平成 15 年度 卒業論文 高分子液晶の成形条件と材料 - 高知工科大学

平成 15 年度
卒業論文
高分子液晶の成形条件と材料強度の関係
高知工科大学 知能機械システム工学科
知能流体力学研究室
宮崎修一
岩崎賢司
竹内正賢(材料強度研究室)
目次
第1章 緒言
1.1 研究目的
1
1.2 液晶とは
1
1.3
2
高分子液晶
1.4 高分子液晶を用いたプラスチック
3
1.5
3
高分子液晶の用途と特徴
第2章 レオメータによる粘度測定
2.1 はじめに
4
2.2 試料
5
2.3 実験装置
6
2.4 計算方法
7
第3章
引張り試験
3.1
引張り強度
8
3.2
試験方法及び装置の概要
9
3.3
引張り試験の計算方法
10
第4章 引張強度とせん断速度
4.1
はじめに
11
4.2
ニュートン流体と非ニュートン流体について
11
4.3
べき指数
12
4.4
補正について
12
4.5
引張り強度とせん断速度
13
第5章 結言
14
参考文献
15
謝辞
16
1
第1章 緒言
1.1
研究目的
近年,電子産業や自動車産業などの著しい発展とともに高分子材料の性能,機能の高
度化を目的とする研究が活発である.高分子材料は分子の高い配向性により,強度,弾性
率,耐熱性に優れている.従来使われていた金属やセラミックに比べて比重が小さく,
400℃までの相対的に低い温度で成形加工できるという特徴を生かして高度の成長を続け
ている.
しかし,非常に高価であるために材料としての機能が高度にもかかわらず敬遠され,従来の
材料を使用することがほとんどである.
今でも十分機能は高度だが,特に強度にいたっては理論値には遠く及ばないという事実もあ
る. 本研究のような押出し成形加工は加工時に内部に気泡が入り込み分子配向を崩している
事が大きな原因である.
そこで本研究では高分子液晶を用いて,成形条件(本実験では圧力を変化させ,せん断
速度を変化させる)により材料特性に与える影響について調べる.
さらに,本実験で使用する実験装置では押出し成形加工を行うが,今回使用する試料の
せん断速度を正確に算出できない.そのため算出されたせん断速度の資料に計算を加え補
正することにより,正確な数字を出すことも加えて目的とする.
1.2
液晶とは
地球上でもっとも多く存在する物質のひとつであり,また我々人間をはじめ生物にとって
欠かすことのできない「水」は零度以下の低音では固体結晶の「氷」となっているが,100 度
以上では蒸発して「水蒸気」に変わる.すなわち,その温度により三つの状態を取る.
物質を温めて温度を上げると,一般に固体,液体,気体の三つの状態をとることが知られて
いる.ところが,ある種の物質(大部分が有機化合物)では固体結晶が融けて液体になる前に
固体結晶や液体とも異なる中間の状態をとる場合があり,
「液晶」と呼ばれる状態である.
液晶は結晶のように分子が規則正しく並んでいるわけではないが,まったく不規則に並んで
いる液体と比較するとある程度の規則性を持つ.普通,液体の状態では重心の位置も方向も不
規則なので,どの方向から見ても液体の分子の配列はバラバラに見える.液晶状態では,分子
はその重心位置の規則性を失っていますが,方向の規則性はおおよそ保っている.液晶状態で
2
は正面から見るのと下側から見るのとでは,明らかに見え方が違う.これを異方性という.液
体には異方性がないが,結晶には異方性がある.液晶とは液体の持つ流動性と結晶の持つ異方
性を兼ね備えた液体と結晶の中間の状態である.つまり,液晶は固体,液体,気体のいずれに
も属さない「第四の状態」といえる.
1.3
高分子液晶
原子の数にすると数万にも及ぶ巨大分子(高分子)からできている液晶,通常の液晶(低
分子液晶)に対してこれを高分子液晶と言う.その高い配向性により,強度や弾性率が高く,
耐熱性にも優れた高性能材料として利用されている.
