気管・気管支・肺に石灰化を認めた転移性石灰化の 1 例 - 日本呼吸器学会

日呼吸会誌
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731
●症 例
気管・気管支・肺に石灰化を認めた転移性石灰化の 1 例
宮原 庸介
諸川 納早
倉島 一喜
高柳
昇
山口昭三郎
生方 幹夫
米田紘一郎
徳永 大道
柳沢
勉
土屋 典子
斎藤 大雄
杉田
裕
要旨:症例は 43 歳男性.主訴は乾性咳嗽.慢性腎炎による慢性腎不全のため 2003 年 2 月より腹膜透析
(CAPD)を施行していた.2005 年 1 月から乾性咳嗽が出現した.近医で抗生剤投与,ステロイド投与を受
けるも改善がなかった.咳嗽が増悪し 2006 年 5 月下旬に当院を受診.動脈血液ガス分析では pH 7.48,PaO
2
77.5Torr,血液検査で高リン血症,BNP,KL-6 の上昇を認めた.肺機能検査では拘束性換気障害と拡散障
害を認めた.胸部 CT では小葉中心性に分布する斑状のスリガラス様陰影と不規則に分布する網状陰影並び
に左肩関節周囲の軟部組織の石灰化を認めた.気管支鏡検査では気管,気管支の主に膜様部に白色隆起性病
変を認めた.経気管支生検(TBB)と経気管支肺生検(TBLB)で気管支壁と肺胞壁の石灰沈着を確認した.
以上より慢性腎不全に合併した転移性石灰化と診断した.セベラマーの内服で改善が乏しく,腹膜透析に加
えて週一回の血液透析を開始したところ,咳,画像所見の改善が得られた.
キーワード:転移性石灰化,異所性石灰化,高リン血症,慢性腎不全
Metastatic calcification,Ectopic calcification,Hyperphosphatemia,Chronic renal failure
緒
既往歴:40 歳
言
慢性腎炎.
内服薬:アムロジピン 5mg,フロセミド 40mg,カル
転移性石灰化は慢性維持透析患者に見られる合併症の
シトリオール 0.25µg,アロプリノール 100mg,沈降炭
一つである.肺の転移性石灰化は剖検を行った慢性腎不
酸カルシウム 3,000mg,クエン酸第一鉄ナトリウム 100
全患者の 60∼80% に見られる1)が,無症候性に進行する
mg.
2)
ことが多いため,診断される機会は少ない .今回我々
は著明な咳嗽を呈し,肺のみならず気管支壁の石灰沈着
を病理学的に証明した転移性石灰化の 1 例を経験したの
で考察を加えて報告する.肺の石灰化に関する海外の成
1)
∼5)
書や主要な論文
では,正常な組織に石灰沈着を起こ
す病態として metastatic
calcification が使用されてい
6)
る.内科学用語集第 5 版 によると metastatic calcification は転移性石灰化と訳される.転移性石灰化のほぼ同
意語として異所性石灰化(ectopic calcification)があり,
日本では転移性石灰化と異所性石灰化の両者が使用され
ている.今回は metastatic calcification の訳語である転
移性石灰化を用いた.
家族歴:特記すべき事なし.
生活歴:喫煙歴は 1 日 20 本を 22 年間.1 年前より禁
煙.
現病歴:慢性腎炎による慢性腎不全のため 2003 年 2
月より腹膜透析(CAPD)を施行していた.
2005 年 1 月から乾性咳嗽が出現した.
4 月に近医で肺炎と診断され,抗生剤投与を受けるも
改善がなかった.
7 月に胸部 CT でびまん性スリガラス様陰影を認め
た.
過敏性肺臓炎を疑われてステロイド投与を受けるも改
善がなかった.
症
例
43 歳,男性.
主訴:乾性咳嗽.
咳嗽が増悪し夜間の咳嗽により眠れなくなり 2006 年
5 月下旬に当院を受診,6 月上旬に入院した.
入院時現症:身長 161cm. 体重 58.3kg. 体温 36.2℃.
血圧 146!
78mmHg.脈拍 86!
min・整.黄疸はなかった
が貧血を認めた.発疹なし.表在リンパ節を触知せず.
〒360―0105 埼玉県熊谷市板井 1696
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
(受付日平成 19 年 3 月 13 日)
頸静脈怒張なし.胸部聴診上呼吸音正常.胸骨左縁第 4
肋間に最強点を有する Levine 分類第 3 度の収縮期心雑
音を聴取した.左肩関節の腫脹を認めた.肝・脾触知せ
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ず.浮腫なし.神経学的異常所見はみられなかった.
