物理学科 - 甲南大学

Physics
学科概要
物理学科
多様化する社会のニーズと
知的好奇心に応える 2 コース制
基礎法則を解き明かし、
先端科学を切り開く。
1
Point
2
3
Point
に物理学で獲得された知識を最先端技術に応用するというお
もしろさがあります。原理の探究を行うためには最先端技術
が、最先端技術への応用には深い物理の理解が必要となり、
両者を切り離すことはできません。ビッグバンから始まる宇
宙の進化もナノテクノロジーを駆使した半導体も、同じ
さであり、強さでもあります。本学科は自然科学コー
●天文学
●半導体
●宇宙環境
●レーザー工学
●高エネルギー物理
●宇宙論
学科HP ▼
スと物理工学コースを擁し、多様な視点から物理を学
べるように配慮されたカリキュラム構成となっていま
す。研究室紹介をご覧になっていただければ、本学
科の多彩な研究分野が分かると思います。無関係に
見える現象が同じ物理法則で記述されることが分かっ
た時の感動は大きなものです。一緒に最先端の物理学
宇宙物理からナノサイエンスまで広い研究内容
純粋物理と最先端の科学技術は切っても切れない関係にあります。両者が共に進歩することに
よって現代科学は進歩してきました。そのため、物理学科には「自然科学」と「物理工学」の
二つのコースがあり、進路に合わせて選択できます。また二つの研究分野が刺激しあって高い
Point
物理学には自然の原理を探求するおもしろさと、これまで
基本法則にしたがっています。それが物理学のおもしろ
学びの領域
●原子核
●新素材
●ナノテクノロジー
●宇宙観測
●銀河形成シミュレーション
●地球環境
Summary of Subject
研究レベルを保っています。
を体験し、この感動を味わってみませんか?
4 年間の学び方とカリキュラム
宇宙空間での超新星爆発のシミュレーション(上)と減圧容器内でレーザー
によりナノ構造半導体を生成する実験(下)
。大きさも時間もスケールも異な
るが多くの類似点が見られる。
Curriculum and how to Learn
1・2 年次で基礎知識・技術の習得、3 年次からは 2 つのコースに分かれ専門性を強化
最新の実験設備により物理を体感
1年次の基礎実験から最先端の卒業研究まで最新の実験機器を豊富にそろえています。講義科
目では味わえない感動を実験で体得することが出来ます。データ解析やシミュレーションで使
用するコンピュータ関係の実習科目も充実し、物理の楽しさを味わえます。
少人数による参加型授業
講義や実験は少人数で編成されています。また授業でわからないことがあれば、いつでもマン
ツーマンの指導が受けられる学習相談室を設置しています。物理を理解するには講義を聴くだ
けでなく積極的に講義に参加することが重要です。参加型のワークショップ授業によって論理的
思考力を身につけます。
03
Physics
Physics
04
Laboratory Introduction
Physics
物理学科
[研究室紹介
全 7 研究室
]
宇宙粒子研究室(自然科学コース)
HP http://aplab.konan-u.ac.jp/
高エネルギー宇宙物理や宇宙線の起源の研究
宇宙はビックバンから始まり、星や銀河の形成、爆発と拡散、集積を繰り返しながら活発
に活動している。これらの現象から生じる電波、光、放射線、高エネルギー粒子、重力波
は宇宙空間を満たし地球に降り注いでいる。これらの壮大な現象を観測することにより、
物理の基礎法則を検証し自然の仕組みを研究している。
〈KEYWORD〉宇宙観測・高エネルギー宇宙物理・測定器開発・素粒子実験
原子核研究室(自然科学コース)
HP http://www.phys.konan-u.ac.jp/Nuclear/index.html
HP http://www.phys.konan-u.ac.jp/Quantum/index.html
■宇都宮弘章(教授・理博)■秋宗秀俊(教授・理博)
■安藤弘明(教授・工博)■市田正夫(教授・理博)
