①労働者派遣をめぐる最近の情勢と派遣法改正の動向 - 社団法人・日本

平成22年
労働者派遣をめぐる
最近の情勢と派遣法改正の動向
(社)日本人材派遣協会
目次
Ⅰ.概観
Ⅱ.労働力の需給調整事業としての役割
Ⅲ.派遣をめぐる動き
Ⅳ.派遣について正しい理解を
Ⅴ.派遣法改正の動向
Ⅵ.労働者派遣事業の将来
1
1
Ⅰ.概
観
増加する非正規雇用の内訳
‹1985年⇒2008年の雇用者数の変化
パート
アルバイト
契約社員・嘱託
派遣社員
・パート
900
360万人 ⇒ 807万人
800
700
・アルバイト
600
139万人 ⇒ 333万人
︵
500
︶
万
人
400
・契約・嘱託
300
156万人 ⇒ 337万人
200
100
2008年
10-12月
0
1985
1990
1995
2000
2005
・派遣労働者(1986年)
8万人 ⇒ 146万人
総務省「労働力調査」:派遣労働者数の1986-1999年は事業報告集計の一般派遣労働者数(常用換算)
3
2
派遣労働者の人数と内訳の変化
‹事務領域を中心に大きく増加してきたが、近年は製
造業務が急増
万人
200
180
140
製
造
120
事務
自由化業務
160
100
技術
60
事務
40
業務
80
製造業務
一般事務
営業・販売
医療・介護
そ の他自由化業務
技術領域
事務領域
テレマーケティング
そ の他26業務
26
※一般 ・特定含めた常用
換算派遣労働者数全体
20
0
1986
2006
2007
1986年度:「労働者派遣事業の動向 」(高橋康二、労働新聞社)、 2006年度・2007年度:厚生労働省 「平成18年度労働者派遣事業報告書集計結果」
4
人材派遣事業所数と派遣先事業所数の推移
【派遣元事業者の事業所数推移】
合計83,000(2009.10)
事業所数
【派遣先事業所数推移】
事業所数
(万)
150
60000
一般派遣
一般派遣
特定派遣
40000
100
製造
合計
特定派遣
合計
50
20000
技術
0
0
1996
1998
2000
2002
2004
2006
1996
1998
2000
2002
2004
2006
厚生労働省「労働者派遣事業報告 」
5
3
Ⅱ.労働力の需給調整事業としての役割
労働者派遣事業の役割①
‹双方の様々なニーズを迅速に調整するマッチング機能
○企業のニ−ズ
【非雇用】雇用管理の省力化
【スピード】採用手続の省力化
※社員を配属しては人件費高になる
【雇用調整】業務の繁閑に対応した雇用の調整を担保したい
【コスト】業務の範囲・責任に比例した報酬
○スタッフのニーズ
【自由な働き方】職種・勤務地・労働時間・休暇を選びたい
【収入の獲得】就職のセーフティーネット機能、本当は別の働き方
を希望
【エージェント機能】仕事探し・労働条件交渉・スキル向上訓練
7
4
労働者派遣事業の役割②
‹派遣スタッフにとってのメリット
○求職活動の手間隙が不要
○就業場所・時間など制約条件にあった仕事を探してもらえる
○さまざまな会社、仕事を経験できる
‹就労に当たって制約のある人材の雇用の場の確保
○特に、女性・高齢者など長期間・フルタイムでは働くことの
できない事情(育児,介護,年令,体力等)があるが、働く必要
のある労働者が多数存在
‹人材の育成
○企業に代わって教育訓練を実施
○キャリアカウンセリング等による正社員化支援
8
Ⅲ.派遣をめぐる動き
5
一連の派遣報道(2006年7月∼2009年)
‹偽装請負問題
‹「ワーキングプア」問題
‹日雇派遣・違法派遣・天引き問題
‹相次ぐ事業停止命令
‹秋葉原事件
‹製造派遣における中途解除、雇止めの問題
‹「派遣村」
10
Ⅳ.派遣について正しい理解を
6
非正規=派遣ではない
雇用者人口の内訳
非正規雇用
契約社員・嘱託
318万人 5.8%
その他
133万人 2.4%
(5471万人)
役員
386万人 7.1%
派遣労働
116万人 2.1%
正規雇用
3386万人
61.9%
アルバイト
334万人 6.1%
非正規雇用の内訳
パート 798万人
14.6%
総務省統計局「労働力調査詳細集計結果」(2009年第1四半期)
その他
133