下していた.血算では好中球優位の白血球上昇,正球性
入院時検査所見(Table 1)
:動脈血液ガス分析では pH
正色素性貧血を認め,血液生化学では LDH,ALP の上
7.48 と軽度のアルカリ血症を認め,PaO2 77.5Torr と低
昇,BUN,Cr の上昇,高リン血症を認めた.また BNP
転移性石灰化の 1 例
733
は著明な高値,KL-6 の上昇も認めた.肺機能検査では
入院時胸部 X 線写真(Fig. 1)では両肺にスリガラス
拘束性換気障害と拡散障害を認めた.心臓超音波検査で
様陰影を認めた.入院時胸部 CT 写真(Fig. 1)では小
は左心室駆出率が 59% であり,明らかな収縮不全を認
葉中心性に分布する斑状のスリガラス様陰影と不規則に
めなかった.
分布する網状陰影を認めた.また縦隔条件(Fig. 1)で
は左肩関節周囲の軟部組織の石灰化を認めた.しかし,
肺・気管・気管支壁に石灰化があるとの確認は縦隔条件
の胸部 CT ではできなかった.
気管支鏡検査(Fig. 2)
:気管,気管支の主に膜様部に
白色隆起性病変を認めた.左 B5 にて気管支肺胞洗浄を
行った(Table 1)が,明らかな異常を認めなかった.
左上葉分岐部にて経気管支生検(TBB)を行い,左 S8
にて経気管支肺生検(TBLB)を行った.TBLB の病理
組織所見(Fig. 3)では HE 染色で肺胞壁に線状の沈着
物を認め,Kossa 染色にて石灰沈着であることを確認し
た.TBB の病理組織所見(Fig. 4)では HE 染色で基底
膜の一部と基底膜下組織の一部に沈着物を認め,Kossa
染色で石灰沈着であることを確認した.以上より慢性腎
不全に合併した転移性石灰化と診断した.
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入院後経過(Fig. 5)
:入院後水分制限と塩分制限を厳
しくし,体重が 58.3kg から 56.2kg に減少したが,胸部
X 線所見の改善は見られず,起立性低血圧と歩行時のふ
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らつきが出現した.沈降炭酸カルシウムの内服にて高リ
移性石灰化を促進した因子と考えた.
ン血症を是正できなかったため,セベラマーの内服に変
本症例では初診時の血清 BNP が高値であったが,週
更した.しかし高リン血症の改善が見られなかった.そ
一回の血液透析を開始後に血清 BNP の低下が見られ
のため 8 月になり腹膜透析に加えて週一回の血液透析を
た.
開始した.血液透析直後のリンの値が正常化し,胸部 CT
転移性石灰化の多くは無症状であり,稀に呼吸困難や
では不規則に分布する網状陰影の改善を認めた.また貧
呼吸不全が出現することがあるとされる4).本症例は咳
血の改善と血清 BNP の低下を認め,1 年以上続いてい
嗽を認め,その原因として気管・気管支の石灰化が関与
た乾性咳嗽の改善も得られた.
している可能性があり,高リン血症の是正により咳嗽の
考
改善が見られた.
察
転移性石灰化の発生部位は,関節・近傍の軟部組織,
肺石灰化症は正常な組織に起こる転移性石灰化,変性
肺・心筋などの実質臓器,大・中・小の血管壁に分けら
もしくは壊死した組織に起こる異栄養性石灰化(dys-
れる7).本症例では左肩関節周囲,気管,気管支,肺に
trophic
calcification)
,上記のどちらの病態にも合致し
石灰化を認めた.今まで文献的には画像所見で気管,気
ない肺胞微石症に分けられる3).また,転移性石灰化は
管支に石灰化を認めた報告はあるが,実際に気管・気管
良性と悪性の原因に分けられる.本症例は正常組織に石
支壁に石灰化を証明した報告は検索し得た限りでは 2 例
灰沈着を起こした転移性石灰化である.
のみであった9)10).
転移性石灰化の原因の多くは慢性腎不全における二次
転移性石灰化の胸部画像所見としては境界不明瞭な結
性副甲状腺機能亢進症による高カルシウム血症であり,
節状陰影,斑状の consolidation,石灰化結節などがある.
多発性骨髄腫,肝移植,
腎移植でも見られることがある4).
異常所見は上葉優位であることが多く,この理由として
転移性石灰化に関係する因子として血清リン,血中カル
上葉は換気!
