廃棄物処理等特別委員会 - 横須賀市

平成22年(2010年)第4回市議会定例会本会議(12月14日)
廃棄物処理等特別委員長最終報告
ただいま議題となりました「横須賀市三浦市ごみ処理広域化基本計
画」における「生ごみ資源化・焼却施設」の計画立案に際して、施設
検討及び生ごみ資源化(生ごみバイオガス)の再考察並びに下水汚泥
処理過程(乾燥処理・焼却)における資源化(リン回収など)事業の
実施について、廃棄物処理等特別委員会における審査の経過と結果の
最終報告を申し上げます。
本委員会は、平成21年9月9日の本会議において設置され、既に平
成22年第1回定例会において、それまでの審査の経過と結果について
中間報告を行ったところであります。その後、延べ4回会議を開くと
ともに、相模原市の南清掃工場及び三浦市の一般廃棄物最終処分場予
定地等の視察を行うなど、精力的かつ慎重に審査を進めてまいりまし
た。
本市におけるごみ処理広域化計画についての現状と課題について
まず、第1回定例会での中間報告以降の主な質疑を申し上げますと、
全量焼却方式とした場合の4分別方式変更の有無、スラグ入り資材と
標準資材の単価比較における全国的傾向、県のスラグへの取り組みを
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見据えた灰溶融施設整備の検証、全量焼却方式における焼却炉2系列
の安全性、バイオガス化と焼却を組み合わせた処理を全量焼却処理に
変えた場合の国庫補助率等、現在の焼却灰処分委託の契約内容及び複
数年契約の可能性、新たな焼却灰引き取り先の模索、スラグの将来性
及びJIS規格化に関する見通し、流動床式ガス化溶融炉の技術的評価
及び問題点についてであります。
また、審査の過程において、三浦市の最終処分場については、当初
からごみ焼却後に発生する灰及び溶融化したスラグを受け入れない
とされており、スラグの最終処分場が確保できないことから、灰溶融
施設は現段階では施設検討の対象とすべきではないという点で意見
集約がされました。
次に、本市の下水道事業の現状と課題について
まず、第1回定例会での中間報告以降の主な質疑を申し上げますと、
リン回収における国と地方自治体の責務、汚泥炭化施設の建設と運用
及び契約手法、本市の汚泥焼却炉更新に伴う財政上の問題のとらえ方
及び同更新の方向性、炭化物の引き取り先確保の見通し等についてで
あります。
次に、審査における目的の変化について言及したいと思います。
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現在、本市の下水汚泥は、下町浄化センターに集約されております。
そこで減容処理されている処理水の放流水はリン含有量の高濃度化
により水質汚濁防止法の基準を遵守することが困難となりつつあり
ます。
また、処理後の汚泥は焼却炉で焼却されたのち、その灰をセメント
原料として全量リサイクルしているが、焼却灰中のリン濃度の上昇に
よりセメント原料としての品質が維持できなくなる可能性が増大し
ております。
さらに汚泥焼却炉の老朽化が進み、全3炉とも法定耐用年数をはる
かに超過しているため、早期の更新を迫られております。
下水汚泥からのリン回収については、国が閉鎖水域である東京湾へ
の下水放流水のリン濃度を平成36年までに0.5mg/ℓまで低減するとい
う方針にもかかわらず、効果的な対応を示すまでには至っていない状
況ではあるが、東京湾に下水排水を放流している自治体としての責任
から、富栄養化の原因であるリンなどを高濃度のまま放流することは
環境負荷の観点から放置するわけにはいかないのであります。
ここで改めて特別委員会の審査を通して、当初から付議事件として
いた、農業生産に欠かせないリンを下水汚泥から回収することの本来
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目的が、本市の状況から目的の位置づけが変化したことに言及したい
と思います。つまり、下水汚泥からリンを回収除去するのは農業に必
要なリンを確保することが目的ではなく、閉鎖水域の水質改善のため、
下水排水に含まれるリンなどの含有物を低濃度にしなければならな
いという観点から対応を考えなくてはならないということでありま
す。
したがって、目的が変化したことによって、当特別委員会の論点も
おのずと変化することが求められました。
これらの質疑等を踏まえ、12月10日の委員会において調整を行った
結果、本委員会は、付議事件2件に対する審査を終了し、最終報告及
び提言を行うことを決定しました。
以下、本委員会の提言を申し上げます。
まず、「横須賀市三浦市ごみ処理広域化基本計画」における「生ご
み資源化・焼却施設」の計画立案に際して、施設検討及び生ごみ資源
化(生ごみバイオガス)の再考察については、
1.ごみ焼却灰は自区内での溶融スラグ化は行わず、受け入れ体制の
整っている県外での処理を継続し、その受け入れ先の確保について
は常に情報を収集されたい。
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2.将来の社会環境の変化により、県外での受け入れが不可能となる
ことも考慮しておかなくてはならない。しかし神奈川県では、スラ
グ化された再資源については「建設リサイクル認定資材」の利用促
進を図ってはいるものの、率先して利用される資材として認定され
ていないため、標準的な資材となっていない。したがって、今後、
県内各自治体と連携し、県に認定の実現を促すよう取り組まれたい。
3.新焼却場周辺施設の検討に当たっては、サーマルリサイクルを進
めるという観点から、廃熱の効果的利用の検討を進められたい。
4.新焼却施設の規模の適正化と施設の延命化のため、ごみ総量の減
量化対策を積極的に進めることが肝要であり、事業者への指導と市
民に対する啓発活動をより強化されたい。
次に、下水汚泥処理過程(乾燥処理・焼却)における資源化(リン
回収など)事業の実施については、
1.下水汚泥処理過程における資源化検討に至る本市下水道事業の課
題解消を見据え、リン回収手法についてはHAP法、汚泥処理方式
については汚泥炭化を選定している。しかし、HAP法及び下水汚
泥炭化(燃料化)はともに新技術であること、リン及び炭化物の安
定的引き取り先を確保すること、施設更新に係る財政上の問題を克
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服することなど、実現に向けての課題は多い。
下水汚泥処理過程における資源化事業の究極の目的は、放流水中
のリンの高濃度化防止による公共用水域の水質向上、ひいては東京
湾の富栄養化対策などの環境改善であり、国及び自治体間の連携が
必要不可欠と考えられることから、処理方式の研究とあわせて、東
京湾流域の各自治体との連携について、引き続き検討を進められた
い。
2.閉鎖水域である東京湾の水質改善については、国を主導とした対
策が求められている。したがって、その対策の強化を求めるととも
に、自治体事業に対する補助を増額されるよう国に強く要望された
い。
以上で最終報告を終わります。
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