高濃度石綿曝露があるため中皮腫を疑ったが,胸膜炎 - 日本呼吸器学会

日呼吸会誌
46(8)
,2008.
655
●症 例
高濃度石綿曝露があるため中皮腫を疑ったが,胸膜炎を伴う
非結核性抗酸菌症であった 1 例
奥田みゆき1)
桝野 富弥1)
柏尾
誠1)
亀井 順子1)
田中 順哉2)
露口 泉夫1)
要旨:高濃度石綿曝露があるため中皮腫を疑ったが,胸膜炎を伴う非結核性抗酸菌症(non-tuberculous mycobacteriosis,以下 NTM)であった 1 例を経験した.本症例は治療中に急速に増大する腫瘤影の確定診断
目的にて施行した気管支鏡検査の結果,気管支肺胞洗浄液(Brochoalveoler lavage fluid,以下 BALF)に多
数のアスベスト小体を認め高濃度石綿曝露の存在が指摘された.しかし,組織学的には珪肺と診断され,腫
瘤影に関しては確定診断することが出来なかった.また,頻回の喀痰検査や BALF 中にも抗酸菌を認める
ことはなかった.腫瘤影が増大するために精査目的にて肺葉切除術を施行した.切除標本の Ziehl-Neelsen
染色で抗酸菌は確認出来なかったが,組織の洗浄液から M. avium が同定され,NTM およびそれに伴う胸
膜炎と診断した.本症例は石綿曝露歴があったこと並びに,NTM としては典型的でない胸膜炎を伴う胸部
X 線所見から,外科的肺生検にまで至ったが,珪肺に合併する疾患の一つとして NTM を考慮する必要があっ
たと考えられた.
キーワード:石綿曝露,珪肺,中皮腫,胸膜炎,非結核性抗酸菌症
Asbestos exposure,Silicosis,Mesothelioma,Pleuritis,Non-tuberculous mycobacteriosis
緒
喫煙:30 本!
日×50 年.
言
薬剤アレルギー歴:なし.
高濃度石綿曝露があるため中皮腫を疑ったが,胸膜炎
を伴う非結核性抗酸菌症であった 1 例を経験した.非結
核 性 抗 酸 菌 症(non-tuberculous
職業:溶接工(主として鉄)
,一年に数回乾燥機にア
スベストを詰める作業を行っていた.
mycobacteriosis:
現病歴:2007 年 1 月 15 日頃より咳嗽,喀痰,発熱が
NTM)に胸膜炎を伴うことは稀であり,本症例では頻
出現し,1 月 19 日当院外来受診.胸部 X 線写真にて両
回の喀痰検査,気管支肺胞洗浄液中にも抗酸菌を検出す
側上肺野優位に粒状影と,右上肺野に胸膜肥厚を伴う腫
ることができずに外科的肺切除によってのみ診断するこ
瘤影ならびに右中肺野に気管支拡張を伴う浸潤影を認め
とが出来た.胸部 X 線所見は NTM に特異的でなく,
(Fig. 1a)
,肺炎を疑われ精査加療目的にて入院となった.
術前の鑑別は困難であった.胸膜炎を伴う NTM につい
て若干の文献的考察を加えて報告する.
症
例
入院時現症:身長 154cm,体重 44kg,体温 38.2℃,
脈拍 84 回!
分,整.血圧 124!
88mmHg,SpO2 96%,意
識は清明.眼瞼結膜に貧血なし.眼球結膜に黄疸なし.
胸部聴診上右肺に湿性ラ音を聴取.心音に異常なし.腹
症例:75 歳,男性.
部は平坦で圧痛はなく,肝・脾・腎は触知せず.頸部リ
主訴:咳嗽,喀痰,発熱.
ンパ節を触知せず.四肢,神経学的所見に異常を認めず.
既往歴:肺炎(70 歳)
.
入院時検査所見(Table 1)
:好中球増多を伴う白血球
家族歴:特記事項なし.
の上昇と,CRP の高度上昇を認めた.また軽度の肝機
飲酒歴:日本酒 200ml!
day.
能異常も伴っていた.
入院時 CT 所見(Fig. 1b, c):両側上肺野優位にびま
〒572―0854 寝屋川市寝屋川公園 2276―1
1)
結核予防会大阪病院内科
2)
結核予防会大阪病院外科
(受付日平成 20 年 1 月 28 日)
ん性に粒状影を認める.右上葉の葉間に一致して軽度の
胸膜の肥厚を伴う腫瘤様陰影を認めた.また,右 S5 に
気管支拡張を伴う浸潤影を認めた.
