ⅱ ダイオキシン類調査 大気環境調査 - 熊本県

ダイオキシン類調査
ⅱ ダイオキシン
類調査
ダイオキシン類対策特別措置法第2
6条では、都道府県知事は大気、水質
(水底の底質を含む 。)及び土壌のダ
イオキシン類による汚染の状況を常時
監視しなければならないと規定されて
います。
本県では、この規定に基づいて平成
12年度から環境監視調査を実施して
いますが、平成20年度も引き続き、
大気・水質・土壌等の環境調査を行い
ました。
Poly Chloro Dibenzo Dioxin
Poly Chloro Dibenzo Furan
【ダイオキシン類の構造】ダイオキシ
ン類対策特別措置法では、ポリ塩化ジ
Co-PCB
ベンゾ -パラ -ジオキシン( PCDD)、ポ
リ塩化ジベンゾフラン( PCDF)及び
図1 ダイオキシン類の構造図
コプラナー PCB( Co-PCB)をダイオ
キシン類と呼んでいます。
ダイオキシン類は、炭素と酸素で構成される骨格のどこに何個の塩素が付く
か(図1の番号1~9及び2'~6')で異なる物質となり、PCDD は75種類、
PCDF は135種類、コプラナー PCB は十数種類あります。毒性があるとみ
なされているのは29種類です。
【ダイオキシン類の濃度単位】
それぞれの種類で毒性の強さが異なっているため、ダイオキシン類としての
全体の毒性を評価するためには、毒性の強さを合計した値で人間に与える影響
を考える必要があります。そこで、最も毒性が強い 2,3,7,8-TCDD の毒性を1
として、他のダイオキシン類の毒性を換算した係数が用いられています。 こ
れを毒性等価係数(TEF:Toxic Equivalency Factor)といい、その係数を用い
てダイオキシン類(29種類)の毒性を足し合わせた値をもってダイオキシン
類としての毒性(TEQ:Toxic Equivalent Quantity)とされています。(関係省
庁パンフレット:ダイオキシン類2005より)本報告書でもダイオキシン類
の濃度は全て TEQ で表現しています。
大気環境調査
■調査地点
◎概況調査(発生源周辺)
概況調査は、宇城・天草地域の市町村から主要な発生源となる施設(一
般ゴミ焼却場等)の周辺4地点で調査を行いました。
◎熊本市域調査(熊本市実施)
熊本市内の都市中心部、発生源周辺、バックグラウンドを対象として、
11地点で調査を行いました。
■調査時期・方法
・平成20年度の夏期及び冬期の年2回
・ダイオキシン類に係る大気環境調査マニュアル(環境省 平成20年3月改訂)
■調査結果
概況調査の調査結果を表1-1に示します。各地点ごとの年間平均値は
0.018 ~ 0.076pg-TEQ/m3であり、全調査地点で環境基準を達成しました。
また、熊本市域調査(表1-2)でも全調査地点で環境基準を達成しま
した。
表1-1
「大気環境」
大気環境」ダイオキシン類
イオキシン類の調査結果
調査名
概
況
調
調査地点
宇城市
(宇城市立当尾小学校)
宇土市
(宇土運動公園)
上天草市
(上天草市登立小学校)
天草市
(天草市立楠浦小学校)
平均値
大気環境基準値
(単位:
単位:pgpg-TEQ/
TEQ/m3)
夏期
冬期
平成20年度
平均値
0.031
0.057
0.044
0.056
0.096
0.076
0.029
0.054
0.042
0.015
0.020
0.018
0.033
0.057
0.6
0.045
表1-2 「熊本市域大気環境」
熊本市域大気環境」ダイオキシン類
イオキシン類の調査結果
調査名
都市
中心部
調査地点
夏期
冬期
錦ヶ丘測定局
川上小学校
天明測定局
麻生田小学校
城南小学校
日下部公民館
城山小学校
東稜高校
中島小学校
0.066
0.11
0.066
0.047
0.030
0.058
0.063
0.061
0.096
0.093
0.075
0.053
0.070
0.068
0.061
0.078
0.12
0.043
0.091
0.063
金峰山少年自然の家
0.013
0.022
環境総合研究所
発生源
周辺
バック
グラウンド
大気環境基準値
(単位:
単位:pgpg-TEQ/
TEQ/m3)
平成20年度
平均値
平成19年度
平均値
0.065
0.052
0.079
0.049
0.018
0.021
0.6
(熊本市環境企画課調査)
公共用水域調査
■調査地点
◎宇城・天草地域の河川環境基準点等で、水質及び底質(水底土砂)の調査
を行いました(表2-1)。
◎熊本市域調査:熊本市内の環境基準点で熊本市が水質及び底質の調査を行
いました(表2-2)。
◎国土交通省調査:熊本県内の環境基準点で国土交通省九州地方整備局が水
質及び底質の調査を行いました(表2-3)。
■調査時期・方法
・平成20年10月~平成21年2月に実施しました。
・採取については、水質調査方法(昭和46年9月30日付け環水管第3
0号)及びダイオキシン類に係る水質調査マニュアル(平成10年7月
環境庁 )、分析については日本工業規格 K0312( 2005)に定める方法で
行いました。なお、底質についてはダイオキシン類に係る底質調査マニ
ュアル(環境省 平成20年3月改訂)により採取・分析を行いました。
■調査結果
調査結果を表2-1、表2-2及び表2-3に示します。全調査地点にお
いて、水質・底質ともに環境基準を達成しました。
表 2- 1
調
査
地
「公共用水域」
