地層と断層 岐阜市立東長良中学校 1.研究の動機 1年 犬 飼 健 人 (3)断層を自分でつくることができるのか? 今、ぼくの家の近くで山をけずっている。その 断面を眺めていると表明の土や岩の色が層にな <方法①> 母の手作りゼリーにヒントを得て、抹茶とオレ って違っていることに気付いた。そこで ンジと2種類のゼリーを交互に重ねて地層をつ (1)その層は何なのか? くり、両方から力を加えてみた。 (2)「地層」を自分でつくることができるのか? <結果①> (3)「断層」を自分でつくることができるのか? 2種類のゼリーを (4)「断層」ができる条件は何なのか? 交互に重ね、5層 について調べたいと考えた。 の「地層」モデル をつくる。 2.研究の内容 (1)家から見える層は何だろうか? <方法> 下敷きを使って両 インターネットや図書館にでかけ、関係のある 方から力を地層に 文献を読む。その後、根尾谷断層や近所の断層(富 加える。 岡)を訪ねて調査を行う。 <調査> 地層は割れること なく、ぐにゃっと 曲がってしまっ た。(しゅう曲) 【富岡の看板】 【地震断層監察館】 「しゅう曲」はできたが、断層ができなかった。 (2)地層を自分でつくることができるのか? ゼリーは弾性があるので他の物質にかえて実験 <方法> を行ってみる。 いろいろな粒の大きさの岩石を6種類用意し、 小麦粉+ココア、小麦粉+きな粉、小麦粉+ぬ 水に沈めてみる。 <結果> <方法②> 粒の大きさ、粒の色 か、塩+ココア、塩+きな粉、塩+ぬか、コーン の違う砂を用意した スターチ+ココア、コーンスターチ+きな粉、コ ためとても見やすい ーンスターチ+ぬか、パン粉+ココア、パン粉+ 地層ができた。 きな粉、パン粉+ぬか、きな粉+ココア 自然界もこのように 種類の組み合わせでより断層ができやすい組み 地層ができたのだろ 合わせを探した。 うか。 の12 <結果> <結果②> 粉を使って、いろいろな形の「断層」ができる 【輪ゴム2本での断層】 【輪ゴム4本での断層】 様子を見ることができた。使う粉のきめの粗さに 2本や4本だと「しゅう曲」になった。そこで よってできる「断層」の違いがおきることがわか 輪ゴム6本にすると手で押したときと同じよう ってきた。 に「断層」ができた。これで装置は塩 300g、ぬ 細かい → 粗い 細かい きな粉 コーン いなずま いなずま いなずま スターチ 短い 短い 長い 小麦粉 いなずま いなずま いなずま 長い 短いV字 短い いなずま いなずま 凸型 長い 短い はっきり 凸型 凸 型 は っ 凸型 はっきり きりしない → ココア 塩 粗い パン粉 ぬか はっきり か 100gを交互4層にする。輪ゴムの数6本 と 条件を統一して「押し固め」の実験を行うことに した。 【1.5kg のおもしで押し固め、同様に実験を行う】 【粉の粗さとできた「断層」の形】 3.研究のまとめ いなずま:「断層」がぎざぎざになった。 V 凸 押し固めの弱い(弱い地盤)だと力が加わった 字: 「断層」が左右から同時にでき、 地点のみで「断層」ができやすく、強くなるほど V字の亀裂が入ったもの。 遠く(広い範囲)で変化が現れやすい。このこと 型:「断層」の形が凸型のもの。 から地盤が軟らかいとその部分で断層ができ、力 を吸収してしまうのではないかと思う。 今年は、特に横からの力を加えた場合(横揺れ) (4)「断層」ができる条件は何だろうか? 断層ができるのは両端から押す力によるのも である。しかし、その力がどのくらいの力なのか に注目して実験を行った。来年度は「たてゆれ」 も意識して断層のでき方について調べていきた い。 (指導教諭 馬淵 勝弘) 手で押すだけでは科学的なデータがでてこない。 そこで、輪ゴムを使って地層を横から押す力と断 4.審査評 地層や断層について下調べ学習が追究の土台 層の関係を調べたい。 として生かされている。「地層の素材によって断 <方法> 層の形が変わるのか」「押し固め方によって断層 の位置がかわるのか」といった、実験の目的がは っきりしている。また、実験装置を目的に合うよ うに構想、作成している点もすばらしい。条件の 違いにより、断層のでき方がかわるといった興味 深い結果を得ているが、さらに分析を細かく行い、 【設計図】 【実験装置】 結論を導いていくと、追究がより深まる。
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