらを含んだダイナミックなしんろ
取り入れそれらを含んだダイナミックなしんろ
発達プロセスを検討する事が望ましい。
3