意味役割タグづきコーパス (JCASR) の開発 —NICT プロジェクトの紹介— 黒田 航 k u r o d a @ n i c t. g o. j p 情報通信研究機構 意味役割タグづきコーパス (JCASR) とは何か? 1 意味役割タグづきコーパス (Japanese Corpus Annotated for Semantic Roles: JCASR) の開発は NICT の研究プロジェクトの一つです.その目的は文章に 意味役割タグづけ (semantic role tagging) を行ない,言語表現と世界知識の繋 がりを明示した意味の資源 (semantic resources) を作ることです. 1.1 概要 意味役割タグづけは単に「文章に現われる語句 x の一つ一つに,その「意味」 として辞書に書いてある幾つかの定義 (つまり「語義」) から最適なものを一 つ選んで,それを x に割り当てる作業」ではありません.このような形で開 発されている意味資源も存在しますが,これは私たちの目指すタグづけでは ありません. 後で §2 詳しく説明することになることですが,私たちが目標としている 意味役割タグづけは (1) のような文章に対して,表 1 にあるような情報,特 に Layer 0, 1, 2, 3 のような情報を付加することです. (1) 覆面の男のグループが昨日,ニューヨークの銀行支店を襲った. ここで想定している意味タグづけの仕様として,私たちは Berkeley FrameNet [1, 5, 7] の考えを応用しています. 1 Text T Text segments (WORDS and PHRASES) 覆面の男の グループ Layer/Level L0 Layer/Level L1 Specification of semantic types, independent of even conceptualization Specification of semantic roles (relative to a concrete "Situation") at a finergrained level of event conceptualization HUMANs ROBBERs Layer/Level L2 Specification of semantic roles at a moderately finergrained level of event conceptualization HARM-CAUSER Layer/Level L3 Layer/Level L4 Specification of semantic roles at a relatively generic level of event conceptualization (corresponding to socalled THEMATIC ROLES, or DEEP CASES) Specification of categories at the most abstract level of event conceptualization AGENT PARTICIPANT[1,n] English translation of T Text segments (WORDS and PHRASES) a group of masked men HARMPARTICIPANT[2,n].MAR AGENT.MARKER * CAUSER.MARKER KER TIME OF TIME OF 昨日 TIME[+past] TIME OF ACTION[+past] TIME OF EVENT[+past] yesterday ROBBERY[+past] CAUSATION[+past] ニューヨーク PLACE PLACE OF ROBBERY PLACE OF CAUSATION PLACE OF ACTION PLACE OF EVENT New York PLACE OF PLACE OF PLACE OF PLACE OF の PLACE.MARKER in ROBBERY.MARKER CAUSATION.MARKER ACTION.MARKER EVENT.MARKER STORE OF VICTIM[as HARM銀行支店 INSTITUTION OBJECT PARTICIPANT[2,n] a bank branch VALUABLES EXPERIENCER] INSTITUTION.MAR STORE OF VICTIM[as HARMPARTICIPANT[2,n].MAR を OBJECT.MARKER * KER VALUABLES.MARKER EXPERIENCER].MARKER KER ROBBERY[+past,+infe HARM-INDUCING 襲った ACT[+past] ACT or ACTION[+past] EVENT[+past] attacked rred] ACTIVITY[+past] が HUMANs.MARKER ROBBERs.MARKER Figure 1: (一文からなる) 文章 T への意味役割タグづけ例 (ただし「が」「の」 「を」は PLACE や PLACE OF ROBBERY のような意味役割ラベルの一部と しては扱わず,別に「マーカー」タイプとして意図的に区別している 2 2 研究の動機と目標 高度な意味処理の必要性は言語処理をはじめとして様々な分野で,日に日に 増大していますが,そのための技術はまだ未熟です.ですが,それは単に技 術的な限界によって起こっていることではなく,私はもっと根本的なところに 原因があると考えます.