宇宙核物理の研究、原子核クラスター構造の研究
ナノメータ物質における電子スピン制御や光非線形現象の研究
ニュースバル放射光施設(西播磨)
で生成される
レーザー逆コンプトンガンマ線を用いてビッグバ
ン、超新星爆発等、爆発的宇宙環境下での軽・
重元素合成の研究を行なっている。大阪大学核
物理研究センターで質量数 6,7 の原子核につい
て核内クラスター励起状態の研究、中重核のピ
グミーEI共鳴、
巨大 MI共鳴の研究を行なっている。
各種放射線検出器とエレクトロニクス開発、コン
ピュータシミュレーション、データ収集処理など。
光通信をさらに高速にするための新しい
光スイッチング素子や量子暗号通信・電
子コンピューティングの基本技術となる
量子力学的な電子の振る舞いと新規な
光学現象を、カーボンナノチューブや量
子ドットなどのナノ構造半導体を対象にし
て極短パルスレーザーを用いて研究して
いる。
〈KEYWORD〉光核反応•元素の起源•クラスター構造•ピグミー共鳴
理論研究室(自然科学コース)
HP http://tpweb2.phys.konan-u.ac.jp/
ナノ構造半導体の創成と再生可能エネルギー材料への応用
宇宙で最初に誕生する星や銀河の形成
過程や、星の死である超新星爆発を数
理解析的手法やコンピュータシミュレー
ションを用いて調べている。さらに理論
研究の成果に基づいてすばる望遠鏡な
どを用いた観測研究を行い、長い宇宙
の歴史の中で生まれた、我々の体を形
作る多様な元素の起源に迫っている。
ナノサイズの半導体は量子力学的に興
味深い振る舞いをするため、これを利用
した新しい物質設計が期待されている。
そこで太陽電池や光触媒等の再生可能
エネルギー材料の性能向上を目指し、
ナノ構造を持った新しい半導体をパルス
レーザープロセスで創成するとともに量
子力学的特性の解明を行っている。
電子物性研究室(物理工学コース)
HP http://www.phys.konan-u.ac.jp/Denshi/Welcome.html
∼分子のナノ微粒子および凝集体の研究∼
物理で分子? みなさんは、分子、
と聞くと、化学の対象と思うかもしれません。
しかし、
きた「芳香族」といわれる分子群です。甲南大着任前は、半導体な
どの無機物結晶の性質を光を使って研究してきましたが、その経験
をベースにして分子性結晶を光物性の対象として研究しています。
分子のナノ微粒子、凝集体、薄膜
無機半導体ではその構造をナノ化すると新しい物性が発現し、新しい機能をもつ
素材として応用される、ということが幅広く行われてきました。しかし、分子性結
そこで、ポリマー中の芳香族分子ナノ微粒子に対して、微粒子の大きさによる特
性の変化を調べたり、分子が 1個ずつバラバラに他の分子の結晶の中にある状態、
2 個隣り合わせになった状態、3 個以上集まった凝集体の場合、特性がどのよう
に変化するか研究したりしています。このような基礎的な研究を行う中で、混合
結晶を強励起するとレーザーのような光り方をする現象も見つかっています。そ
の他、0.1 ミクロン程度の厚さの薄膜では、分子と光の相互作用により超高速の
光現象が期待されており、その実現に向けた薄膜結晶の作製も行っています。
HP http://www.phys.konan-u.ac.jp/Hikari/index.html
スピントロニクス材料の量子輸送と強相関電子系物質の電子状態の研究
有機分子の結晶状態やナノ構造の作成およびその光学的研究
電子の電荷と磁石としての性質(スピン)を同
時に利用するスピントロニクス、マルチフェロ
イックス(強磁性 + 強誘電性)
、遷移金属酸化
物、半導体などのナノサイズ構造および複合
構造の量子輸送現象とその高機能化が第 1の
テーマである。第 2 のテーマは、超伝導や金属
絶縁体転移などを示す新物質に対して放射光
施設 SPring-8などを利用して電子状態を調べ、
それらの発現メカニズムに迫ることである。
有機 EL ディスプレーや有機太陽電池な
どへの期待から工学的にも興味が持た
