ポートフォリオが効率的とは、同じリスク(標準偏差)をとる場合に、その

ポートフォリオによる分散投資 Part 5− リスクとリターン
今まで、ポートフォリオの中身を変化させて、リスクとリターンがどのように変化するか
を見てきました。
また、効率的なポートフォリオの集まりである効率的フロンティアについても、学習しま
した。
ポートフォリオが効率的とは、同じリスク(標準偏差)をとる場合に、そのポートフォリオ
よりも優れたポートフォリオがないことを言いました。
今回は相関係数が効率的フロンティアにどのような影響を及ぼすかについて学習します。
まず、相関係数(Correlation)を復習しておきましょう。相関係数(Correlation)とは、2 変数
の相関関係の強さを表す統計量でしたよね。
相関係数の値は必ず、−1 と 1 の間になります。簡単に言えば、相関係数が−1 の場合、二
つの変数は、全く違う動きをすると言えます。
例えば、仮にコカコーラと IBM のリターンの相関係数が−1 だとすると、コカコーラの
リターンが上昇すれば、IBM のリターンは全く逆の動き、つまり下降すると言えます。
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反対に、コカコーラと IBM のリターンの相関係数が 1 だとすると、コカコーラのリターン
が上昇すれば、IBM のリターンは全く同じ動きをすると言えます。
ここで相関係数の意味をまとめてみると。。。
相関係数>0
2 つの変数は同じ方向に動く(X↑→Y↑、X↓→Y↓)
相関係数=0
2 つの変数の動きは全く無関係(X↑→Y↑or Y↓)
相関係数<0
2 つの変数は反対方向に動く(X↑→Y↓、X↓→Y↑)
今回は、この相関係数が変化したときにポートフォリオのリスクとリターンの関係がどの
ように変わっていくかを学習していくのです。
相関係数は、共分散を二つの変数の標準偏差の積で割って求めます。相関係数(ρ:ロー
と呼びます)の定義を数式であらわすと、次のようになりました。
ρCoke, IBM =
Co var(rCoke, rIBM )
σCokeσIBM
ρCoke, IBM :Coca Cola と IBM の年次リターンの相関係数
σXσY :Coca Cola と IBM の年次リターンの標準偏差の積
この式を変形すると、 Co var(rCoke, rIBM ) = ρCoke, IBMσCokeσIBM となります。
つまり、共分散を求めるには、相関係数に、2 変数のそれぞれの標準偏差を掛ければいい
わけです。したがって、セル B9 には、=B7*C7*B8 を入力しておきます。
ポートフォリオの標準偏差を求める式はどうでしょうか?ポートフォリオの分散を求める
式は、
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Var (rp ) = x 2 cokeVar (rcoke ) + x 2 IBM Var (rIBM ) + 2 xcoke x IBM Cov(rcoke , rIBM )
でした。したがって、標準偏差は、分散の平方根(√:ルート)ですから、SQRT 関数を
使って、セル G12 には、=SQRT(F12^2*$B$6+(1-F12)^2*$C$6+2*F12*(1-F12)*$B$9)を入
力します。
1
2
3
4
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6
7
A
B
相関係数とリスク・リターンの関係
0≦相関係数≦1
平均
分散
標準偏差
IBM
28.66%
11.72%
34.24%
D
E
F
G
H
I
J
K
=D8/100
=SQRT(F12^2*$B$6+(1-F12)^2*$C$6+2*F12*(1-F12)*$B$9)
0.30
30.0000
0.02 <-- =B7*C7*B8
コカコーラ 標準偏差
リスクとリターン
リターン
8 相関係数
9 共分散
10
11
12
13
35%
14
30%
15
25%
16
20%
17
15%
18
19
10%
20
5%
21
0%
22
0%
23
24
25
26
コカコーラ
12.54%
4.84%
22.00%
C
10%
20%
リスク
30%
40%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
34.23%
31.54%
29.01%
26.70%
24.65%
22.96%
21.68%
20.92%
20.71%
21.08%
22.00%
平均
28.66% <-- =F12*$B$5+(1-F12)*$C$5
27.05%
25.44%
23.82%
22.21%
20.60%
18.99%
17.38%
15.76%
14.15%
12.54%
次に、相関係数がいろいろな値をとる場合の、ポートフォリオのリスクとリターンがどう
変化するかをみてみましょう。
こんなときに便利なのが、EXCEL のスピンボタンです。
「表示(V)」→「ツールバー(T)」
→「フォーム」を選択します。スピンボタンをクリックすると、カーソルが十字の形にな
ります。セル C7の左上から右下を右クリックしながら、なぞると図のようなボタンができ
ます。
スピンボタン
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ボタンを右クリックして、「コントロールの書式設定(F)
」を選択します。
そうすると、下のようなダイアログボックスが出てきます。
「最大値(X)
」を 100 に変更し、
「リンクするセル(L)
」には、セル D7 を入力します。これで、スピンボタンを動かすと