7.8%
契約社員・
嘱託
318
18.7%
パート・
アルバイト
1,132
65.5%
派遣労働者
116
8.0%
12
短期・単発の派遣
‹ニーズがあり、それで働きたい労働者がいる
○選挙の期日前投票、開票、携帯電話の販促、
お中元お歳暮商品の仕分け・包装、野菜果物の収穫…
○他に仕事を持つ者、主婦、学生等の就労が多く、一定
のセーフティーネットがかかっている
適切な雇用管理を徹底してスタッフの保護に努めます
13
7
派遣で働く動機 = 派遣労働は働き方の選択肢の1つ
‹派遣を積極的に評価・選択しているスタッフが多い
派遣会社に登録した理由(複数回答)(n=13936)
15.3%
専門的スキルを活かせるため
37.1%
時間を有効に活用できるため
46.4%
働く期間・時間を自分で決められるため
30.7%
多数の中からやりたい仕事を選べるため
10.4%
生活設計がしやすいため
30.9%
勤務地を自分で選べるため(通勤時間が短いため)
22.9%
職場の人間関係に拘束されないため
16.9%
有名企業・大企業で働けるため
34.7%
正社員として働ける就業先がなかったため
21.0%
賃金が高いため
2.6%
勤務評価が適切なため
20.3%
スキルアップになるため
3.2%
教育訓練があるため
14.6%
就職活動のつなぎに働けるため
20.9%
組織にしばられないため
22.0%
ライフスタイルが変わったため(結婚、子育て、定年等)
その他
4.4%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
45%
50%
派遣スタッフWebアンケート −1万人調査− (調査結果)(人材派遣協会2008年度)
○派遣労働者の6割が今後も派遣での就業を希望している
(総務省「平成19年度就業構造基本調査」)
ワークライフバランスの実現に向けても
フレキシブルな選択肢が必要です
14
労働社会保険の適用
‹派遣スタッフの労働社会保険加入率
(
)内は、加入資格を有する者での割合
派遣労働者
74.7%
(96.6%)
全労働者
健康保険の加入率
71.8%
(97.8%)
80.4%
厚生年金の加入率
71.8%
(98.1%)
79.0%
雇用保険の加入率
84.4%
厚生労働省「労働力需給制度についてのアンケート調査」(H17年度)
*更なる加入の徹底を目指します
*雇用保険については2ヵ月超での適用を提案します
15
8
派遣料金の仕組み
‹派遣料金
=スタッフ時給に必要経費を加算
【必要経費】
労働社会保険料(企業負担分)
有給休暇費用
募集・登録費用、人件費等諸経費
16
賃金格差
‹ 正規雇用者と派遣労働者との間には賃金差がありますが
これは職務の内容、責任の範囲、勤続年数や、派遣には
短時間・短期間の者が含まれることによるものです。
平成17年度の年間所得比較
437万円
全給与所得者平均
*1
292万円
派遣労働者平均
*2
195万円
生活扶助基準
*3
(万円) 0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
500
*1 資料出所:国税局「民間給与の実態調査結果」
*2 資料出所:厚生労働省「労働力需給制度についてのアンケート調査」(2005年)
*3 資料出所:厚生労働省HP「厚生統計要覧:第3編 社会福祉 第1章 生活保護」
1級地−1(東京都区部等)を基準とし、標準3人世帯の構成で計算した。
構成は33歳(男),29歳(女),4歳(子)である。
「同一価値労働同一賃金」は目指すべき方向
17
9
能力開発の実施
‹能力開発の支援に努めたとする企業が会員の88%
○ビジネスマナー、ワード・エクセルの
基礎等導入訓練
○オリジナルの各種研修プログラム
○e-ラーニングによる研修
○関連情報の提供
能力開発プログラムの提示
求職活動のアドバイス
いずれも
無償が多い
○スタッフ専用のOA研修施設の設置も
「2008年自主ルール実施状況」
18
Ⅴ.派遣法改正の動向
10
規制強化の動き①
‹許可基準の見直し
○資産要件
【現行】
【改正後】
・基準資産額 1,000万円
・現預金額
800万円
