輸血部新聞2号 - 日本医科大学付属病院

赤血球MAPがつまったことはありませんか?
№2
血液製剤の取り扱い
輸血用血液製剤は取り扱いを誤ると、輸血効果が
ないばかりか、思わぬ副作用の原因となることがあり
ます。注意点をいくつかあげてみました。安全な輸血
のため、今一度ご確認ください。
保管温度を確認してください
① 保冷庫の温度は適正に保たれていますか?
日々の確認、保守点検が大切です。
赤血球MAPは保存中に高頻度にマクロアグリゲー
ト(大凝集塊)を産生し、輸血セットの目詰まりの原因
となることがあります。次の手順で予防できます。
① 赤血球MAPを冷蔵庫から取り出した後、血液バッ
グを適度に混和してください。
② 混和後、血液バッグを横または逆さにしたまま5分
間静置します。
③ 静置後、血液バッグを横または逆さにした状態で
白血球除去フィルターをつなぎます。
薬剤との混注は避けてください
① 血液製剤と薬剤との混注は避けてください。薬剤
によっては凝集、溶血、タンパク変性等を起こすこ
とがあり、輸血効果が得られないばかりか、副作
用の原因になることもあります。
② 輸血は専用の輸血ラインで単独で行います。
赤血球MAP
2∼6℃
新鮮凍結血漿(FFP)
―20℃以下(凍結)
濃厚血小板(PC)
20∼24℃(室温)で振とう
② 持ち運ぶときは、専用のケースに入れ、保管温度
の異なる製剤は、仕切りを使用して密着しないよう
にします。
血液バッグには、使用上の注意
を書いた 添付文書が着い てい ま
す。また、輸血部にも詳しい資料が
ありますので、お申し出ください。
凍結血漿はやさしく!
① 凍結製剤なので、わずかな衝撃でも破損します。
慎重に扱ってください。内容量の多い5単位製剤
は特に注意が必要です。
② ビニール袋に入れて 30∼37℃の恒温槽で融解し、
3時間以内に使用してください。
融解温度が高いと、凝固因子活性が低下します。
50℃以上ではタンパクの変性による固まりを生じ
ます。直接お湯をバッグにかけることは絶対に行
ってはいけません。
融解温度が低いと、白色ゼラチン様沈殿物(クリオ
プレシピテート)が析出します。この沈殿物は大量
の凝固因子を含んでいるため、そのまま使用して
も凝固因子の補充効果は期待できません。
血小板は振とう保存します
① 血小板は低温保存では、輸血後寿命が極端に短
くなります。
② 静置保存では、pH の低下に伴い凝集能が低下し
ます。
しかし、静置保存後6時間程度までなら、機能低下
は認めないとされています。また、その間 30 分おきに
手で少し振とうするだけでも pH の低下を防ぐ効果が
あります。専用振とう機がない場合は、使用まで輸血
部で預かることもできます。
交差血についてのお願い
交差血(輸血検査に使用する血液検体)
は次の目的に使用します。
① 血液型の確認、不規則抗体検査
② 輸血製剤との交差試験
③ 輸血前検体の保管(輸血後感染症など
の副作用調査のために、輸血前の検体
を保管します。)
EDTA−2Na採血管で7mL 採血し、専
用のラベルを貼ってください。輸血すること
で新しく抗体ができる場合があります。繰り
返し輸血をされる方は、一週間に一度は採
血が必要となります。
他の検査に比べ採血量が多く、患者様
に負担となりますが、安全な輸血のための
大事な検体です。ご理解、ご協力をお願い
します。
2006/5/11 日本医科大学付属病院 輸血部