佐世保市立総合病院 地域連携室だより 2010 年8月号 Vol.39 医療安全室長 宮原 健次 平成22年度から医療安全に関するシステムが一部修正され図1のような新 しい組織構成になりました。つまり、医療安全室は安全管理体制を確立、達成 するための、組織横断的な実働的な組織になります。 構成メンバーは、室長の私をはじめとして、医療安全管理者、副看護部長、 専任の看護師、薬剤師、検査技師、放射線技師、事務担当者となっています。 院 長 医薬品安全管理対策委員会(準備中) 医療安全管理対策委員会 リスクマネジメント委員会 医 療 安 全 室 相談窓口 すべての医療従事者 医療機器安全管理対策委員会 患者様相談窓口 患者・家族 (組織図は一部抜粋) 図1 医療安全管理部門の組織 実際の仕事の内容としましては 1) インシデントレポート等に関する調査・分析・評価 2) 医療安全管理施策の立案、そのための助言、援助、各組織との連携、施策の周知、見直し 3) 院内各部署における医療安全管理状況の点検、評価 4) 医療の安全に係る教育および研修 5) 医療安全に関する最新情報および警鐘事例の職員への周知 6) 医療安全管理対策マニュアル・ガイドラインの点検・評価 7) 医療安全に関する、患者等や院外への情報提供 となっております。 これらのことを実践するために週1回担当者で会議を開いて、上記の事柄を日々検討しています。そして場合によって は各部署に赴いて実際に目で確認する必要も生じてきます。その際は、各部署の職員の協力が不可欠となります。 また、現状をより詳しく把握したい場合や改善をお願いしたい場合は、各委員会などに申し入れをし、文章での回答を お願いするときがあります。具体的な活動としては、新年度を迎え、新人看護師もおおく入職し、医療機器に関するイン シデントやアクシデントが多かったため、ME 部門に申し入れて、実際に医療機器の使用に関する直接指導をお願いしま した。 インシデントやアクシデントが実際に生じた場合、患者様のみならず起こした職員本人も非常に不幸になります。その ことを常に念頭におき、危機意識をもって日常の医療の仕事に当たっていただきたいと思っています。そのために、医療 安全管理者の古田マネージャーやその他の専任のスタッフ達と一緒に微力ながら精一杯努力をしていきたいと考えていま す。 感染防止対策チーム立ち上げにあたって 感染管理認定看護師 近藤 明美 4月から実施された平成 22 年度の診療報酬改定において、院内感染防止対策を評価す る新たな項目として「感染防止対策加算」が新設されました。①医療安全対策加算1の届 け出を行っている医療機関において、感染防止対策についてさらなる取り組みを行ってい ること ②感染症対策に3年以上の経験を有する常勤医師、感染管理に係る6カ月以上の 研修を修了した看護師のうち専従1名、専任1名以上が配置されていること ③3年以上 の病院勤務経験をもつ専任の薬剤師、臨床検査技師が配置されていることが算定要件の内 容となります。施設基準としては、 「感染対策に係る部門が設置されていること」や「条件 を満たす構成員からなる感染防止対策チームを組織し、感染防止に係る日常業務を行うこ と」などの8項目が挙げられています。 当院でも、6 月 1 日付けで感染防止対策チーム(ICT:Infection Control Team)が発足しました。Infection Control Doctor(ICD) 、感染管理認定看護師(認定 ICN:Infection Control Nurse) 、細菌検査技師、薬剤師の 4 名でチームを 編成し、質の高い効率的な感染制御を実践する責務を担い、主に以下の業務を行っています。 1)1 週間に 1 回、定期的に院内を巡回し、院内感染事例の把握を行うこととともに、院内感染防止対策の実施状況の把 握・指導を行う。 2)微生物検査を適宜利用し、抗菌薬の適正使用を推進する。 3)院内感染対策を目的とした職員の研修を行う。 感染防止については、医療現場で働く職員が感染防止対策を守り、感染防止を考えた処置・ケアを実施することが大切 です。本院には昭和 54 年に院内感染症委員会(ICC:Infection Control Committee)が設置されており、院長をはじめ 各部署から選出された委員が、それぞれの立場から感染防止対策に関しての状況報告、計画案等を出し合い活動していま す。ICT は院内感染対策の実働部隊であり、各部署で実際の感染対策がどのように実践されているか、適正な感染に関す る治療がなされているかを把握し、適宜指導していきます。 私は 6 月 1 日から専従 ICN として業務を開始しました。それまでは病棟看護師として平成 20 年 10 月まで部署内の感 染管理リンクナース業務を行っていました。途中のブランクもありますが約 10 年を経過し、専門的に関われることがし たいという希望と上司からの勧めが合致し、感染管理認定看護師を目指すことになりました。平成 21 年度に認定を取得 し、1 年間は病棟スタッフとして兼任で感染管理業務を行うことになりましたが、時間を作るのに苦労していました。今 回の ICT の立ち上げで時間の確保ができ、各部署の皆さんとの関わりも広がり始め、徐々に認定 ICN としての活動を行 うことができています。 本院は急性期の病院であり、県北の中核病院、がん診療連携拠点病院の役割をもち、侵襲的処置の実施や免疫機能の低 下した感染リスクの高い患者さまを多く受け入れています。一人ひとりの患者さまに対し、院内職員が統一した感染対策 行動がとれるよう、院内感染予防を充実したものにしていきたいと考えています。 院内感染で有名な MRSA(Methicillin Resistant Staphylococcus Aureus)の新規発生は右肩下がりで年々減尐し ており、職員の感染管理に対する意識や行動が高まってきていると評価できます。