また,高分子はある繰り返し単位(主鎖)がつながってできているが,主鎖自身が液晶構造
をとるものを主鎖型高分子液晶,主鎖から横に伸びた部分(側鎖)が液晶構造をとるものを側
鎖型高分子液晶という.主鎖型高分子液晶は,芳香族原子団が直鎖状に連結した形をして
おり,側鎖型高分子液晶は低分子液晶に類似した原子団が高分子鎖の側鎖に結合した形を
しておりそれぞれ図 1.1 のようになる.
高分子液晶の工業化の主流は主鎖型高分子液晶であり,液晶性に加え,易加工性,耐薬
品性,寸法安定性などの優れた特性を有していることに基づき 1 節で述べた高強度繊維な
どに利用されている.
メソゲン基
屈曲鎖
メソゲン基
屈曲鎖
メソゲン基
主鎖型
Fig.1.1
側鎖型
主鎖型および側鎖型高分子液晶
3
1.4
高分子液晶を用いたプラスチック
現在,世界的規模で材料革命が進行中である.革命の主役はプラスチックをはじめとする合
成高分子材料であり,旧来の金属材料や無機材料に取って代わろうとしている.
プラスチックには,身の回りの日用品などの広く使われている汎用プラスチックと,機械特
性や耐熱性などの性能面で一段と優れたエンジニアリングプロスチックがある.さらにもう一
段上のスーパーエンジニアリングプラスチックがある.この汎用プラスチックが,もはや旧来
の素材の代替品ではなく,プラスチック本体の特性に基づく材料として認知され,金属やセラ
ミックと同等に扱われるようになっている.
エンジニアリングプラスチックは金属に比べて比重が小さく,相対的に低い成形温度で
の成形が可能であることから,自動車や電子機器に至る幅広い分野で著しい成長を遂げて
いる.しかし,高分子液晶はいくつもの優れた特性を持つ反面非常に高価である.従って
単に金属の代替品として用いる場合には高分子液晶は敬遠されがちである.つまり高分子
液晶を用いたプラスチックは,金属の代替品としてではなく,より付加価値のある用途に
特長を生かす必要があり,価格とのバランスのとれた機能性材料としての用途を検索する
ことが大きな課題である.
1.5
高分子液晶の用途と特徴
高分子液晶を用いたプラスチック(樹脂製品)の成形には主に主鎖型高分子液晶が注目
されている.
例えば高分子液晶の優れた機械的性質は幅広い用途に歓迎され,さらに,寸法安定性や,
易加工性の特性を生かした電子・電気関係の精密コネクタや精密ソケット,難燃性を生か
したバーンソケットなどの小型部品,防弾チョッキなどに代表される高強度・高弾性率繊
維やプラスチック補強剤,フィルムなどに利用されている.また今後は耐熱性,耐ガソリ
ン性が必要とされる自動車や飛行機などの分野にも進出しようとしている.
高分子液晶がそのような幅広い工業分野で利用されている理由は以下のような特性を
もつためである.
•
成形・冷却後は分子配向状態が緩和せず固化して自己補強効果を示すため高強度,高
弾性率の材料が得られる.
•
主鎖型であるため分子鎖が剛直であり,高弾性,高強度および耐熱性に優れている.
4
第2章
2.1
レオメータによる粘度測定
はじめに
プラスチックの成形法は,圧縮成形などの特殊な成形法を除けば,射出成形と押出成形
の二つが主である.射出成形は,現在最も使用されている成形法で,流動状態にした成形
材料を所要の形状寸法に等しいキャビティをもつ金型内に流入(供給),加圧,固化後金
型から取り出すという成形法である.
この成形法において最も重要なのは金型の精度であり,射出成形そのものの基本技術は
すでに成熟している.従って近年では,射出成形法に関する特許はほとんどなく,目新し
い技術はほとんど公開されていない.
一方,押出し成形法は固形のプラスチック成形材料がホッパから供給され、ヒータで加熱
されるシリンダ(バレル)内のスクリューの回転によって混練・加熱・可塑化され、バレル先
端のダイ(型)から一定速度で押し出される流動成形法である。この成形法では,均一な成型
品が出来やすいので,シート・板・棒・パイプ・ホース等の単純な断面を持つ成形品に多
く用いられている.
