日本語日本文学科 ●表象文化学部 楠橋 開 教 授 KUSUHASHI Hiraki [現在の専門分野] 王朝・中世和歌 [現在の研究テーマ] 日本語日本文学科 新勅撰和歌集の研究 [学 位]文学修士(大阪市立大学) [所属学会]和歌文学会、中世文学会、中古文学会、仏教文学会、和漢比較文学会 ■ 主要研究実績 〈著書〉王朝和歌と雪(片桐洋一編「王朝和歌の世界」所収) 世界思想社1984年 公宴続歌 本文編・索引編(共編著) 和泉書院 2000年 叡山文庫天海蔵識語集成 叡山文庫調査会編(共編著) 2000年 同志社女子大学 研究助成金(個人研究)歌壇史研究 1988年 同志社女子大学 研究助成金(研究プロジェクト)教育・研究におけるコンピュー ターの活用 1987年〜1989年 ■ 主要な担当授業科目 1975年 「海原の」「海原や」只同じ事也 文学史研究 1981年 [大学院]日本文学特殊研究 歌合評語「なだらか」をめぐって 研究論叢 1985年 [大 学]日本古典文学史、卒業研究(日本文学)、古典文学演習、中世文献講読 〈体言・や〉追考 同志社女子大学日本語日本文学 1995年 〈論文〉三百六十番歌合差し替え考 和歌文学研究 ■ 学内外研究費による主要研究活動歴 など 新勅撰和歌集の中に、定説を覆す美を見いだす 新勅撰和歌集を再評価 ある藤原定家が単独で撰集したにもかかわら 古典和歌の中に新しい感性を発見する 専門は、王朝時代から中世にかけて詠まれ ず、 「地味でつまらない」と、低く評価される 現代に生きる私たちは、かつての人々と同 た古典和歌の研究です。中でも現在は、新古 傾向があります。しかし私は、評価を得られ じ感覚で古典和歌を読むことはできません。 今和歌集からその直後に編纂された新勅撰和 ないのは歌が優れていないからではなく、現 しかし研究を重ね、知識を補填することで、 歌集への変容をポジティブに捉え直そうと試 代人が十分にその価値を読解しきれていない 作品が生まれた時の解釈に近づくことはでき みています。万葉集、古今和歌集、新古今和 ことにも原因があると考えています。華やか ます。当時の作者の意図、また作者と同時代 歌集が古典和歌の三大歌風を形作ったと見な さからはかけ離れながらも、新勅撰和歌集の に生きた人々の解釈に近づけた時、そこに現 されていることからもわかるように、新古今 各歌に表現された言葉の美しさや美的感覚は、 代人にとっては新しい感覚を発見することが 和歌集は和歌の歴史において一つのピークを 決して新古今和歌集に劣らない輝きを放って あります。古典の中に新しい感性を発見する なしています。しかし新古今より後の勅撰和 います。そうした価値を探り出し、新勅撰和 こと、それが古典和歌を読み解くおもしろさ 歌集に対する評価の低さに対しては、疑問を 歌集の再評価に取り組んでいます。 といえます。 はさむ余地があると私は考えています。新勅 撰和歌集は、新古今和歌集の撰者の一人でも 同志社女子大学 教員研究活動紹介集 17
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