今回の ICT 立ち上げを機会に、さらに 各部署の協力を得ながら、患者さまが安全で快適に療養できる環境を提供でき、さまざまな対策によって院内感染を防止 するために、精力的に活動していきたいと思います。 南 医院 院長 南 博 先生が開業された理由は? 父が当時、天神に開業していました。私はその頃大学病院に勤めておりましたが、昭和 60 年父の死去に伴い、早かったのですが 37~38 歳の時に帰ってきまして、父の後を引 継いで南医院を開業しています。 お父様はどのような方でしたか? 父が癌の末期で下半身が動かなくなったとき、ベッドに寝て患者が来るのを待っていま した。 「私は患者が一人でも来るうちは死ねない」 、 「誰も来なくなったら私は辞める」と 言っており、私が引き継いだときにはほとんど患者さんはいませんでした。 そういうお父様から町医者になられたわけですが、お父様の精神を受け継がれているも のはありますか? あります。 “患者さんのために生きる”ということです。今でもそれを実践し、夜間も 診ています。有床診療所(19床)でスタッフがいるという面でも恵まれていますので。 どのような患者さんが入院されていますか? 高齢者が多いです。本当は家に帰れるが帰っても誰もいない人、ちょっと認知も出てきた という人。あとは、末期癌の人が多いです。総合病院などで初期の癌で手術し、一通りの 治療が終わって経過観察中の患者さんが再発して、最期が大変な場合があります。できる だけ在宅での診療に心がけていますが、どうしても家族が看ら スタッフ れないというときは、最終的に入院して最後を看取るというこ とをしています。そのような点でも、有床診療所がなくなってきている現在、私はずっと続け 看護師 13 人 ようと思っています。 学生 5人 スタッフの数が多いですね。学生というのは? 事務 3人 看護学生です。高校卒業した医師会の准看の学生です。1 年生が 3 人、2 年生が 2 人。准看護 厨房 5人 師のうち働きながら高看にいっているのが 3 人います。50 人ぐらいの学生を育てましたので、 掃除 1人 ある意味ネットワークができて、何かと役に立っています。 看護助手 3人 専門や特徴は? 私自身、10 年間循環器にいましたが、開業してからは一般内科(家庭医)です。開業当初から消化器(特に内視鏡)の勉 強のため、長崎大学第 2 内科に入局させていただき、約 24 年間佐世保市立総合病院で勉強させていただいております。 当院は木曜日午前中休診ですので、その時間を利用して内視鏡の勉強をさせていただいています。 先生はよく往診をされていると聞いたのですが? 月・火・金を在宅の往診、施設の往診を水・土の午後からやっています。ターミナルの患者さんの往診は尐ないです。患 者さんはブランド志向がありますので、総合病院は認知度もあるし、最先端の医療設備もありますから、そこで駄目なら ば皆さん納得しますが、当院で亡くなればいろいろ言われることもあります。そういう悲哀も味わっています。最後まで 自分が診た患者さんを看るために施設を作りました。 施設のことについて教えてください。 ケアタウン天神といいます。定員 30 人の有料老人ホームと、小規模多機能が 9 部屋あります。それからデイサービス。 小規模多機能は県北で私が一番に始めました。軌道にのり、見学に来るほどになりました。有料の老人ホームも県北では 2 番目です。 介護付有料老人ホームといって普通の部屋に介護がついています。 施設も 30 人くらいの職員が働いています。 総合病院に期待することは? 重症の患者さんの紹介にスムーズに対応(特に夜間、時間外)していただき感謝しています。特に夜間は専門が思い通り いかない場合があります。それを総合病院がスムーズに対応してくれると助かります。どこも引き取ってくれないとなる とどうしようもなくなりますから。また、連携パスを持って、一緒に治療をしていける関係を作りたいと思います。特に 放射線科では、当院にはない高額な機械を共同利用できればと期待しています。今後も専門医の適切な指導等は続けてい ただきたいです。 地域医療支援病院研修会 平成 22 年 7 月1日に皮膚・排泄ケア認定看護師による研修会を実 施しました。テーマは「ストーマケアの基礎」でした。在宅ケアで も役立つ内容で、地域の医療機関や訪問看護ステーションの看護師 さんが約 40 人と多数出席され、関心の高さを感じました。今後も、 地域のニーズに応えられるような研修会を企画していきたいと思 います。 毎 毎月 月 第 第3 3木 木曜 曜日 日 1 13 3::0 00 0~ ~1 14 4::0 00 0 外 外来 来カ カン ンフ ファ ァレ レン ンス ス室 室で で開 開催 催 し して てい いま ます す。 。 こっちのほう がにあうんじ ゃな~い 病 院 情 報 平成 22 年6月の救急外来 患者数 救急車搬入 市内 788 人 153 人 ドクターヘリ による搬入 市外 49 人 2人 紹介患者数 市内 72 人 市外 36 人 入院患者数 234 人 (救急車使用 118 人) 平成 22 年6月の紹介患者数 地域連携室の 紹介患者数 市内 市外 紹介率 1,646 人 1,152 人 494 人 78.3% モットーは 1.笑顔 2.親切 3.丁寧 詳しくは企画情報室におたずね下さい。(内線6189) 詳しくは地域連携室におたずね下さい。(内線6148) ●予約を取られるときに診療情報提供書の送付もお願いいたします 佐世保市立総合病院の理念 私たちは患者様を中心として、安全で安心できる 心暖まる医療を提供します。 1.チーム医療の実践 2.インフォームド・コンセントに基づいた医療 3.先進的な高度医療 〒857-8511 長崎県佐世保市平瀬町 9-3 佐世保市立総合病院 地域連携室 室長:福田安雄 担当:永田、池田、福田、近藤、大川内 TEL(0956)24-1515(内線 6148) FAX(0956)24-0474(連携室)
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