UV照射による流れの制御手法の開発

UV照射による流れの制御手法の開発
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UV照
照射による流れ
れの制御
御手法の
の開発
UV照射による流れの制御手法の開発
玉
司*
玉 野
野 真
真 司
mano due to UV Irradiation
Shinji
Tam
Development of FlowShinji
ControlTamano
Method
Tamano
Sh
hinji*
Tamano Shinji
There are
are aa few
few
w studies
studies on
on the
thhe drag-reducing
drag-reducinng effect
effect of
of nonionic
no
onionicsurfactant
surfacctantsolutions
solutionswhich
whichare
arenontoxic
non
ntoxic
There
and
far.InIn
b
biodegradable,
while
a
lot
of
investigations
for
cationic
su
urfactant
soluti
ion
have
been
performed
so
and biodegradable, while a lot of investigations for cationic surfactant solution have been performed so far.
-reducing
effe
cts
of
ultravio
this
s
study,
the
drag
let
absorbing
agent
a
(ortho-m
methoxycinnam
mic
acid,
OMC
CA)
on
this study, the drag-reducing effects of ultraviolet absorbing agent (ortho-methoxycinnamic acid, OMCA) on
nonio
onic
surfactant
t
(oleyldimeth
hylamineoxide,
,
ODMAO)
so
olutions
with
and
without
U
UV
irradiation
n
were
nonionic surfactant (oleyldimethylamineoxide, ODMAO) solutions with and without UV irradiation were
stirrerand
invesstigated by
by measuring
measuring the
the height
heeight of
of vortex
vortexx due
due toto the
the magnetic
magneticstirrer
andthe
thepressure
pressuuredrop
dropininthe
theepipe
pipe
investigated
with
small
dia
flow
ameter.
flow with small diameter.
1.はじめに
1.はじめに
ニュートン
ン流体(水)に
に微量の界面活
活性剤を添加し
した溶液は,乱
乱流状態におい
いて著しい流動
動抵抗低減効果
果(DR効果)
効果)
ニュートン流体(水)に微量の界面活性剤を添加した溶液は,乱流状態において著しい流動抵抗低減効果(DR
を示すことが
が知られている
る.その特性を利用し,
その特性を
を利用し,地域冷暖房等の冷温水循環系において省エネ効果を獲得しようとする基
地域冷暖房等の冷温水循環系において省エネ効果を獲得し
しようとする基
基
を示すことが知られている.
ら[1,
2]は,流
礎的研究およ
よび実用化研究
究が活発に行わ
われている.ご
ごく最近,Shi
流動摩擦の
DR
効果を有する
陽イオン性界
界
礎的研究および実用化研究が活発に行われている.ごく最近,Shi ら[1, 2]は,流動摩擦の DR 効果を有する陽イオン性界
面活性剤水溶
溶液と紫外線吸
吸収剤の混合溶
溶液に UV
UV 照射することにより,DR
照射
射することによ
より,DR 効果が変化することを報告している.また,
効果
果が変化するこ
ことを報告して
ている.また,
面活性剤水溶液と紫外線吸収剤の混合溶液に
えば文献[3,4]4]]
著者らは,
生
生分解性に富む
む低環境負荷型
型非イオン性界
界面活性剤によ
よる
DR
技術の
の研究開発を進
進めている
(例
著者らは,生分解性に富む低環境負荷型非イオン性界面活性剤による DR 技術の研究開発を進めている(例えば文献[3,
.そこで
で,本研究では,非イオン性
性界面活性剤水溶液と紫外線吸収剤を混
混合した溶液に
に,UV を照射することによ
を照射
射することによ
参照)
参照)
.そこで,本研究では,非イオン性界面活性剤水溶液と紫外線吸収剤を混合した溶液に,UV
り,DR 効果を局所的に消失・発現させ,流れを減速・加速させ
効果を局所的に消失
失・発現させ,
,流れを減速・加速させ
る流れの制御
御手法の開発を
を目指す.ここ
こでは, その第一段階と
その第
第一段階と
る流れの制御手法の開発を目指す.ここでは,
して,非イオ
オン性界面活性
性剤水溶液と紫
紫外線吸収剤の
の混合溶液
して,非イオン性界面活性剤水溶液と紫外線吸収剤の混合溶液
を照射
射して DR
DR 効果を変化させるシステムを新たに設
効
効果を変化させ
せるシステムを
を新たに設
に
に UV
UV を照射して
計・開発し,ス
スターラーを用
用いた渦消失実
実験ならびに円
円管流れに
計・開発し,スターラーを用いた渦消失実験ならびに円管流れに
効
効果を明らかに
にする.
