船びき漁況 びき漁況変 漁況変動と予測 水産試験場 沿岸資源部・経営管理部 1 シラス漁況 シラス漁況と 漁況と予測( 予測(春期) 春期) 予測 500トン 500トン未 トン未満(不漁) 不漁)の漁模様 漁模様 (漁期前予測) 漁期前予測) 昨年の 昨年の評価 予測 500トン 500トン未 トン未満(H20年 H20年4月本予測) 月本予測) 実績 169トン 169トン (1)平成20年の漁模様について 〔春漁〕 昨年の春シラス漁は,漁獲量が169トン,水揚金額が0.9億円と不漁の水準で推移しまし た(平年値はそれぞれ309トン,1.4億円)。 昨年の本県沖は,1~3月まで黒潮系暖水に覆われ,暖かい海況で推移しましたが,4月頃か ら親潮系冷水が急激かつ大規模に差し込みました。その後も親潮系冷水は,沿岸の海況に強い 影響を及ぼしたため,春シラスの漁模様は低迷しました。なお,漁期中の平均単価は509 円/kg(平年値は550円/kg)と平年並みで推移しました。 〔秋漁〕 昨年の秋シラス漁は,7月下旬から県北部を中心にシラス漁場が形成され,漁期序盤か ら好調なスタートを切り,その後も9月下旬までまとまった漁模様が続きました。漁期の 漁獲量は2,531トン,水揚金額は7.7億円となり,平年値(過去5年間の平均値)1,233ト ン,5.3億円を大きく上回る好漁の水準となりました。 好漁であった要因として,昨夏の常磐海域は安定して比較的暖かい海水に覆われ,シラ ス成育に良い環境が長期間続いたことが考えられます。また,福島県でも秋シラス漁が好 漁(2371トン,8-11月計、5年平均の約2.3倍)であったことから,常磐海域全域にシラ ス卵稚仔が輸送されてきたものと推測されました。 なお,漁期中の平均単価は、8・9月の合計漁獲量が2,000トンを超えるなど短期間に水 揚げが集中したこともあり,317円/kg(平年値は655円/kg)と低迷しました。 (2)平成21年の春シラス漁について A 春シラス漁と海況について ・春シラス漁は海況の影響を受けやすく、暖水パターンの時は好漁に、冷水パターンの時は不漁 になる傾向があります。今年2月は中間パターンとなっています。 ・漁期中の本県沿岸海域は,平年並みからやや低め基調で推移することが予測されています。 B 親の量について ・H20~21年の冬春季漁期におけるカタクチイワシ親魚の来遊資源量水準は,低い状況となって います。特に,春先に産卵可能なH19年生まれの大型成魚(2歳魚:全長12cm以上)の来遊資源 量水準は,極めて低い状況となっています。 C まとめ ・現在、本県のシラス操業対象となる沿岸海域は、平年よりも冷たい水温環境にあります。また漁 期中の海況は、平年並みからやや低め基調で推移することが予測されており、シラスの来遊・ 生育にとって不利な条件になることが考えられます。 また,シラスを生むカタクチイワシ親魚の来遊量水準が低いことから,今年の産卵量水準は 低くなることが予測されます。以上,現在入手できるデータから判断すると,今年の春シラス漁 は①漁期がやや遅れ,②不漁(500トン未満)の水準となる見込みです。 なお,春シラス漁期後半の漁況は,今後の小型成魚の来遊水準および卵の出現状況によっ て左右されると考えられます。海況とあわせた再評価を4月以降に行う予定です。 2 コウナゴ漁況 コウナゴ漁況と 漁況と予測 予測 200- 200-1,000トン 000トン( トン(中漁) 中漁)の漁模様 漁模様 昨年の 昨年の評価 予測 1,000トン 000トン未 トン未満 実績 87トン 87トン 昨年の 昨年のコウナゴ漁 コウナゴ漁は、親潮の 親潮の南下状 南下状況に基づき不漁 づき不漁( 不漁(1,000トン 1,000トン未 トン未満)と予測しました 予測しました。 しました。これに対 これに対 し実績は87トン 87トンの トンの不漁となり 不漁となり、 となり、予測どおりの 予測どおりの結果 どおりの結果となりました 結果となりました。 となりました。仙台湾 仙台湾からの親潮系冷水 からの親潮系冷水の 親潮系冷水の南下が 南下が 弱く、茨城県 茨城県沖へのコウナゴ へのコウナゴの コウナゴの供給が 供給が少なかったためと考 なかったためと考えられました。 えられました。 しかし6 しかし6月中旬から 月中旬から7 から7月にかけては10 にかけては10cm 10cm前後 cm前後サイズ 前後サイズが サイズが大量に 大量に漁獲され 漁獲され、 され、6,7月の漁獲量は 漁獲量は 3,874トン 3,874トンと トンと好漁になりました 好漁になりました。 になりました。茨城沖の 茨城沖の海況が 海況が一変し,仙台湾 仙台湾から親潮系冷水 から親潮系冷水が 親潮系冷水が流入し 流入し資源が 資源が供 給されたためと考 されたためと考えられます。 えられます。 今年の 今年の漁模様 漁模様は、コウナゴの コウナゴの供給源である 供給源である仙台 である仙台湾 仙台湾での発 での発生量が 生量が平年並で 平年並で,海況予測によると 海況予測によると コウナゴ漁期中 漁期中は コウナゴ 漁期中は断続的 断続的ながら親潮系冷水 ながら親潮系冷水が 親潮系冷水が南下し 南下し茨城沖に 茨城沖に波及すると 波及すると考 すると考えられることとから、 えられることとから、 漁獲量の 漁獲量の予測は 予測は中漁( 中漁(200~ 200~1,000トン 1,000トン) トン)と予測しました 予測しました。 しました。 根拠 ・本県のコウナゴ漁は仙台湾群の発生量と親潮系冷水の南下の強弱で決まる。 ・仙台湾における漁期前調査の結果,仙台湾群の発生量は平年並。 ・海洋観測から予測される海況から親潮系冷水の南下は断続的にあるものと考えられる。 ・漁期前調査の結果では,福島県と茨城県地先ではコウナゴ分布量が少ないが,親潮系冷水 が南下すれば茨城沖にもコウナゴ資源が供給されると考えられる。 3 オキアミ漁況 オキアミ漁況と 漁況と予測 予 測 2,000トン 000トン未 トン未満(不漁) 不漁) 昨年評価 予測 2,000トン未満 実績 2,712トン 昨年のオキアミ漁は,親潮系冷水の南下状況から判断し,2,000トン未満の不漁と予測しまし た。これに対し実績は,2,712トンと予測を上回る結果となりました。この要因としては,親潮系 冷水の勢力が予測よりも強く推移したため,本県沖に漁場が形成されたと考えられます。 今年は,海況から判断すると,2,000トン未満と予測しました。 根拠 ・海況パターンは,2月中間パターンと見られる。 ・オキアミ漁場形成の必要条件である冷水の南下については,親潮系冷水の指標である100 m深水温10℃の南端位置は福島県沖(北緯37°台)にあり,冷水の南下が例年より強いと 考えられるため,漁場形成の可能性は高いと考えられる。 ただし,海況状況から一時的に暖水波及があると予測されるため,漁期が途切れると推察 する。
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