プラスチック成型品生産量ではこの方法によるものが最も多く,全プラスチック製品の
50%を越えている.また,押出成形法については各プラスチックの特性に応じた成形技術
に関する多くの特許が提案されており,今後の研究報告が期待されている重要な成形法で
ある.
そこで本研究では押出し成形法を研究対象とした.
5
2.2
試料
実験に使用した試料は,高分子液晶であるポリプラスチックス㈱のVectra A950®
(p-hydroxy benzoic acidと 2-hydroxy‐6‐naphthoic acidのポリエステル共重合体,数平
均分子量 35,000)である.化学構造式を図 2.1 に示す.
O
CO x O
CO
FIG.2.1
Vectra A950®
y
化学構造式
この高分子液晶は,以下のような特徴を持つ.
•
高分子液晶の持つ特性をより向上させるためにブレンドされるガラス繊維や炭素繊維
(FRP)は充填されていない.
•
通常のポリマーと比較して固化速度が一桁以上速いため成形時間が短縮できる.
Vectra A950®は吸水性があり,加水分解を起こす可能性がある.水分を多く含んでいると
気泡が混入しやすく,樹脂と樹脂が合流する部分に亀裂が入るウェルドラインと呼ばれる現
象が起こる.この現象を防ぐために実験の前処理としてとして以下のことを行う.
•
本実験の前処理として試料を粉砕機で粉砕する.
•
140℃で 3 時間予備乾燥させたものを試料として使用する
6
2.3
実験装置
粘度の測定には(株)島津製作所の細管押出型レオメータ(島津フローテスタ CFT-500D)
を使用した.図 2.2 に構造図を示す.
フローテスタ CFT-D 型は,シリンダに挿入された試料を加熱および加圧し,溶融され
た試料をダイから流出させ試験する本体とシリンダ内の温度,ピストン移動量の測定デー
タから,流量,せん断速度,粘度の算出を行う制御ユニットから構成される.
ポテンショメータ
(ストローク検出)
移動支点
負荷レバー
負荷軸
P
プレスジョイント
バランス
分銅
分銅昇降
エアシリンダ
輪軸
ピストン
温度検出器
シリンダ
ヒータ
X
電磁弁
ダイ
ダイ押え
分銅
ダイ穴ストッパー
FIG.2.2
(CPU)
制御ユニット
フローテスタ CFT-500D 型の構造図
7
2.4
測定方法
実験をする前に,前処理として試料を粉砕機で粉砕する.140℃で 3 時間予備乾燥させ
たものを試料として使用する.
図 2.3 にフローテスタCFT-D型のダイ部分の詳細図を示す.
シリンダ内に試料を充填し,ピストンを挿入した時点を予熱開始点として,ここから時間
の測定を開始する.予熱開始 10 分後に試験荷重によるガス抜きを行いう.これは押出成
形後の成形物(以後,試験片と表記)中の,気泡を減少させるためである.そして予熱 20
分後に試料に試験荷重が負荷される.その際のピストンの降下量を流出時間の関数として,
設定条件での粘度を測定した.物質が移動するときは,一般に圧力が高いほうから低いほ
うへ流れるためその流動に必要な圧力損失が生じるが,この装置ではダイの入り口および
出口で生じる圧力損失を無視したもので,見かけの粘度などと呼ばれる粘度で計測を行っ
ている.ここで,シリンダの直径は 11.3mm,ピストンの断面積は 1cm2である.ダイには,
いずれも流入角が 180°であり,穴径Dが 0.5mm,長さLは 5mmのものを用いた.一回
の測定に用いた試料は約 1.5gで,成形温度T(シリンダ温度)を 300℃,加圧荷重を 9.8
×105Pa∼147.1×105Paで実験を行った.
Piston
Cylinder
Sample
Heater
D
L
Die
D’
FIG.2.3
フローテスタのシリンダ部詳細図
Die Stopper
8
第3章
3.1
引張り試験
引張り強度
強度とは材料の破壊に対する抵抗力をいい,変形に対する抵抗力を含めることもある.