具体的に言えば,言語の意味処理が未熟なのはコト バの意味に関する (明示的) 知識がまだ未熟であるという理由によってそうな のだと考えます.このような壁を突破するには,十分に品質の高い記述デー タの十分な量の蓄積が必要です. このようなデータは,文章に現われる語句の意味を一つ一つ記述したデー タがあれば提供できます.これを実現する手段の一つが文章への意味タグづ け (semantic annotation) (=意味のアノテーション (注釈づけ) です.基本的な アイデアは [14, 13] で述べられています. 基本的な案はこれで良いとしても,実際に問題となるのは意味「意味タ グづけとは,どんな情報をどう付与することなのか?」 「どんな情報を語句の 意味と見なすか?」です. 例えば,先ほど取り上げた (1) という文 (下に再掲します) に意味タグづ けすることにした時,いったいどんな情報を,どう書けば有効な意味タグづ けしたことになるのでしょう? (1) 覆面の男のグループが昨日,ニューヨークの銀行支店を襲った. この問題は,世の中の数々の言語理論が存在する今でも,何らかのハッ キリとした答えを与えられることのできない問題,つまり「解けない問題/ 課題」です.これを課題に落とし込むには何か思い切った手を打たないとい けないのですが,以下で簡単に説明するように「(文の,語句の) 意味とは何 か?」という根本問題がハッキリしない以上,確実な手などありません.だか ら,少し賭けになるようなこともして,それがモノになるか見ようというの がこの企画の性質です. 文に意味タグづけすることにした時,いったいどんな情報を,どう書け ば意味タグづけしたことになるかがハッキリしていないと言いました.どう してなのでしょう? それは「(文の,語句の) 意味とは何か?」という根本問題 が未解決だからです.私は特に,最も深刻な問題は,ヒトが文を聞いたり読 3 んだりしたときに何を理解しているのかはハッキリわかっていない (文です らそうなのだから,文章に関してはなおさらそう) ということだと考えます. 関連する研究としては [17, 20, 19, 15, 16, 12, 11, 21] を挙げますので,関心の ある方はぜひ参照して下さい. 実際,ヒトの理解の内容をどう表現したらいいのかという問題に関して, 言語学者,心理学者,認知科学者,哲学者の間に合意と言えるものはありま せん. 「何が文の意味であるか」に関して合意がない以上, 「何が語句の意味 であるか」に関して合意が得られないのは当然です.後者が不明確であれば, 「意味タグづけとは,どんな情報をどう付与することなのか」をうまく定義 できないのは当然です. 2.1 語の意味記述の複雑性の上限をうまく押さえ込む 私たちは「何が文の意味であるか」を先に定義して,それに基づいて「何が語 句の意味であるか」を派生的に定義します.これはフレーム意味論 [2, 3, 4, 5] の知見を取り入れた考え方で,必ずしも一般的な手法ではありません.一般 的には「何が語句の意味であるか」を先に定義して,それに基づいて「何が 文の意味であるか」を構成的に定義します.つまり,私たちのやっているこ とは一般的なアプローチとは逆のやり方です. これは一般的な考えではなく,些か直観にも反しているようにですが,次 のような利点があります: (2) この考え方の下では,語 (e.g., 「襲う」) の意味の多義性を,文 (e.g., 「x が y を襲う」 「y が x に襲われる」) の解釈に対する状況からの引き込み 効果 (“attraction to situation” effects on (semantic) interpretations) [19] と して記述できるようになる. 具体的には「x が y を襲う」 「y が x に襲われる」の意味解釈は,図 2 に示 す (具体性のレベルの異なる) 状況 (もっとも具体性の高い状況で 16± 2 個あ る) のいずれかに引き込まれ,それ以外の状況が表わされることはないこと が実験的にも確かめられています [19]. 4 More Abstract, Coarse-grained More Concrete, Finer-grained 狼が羊の群れを襲った Wolves {attacked; ?*assaulted} a flock of sheep. F06: Predatory Victimization L2 Level Situations F07b: (Counter) Attack for Selfdefense A: Victimization of Animal by Animal (excluding Human) F07: Nonpredatory Victimization B2: Victimization of Human by Animal (excluding Human) A,B: Victimization of Animal by Animal スズメバチの群れが人を襲った A swarm of wasps {attacked; ?*assaulted} people. サルの群れが別の群れを襲った A group of apes {attacked; ?assaulted} another group. F07a: Territorial Conflict between Groups F01: Combat between Human Groups E: Conflict between Groups B0: Victimization of Human by Animal (including Human) G: Power Conflict between Human Groups マフィアの殺し屋が別の組織の組長を襲った A hitman of a Mafia {attacked; assaulted} the leader of the opponents. 