おける
おける DR
DR 効果を明らかにする.
2.実験装置
置及び方法
2.実験装置及び方法
本研究にお
おいて使用した
た非イオン性界
界面活性剤は,
AROMOX
本研究において使用した非イオン性界面活性剤は,
AROMOX
(ライオン・ア
アクゾ株式会社
社製)を水道水
水に溶解させた
たものであ
(ライオン・アクゾ株式会社製)を水道水に溶解させたものであ
る.
AROMOX
オレイルジメチルアミンオキシド
(ODMAO)
AROMOX
X は,
は,
オレイル
ルジメチルアミンオキシド
(O
ODMAO)
る.
(C
NO == 313)を主成分とする混合物である.また,紫
313)を主
主成分とする混
混合物である.
.また,紫
(C18
H37
(CH333))222NO
37
18H
37(CH
図
1.スタ
の概略図
図
図1.スターラーによる渦高さの実験装置の概略図
1.スターラーによる渦
ーラーによる渦高さの実験装置の
高さの実験装置の
の概略図
OO333==
外線吸収剤としてオルトメトキシケイ皮酸
(OMCA,
外線吸収剤と
としてオルトメ
メトキシケイ皮
皮酸
(OMCA,CC1010
H1010
10H
10
178.19)
を用いた.
ODMAO
1000ppm
ppm
を用い
いた.
ODMAOの濃度
の濃度CCは
は500
5000 ppm
ppmまたは
または1000
178.19)
とし,ODMAO
とし,ODMA
AO と
と OMCA
OMCA のモル比は
のモル比は 22 対
対 11とする.
とする.
非イオン性界面活性剤水溶液のスターラーによる渦高さ測
非イオン性
性界面活性剤水
水溶液のスター
ーラーによる渦高さ測
定のための実験装置の概略図を図1に示す.
ビーカー内に挿入
定のための実
実験装置の概略
略図を図1に示
示す.
ビーカー
ー内に挿入
された撹拌子をスターラーで回転(回転数:1000
された撹拌子
子をスターラー
ーで回転(回転
転数:1000rpm)させる
rpm
m)させる
ことにより渦を発生させ,
その渦高さの写真をデジタルビデオ
ことにより渦
渦を発生させ,その渦高さの写真をデジタルビデオ
カメラ(Cannon
カメラ(Cannnon EOS
EOS 7D)で撮影する.
7D)で撮影する.
また,
円管内流れにおける圧力損失と流量の測定のための実
円管内流れにおける圧力損失と流量の測定の
のための実
また,
験装置の概略図を図2に示す.装置は加圧流下式であり,圧力
験装置の概略
略図を図2に示
示す.装置は加
加圧流下式であ
あり,圧力
ヘッドは約
0.5
MPa
とした.壁面の一部に紫外線透過率の良い
ヘッドは約 0.5
0 MPa とした
た.壁面の一部
部に紫外線透過
過率の良い
石英ガラスを使用して,
石英ガラスを
を使用して, そのガラス部分から
そ
そのガラス部分
分から UV
UV を照射する.
を照
照射する.
2013 年 3 月 14 日 受理
*豊田理研スカラー(名古屋工業大学大学院工学研究科)
図
れの圧力損失測定
定の加圧流下式実
図
2.円管流れ
れの圧力損失測定
定の加圧流下式実験装置の概略図
図2.円管流れの圧力損失測定の加圧流下式実験装置の概略図
2.円管流れ
験装置の概略図
UV照射による流れの制御手法の開発
90
UV 照射にはウシオ電機製の超高圧 UV ランプ(OPM2-252H)を使用した.実験に使用した円管は,内径 d = 5.0 mm の流体
力学的に滑らかなステンレス管である.助走区間の長さは 1050 mm (= 210d),測定区間の長さは L = 80 mm (= 16d)であ
る.圧力損失はフルスケールが 35 kPa の差圧変換器(GE センシングジャパン㈱製,UNIK5000)により測定した.流量は
ニードルバルブにより調節し,重量法により測定した.