強さを表す主な機械的性質として、引張り強さ,圧縮強さ,曲げ強さ,抗折力,ねじり強
さ,せん断強さ,降伏点または耐力,弾性限度などがある.その中でもまず行われる材料
試験が引張り試験である(4).そこで本研究でも引張り試験を行った.
3.2
試験方法及び装置の概要
押出し成形によって作成した直径約1mm,長さ 65mm の棒状の試験片をインストロン
型万能試験機(図 3.1)で引張り試験を行う.
(この時インストロン万能試験機でチャック
され,実際に引張り試験を行っている部分の長さは 30mm である)
チャックは 2 本止めで,
成形試料の直径が小さい場合にはすべりが発生してしまうので試料の両端をエポキシ系
樹脂で固定した.
試験に用いたオートグラフ AG-G 型は一般に精密万能試験機と呼ばれており引張り試
験の他に圧縮,曲げなど様々な試験に利用できように設計されており,今回の試験では引
張り試験を行った.図 3.1 に試験機の機構図を示す.
上,下方つかみ具(2 点止めチャック)に試料を固定し1分間に1mm の速度で,上方
に引張り,オートグラフに標準装備されているロードセル(ストレインゲージを用いて引
張り力,圧縮荷重を電気的に変換するもの)によって破断点荷重(引張り力)を測定した.
9
ロックナット
ロードセル取り付けボルト
ロードセル(SFL形)
クロスヘッド
ユニバーサルジョイント
固定ピン
上方つかみ具
下方つかみ具
ロックナット(つかみ具)
固定ピン
下部ジョイント
テーブル
センターピン
Fig.3.1 島津オートグラフ kNAG-100kNG 形機構図
(引張試験器具概観)
10
3.3
引張り強度の計算方法
図3.2に示したオートグラフAG-100kNGの詳細図のD(試験片の直径)とL(試験片の
長さ)および付属のロードセルによって与えられたLoad(引張荷重)から張力(kN)を
算出する.
ロードセルの荷重検出部は,力を受けて変形する弾性体にストレインゲージが接着して
あり,力の大きさをストレインゲージの抵抗値変化に置き換えて電気出力に変換されたも
のと,試験時の条件から計測制御装置によって測定値(kN)を算出する.ここで,Dは
試験片の直径,Lは試験片の長さとする.
D
FIG.3.2
第
L
島津オートグラフ AG-100kNG 形機構図
この装置によって測定されるのは引張り力である.引張り強度は.単位面積あたりの引
張力として求まる.実際には,局部収縮が起こっているため,荷重を測定した瞬間の試験
片の断面積で除した値(真応力)になる.しかし,今回は局部収縮を無視し,引張りの最
大荷重を以下の方法で求めた断面積で除した値を用いた.
断面積はマイクロメータを用いて試験片の直径を 3 点計測し,それらの点から 90°回転
させ同様に直径を3点計測した.そして,もとの側面幅と 90°回転させた側面幅の差が
数%以下の試料を選び 6 点の平均とする.
11
引張り強度とせん断速度
4.1
はじめに
成形条件(本実験ではせん断速度の変化)による流動特性の変化が,分子配向及び材料
特性(本実験では材料強度)に与える影響について調べるという目的の他に,正確なせん
断速度を計算するというもう一つの目的がある.
その為には実験装置から算出された数字に補正を行う必要がある.そこで次の事柄を理
解することが必要である.それはニュートン流体と非ニュートン流体の性質の違い,べき
法則とべき指数についてである.以上の事柄について説明した後,引張り強度とせん断速
度の図を示す.
4.2
ニュートン流体と非ニュートン流体について
ニュートン流体と非ニュートン流体の粘度とせん断速度の関係の違いについて図 4.1 に
η [ MPa ]
示す.
ニュートン流体
非ニュートン流体
γ [ 1/s ]
FIG.4.1
ニュートン流体・非ニュートン流体
の粘度とせん断速度の関係図
12
ニュートン流体は粘度が一定でも,せん断速度が変化する.これは,ニュートンの粘性
法則(以下は粘性法則と記述)が成立することを意味する.この粘性法則は式(4-1)に
示す. γ& はせん断速度,μは粘性法則が成立する液体の粘度,τはせん断応力とする.