入院後経過:血液検査,胸部 CT 所見より肺炎ならび
656
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Tabl
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GPT
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GTP
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l
LDH
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7
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U/
l
ALP
2
4
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U/
l
BUN
1
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dl
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dl
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dl
Na
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3
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l
K
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l
Cl
9
9mEq/
l
Ca
9
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dl
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dl
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ml
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ml
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3mmHg
3
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4mmHg
2
3
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/
L
2
6
.
4mmHg
b
気管支鏡検査:肉眼的に,気管支に粘膜の発赤・腫脹
を認めた右 B4 より BAL を施行した.細菌学的検査で抗
酸菌を含め異常所見を認めず,細胞診でも悪性細胞など
は認めなかった.粉塵様の砂状の沈殿物があり,鏡検に
てアスベスト小体を 30 本!
ml 以上認め,アスベスト高
濃度曝露と診断した.
右 B3a と右 B2b より右 S3 の腫瘤陰影を狙って,経気
c
管支肺生検を施行した.病理組織学的には肺胞の拡張と
Silica の結晶を伴った珪肺の所見で,悪性所見は認めな
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かった. 右 S3 の腫瘤影については増大傾向にあったが,
反応性の葉間胸水も否定しえず,1 カ月後外来で経過観
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察の方針とした.
1 カ月後の CT でやはり腫瘤影は増大傾向にあり,外
科に胸腔鏡下肺切除を依頼した.胸部 X 線写真や CT
で認められた右 S3 の腫瘤陰影部位は,肉眼所見では明
らかな腫瘤病変は認めなかったが,病変部分と思われる
に呼吸細気管支炎と考え PIPC 2g×2!
day を開始した.
上下葉境界部分は炎症により完全に癒着しており剝離は
第 7 病日薬剤性肝障害が出現したため,PZFX 0.5g×2!
困難と判断し約 10cm の小開胸を追加した.病変部位よ
day へ変更した.第 15 病日 WBC 6,700!
µl,CRP 0.67
り白色・乳汁様の分泌物を認め,術中迅速の細胞診で悪
mg!
dl と炎症所見が改善し,PZFX を中止した.発熱な
性細胞は認めず,分泌物で抗酸菌の塗抹検査が陽性で
3
く,炎症所見も認めなかったが,胸部 X 線写真上右 S
あったため,肺抗酸菌症と診断し肺部分切除を施行した.
の腫瘤陰影が増大してきたため(Fig. 2a)胸部 CT(Fig.
病理組織学的には,exudative と productive の双方の像
c)を再施行したところ右 S5 の浸潤影は改善してい
が認められ,結核あるいは NTM が最も考えられる所見
2b,
3
たが,右 S の陰影は増大傾向で,胸膜肥厚もしくは腫
であった.また,切除標本に付随していた胸膜は肥厚瘢
瘤性病変と考えられたため精査目的にて気管支鏡検査を
痕化しており,病理組織学的には類上皮細胞肉芽腫を認
施行した.
めた(Fig. 3)
.切除標本の Ziehl-Neelsen 染色で抗酸菌
中皮腫を疑ったが,胸膜炎を伴う非結核性抗酸菌症であった 1 例
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アスベスト小体を 1 本以上を認めた.これはすなわちヘ
ルシンキクライテリア1)においては高濃度石綿曝露とし
てよいこと,また,本症例の腫瘤影は葉間胸膜の位置で
急速に増大していることから中皮腫が最も疑われた.経
b
気管支肺生検で得られた組織では特異所見がなく,
BALF 中の抗酸菌塗抹・培養検査とも陰性であったこ
とから中皮腫以外の疾患,特に抗酸菌症は可能性が低い
と考えられた.確定診断のため胸腔鏡下肺生検を行い,
一部に類上皮細胞肉芽腫を伴う増殖性・浸出性の混在し
た所見が得られ,かつ採取組織の洗浄液の培養で M.
avium が同定されたため,2007 年に出された American
Thoracic
Society の非結核性抗酸菌症の診断基準2)およ
び日本結核学会の診断基準3)から,頻回の菌の検出を待
たずに NTM と診断した.なお,画像的にも肉眼的にも
胸膜の肥厚がみられており,職業歴から中皮腫も疑われ
たが,同部の病理組織学的所見では明らかな類上皮細胞
肉芽腫が証明されており,M. avium による胸膜病変も
c
存在したと考えられた.NTM の病型は,① fibrocavitary
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disease,② fibronodular disease,および③ hypersensitivity disease の 3 型に分類される4)ことが多いが,塵肺に
合併した NTM では fibrocavitary disease 型が多いと報
告されている5).右 S5 にみられた軽度の気管支拡張を伴
う浸潤影は胸部 X 線写真・CT で空洞の形成を認めな
は確認出来なかったが,組織の洗浄液から塗抹陽性,培
かったため,fibronodular
養にて M. avium が同定され,2007 年 ATS の診断基準
が,右 S3 にみられた炎症と思われる腫瘤影は 3 つのタ
より NTM および,それに伴う胸膜炎と診断した.