・基準資産額 2,000万円
・現預金額
1,500万円
※いずれも、1事業所当たりの額
○適用期日
・新規許可・・・平成21年10月1日
・更新 ・・・・・・平成22年 4月1日
20
規制強化の動き②
‹派遣先・派遣元の改正(平成21年3月31日公布・適用)
○派遣先指針
①派遣契約締結時
②中途解約時
派遣先の責に帰すべき事由により中途解約を行 ○専ら派遣先に起因する事由により中途解約
を行う場合には、相当の猶予期間をもって派
おうとする場合には、
遣元に解除の申入れを行う。
ア 派遣先は新たな就業機会を確保
イ これができないときは、少なくとも派遣元事業主 ○派遣先の責に帰すべき事由により中途解約
を行う場合は、新たな就業機会を確保
に生じる損害である休業手当、解雇予告手当等
の額以上の損害の賠償を行うことを派遣契約に ○これができない時は、少なくとも派遣元事業
定める。
主に生じた損害の賠償を行う。
例えば、
ア 休業させる時は休業手当相当額以上、
イ やむを得ず解雇する時は、相当の猶予期間
なく中途解除の申入れを行ったことにより、
派遣元が解雇予告を行わない場合は30日
分以上、解雇予告日から解雇日まで30日に
満たない場合は解雇の30日前から解雇予告
日までの日数分の賃金相当額以上の額に
ついて、損害の賠償を行う。
○派遣元指針
(省略)
21
11
規制強化の動き③
‹ 許可更新時の社会保険等の加入状況の確認
○事業計画書に
(ⅰ)派遣労働者数
(ⅱ)社会保険、雇用保険の未加入者の状況
を加え、労働局、社会保険事務所が実地調査
○要件を満たしているのに未加入の者がいれば更新しない
○調査期間確保のため、申請は有効期間満了の3ヵ月前(現行30日前)
‹ 事業報告書
○項目を3つの別様式とし、提出期限を変更(現行決算後3ヵ月)
➣ 6月1日現在の雇用状況 − 6月30日まで
➣ 労働者派遣の実績等の報告 − 事業年度経過後1ヵ月以内
➣ 収支決算書 − 事業年度経過後3ヵ月以内(改正なし)
施行期日:平成22年3月
22
法改正をめぐる最近の動き
‹派遣制度の規制強化の行方
○政府案及び野党3党案
○8/21の国会解散によりいずれも廃案
‹労働政策審議会での論議
○H21.10. 7 諮問
○H21.12.28 答申
‹厚生労働省
○法案提出に向け作業
23
12
派遣法改正に向けての審議会答申の概要①
◆ 登録型派遣の原則禁止
(1)常用雇用以外の労働者派遣を禁止する。
(2)禁止の例外として、以下のものを設定する。
①専門26業務
②産前産後休業・育児休業・介護休業取得者の代替要員派遣
③高齢者派遣
④紹介予定派遣
<旧政府案>
<3党案>
○登録型派遣労働者(1年以上勤務している、期間を定めて雇用する派
遣労働者)について、希望に応じ、以下のいずれかの常用雇用への転
換推進措置を派遣元事業主に対して努力義務化
・期間の定めのない派遣労働者又は通常の労働者として雇用
・紹介予定派遣の対象とすることを通じて、派遣先での直接雇用を推進
・期間の定めのない労働者への転換推進のための教育訓練等の措置
○期間を定めないで雇用される派遣労働者についての特定目的行為の
解禁
○26専門業務以外は常用雇用のみとする
○専門26業務に従事する労働者について、期間を定めないで雇用され
る派遣労働者であることの通知を受けている場合、3年を超える期間継
続して受け入れていても、雇用契約申込み義務は発生しないこととする
24
派遣法改正に向けての審議会答申の概要②
◆ 製造業務派遣の原則禁止
(1)製造業務への労働者派遣を禁止する。
(2)禁止の例外として、以下のものを設定する。
○常用雇用の労働者派遣
<3党案>
<旧政府案>
―
○政令で定める専門業務を除き製造業派遣を禁止
25
13
派遣法改正に向けての審議会答申の概要③
◆ 日雇派遣の原則禁止
(1)日々又は2か月以内の期間を定めて雇用する労働者について、
労働者派遣を行ってはならないこととする。
(2) 旧政府案のとおり禁止の例外を設ける。
(3)雇用期間のみなし規定(2か月+1日)は設けない。
<旧政府案>
<3党案>
○雇用契約期間が2か月以下の労働者派遣を禁止
