青梅成木台病院 歩みと展望

 青梅成木台病院の周囲一体が桜花
絢爛の、春の訪れから病棟の西側を流
れている成木川のせせらぎに、早くも
初夏を思わせる季節になりました。
年 度 の ス タ ー ト は 、過 去 に 経 験
し た こ と の な い 様 々 な 改 革・改 定︵ 後
期 高 齢 者 医 療 制 度・診 療 報 酬 改 定・医
療 法 改 正 な ど ︶で 幕 を 開 け ま し た 。病
院 経 営・運 営 も 今 ま で 歩 ん だ 年 間
とは異なった医療サービスを提供し
ていかなくてはなりません。地域社会
に貢献し、その存在をアピールできる
病院となりたいと考えます。
まずはこれまでの青梅成木台病院
の歩みから述べてみたいと思います。
年 前 の 青 梅 成 木 台 病 院 は 、病 院 と
は名ばかりで医療スタッフも設備も
十分とは言えず、病院としての機能を
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事務管理部長
原
博子
充足させるために、忙しい毎日を過ごす場でした。その中
で、私にとって優先すべき課題は、長期医療をされている
入院患者様に必要な医療の質と療養環境を提供するため
に青梅成木台病院の経営を転換することでした。その間に
は、様々な決断を迫られることもしばしばありました。草
創期の改革を目指した私自身と職員の意見との間で、
悩む
こともしばしばありました。
平成11年に、新病棟(現在の1・2・3療養病棟)を建設し、総
病床数を149床から270床に増床しました。私が目指した医
療の質と療養環境の提供は少しずつ改善されていきました。
その過程で、病院の置かれた地域の方々の協力・応援をい
ただき建設を通じて、信頼関係を深められたことは、その
青梅成木台病院の 年の
歩みとこれからの展望
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第2号
後の病院運営に大きな力を寄せていただくことになりました。
「数多くの患者様に利用していただくと共に、地域に根ざ
し、近隣の方々が気軽にご利用いただける青梅成木台病院でありたい」という目標を実現するため、今後も努力していく所
存です。 青梅成木台病院が中間期にはいっていくとともに、経営は一先ず安定しました。しかし、私自身には、また新たな
課題が求められました。
安定した病院経営は、平成16年の診療報酬改正や医療法改正など国の医療費削減政策と共に激動期に入りました。青梅
成木台病院に必要とされた改革は、経営の更なる合理化だけでなく、国の精神科病院のあり方などの方針を鑑みながら、青
梅成木台病院の今までの方針であった長期療養を必要とする患者様の受け入れをする後方的な役割を担う病院から、夜間
救急などを受け入れ早期退院を目指す急性期医療へと病院の機能を転換せざるを得なくなりました。
国のめざす精神科病院のベッド削減・退院促進・地域生活支援などの様々な施策を考慮しながら苦悶しました。私にとっ
て、職員と一緒に苦労し、ようやく安定してきた青梅成木台病院を、再び混沌に置くような再改革にためらいがありました
が、他の精神科病院の病院閉鎖や定床の削減などを見聞きし、
悩みましたが再び改革を決意しました。
まずは、青梅成木台病院の目標とも重なる地域医療の展開を実践しました。これまでの入院医療中心の考え方から、外来
や急性期治療に目を向け、その拠点として埼玉県飯能市にサテライトクリニック「あいクリニック」をオープンしました。
飯能市ではメンタルクリニックの通院患者は少ないと言われましたが、数年間は経営が低迷することを覚悟しても、地域
に根付くよう努力してみたいと考えました。現在、クリニックは営業活動を繰り返し、ご利用頂く方々の紹介や市役所、大
学などの諸機関より患者様の紹介を受け、経営状況は上向き、
新しい段階に入っています。
平成18年10月より、同地域に10名定員の共同生活援助事業所(グループホーム)を展開できました。更にグループホーム
の拡大と平成20年8月にオープンが予定されていますケアーホーム・高齢者専用賃貸住宅の設置を実現していきます。ク
リニックとグループホームは、地域医療・地域貢献の実現と長期入院患者様の社会復帰を実現する改革の第一歩となりま
した。
厚生労働省の勧める精神障がい者の退院促進とは「入院医療中心から地域生活中心へ」と精神医療を転換していくこと
です。まずは、訪問看護事業や行動支援などで、在宅療養患者様やそのご家族を支援していくことを計画しています。医療
現場は在宅にもあります。必要な場所で必要な医療サービスを実現できるよう改革の努力を続けていかなくてはなりませ
ん。