公共用水域」ダイオキシン類
イオキシン類の調査結果
(単位 水質:
水質:pgpg-TEQ/
TEQ/L、底質:
底質:pgpg-TEQ/
TEQ/g)
点
◎宇城・天草地域
大野川・新寄田橋(宇城市)
砂川・上砂川橋(宇城市)
亀川・草積橋(天草市)
広瀬川・法泉寺橋(天草市)
◎水俣地域
百間排水路・緑橋(水俣市)
八代海・水俣湾(St-15)
環境基準値
水
調
質
査
0.18
0.10
0.044
0.064
0.16 (0.10,0.21)
0.036 (0.039,0.033)
1
結
果
底
質
0.80
0.21
0.39
0.34
-
-
150
※百間排水路は公共用水域ではなく、都市下水路
表2-2 熊本市域「
熊本市域「公共用水域」
公共用水域」ダイオキシン類
イオキシン類の調査結果
(単位 水質:
水質:pgpg-TEQ/
TEQ/L、底質:
底質:pgpg-TEQ/
TEQ/g)
調
査
地
点
調
査
結
果
底 質
◎熊本市域
井芹川・尾崎橋
0.071
0.31
坪井川・千金甲橋
0.66
0.26
天明新川・六双橋
0.20
3.2
白川・吉原橋
0.045
0.11
加勢川・大六橋
0.052
0.83
有明海・緑川河口(St-8)
0.18
0.97
有明海・緑川地先(St-9)
0.065
2.6
環境基準値
1
150
※「St-」は熊本県水質測定計画での地点番号(熊本市水保全課調査)
表 2- 3
調
査
水
質
国土交通省実施「
国土交通省実施「公共用水域」
公共用水域」ダイオキシン類
イオキシン類の調査結果
(単位 水質:
水質:pgpg-TEQ/
TEQ/L、底質:
底質:pgpg-TEQ/
TEQ/g)
地
点
◎国土交通省実施
球磨川・横石(八代市)
緑川・上杉堰(富合町)
白川・小島橋(熊本市)
菊池川・白石(玉名市)
環境基準値
調
水
質
0.069
0.086
0.11
0.085
1
査
結
果
底
質
0.22
0.22
0.28
5.7
150
(国土交通省九州地方整備局調査)
地下水質調査
■調査地点
◎宇城・天草地域
地下水質測定計画の中で定期的・継続的にモニタリング調査を実施して
いる井戸から4地点で調査を行いました。
◎熊本市域(熊本市実施)
熊本市内の地下水観測井戸5地点で調査を行いました。
■調査時期・方法
◎宇城・天草地域
平成20年10月 各地点年1回
◎熊本市域(熊本市実施)
平成20年11月 各地点年1回
・試料採取:水質調査方法及びダイオキシン類に係る水質調査マニュアルに準じ
て調査を行いました。
■調査結果
表3のとおり、全調査地点において、環境基準を達成しました。
表3「地下水」
地下水」ダイオキシン類
イオキシン類の調査結果(
調査結果(単位 pgpg-TEQ/
TEQ/L)
調査地点
◎宇城・天草地域
宇土市
宇城市
上天草市
天草市
調査結果
0.018
0.017
0.016
0.016
◎熊本市域
戸島町(日向東)
0.016
戸島町(日向西)
0.019
中島町(沖新中島)
0.018
中島町(沖新中島)
0.019
中島町(沖新中島)
0.022
環境基準値
1
(熊本市域:熊本市水保全課調査)
土壌調査
■調査地点
◎宇城・天草地域
宇城・天草地域の主要な発生源(一般ゴミ焼却場等)周辺地域から4地点
を選定し、調査を行いました。
◎熊本市域(熊本市実施)
一般地域4地点で調査を行いました。
■調査時期・方法
◎宇城・天草地域(発生源周辺):平成21年1月各地点年1回
◎熊本市域(一般地域):平成20年11月各地点年1回
・ダイオキシン類に係る土壌調査測定マニュアル(環境省 平成20年3月
改訂)により実施しました。
■調査結果
表4のとおり、全調査地点において環境基準及び調査指標*を達成しました。
表4
「土壌」
土壌」ダイオキシン類
イオキシン類の調査結果(
調査結果(単位:
単位:pgpg-TEQ/
TEQ/g)
調査地点
◎宇城・天草地域
宇土市
宇城市
上天草市
天草市
調査結果
0.00096
3.0
0.43
0.37
◎熊本市域
小糸山町
0.61
北迫町
2.6
御領
0.71
海路口町
0.0024
環境基準値
1,000
(熊本市域:熊本市水保全課調査)
*【調査指標】250pg-TEQ/gを超過した場合は、周辺の土壌等について追加
的な調査や継続的なモニタリングを実施することとされています。
(参考:第3部ⅳダイオキシン類に係る環境基準)
魚類調査
■調査概要
・水俣湾内の魚類 6 種類(メバル、クロダイ、ササノハベラ、シロギス、
カサゴ、ボラ)について、ダイオキシン類の含有量を調査しました
■調査時期・方法
・平成20年7月に実施しました。
・磯建網、延べ縄及び一本釣りにより魚類を採捕しました。分析について
は「ダイオキシン類に係る水生生物調査暫定マニュアル 」(平成10年
9月環境庁)に準じました。
■調査結果
調査結果を表5に示します。全ての魚種について、水産庁が国内産及び外
国産の魚介類に対して実施したダイオキシン類実態調査の結果より低いレベ
ルにあります。
表5
「魚類」
魚類」ダイオキシン類
イオキシン類の調査結果(
調査結果(単位:
単位:pgpg-TEQ/
TEQ/g-湿重量)
湿重量)
魚種
調査結果
メバル
クロダイ
ササノハベラ
シロギス
カサゴ
ボラ
0.18
0.21
0.40
0.31
0.18
0.23
水産庁平成19年度魚介類
中のダイオキシン類の実
態調査 平均値(魚類)
1.4