暴徒と化した民衆が警官隊を襲った A mob {attacked; ?assaulted} the squad of police. F02: Invasion B1: Victimization of Human by Human, Crime 2 貧しい国が石油の豊富な国を襲った A poor country {attacked; ??assaulted} the oil-rich country. B3c: F01,02,03: Victimization of Human for Physical Exploitation B3: Victimization of Human by Human based on Desire, Crime 1 F03a: Personal Robbery 引ったくりが老婆を襲った. A purse-snatcher {attacked; ?*assaulted} an old woman. F03b: Bank Robbery 三人組の男が銀行を襲った. A gang of three {attacked; ?*assaulted} the bank branch. F03: Robbery B3a: Physical Hurting = Violence F04: Persection A,B,C,D,E (=ROOT): Victimization of Y by X F07,09: Disasterlike Event B3b: Physical Hurting = Abuse 狂った男が小学生を襲った A lunaric {attacked, assaulted} boys at elementary school. F05: Raping 男が二人の女性を襲った A man {attacked; assaulted; ??hit} a young woman. F09,10(,11): Natural Disaster D: Perceptible Impact ? ? C,D,E: Victimization in Unfortunate Accident F09: Natural Disaster on Smaller Scale 突風がその町を襲った Gust of wind {?*attacked; hit; ?*seized} the town. F10: Natural Disaster on Larger Scale 地震がその都市を襲った An earthquake {*attacked; hit; ?*seized} the city. F11: Epidemic Spead ペストがその町を襲った The Black Death {?*attacked; hit; ?seized} the town. F12a: Social Disaster on Larger Scale ? C: Disaster F12: Social Disaster F12b: Social Disaster on Smaller Scale ? L2 Level Situations F13: Long-term sickness Hierarchical Frame Network (HFN) of “X-ga Y-wo osou” (active) and “Y-ga X-ni osowareru” (passive) F13,14,15: Getting Sick = Suffering a Mental or Physical Disorder E: Personal Disaster? NOTES • Instantiation/inheritance relation is indicated by solid arrow. • Typical “situations” at finer-grained levels are thick-lined. • Dashed arrows indicate that instantiation relations are not guaranteed. • attack is used to denote instantiations of A, B. • assault is used to denote instantiations of B3 (or B1). • hit, strike are used to denote instantiations of C. F13,14: Suffering a Physical Disorder F14: Short-term sickness F14,15: Temporal Suffering a Mental or Physical Disorder F15: Short-term mental disorder ? 大型の不況がその国を襲った A big depression {?*attacked; hit; ???seized} the country. 赤字がその会社を襲った The company {experienced; *suffered; went into} red figures. (cf. Red figures {?attacked; ?hit; ?