イプのいずれにも当てはまらず,NTM としては非典型
考
察
disease であると考えられる
的である6).また,CT 上右 S3 に認められた腫瘤陰影は
その局在が肺の中なのか外なのか鑑別が困難であった.
高濃度の石綿曝露が背景にある珪肺患者に発症した胸
CT 値が水成分よりやや高く不均一なことと,BALF 中
膜炎合併非結核性抗酸菌症(以下 NTM)の 1 例を経験
にアスベスト小体を 30 本!
ml 以上認めたこと,および
した.本症例では,気管支肺胞洗浄液(BALF)1ml 中
職業歴からアスベスト高濃度曝露群と考えられたため,
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次第に増悪する胸膜肥厚を伴った腫瘤陰影は胸膜中皮腫
液中にも NTM を検出することが出来なかったこと,し
の可能性が高いと考えられたが,最終的には M. avium
かも高濃度石綿曝露を認めたために中皮腫との鑑別に苦
による胸膜病変であることが判明した.
慮し,外科的肺切除まで NTM であると診断することが
結核性胸膜炎は 1)結核菌感染に引き続き初期変化群
の初感染原発巣から菌あるいは炎症がリンパ行もしくは
出来なかった.珪肺に合併する疾患のひとつとして,
NTM も念頭に診断する必要があったと考えられた.
連続性に波及する特発性胸膜炎,2)結核菌が血行性に
謝辞:病理診断に関しご教示頂いた大阪府医師会保健医療
散布して両側胸膜,心膜などをおかす多漿膜炎,3)慢
センターの菊井正紀先生にこの場を借りて厚くお礼申し上げ
性結核の悪化の際に炎症が胸膜に波及して発生する随伴
ます.
性胸膜炎の 3 つに分類される7).一般に NTM は,気管
文
支壁の肥厚から気管支拡張へと進む気道進展様式と小葉
中心性病変からはじまる肺胞性進展様式をとる.しかし,
リンパ節腫脹を伴わないことから,リンパ行性進展は少
ないと考えられ,胸膜炎の報告も稀である.Christensen
8)
ら は 114 例の MAC 症のうち,胸膜に病巣を認めたも
の,または胸水の貯留を伴ったものは,わずか 6% と報
告している.また,Lynch ら9)は 55 例の MAC 症の CT
所見では胸膜に石灰化を認めた症例は,約 7% と報告し
ている.NTM の胸膜炎の発生機序は明らかにはされて
献
1)Asbestos, asbestosis and cancer The Helsinki criteria for diagnosis and attribution. Scand J Work Env
Health 1997 ; 23 : 311―316.
2)An
Official
ATS!IDSA
Statement : Diagnosis,
Treatment. Am J Respir Crit Care Med 2007 ; 175 :
367―416.
3)日本結核病学会非定型抗酸菌症対策委員会.肺非結
核性抗酸菌症診断に関する見解―2003 年.結核
2003 ; 78 : 569―572.
いないが,以下の二説が有力視されている10).一つは肺
4)Griffith DE, Wallance RJ. Pathogenesis of nontuber-
病変が直接胸膜に及んで胸膜炎を起こすという説,もう
culous myobacterial infections. Update ONLINE
一つはブラの破裂などで気胸を併発し肺野病変から抗酸
菌が胸腔内へ漏出し,胸膜炎を発症するという説である.
14. 2 : 2006.
5)Fujita J. Clinical features of eleven cases of Myco-
本症例では胸膜直下に肺病変があり,胸腔鏡下に得られ
bacterium avium-intracellulare complex pulmonary
た組織でも胸膜に乾酪壊死は伴わないが類上皮細胞肉芽
disease associated with pneumoconiosis. Respir
腫を認めたため,NTM に伴う随伴性胸膜炎と考えられ
Med 2004 ; 98 : 721―725.