血流比が高いため PaCO2 が低く,下葉に比
シトリオール,血清カルシウム,副甲状腺ホルモン,血
べて pH が高いため,カルシウム塩が沈着し易いためと
清アルミニウムの各濃度と,透析後のアルカローシスが
されている11).病理学的に証明された転移性石灰化でも
重要とされている7).代謝性アルカローシスの状態では
画像上で石灰化を確認できることは少ないと報告されて
2+
いる4). 血清 BNP 高値から肺水腫の可能性を考えたが,
8)
ン酸カルシウムとして結晶化する .本症例では初診時
TBLB 所見で肺水腫を認めず,血清 BNP 改善後も胸部
にビタミン D 製剤と沈降炭酸カルシウムを内服してお
CT でびまん性スリガラス様陰影は残存した.本症例で
り,血清 intact PTH の上昇は軽度であった.しかし高
も病理組織学的に石灰沈着を証明した部位を改めて胸部
リン血症と代謝性アルカローシスが見られ,それらが転
CT で確認し直したが,明らかな石灰化の所見はなく,
2 価の陰イオンであるリン酸は Ca と結合しやすく,リ
転移性石灰化の 1 例
スリガラス様陰影を呈したのみであった.画像で見られ
る所見は石灰化そのものを見ているのではなく,その周
囲に生じた組織反応を見ている可能性がある.
肺機能検査では初期に DLco.が低下し,進行すると肺
735
percalcemia. Am J Roentgenol 1994 ; 162 : 799―802.
2)Bendayan D, Barziv Y, Kramer MR. Pulmonary calcifications : a review. Respir Med 2000 ; 94 : 190―
193.
4)
3)Chan DE, Morales DV, Welsh CH, et al. Calcium
活量の低下が見られた.
Deposition with or without Bone Formation in the
活量の低下が見られる .本症例では DLco.の低下と肺
治療はカルシウムとリンの積が高値の場合にはその是
正が重要であり,セベラマー,コレスチマイド,カルシ
トニン製剤,ニセリトロールなどの薬剤が有効とされて
いる.本症例ではセベラマーの内服を行った.
セベラマー
はカルシウムやアルミニウムを含まず,イオン結合と水
素結合の両作用によりリン酸イオンを吸着するため,血
清カルシウム濃度を上昇させずに血清リンのコントロー
ルを行うことができるとされる12).2003 年に米国で発表
された K!
DOQI(Kidney Outcomes Quality Initiative)
ガイドライン13)では転移性石灰化予防のために血清 Ca
と P の積を 55 未満に維持すべきとされている.日本で
は K!
DOQI ガイドラインを基に日本透析医学会が 2006
年にガイドラインを作成した14).しかし対象を血液維持
透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症に絞ってお
り, CAPD 患者を対象としていないという問題がある.
本症例はセベラマーのみでは血清リン値を十分に下げる
ことが出来ず,週一回の血液透析を導入した結果,透析
直後の血清 Ca と P の積を 55 未満にすることが可能と
なった.
慢性腎不全患者が慢性咳嗽を訴えた場合,気管・気管
支の転移性石灰化も考慮する必要があると考えた.本例
の気管・気管支の石灰化の小隆起病変は胸部 CT では確
認できず,診断には気管支鏡が有用であった.
本論文の要旨は第 119 回日本呼吸器内視鏡学会関東支部会
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で発表した.
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科 河端美則先生に深謝いたします.
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Abstract
A case of the metastatic calcification of trachea, bronchus, and lung
Yousuke Miyahara, Noboru Takayanagi, Koichiro Yoneda, Noriko Tsuchiya, Nasa Morokawa,
Shozaburo Yamaguchi, Daido Tokunaga, Hiro Saitoh, Kazuyoshi Kurashima,
Mikio Ubukata, Tsutomu Yanagisawa and Yutaka Sugita
Departments of Respiratory Medicine, Saitama Cardiovascular and Respiratory Center
A 43-year-old man with chronic renal failure who had been treated by continuous ambulatory peritoneal dialysis (CAPD) was admitted to our hospital because of dry cough. Blood gas analysis showed hypoxemia and
metabolic alkalosis. Laboratory data showed elevated levels of phosphorus, BNP, and KL-6. Lung function tests
showed restrictive ventilatory failure and impairment of diffusing capacity. Chest CT revealed centrilobular
ground-glass opacification in both lung fields, irregular reticular abnormality in left lung field, and calcification
around the left shoulder joint. Bronchoscopy revealed a white protruding lesion in the trachea and bronchial
membranous portion. Calcified metastasis in the bronchus and lung was confirmed by transbronchial and lung biopsy. Because of no improvement by administration of sevelamer, he started with hemodialysis once a week in addition to CAPD. Cough and bilateral ground-glass opacity were improved.