*seized} the company}) 肺癌が彼を襲った He {suffered; was hit by} a lung cancer (cf. Cancer {??attacked; hit; seized} him) 痙攣が患者を襲った The patient have a convulsive fit (cf. A convulsive fit {??attacked; ?seized him) 無力感が彼を襲った He {suffered from; was seized by} inertia (cf. The inertia {?*attacked; ?hit; ?seized} him). 不安が彼を襲った He was seized with a sudden anxiety. (cf. Anxiety attacked him suddenly} 暴走トラックが子供を襲った The children got victims of a runaway truck (cf. A runaway truck {*attacked; ?*hit} children.) F08: Misfortune Figure 2: 「x が y を襲う」という文が理解される状況のラティス: 黒い線は IS-A 関係を表わし,緑の線は解釈のベースの関係を表わします 5 2.2 意味役割の組織化の理論 (意味) 役割 (semantic roles) は状況 (situation) を構成する「部品」だと考えま す [6, 18].例えば 強盗 という名の状況 (あるいは事態) が成立するとき, それには常に (3) に挙げるような参与者 (e.g., 強盗 , 被害者 , 物品 ) と オントロジー上のパラメータ (e.g., 強盗の行われた 時間 と 場所 ) が存在 します: (3) { 強盗 (type: participant); 被害者 (type: participant; = 犠牲者 (type: participant)); 物品 [盗られた] (type: participant) ; 場所 [強盗の行われた] (type: parameter) ; 時間 [強盗の行われた] (type: parameter) ; ... } 便宜上,参与者 (participants) とパラメータ (ontological parameters) とを区別 せず,両者を意味役割 (semantic roles) という用語で統一すると,(例えば 強 盗 という) 状況は (例えば (3) に示した) 意味役割の集合から構成されている ということになります. ですが,これはなぜなのでしょうか? 私たちは Fillmore らのフレーム意味論の洞察を取り入れ, 強盗 という 状況が (4) に定義するようなフレーム構造をもつものだからと考えます: (4) x が, y に, 強盗 (を働く) = 強盗: x が, 時間: t に, 場所: l で, 手段: m で, 被害者: y (= 犠牲者 ) から, 物品: z を, GOV: { i. 盗る; ii. 奪う; iii. 強奪する; ... } 私たちの研究の目標は,意味役割タグづけという手法を使って世界知識 (あるいは「常識」) の断片をヒトが文章の四で理解する内容に結びつける (あ るいはオントロジー上のリンクを張る) ための基礎を確立することです.こ の際,特定の文が特定の解釈をもつ」という事実を説明することは狙いませ 6 ん.そのような説明の前に必要なのは「どんな文がどんな解釈をもつか」を, 説明なしで網羅的に記述することだからです. 実際,意味役割タグづけがうまく行けば,(1) の文の意味を図 3 にあるよ うなオントロジーと結びつきがあることが明示できるでしょう. Hierarchical Frame Network (inside the Database) F5: <Collective activity> F1: <Self-grouping> Agent [+reflexive] Agents [+plural] F14: <Interaction among Agents> Manner F8: <Hiding Secret> Purpose E Place Place E Time realizes Secret F12: <Interaction between Agents> Purpose Agent [1] F6: <Hiding Identities> Place Agent [2] Effects Entity [k] Agent Time Effects Place Effects Place Time Time E F2: <Team play> Agent[+plural] =Team Members of masked F19: <Interaction among Entities> Agent [j] Anti-agent a group Agent [i] Agent Purposes Anti-agent Place Identities Time Purpose F9: <Commiting a Crime> Time Agent [+reflexive] motivates Observer a bank branch F7a: <Gaining> Appearance Agent Victim Object Crime Effects Means Place New York E Time faclitates Time Weapon Manner Target=Store of Valuables R Indicates that morphome M corresponds to