3.実験結果及び考察
UV を照射せずに, 紫外線吸収剤 OMCA
を添加剤として AROMOX 水溶液(C = 500
ppm)に添加した場合としない場合の渦高さ
の観察結果(ビーカーの水面の拡大図)を図
3に示す.溶液温度 T は 10 ºC とした.OMCA
を添加すると,渦高さが 22 mm から 4 mm に
(a) AROMOX
急激に小さくなることが確認された. この
ことは, OMCA を添加した場合,
(b) AROMOX with OMCA
図 3.非イオン性界面活性剤水溶液の渦高さに及ぼす紫外線吸収剤 OMCA の影響
80
AROMOX (C = 1000 ppm,
T = 18.7 1.0 °C)
AROMOX + OMCA
(  = 0.5, T = 18.6 1.6 °C)
After 2hour of UV
(T = 20.0 0.8 °C)
Prandtl−Kármán
よりも高い DR 効果が得られるこ
とを示唆している.
次に,AROMOX 水溶液
(C = 1000
10
−1
レイノルズ数 Rew と管摩擦係数

ppm)の溶媒(水)の動粘度に基く
の関係,および Rew と抵抗低減率
Hagen−Poiseuille
DR の関係を図4に示す.AROMOX
水溶液に OMCA を添加すると,DR
10
60
DR [%]
非イオン性界面活性剤のみの場合
40
20
−2
≧ 60%の高い抵抗低減率が得られ
るレイノルズ数範囲が AROMOX
のみの場合と比較して拡大するこ
とがわかる.ただし,最大抵抗低
減率(70%)はほとんど変化しない.
0
Zakin et al. (1996)
10
3
Rew
10
AROMOX (C = 1000 ppm, T = 18.7 1.0 °C)
AROMOX + OMCA ( = 0.5, T = 18.6 1.6 °C)
After 2hour of UV (T = 20.0 0.8 °C)
4
(a) Friction factor vs. Reynolds number
10
4
Rew
3×10 4
(b) Drag reduction ratio
図 4.非イオン性界面活性剤水溶液の DR 効果に及ぼす UV 照射の影響
また, 溶液に UV を 2 h 照射した場
合, 照射前のデータと比較して,DR が急激に減少する臨界レイノルズ数の値を除き,DR 効果にほとんど違いが見られ
ない. DR 効果は溶液温度の影響を受けやすいことから,今後,溶液温度依存性について調査する予定である.
4.まとめ
UV 照射の有無による非イオン性界面活性剤水溶液(ODMAO)の抵抗低減(DR)効果の違いを明らかにするために,
スターラーによる渦消失実験装置,ならびに加圧流下式円管装置を設計・開発した.両実験から,紫外線吸収剤(OMCA)
を添加すると DR 効果が向上することが明らかになった.ただし,今回の実験条件下においては,UV 照射前後における
DR 効果にほとんど違いが見られなかった.
REFERENCES
(1)H. Shi,Y. Wang, B. Fang, Y. Talmon, W. Ge, S. R. Raghavan, and J. L. Zakin,Light-responsive threadlike micelles as drag reducing fluids with
enhanced heat-transfer capabilities, Langmuir, Vol. 27, 2011, pp. 5806-5813.
(2)H. Shi,W. Ge, H. Oh, A. M. Pattison, J. T. Huggins, Y. Talmon, D. J. Hart, S. R. Raghavan, and J. L. Zakin,Photoreversible micellar solution
as a smart drag-reducing fluid for use in district heating/cooling systems, Langmuir, Vol. 29, 2013, pp. 102-109.
(3)S. Tamano, K. Miyagawa, Y. Morinishi, M. Itoh, and K. Taga, Effects of degradation on drag reduction in turbulent pipe flow of nonionic
surfactant aqueous solutions, Nihon Reoroji Gakkaishi, Vol. 40, 2011, pp. 69-77.
(4)S. Tamano, M. Itoh, K. Kato, and K. Yokota, Turbulent drag reduction in nonionic surfactant solutions, Phys. Fluids, Vol. 22, No. 055102, 2010,
pp. 1-12.
(5)J. L. Zakin, J. Myska, and Z. Chara, New limiting drag reduction and velocity profile asymptotes for nonpolymeric additives systems, AIChE J.,
Vol. 42, 1996, pp. 3544-3546.