○日雇派遣(雇用契約期間が日々又は30日以内)は原則
禁止し、例外はポジティブ・リスト化
○2か月以下の雇用契約期間の場合、2か月に1日を加えた
雇用契約期間とみなす
26
派遣法改正に向けての審議会答申の概要④
◆ 直接雇用の促進
(1)以下の違法行為の場合に、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす旨の規定を設ける。
①禁止業務への派遣受入れ
②無許可・無届の派遣元からの派遣受入れ
③期間制限を超えての派遣受入れ
④いわゆる偽装請負の場合
⑤常用雇用する労働者でない者を派遣労働者として受入れ
(2)(1)によりみなされた労働契約の申込みを派遣労働者が受諾したにもかかわらず、当該派遣労働者を就労させな
い派遣先に対する行政の勧告制度を設ける。
<3党案>
<旧政府案>
○以下に該当する違法行為を行った場合、派遣先に対し、
行政が労働契約を申し込むことを勧告する制度の創設
・禁止業務で派遣を受け入れた場合
・無許可・無届の派遣元から派遣を受け入れた場合
・期間制限を超えて派遣を受け入れた場合
・いわゆる偽装請負の場合であって、一定の場合
○直接雇用みなし規定の創設
派遣先が以下に該当する違法行為を行った場合、派遣労働者は、自
己の雇用主とみなす旨を通告できることとする
・禁止業務で派遣を受け入れた場合
・常時雇用する労働者でない者を派遣労働者として受け入れた場合
(26専門業務等を除く)
・無許可・無届と知りながら派遣を受け入れた場合
・期間制限を超えて派遣を受け入れた場合 等
通告があった場合、派遣労働者と派遣元の間の雇用契約は、派遣先と
の雇用契約に移転したものとみなす
期間制限を超えて派遣を受け入れた場合、その雇用契約を期間の定
めのないものに変更することができる
27
14
派遣法改正に向けての審議会答申の概要⑤
◆ 派遣先責任の強化
今回の法案では措置せず、引き続き検討する
<3党案>
<旧政府案>
○以下の項目の義務づけ等により、派遣先責任を強化
○労災保険法の施行のため、行政庁が、派遣先の事業場
へ立入検査すること等ができることとする
・労働者派遣契約の遵守
・年次有給休暇の取得を理由とする不利益取扱いの禁止
・育児休業を理由とする不利益取扱いの禁止
・未払賃金に関する派遣先の連帯責任
・社会保険料に関する派遣先の連帯責任
・派遣労働者に対する安全衛生教育の義務付け
・定期健康診断等の代行
・労災保険の保険給付の請求に係る便宜の供与
・性別を理由とする差別の禁止
・派遣元事業主に対する個人情報提供の要求の制限
・派遣労働者所属労働組合と派遣先との団体交渉応諾義務
28
派遣法改正に向けての審議会答申の概要⑥
◆ 情報公開
マージン等の情報公開に加え、派遣元は、派遣労働者の雇入れ、
派遣開始及び派遣料金改定の際に、派遣労働者に対して、一人
当たりの派遣料金の額を明示しなければならない。
<旧政府案>
<3党案>
○いわゆるマージンなどの情報公開を義務化
○いわゆるマージン率を含め事業運営の情報等についてHP
等への公開を派遣元に義務づけ
○派遣労働者として雇用しようとする者に対する待遇に関
する事項等の説明を義務化
○派遣元から派遣労働者に対する通知義務事項の拡大
(派遣労働者の賃金、社会保険の適用に関する事項等)
○派遣元から派遣先に対する通知義務事項の拡大
(派遣労働者の賃金等)
○労働者派遣の受け入れにあたり、派遣先から派遣先労働組
合への通知義務(派遣労働者の賃金等)
29
15
派遣法改正に向けての審議会答申の概要⑦
◆ 均等待遇
派遣元は、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者
との均衡を考慮するものとする旨の規定を設ける。
<旧政府案>
<3党案>
○同種の業務に係る一般の賃金水準等を考慮し賃金決定
することを努力義務化
○労働者の就業形態にかかわらず、就業の実態に応じ、
均等な待遇を確保
30
派遣法改正に向けての審議会答申の概要⑧
◆ グループ派遣
(1)グループ企業内の派遣については、派遣労働者のすべての派遣
就業に係る時間を8割以下に規制。
(2)離職した労働者の元の企業への派遣の禁止(離職後1年以内)。
