オレオサイエンス 第 16 巻第 2 号(2016) 89 編集委員会から 第 49 回日本油化学会進歩賞:中原 広道氏 第 49 回日本油化学会進歩賞の受賞者(長崎国際大学 大学院薬学研究科: 中原広道氏) による論文は,Journal of Oleo Science 65 巻,2 号,p.99~p.109(2016) に掲載されています。また,J-STAGE で公開される予定です(https://www. jstage.jst.go.jp/browse/jos/) 。 (題名) Fluidizing and Solidifying Effects of Perfluorooctylated Fatty Alcohols on Pulmonary Surfactant Monolayers (内容) 肺サーファクタントは肺胞内表面を覆い,①肺胞拡張 時の負担(仕事)軽減,②肺胞収縮時の虚脱防止,③外 来性ウイルス等に対する一次免疫に関与している。肺胞 Ⅱ型細胞で合成・分泌された肺サーファクタントはラメ ラ構造,管状ミエリン構造へと形態を変え,肺胞表面の 気/液界面に吸着し単分子膜を形成する。呼吸運動に 伴って肺サーファクタント単分子膜が巧みに表面特性 (表面活性作用や表面粘性)を制御することにより,肺 Ratio of the integrated hysteresis area between compression and expansion isotherms. 機能の恒常性が保たれる。この肺サーファクタントが欠 乏すると先天性呼吸窮迫症候群(NRDS)や後天性呼吸 窮迫症候群(ARDS)を発症する。現在,この治療薬と しては動物由来のものが主流だがアレルギーを引き起こ す可能性,牛海綿状脳症(BSE)等の問題からその使用 が懸念されている。そこで私達の研究グループは安全・ 安価且つ効果的な人工調製型肺サーファクタントの開発 研究を行ってきました。本総説では部分フッ素化両親媒 FM images of lung surfactant monolayers containing partially fluorinated amphiphiles. 性物質を組み込んだフッ素・ハイブリッド型人工調製肺 サーファクタントの界面物性について解説する。 ― 41 ―
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