role R. R parallels F7b: <Losing> C C Cause Date of Robbery R* indicates that a role R elaborates a role R* at more abstract level Loser Effects Place Time F18: <Causation> Cause Time Effects Time Place consitutes F11: <Having a bad experience> Reason? Location of Robbery Entity [2] Place Good experience Place constitutes Entity [1] Harm = Caused experience Experiencer Agent =Bank Robbers F17: <Interaction between Entities> Time Victim = Harmexperiencer F10: <Having a good experience> Place F4: <Bank Robbery> Place Harm-causer Time Gain C Source yesterday F13: <Harm-Causation> Place faclitates F15: <Activity> Means Motivation Gainer Purpose in Place Time Criminal motivates F3: <Disguising> E attacked Entity [j] Time Place men M Entity [i] Agent [k] Experiencer Loss Bad experience Place Place Time Time presupposes Time F16: <Having an Experience> Experiencer Experience Place Time Thematic Roles Figure 3: (1) の SFNA: 青い線は語彙による実現の関係を表わし,黒い線は IS-A 関係を表わし,ピンクの線はフレーム間関係を表わします 3 企画の現状 二年前に始まった研究企画ですが,まだ手始めの段階です.試験的な結果は 公開されていますが,中心的な研究はまだ「探索的」なものです.私たちは 日本語フレームネット (Japanese FrameNet) [9, 8] とは独立に活動しています. 7 3.1 構成員 現在,黒田航,李在鎬,野澤元,渋谷良方 (NICT) の四人に,中本敬子 (文教 大学) が補佐的に協力したチームで研究,開発を進めています.この他に京 都の大学の大学院生をタグづけの作業者として協力して貰っています. 3.2 これまでの成果 タグづけはタグ体系を定義しないと実行できません.ですが,タグづけの実 際の対象に十分な予備調査なしにタグ体系の定義をトップダウンに定義する のは,タグづけの企画としては失敗する可能性が高いです.私たちの課題の 場合,フレームのデータベース作りを実際に始める前に,どんなフレームが タグづけの際に必要になるかをちゃんと見定めておく必要があります.私た ちの研究が予備的な段階というのは,この段階が終っていないからです. そろそろ予備調査の結果も定まってきたので,今年度の終り当りから本 格的なタグ体系の定義と,それを使ったデータの整備を行なう予定です. 便宜的に (a) 何らかの文 s の意味として言い表われている事態の概念化 (例えば 襲う , 防ぐ , 守る , 逃げる ) と,(b) 何らの文 s が誰かに よって発話される際に構成される状況の概念化 (例えば 批判する , 抗議 する , 疑う , 主張する ) は区別しています.両者は同じく状況というタ イプですが,s の内容との s の発話者との係わり方が同じではないからです. 現在は黒田,李,渋谷が (A) のタイプの状況の記述に取り組み,野澤が (B) のタイプの状況の記述に取り組んでいます. 3.3 現在の開発サイクル 目下のところ,私たちは次のような形で開発を行なっています: (5) a. データベースから日本語の文章 T を選ぶ. b. T を構成するおのおの文を NICT のスタッフが分割する.この際の 分割は,いわゆる形態素解析プログラム (例えば KNP や ChaSen) の結果をそのまま使うのではなく検査する.分割の単位は調節し ないと望ましくない結果が得られる場合が少なくないため. 8 c. NICT 外部の「タグづけ隊」が,公開,非公開の二つのデータベー ス D1 , D2 を参照しながら,文分割に対してタグづけを行なう. d. タグづけ隊のタグづけの結果を「下書き」として集め,それを NICT のスタッフが編集,整形する. e. 編集,整形の結果をデータベース D1 か D2 に追加する. f. 必要に応じて,変更の加えられたデータベースを「掃除」する.こ れは探索的なプロセスを経てタグ体系に漸次的な改良が行われる ことにより,不整合が発生する可能性があるからである. T は常に英語との対訳になっている文章から選ばれますが,それは将来 的に例えば Berkeley FrameNet のような英語用のデータベースとの比較を容 易にするためです.これまでのところ,全部の文章が (6) a. 日英対訳データ (English-Japanese Translation Alignment Data) (イ ソップの『寓話集』のような著作権ナシの文章と日本語訳との対 応づけデータ) http://www2.nict.go.jp/x/x161/members/mutiyama/align/index. html b. 