µ=
τ
= 一定
γ&
(4-1)
しかし非ニュートン流体は粘度の変化に依存して,せん断速度も変化する.この特性に
より,この流体は粘性法則が成立しない.
このような流体の粘度式として適用される一つの方法が,べき法則である.式(4-2)
に示す. γ& はせん断速度,ηは非ニュートン流体の粘度,τはせん断応力,
n はべき指数,kは材料固有な定数とする.
η =
τ
= k γ& n − 1
γ&
(4-2)
4.3 べき指数
式(4-2)中の n を 1 とすると,η=μとなりニュートン流体の粘度を表される.今回
使用した試料は n が1よりも小さい場合であり,非ニュートン流体である.
一般に n の値が1に近い材料ほどニュートン流体に近い性質を持つ.それとは異なり,
1 よりも遠ざかる材料ほどニュートン流体の性質が失われ,非ニュートン流体の性質が現
れてくる.
4.4 補正について
実験装置から算出された数字に補正を行う.式(4-3)に示すように今回の場合は管壁
におけるせん断速度を求める.そして今回の試料のべき指数は約 0.56 である.ここで γ& は
せん断速度,nはべき指数,rはダイ穴の半径,Q はフローレート(体積流量)とする.
γ& =
4Q ⎛ 3n + 1 ⎞
⎜
⎟
πr 3 ⎝ 4n ⎠
(4-3)
13
4.5 せん断速度と引張り強度
成形加工の測定の際せん断速度を算出していた資料,そして試験片を引張強度実験によ
り測定した資料をグラフ化したものを下の図に示す.
400
σ [MPa]
320
240
160
補正前
80
補正後
0
0
2500
5000
7500 10000 12500 15000 17500 20000
[ 1/s]
図 3.3 引張強度とせん断速度の図
成形加工の条件を D=0.5mm,L=5mm とし,T を 300℃にして,せん断速度変化させた.
図からわかるようにせん断速度 2500[1/s]∼10000[1/s]の間に大きな変化が見られる.実験を
行った結果,せん断速度が増加するにつれて引張強度も増加している.これは試験片内の分子
の配向状態が良くなったと考えられる.分子の配向状態がよくなるということは,各々の分子
がバラバラな方向を向かずに一定方向に並んでいたということが分かる.
本実験では非ニュートン流体のべき指数に基づき,補正を行い正確なせん断速度の数字を
求めた.
14
第5章
結言
本研究では高分子液晶の押出し成形加工を細管押出型レオメータを用いて行い,整形条
件の変化による材料強度の変化を調べた.条件はせん断速度を変化させ,材料強度の変化
については引張強度を調べた.以上のことそして,補正により正確なせん断速度を計算す
ることにより以下の結果を得た.
•
せん断速度と引張強の関係について
せん断速度が増加にともない,引張強度も増加する.これは,分子の配向状態がよく
なっているからに他ならない.
•
せん断速度の補正について
せん断速度が補正により計算した後,値は補正される前の値よりも約 2 割増加してい
る.
上記のことから,せん断速度を増加させると引張強度が増加することが分かる.せ
ん断速度の値が一定以上に来ると,引張強度の値が急激に増加しないということもグ
ラフから明らかになった.ただ本実験では条件の点で温度,ダイの内径などせん断速
度以外の変化を行っていないので資料不足の点も在る.
15
参考文献
(1)
液晶便覧編集委員会,液晶便覧,1-7,382,528,丸善 42
(2) 荒木勝彦,繊維充填液晶ポリマーの粘弾性に関する研究(2001)
(3) 大柳康,エンジニアリングプラスチック−その特性と成形加工−,65−75(1985)
16
謝
辞
本研究を行うにあたり,終始に渡り丁寧なご指導を賜りまして,蝶野成臣教授,辻知宏
助教授に対し,深く感謝致します.また知能流体力学研究室の皆様には日々のご援助,ご
協力賜りましたこと感謝いたします.さらに,材料強度学研究室の楠川量啓教授及び精密
工学研究室の方々には装置の提供だけでなく,多大なる御指導,ご協力をいただきました.
あわせて感謝いたします.