救急科 ER 医養成プログラム (平成 22 年度) - 杏林大学

救急科 ER 医養成プログラム (平成 22 年度)
Ⅰ. 研修期間
4 年間(このうち 24 か月間以上を ER に専従して研修を行います。各科ローテーション中には、週
1 回の救急当番、または救急当直を行います。)
Ⅱ. プログラムの概要
① 臨床研修
卒後 3 年目の目標は、主に walk-in 患者の診療を通じて、ER 診療独特のアプローチ法を修得し、
重要症候の的確な鑑別診断を行えるようになることである。また、選択された救急搬送患者の診
療を通じて必要な手技を習得し、BLS のプロバイダ資格を取得する。
卒後 4 年目の目標は、walk-in 患者、救急搬送患者の診療を行い、さらに複数患者の同時診療
を通じてチームアプローチの重要性を理解することである。ACLS、ICLS のプロバイダ資格を取得
する。
卒後 5 年目の目標は、多数の救急患者をトリアージしながら、同時進行で診療する能力を身に着
けることである。そのために必要な専門知識や手技の修得を行う。また、JATEC、JPTEC のプロバ
イダ資格を取得する。さらに救急診療に関する学会発表、論文発表を行う。
卒後 6 年目の目標は、独立して診療を行えること、リーダーシップを発揮して診療現場を統括する
力を身につけることである。この時期には学生、初期臨床研修医(後輩)への教育指導も担当し、
ICLS のインストラクター資格を取得する。
卒後 6 年目以降には、日本救急医学会認定 ER 医取得の条件を満たす予定であり、これを取得
することを目標とする。また、日本救急医学会認定専門医取得の条件、「5 年以上の臨床経験を
有すること。専門医指定施設またはこれに準じる救急医療施設において、救急部門の専従医とし
て 3 年以上の臨床修練を行った者であること。または、それと同等の学識、技術を修得した者であ
ること。」を満たすため、同時に取得することを目標とする。
② 学会発表、論文執筆
卒後 3~4 年目では、地方会を中心とした学会発表、症例報告を中心に論文執筆を行うことを目
標とする。
卒後 5~6 年目は、日本救急医学会総会及び関連学会総会(日本外傷学会、日本腹部救急医学
会、日本熱傷学会、日本集団災害学会、日本中毒学会、日本臨床救急医学会など)での発表な
らびに原著論文の執筆を目標とする。
③卒後6年目以降(大学院入学希望者を含む)
ER診療チームの中核スタッフとして、責任ある立場で診療に当たることになる。希望があれば、サ
ブスペシャリティーを身につけるため、出張病院での研修を行なう。救急科専門研修の一環として、
外科系研修や、IVR(interventional radiology:血管内放射線医学)を中心とした放射線科研修、
循環器内科研修などの実績がある。教育的出張は、その後の各医師の将来を決定するとても大
事なものであり、医局スタッフと熟慮の上、当人同意のもとで決定する。大学院入学者は、基礎研
究あるいは臨床研究で、その後の4年間で学位を取得することを目標とする。国内での学位取得
を希望する者は、学位をすでに取得しているスタッフが各人に直接研究のプロトコールの作成を
指導し、学位論文作成の道筋をつけ、最終的に教授が総責任者となり学位を取得する。各人の
希望に応じて国外留学を行い、海外の主要学会(米国外科学会、欧州集中治療学会など)で学
会発表をし、海外の指導教官が直接研究を指導し、海外の指導教官や教授から、その研究に承
認を得た上で、最終的に主任教授が総責任者となり学位を取得する。
-1ER 医養成コース 研修プログラム
Ⅲ. 身分・待遇
卒後3年目から6年目の医師はレジデントとして採用。
卒後6年目以降は医員または順次任期助教〔従来の助手〕として採用する。医局員のアルバイトに
関しては、希望者に近隣の関連病院を中心に派遣し、医局員1人につき週1日程度を斡旋してい
る。教育的出張の身分・待遇は各病院の内規に従う。今まで教育的出張の身分・待遇での苦情は
ない。
尚、後期研修中の身分・待遇については、教授以下医局のスタッフで、そのつど真摯に検討する。
助教〔従来の助手〕枠は制限があるのが現状であるが、後述する研修目標の「2 個別目標 ⑥自
らの健康、家族を大切にし、豊かな人生を送る基礎をつくる。」を遵守した身分・待遇を保証する。
(実際に、医局員の大部分が結婚し、家庭を持っている。)詳細は、Ⅸ.連絡先まで。
Ⅳ. 研修施設
卒後3年目から6年目までは、杏林大学医学部付属病院高度救命救急センターで行う。
卒後6年目以降、出張病院での研修を希望する場合には、救急科専門研修プログラムの救急科
専門医指定施設への教育的出張の記述を参照されたい。
Ⅴ. 研修目標
1. 一般目標