日英記事対応づけデータ (Japanese-English Newspaper Article Alignment Data) (JENAAD) [10] http://www2.nict.go.jp/x/x161/members/mutiyama/jea/index. html c. 京 (都) 大 (学) コーパス (Kyoto University Corpus) から選ばれています.ただし,京大コーパスの英語化は NICT には内部的に 存在しますが,今のところ一般公開されていません. 3.4 統計 2006 年 8 月 19 日のデータベースの統計を次に示します. データ集 D1 を構成するタグづけの対象となる文章は (6a) と (6b),データ 集 D2 を構成するタグづけ対象となる文章は (6c) から採られています. 9 Table 1: 意味役割タグづけの 2006/08/19 時点での状況 N. of sentences N. of text segments (token) N. of text segments (type) Freq. (average) N. of frames (token) N. of frames (hapax) Hapax ratio N. of frame elements (token) N. of frame elements (hapax) Hapax ratio Data set 1 (open) 67 1474 442 2.19 927 686 74% 3031 2393 78% Data set 2 (semi-closed) 64 1719 539 2.26 1227 990 80% 3815 3149 83% • D1 はアクセス制限なしで http://www.kotonoba.net/∼mutiyama/cgi-bin/hiki/hiki.cgi?FrontPage) で公開 • D2 はアクセス制限あり (アカウントが必要) で http://www.kotonoba.net/∼mutiyama/cgi-bin/hiki2/hiki.cgi?FrontPage 公開 されています.私たちは皆さんからの意見を歓迎します. D2 へのアクセスのためのアカウントの発行は代表者の私に依頼して下さ い.一定の手順の下で発行します. References [1] C. F. Baker, C. J. Fillmore, and J. B. Lowe. The Berkeley FrameNet Project. In COLING-ACL 98, Montreal, Canada, pages 86–90. Association for the Computational Linguistics, 1998. [2] C. J. Fillmore. Frame semantics. In Linguistics in the Morning Calm, pages 111–137. Linguistic Society of Korea, 1982. 10 [3] C. J. Fillmore. Frames and the semantics of understanding. Quaderni di Semantica, 6(2):222–254, 1985. [4] C. J. Fillmore and B. T. S. Atkins. Starting where the dictionaries stop: The challenge for computational lexicography. In B. T. S. Atkins and A. Zampoli, editors, Compuational Approaches to the Lexicon, pages 349–393. Clarendon Press, Oxford, UK, 1994. [5] C. J. Fillmore, C. R. Johnson, and M. R. L. Petruck. Background to FrameNet. International Journal of Lexicography, 16(3):235–250, 2003. [6] K. Kuroda, K. Nakamoto, and H. Isahara. Remarks on relational nouns and relational categories. In Conference Handbook of the 23rd Annual Meeting of Japanese Cognitive Science Soceity, pages 54–59. JCSS, 2006. [Presentation D-3]. [7] J. B. Lowe, C. F. Baker, and C. J. Fillmore. A frame-semantic approach to semantic annotation. In Proceedings of the SIGLEX Workshop on Tagging Text with Lexical Semantics: Why, What, and How? 1997. [8] K. H. Ohara, S. Fujii, T. Ohori, R. Suzuki, H. Saito, and S. Ishizaki. The Japanese FrameNet project: An