<旧政府案>
○ グループ企業内の派遣については、派遣労働者のすべ
ての派遣就業に係る時間を8割以下に規制。
○離職した労働者の元の企業への派遣の禁止(離職後1
年以内)。
<3党案>
○一つの派遣先(法人及びその子法人からなる法人グループ
を含む)に対して提供する労働者派遣の役務に係る量が、す
べての労働者派遣の役務に係る量の8割を超えることを禁止
31
16
派遣法改正に向けての審議会答申の概要⑨
◆ 罰則
今回の法案では措置せず、引き続き検討する
<3党案>
<旧政府案>
○違法な労働者派遣事業を行った法人に対する罰則の強化
・公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的での
労働者派遣について、20万円以上3億円以下の罰金
・禁止業務派遣、無許可派遣等について、1億円以下の罰金
・無届での特定労働者派遣等について、3000万円以下の罰
金
―
○法令違反であることを知って労働者派遣を受けた派遣先に
対する罰則の導入
32
派遣法改正に向けての審議会答申の概要⑩
◆ 施行期日
(1)公布の日から6か月以内の政令で定める日とする。ただし、「登録
型派遣の原則禁止」及び「製造業務派遣の原則禁止」については、
公布の日から3年以内の政令で定める日とする。
(2)「登録型派遣の原則禁止」に関しては、比較的問題が少なく労働者
のニーズもある業務(政令で規定)について、その施行日から更に
2年後までの間、適用を猶予する。
<旧政府案>
<3党案>
○平成21年10月
(日雇派遣、グループ企業派遣に係るものは平成22年
4月)
○公布の日から6か月以内
(登録型派遣、製造業派遣に係るものは公布の日から3
年以内)
33
17
答申に盛り込まれた使用者側意見
‹ 登録型派遣
暫定措置を講ずる場合に、経済状況や労働者のニーズも十分考慮に入れ
た上でその範囲や期間の在り方を検討すべきことに加え、そもそも登録型派
健は、短期・一時的な需給調整機能として有効に機能しており、これを原則と
して禁止することは労働市場に混乱をもたらすことから妥当ではない
‹ 製造業務派遣
まずは真に問題がある分野を的確に見極める必要があるところ、製造業務
全般への派遣を原則禁止することは、国際競争が激化する中にあって、生産
拠点の海外移転や中小企業の受注機会減少を招きかねず、極めて甚大な影
響があり、ものづくり基盤の喪失のみならず労働者の雇用機会の縮減に繋が
ることからも反対
‹ 直接雇用の促進
仮に規定を設ける際には、派遣先の故意・重過失に起因する場合に限定し
た上で、違法性の要件を具体的かつ明確にする必要性があることに加え、そ
もそも雇用契約を申し込んだものとみなす旨の規定を設けることは、企業の採
用の自由や、労働契約の合意原則を侵害することからも反対
34
その他
‹ 派遣元・派遣先は、派遣契約の中途解除に当たって、派遣労働者の雇用の
安定を図るために必要な措置を講ずる
○H21.3.31交付適用となっている派遣元・派遣先指針の改正を指針レベルか
ら法律レベルに引き上げる
‹ 政府は、労働者派遣事業の禁止に伴い、派遣就業ができなくなる派遣労働
者の雇用の安定や企業の人材確保を支援するため、公共職業安定所又は
職業紹介事業者の行う職業紹介の充実等必要な措置を講ずるよう努める
その際、とりわけ中小企業においては人材確保がこんなんであるという指摘
があったことを踏まえ、職業紹介事業等が中小企業の人材確保に適したも
のとなるよう、特に配慮すべき
‹ 施行後一定期間経過後に、必要に応じて見直しを行う
‹ 労働者側委員の意見
○派遣先責任の強化を盛り込むべき
○特定派遣事業を届出制から許可制に
○専門26業務の見直し
35
18
行政の対応
‹ 派遣対象業務(26業務)の解釈・運用における行政指導の問題
○解釈の厳格化(縮小解釈)
○時間の経過における解釈の違い
○労働局、担当者による解釈の違い
‹ 解釈の変更・厳格化の影響
○解釈の変更・厳格化の結果、派遣受入期間を超えているとされ
た場合、派遣受入の中止、雇用契約申し込み義務が発生
改正後は、常用での対応を求められる
○期間制限のない業務として就業できると思っていた派遣労働者