ER診療のスペシャリストとなるために、以下の3つの目標(課題)を身につける。
第1目標は、ER診療の基本である診断学を中心に、診療科の枠を超えた幅広い知識・診療技術
を身につけ、救急患者のための適切な初期診療を行う力を身につけることである。そのために、日
本救急医学会ER検討特別委員会および日本救急医学会理事会で承認された、「ER型救急専
門医を育成するための後期研修プログラム(救急医学会ホームページにて公開中)」を基準とした
臨床研修を行う。
第2目標は、救急医療チーム(コメディカルを含めた)の指揮官として、現場で明確に目的と方法を
宣言してチームを牽引してゆくというリーダーシップを身につけることにある。このためには、BLS、
ALS、JATEC、DMAT のインストラクター等の必須技能を取得し、日本救急医学会認定ER医取
得に加えて、日本救急医学会救急専門医資格を取得することを目標とする。
第3目標は、後進の指導である。あらゆる救急患者に対して死に直結する疾患や重篤な病態を見
逃さぬように指導できる知識と技術を身につけることを目標とする。
2. 個別目標
① 医師としてのマナー(社会的な人間としてのマナーも含む)を身につけ、患者と家族に理解し
やすい表現方法で、十分に説明できる。
② コメディカルのスタッフ、他科の医師と相互の連絡を密にとり、常に診療を円滑に進められる。
③ 呼吸・循環管理を確実に修得し、後進に理論的説明・指導ができる。
④ 予想不可能な急変時に冷静に的確に判断・対応できる実力を身につける。
⑤ 経験した症例、治療法などについて医局カンファレンスや学会で発表し、発表内容を遅滞な
く論文として完成できる。(他科及び基礎研究室との共同研究、発表を積極的に行い、その成
果を国外に向けて発表できる能力を身につける。)
⑥ 自らの健康、家族を大切にし、豊かな人生を送る能力を身につける。
-2ER 医養成コース 研修プログラム
Ⅵ. 研修方法・指導スタッフ
1.研修方法
複数名の医師が参加して救急初期診療チーム(advanced triage team:ATT)を構成し、救急初期
診療に従事する。診療スタッフは、救急専従医として一・二次救急外来部門に交代勤務制で常駐
し、診療に支障のないように業務を引き継ぐ。最も経験のある原則として内科のスタッフや、救急
のスタッフがリーダーを担当し、その勤務帯の診療全体を統括し、レジデントの指導やチーム診療
が円滑に行えるための調整を行う。現時点では、原則として一・二次救急外来に独歩や救急車で
来院された患者のうち、内科・外科領域を中心に初期診療を行う。レジデントは、このチームの一
員として診療に参加する。
2.週間予定表
救急初期診療チームは病床を持たず、救急外来に特化して初期診療を行う。院内発生あるいは
病院周辺で発生した救急患者の初期診療を担当し、専門各科と協力して治療にあたる。月曜日
午前8時より救急科で抄読会を行っており、最新の海外の文献を読み、その論文について討論す
ることで、情報の共有化を図る。レジデントのプログラムの進行に合わせて、症例検討会を定期的
に行う。
3.教育スタッフ、専門分野
山口芳裕 (主任教授、香川医科大学卒) 多発外傷・広範囲熱傷・集中治療管理・災害医学
島崎修次 (教授、大阪大学卒) 重症救急・外傷患者管理・救急医療システム
松田剛明 (准教授・副理事長、東京大学 大学院卒) 重症救急患者の外科的治療.重症感染
症に対する免疫学的治療
山田賢治 (講師、香川医科大学卒) 救急初期診療、外傷患者管理、一般整形外科、手の外科
後藤英昭 (学内講師、杏林大学卒) 外科的集中治療・内視鏡による止血法・熱傷治療
樽井武彦 (学内講師、大阪大学卒) 外科的集中治療、重症感染症、侵襲学、細胞生物学
Ⅶ. 研修評価
ER専門医に必要な知識・手技と個別目標で挙げた項目についてどの程度達成できたかを、定期
的に指導医が評価する。その結果を本人にフィードバックして不十分な点を重点的に指導するこ
とで、研修を効率的に行うことを目指す。
Ⅷ. 後期研修終了後の進路
救急専門医を取得した後は、救急医としてひとり立ちできる。その後、内科系外科系を問わず本
人が希望する進路において、適宜医局として便宜を図るようにする。本人が救急医療のさらなる
研修を望む場合は、学位の取得、並びに海外においての更なる学識の習得をも医局が援助する。
最終的には、救急指導医の取得及び、専門的な救急医師としての確立を目標とする。
Ⅸ.レジデント希望者連絡先
後期研修希望者は試験(面接)を行うので担当者に連絡すること。
後藤英昭(学内講師、医局長)
電話:0422-47-5511(内線4033)
メールアドレス:
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