れる有機分子に対して、サイズ(分子か
ナノ微粒子か大きな結晶か)が変わると、
その性質がどう変わるか調べるために、
いろいろなサイズの試料を作製し、レー
ザーなどを用いた精密な光学測定を
行っている。
いろいろな芳香族分子
晶においてはナノ化したときの基礎物性があまり調べられてきていませんでした。
光物性研究室(物理工学コース)
■青木珠緒(教授・理博)
Physics
分子が集まるとどうなるか
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[研究テーマ]
薄膜分子性結晶の光学特性
およびレーザー発振機構
萬徳 匡昭
物理学科4年次 さん
ガラス板間に作製した
薄膜結晶の偏光顕微鏡
写真
試料を強励起してレーザー発振
が起きているときの発光像
研究室の特色
ベンゼン環が合わさってできた芳香族分子を主な対象にして、いろいろな形状
の試料を作製し、
光を使って、
その性質を調べています。試料作製から光学測定、
解析まで一通りの光物性の研究を経験できます。
研究室の自慢
芳香族分子の結晶およびそのナノ微粒子や凝集体を作製する色々な方法のノ
ウハウが蓄積されています。また、
レーザーや光学スペクトルの自動測定系など、
光学測定装置も充実しています。
この研究室で
行われている
研究テーマ
●薄膜分子性結晶におけるレーザー発振
●ポリマー中のナノ微粒子に対するホールバーニング
●厚みを制御した薄膜分子性結晶の作製
●オパールやコガネムシの構造色に関する研究
〈KEYWORD〉ナノテクノロジー・太陽電池・非平衡レーザープロセッシング
■小堀裕己(教授・理博)■山﨑篤志(准教授・工博)
〈KEYWORD〉スピントロニクス・量子輸送・ナノ・マルチフェロイックス・強相関電子系物質・電子状態
●京都大学 理学研究科 物理学第一専攻
●専門分野/光物性・半導体・誘電体
●研究内容/分子性のナノ微粒子および凝集体、レーザー発振、ホールバーニング
主な対象は、形が単純でよく光るために昔から物理の対象とされて
HP http://um.phys.konan-u.ac.jp/semicon/Welcome.html
理論物理学
教授 博士(理学)
Aoki Tamao
無機半導体の次世代の素材としても注目されています。私の研究の
半導体物性研究室(物理工学コース)
■杉村陽(教授・理博)■梅津郁朗(教授・工博)
青木 珠緒
物理学科 / 光物性研究室 分子性結晶の基礎的な性質は物理分野でも研究されており、最近は
〈KEYWORD〉量子効果・量子情報・ナノ構造・カーボンナノチューブ
■須佐元(教授・理博)■冨永望(准教授・理博)
〈KEYWORD〉銀河形成論・超新星爆発・元素の起源
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光・量子エレクトロニクス研究室(物理工学コース)
光物性研究室
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CLOSE atory
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L
■梶野文義(教授・理博)■山本常夏(教授・理博)
僕は、物理はおもしろい、という単純な思いから物理学科への入学を決
めました。大学の物理は高校よりも、もう少し入り込んだ物理という印象で
すが、その分、より複雑な理論を学べます。難しいと感じることも多いで
すが、没頭する楽しさを知れば苦にはなりません。今、光を使った実験、
光を使って物質の性質を調べるということに興味があり、卒研では分子性
結晶薄膜の基本的な光物性および光強励起下におけるふるまいについて研
究する予定です。物理には興味をそそられることが本当にたくさんあり、
もっ
と追求していきたいです。
〈KEYWORD〉レーザー分光・ナノ微粒子・有機半導体
Physics
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