た.本症例で,肺病変が短期間のうちに増大悪化傾向を
示した理由については,類似モデルとして下記に記す珪
肺合併結核の記述がある.塵肺症のうちもっとも多い珪
肺では,肺結核が高頻度にみられることから,「珪肺結
核 silicotuberculosis」という名称が知られている11).一
6)田中栄作.非結核性抗酸菌症,分類と診断基準,画
像上の特徴.露口泉夫編.結核・非結核性抗酸菌症.
最新医学社,2006.
7)門 政男.結核性胸膜炎.泉 孝英,網谷良一編.
結核.第 3 版.医学書院,東京,1998 ; 200―205.
8)Christensen EE, Dietz GW, Ahn CH, et al. Initial
般に,珪肺に結核を合併しやすい理由としては,遊離珪
roentogenographic manifestations of pulmonary
酸の粉塵が結核菌,あるいは結核病変に直接なんらかの
Mycobacterium tuberculosis, M. kansasii, and M. in-
作用を及ぼすこと,珪肺による呼吸面積の減少,虚血や
tracellulare infections. Chest 1981 ; 80 : 132―136.
リンパのうっ滞などの局所要因,心および肺機能の低下,
9)Lynch DA, Simone PM, Fox MA, et al. CT features
免疫異常などがあげられているが,いまだ明らかでな
12)
13)
い .Baum ら は結核菌の培地にシリカを加えても菌
of pulmonary Mycobacterium avium complex infection. J Comput Assist Tomogr 1995 ; 19 : 353―360.
の発育を促進しないが,シリカの吸入は肺胞 マ ク ロ
10)Kotani K, Hirose Y, Endo S, et al. Surgical treatment
ファージの機能を阻害するため,感染した結核病変が悪
of atypical Mycobacterium intracellulare infection
化拡大しやすいと述べている.NTM も塵肺に合併しや
すいことが報告されており14),NTM でも同様の機序が
おこると考えると,本症例で NTM が急速に悪化した理
由が説明できると考えられた.
結
語
with chronic empyema. J Thorac Cardiovasc Surg
2005 ; 130 : 907―908.
11)Cowie RL. The epidemiology of tuberculosis in gold
miners with silicosis. Am J Respir Crit Care Med
1994 ; 150 : 1460.
12)Brink GC, Grzybowski S, Lane GB. Silicotuberculosis. Can Med Assoc J 1960 ; 82 : 959.
高濃度石綿曝露を合併した珪肺に胸膜炎を伴った非定
13)Baum GL, Wolonsky E. Silicosis. Textbook of pulmo-
型抗酸菌症を経験した.本症例は NTM 症としては典型
nary disease. 5th ed. Boston : Little Brawn and Com-
的な画像所見でなく,頻回の喀痰検査や気管支肺胞洗浄
中皮腫を疑ったが,胸膜炎を伴う非結核性抗酸菌症であった 1 例
pany, 1994 ; 831―839.
659
52 : 367―372.
14)束村道雄.非定型抗酸菌症の発症要因.結核 1977 ;
Abstract
A case of non-tuberculous mycobacteriosis with pleurisy with a past history of
dense exposure to environmental asbestos
Miyuki Okuda, Makoto Kashio, Nobuya Tanaka, Tomiya Masuno, Junko Kamei
and Izuo Tsuyuguchi
Osaka Hospital, Anti-Tuberculosis Association
Osaka Branch
We report a case of non-tuberculous mycobacteriosis (NTM) with pleurisy in a 75-year-old man. The patient
was admitted with a diagnosis of pneumonia. Chest radiography and CT scans revealed a tumorous shadow that
increased rapidly in size despite treatment with antibiotics. Bronchoalveolar lavage fluid (BALF) disclosed numerous asbestos bodies, suggesting dense exposure and pulmonary silicosis. The tumorous chest shadow remained
undiagnosed. Repeated microscopic examination of sputum and BALF revealed no acidophilic-bacilli. Diagnostic
pneumonectomy was performed to further explore the nature of the tumorous shadow on chest radiography.
Ziehl-Neelsen staining of excised lung tissue disclosed no acid-bacilli ; however, the washed fluid of the tissue
specimen showed acid-fast bacilli that were subsequently verified as M. avium by in vitro culture. The X-ray findings in our case were not consistent with NTM or specific for disease due to asbestos inhalation. A final diagnosis
of NTM was confirmed via open biopsy of the lung. Our case suggests that in addition to tuberculosis, NTM
should be taken into consideration as a complication of silicosis.