にとって、突然の派遣終了となり、派遣先も直接雇用すること
が難しく、派遣元も新たな派遣先の確保ができず、結果として
雇用の場が失われる事例も発生
解釈の統一、透明化を行政に要請
36
26業務指導事例①
【5号】
・ パワーポイントを使ったプレゼンテーション資料の作成や詳細なデータのサマリーを作
成する業務において、入力時間のみを問題とされてデータの確認や資料を読み込み考
える時間については付随的業務であるとして5号業務とされず、全体を26業務外という
指導を受けた⇒是正指導書
【10号】
・ 診療報酬明細書作成業務が、財務(10号)と認められていたものが、10号業務では認
められないといわれた。⇒口頭指導
【17号】
・ 研究・開発は新商品及び新たな製造方法に関するものに限る。⇒口頭指導
【19号】
・ 書籍等の製作・編集関係業務(19号)について、複数の労働局に問い合わせたところ、
以下のような回答を受けた。
○東京労働局 ・・・書籍等とは、「文書、写真、図表等により構成され、紙等(CD−R
OM、マイクロフィルム等を含む。)に記録されるもの」を指し、イン
ターネット上に公開されるものは含まれない。
○千葉労働局 ・・・作品の製作を専門性を持って行っているのであれば、結果的に
インターネットに公開されるものであっても該当すると考えてよい。
37
19
26業務指導事例②
【24号】
・ 24号業務の顧客の定義について⇒口頭指導
○大阪労働局 ・・・・・顧客はエンドユーザーのみで販売店等は24号でいう顧客に該当しない。
○広島労働局 ・・・・・業務取扱要領に、顧客はエンドユーザーとは記載されていないので販売
店等も顧客である。
○福岡労働局 ・・・・・顧客はエンドユーザーのみ。
○東京労働局 ・・・・・販売店も顧客になる。
【付随的業務】
・ 派遣労働者が好意で自発的に行った業務(机の清掃や花を飾る行為など)であっても付随的業
務とされた⇒指導票
・ 契約書の業務内容の記載について、法令上は詳細に明記すべきとあるが、付随業務内の非常
にささいなことであり、通常、一般的に行うべきものと考えられるような業務内容(コピー機の用
紙補充、自分宛の入電、自分の机を掃除する等)については、記載しきれないために省略したと
ころ、「記載されていない」として指導を受けた⇒指導票
【法令以上の要求をされるケ−ス】
・ 福岡労働局において、事前の職場訪問時に「スタッフの同意書」がなければ全て面接と見なすと
指導された⇒指導票
・ 派遣先からの期間制限通知書は入手しているのに、「1年を超えている場合の派遣先の労働組
合等の意見聴取書の控えやコピーも必要である」とされ、指導を受けた(通常、そのような書類
は企業の内部文書の扱いとされており、派遣先から入手することは難しい)
⇒是正指導書
38
Ⅵ.労働者派遣事業の将来
20
労働力不足解消の役割を担う
‹生産年齢人口は1995年を頂点として、約500万人減少
10,000
13,000
総人口
128百万人(2004年)
12,000
生産年齢人口 ピーク
8,000
87百万人(1995年)
82百万人(2008年)
11,000
総 人口 ︵
万人 ︶
生産年齢人口︵
万人 ︶
総人口 ピーク
9,000
7,000
15∼64歳人口(生産年齢人口)
6,000
10,000
1990
1995
2000
2005
2010
2015
40
非労働力人口の就業への導入
‹25歳∼54歳の非労働力人口は 836万人
男性
女性
1,400
1,239万人
55∼64歳
45∼54歳
35∼44歳
239万人
87万人
15∼24歳
(在学中除く)
749万人
25∼34歳
0
41
21
今後、派遣業界に求められる役割
‹対象とすべき労働者層
○低スキル層の就業・育成とキャリア形成
○女性、高齢者など潜在的労働力
○外国人など新たな労働力
多様な人材を労働市場に呼び込む
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ご清聴ありがとうございました
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