セル D7 には、0 から 100 の数字があらわれることになります。
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相関係数は−1 から 1 の間の値をとります。残念なことにスピンボックスは、最小値がマイ
ナスの値をとることができません。
したがって、相関係数がマイナスの値をとるためには、セル B7に、 =−D8/100 と入力す
る必要があります。
一方で、相関係数が 0 以上の値をとるためには、セル B7に、 =D8/100 と入力すればいい
ことになります。
まずは、スピンボタンを使って、相関係数を 0 から 1 まで変化させてみましょう。ちなみ
に、このときのセル B7 は=D8/100 となっています。
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A
B
相関係数とリスク・リターンの関係
0≦相関係数≦1
平均
分散
標準偏差
IBM
28.66%
11.72%
34.24%
D
E
F
G
H
I
J
K
=D8/100
=SQRT(F12^2*$B$6+(1-F12)^2*$C$6+2*F12*(1-F12)*$B$9)
0.00
0.0000
0.00 <-- =B7*C7*B8
コカコーラ 標準偏差
リスクとリターン
リターン
8 相関係数
9 共分散
10
11
12
13
35%
14
30%
15
25%
16
20%
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15%
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10%
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5%
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0%
22
0%
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25
26
コカコーラ
12.54%
4.84%
22.00%
C
10%
20%
リスク
30%
40%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
34.23%
30.89%
27.74%
24.86%
22.35%
20.35%
19.02%
18.51%
18.88%
20.09%
22.00%
平均
28.66% <-- =F12*$B$5+(1-F12)*$C$5
27.05%
25.44%
23.82%
22.21%
20.60%
18.99%
17.38%
15.76%
14.15%
12.54%
相関件数が 0 のときは、上図のようなリスクとリターンの関係だったのが、相関係数が 1
になると、リスクとリターンの関係は、下のような直線に変化することがわかります。
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A
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5 平均
6 分散
7 標準偏差
C
IBM
28.66%
11.72%
34.24%
D
E
=D8/100
1.00
100.0000
0.08 <-- =B7*C7*B8
リスクとリターン
リターン
8 相関係数
9 共分散
10
11
12
13
35%
14
30%
15
25%
16
20%
17
15%
18
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10%
20
5%
21
0%
22
0%
23
24
25
B
コカコーラ
12.54%
4.84%
22.00%
10%
20%
リスク
30%
40%
次に、セル B7を =−D8/100 に変更したのち、相関係数を−1 から 0 に変化させてみまし
ょう。相関係数が−1 のときは、リスクとリターンの関係は、下図のようになります。
A
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5 平均
6 分散
7 標準偏差
C
IBM
28.66%
11.72%
34.24%
D
E
=-D8/100
=
-1.00
100.0000
-0.08 <-- =B7*C7*B8
リスクとリターン
リターン
8 相関係数
9 共分散
10
11
12
13
35%
14
30%
15
25%
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20%
17
15%
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10%
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5%
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0%
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0%
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B
コカコーラ
12.54%
4.84%
22.00%
10%
20%
リスク
30%
40%
この現象はいったい何を意味しているのでしょうか?続きは次回ということにしましょう。
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