introduction. In Proceedings of LREC-04 Satellite Workshop “Building Lexical Resources from Semantically Annotated Corpora” (LREC 2004), pages 9–11, 2004. [9] K. H. Ohara, S. Fujii, H. Sato, S. Ishizaki, T. Ohori, and R. Suzuki. The Japanese FrameNet project: A preliminary report. In Proceedings of PACLING ’03, pages 249–254, 2003. [10] M. Utiyama and H. Isahara. Reliable measures for aligning Japanese-English newspaper articles and sentences. In Proceedings of the ACL 2003, pages 72–79, 2003. [11] 中本 敬子 and 黒田 航. 意味フレームに基づく選択制限の表現: 動詞 “襲 う” を例にした心理実験による検討. In 言語科学会第 7 回大会ハンドブッ ク, pages 75–78, 2005. (June 25–26, 2005, 上智大学). 11 [12] 中本 敬子, 黒田 航, and 野澤 元. 素性を利用した文の意味の心内表現の 探索法. 認知心理学研究, 3 (1):65–81, 2005. [13] 黒 田 航 and 井 佐 原 均. 意味フレームを用いた知識構造の 言 語 へ の 効 果 的 な 結 び つ け. 信 学 技 報, 104 (416):65–70, 2004. [増補改訂版: http://clsl.hi.h.kyoto-u.ac.jp/∼kkuroda/papers/ linking-l-to-k-v3.pdf]. [14] 黒田 航 and 井佐原 均. 日本語の意味タグ体系を定義する試み: FrameNet の視点から. In 言語処理学会第 10 回年次大会発表論文集, pages 148–151. 言語処理学会, 2004. [増補改訂版: http://clsl.hi.h.kyoto-u.ac.jp/ ∼kkuroda/papers/jfn-nlp10-rev4.pdf]. [15] 黒田 航 and 井佐原 均. 意味フレーム分析は言語を知識構造に結びつける: 文 “x が y を襲う” の理解を可能にする意味フレーム群の特定. In KLS 25: Proceedings of the 29th Annual Meeting of Kansai Linguistic Society, pages 326–336. 関西言語学会 (KLS), 2005. [増補改訂版: http://clsl.hi.h. kyoto-u.ac.jp/∼kkuroda/papers/sfal-osou-kls29-rev2.pdf]. [16] 黒田 航 and 井佐原 均. 複層意味フレーム分析 (MSFA) による 文脈に置かれた語の意味の多次元的表現. In 第 6 回日本認知言語 学会 Conference Handbook, pages 70–73. 日本認知言語学会, 2005. [増補改訂版: http://clsl.hi.h.kyoto-u.ac.jp/∼kkuroda/papers/ msfa-jcla05-handbook.pdf]. [17] 黒田 航, 中本 敬子, and 野澤 元. 状況理解の単位としての意味フレームの 実在性に関する研究. In 日本認知科学会 第 21 回大会 発表論文集, pages 190–191, 2004. [18] 黒田 航, 中本 敬子, and 野澤 元. 意味フレームに基づく概念分析の理論 と実践. In 山梨 正明ほか, editor, 認知言語学論考第 4 巻, pages 133–269. ひつじ書房, 2005. [増補改訂版: http://clsl.hi.h.kyoto-u.ac.jp/ ∼kkuroda/papers/roles-and-frames.pdf]. [19] 黒田 航, 中本 敬子, 野澤 元, and 井佐原 均. 意味解釈の際の意味フ レームへの引きこみ効果の検証: “x が y を襲う” の解釈を例にして. In 12 日本認知科学会 第 22 回大会 発表論文集, pages 253–55 (Q–38), 2005. [増補改訂版: http://clsl.hi.h.kyoto-u.ac.jp/∼kkuroda/papers/ frames-attract-readings-jcss22.pdf]. [20] 黒田 航, 中本 敬子, 金丸 敏幸, 龍岡 昌弘, and 野澤 元. 「意味フレーム」 に基づく概念分析の射程: Berkeley FrameNet and Beyond. In 日本認知言 語学会第 5 回大会 Conference Handbook, page 133, 2004. [21] 黒田 航, 中本 敬子, 金丸 敏幸, 龍岡 昌弘, and 野澤 元. フレーム 指向概念分析 (FOCAL) の目標と手法: Berkeley FrameNet を超えて. [未発表論文: http://clsl.hi.h.kyoto-u.ac.jp/∼kkuroda/papers/ focal-manifesto.pdf], 2004. 13
© Copyright 2024 ExpyDoc