新サービス名称は「ACR/ex」 いよいよ来年度スタート! - ビデオリサーチ

シリーズ #4 進化する ACR
ACR を超えるビデオリサーチの新たな生活者シングルソースデータ
新サービス名称は
「ACR/ex」
いよいよ来年度スタート!
これまで 「New ACR( 仮称 )」 としてシリーズでご紹介してきた、新たな生活者シングルソースデー
タサービスですが、新サービス名称は「ACR/ex(エーシーアール エクス)
」に決定しました。本号
では新サービス名称のお知らせとともに、その全貌と使い方に関して、全体像をご説明します。
「ACR/ex」とは?
「ACR/ex」
(エーシーアールエクス)は、これま
での ACR の資産を単に継承するだけでなく、
「パ
「ACR/ex」が捉える
コミュニケーション全体管理
4 つのフェーズ
ネルによる測定期間の延長や測定範囲の拡張(ex-
「ACR/ex」は、
【図 1】に示すようにコミュニケー
pand、extension)
、スピード感の向上(express)
、
ション領域の全体管理における 4 つのフェーズで
正確性の担保(exact)
」といった新たな価値領域
有効活用可能なデータを整備します。ブランドの現
をいくつも体現するサービスです。
状を知り、ターゲットや戦略を策定、成果の見極め
まで一気通貫した確認を可能とし、コミュニケー
ション活動の PDCA サイクルをまわす一助となり
<「ACR/ex」が体現する価値領域のキーワード>
スピー ド感 ・高速感
→ express
説明
→ explain, exposition
拡張・発展
→ expand
高品質
→ excelsior
延長・拡大
→ extension
~を超える
→ exceed
正確な・ 的確な
→ exact
特別な・ 追加の
→ exceed
予想する
→ expect
わくわく させる
→ excite
専門性
→ expert
ます。
市場分析として 1 年間のトレンドを捉えること
ができるだけでなく、各フェーズで、商品の利用状
況のみでなく、認知や購入意向など心理指標面から
ユーザーの特性を捉えることで、今までにない発見
ができるデータを整備します。また、東京 50km
圏では商品周りの情報を年 4 回、季節性の確認だ
「外へ」
「完全に」
それぞれの価値領域を象徴するのが「ex」。
けでなく、定点調査回間で実施した広告活動の効果
として指標の動きを確認することで、四半期の広告
活動の成否を確認します。
【図1】コミュニケーション管理の概念
市場分析
ブ ラ ン ド 浸透状況
①年4回(関東)
(4月/7月
/10月/1月)
②利用状況に加え
心理指標
(認知・ 意向)
の追加
2
ターゲット定義
各種生活者属性
商品と の関係性
(認知・利用
・ 購入意向)
をキーに
・デモグラ特性 ・サイコ グラ特性
を確認
メディア
プランニング
購買プロセス別情報源
詳細な メディ ア接触
①「新商品」
「機能内容
詳細認知」
「欲求」 の媒体
を追加
②年2回(5月・11月)
の詳細なメディア
接触傾向データ
③ネッ ト まわりの
データ を強化
効果測定
年4回調査により
実質効果測定
が可能に
↓
ブラ ンド の
変動原因を
膨大なデータから
即 日 推察可能
Video Research Digest 2013. 9·10
【図 2】 「ACR/ex」のターゲットの捉え方
デモ グラ
フィ ッ ク
【図 3】 「ACR/ex」のメディア接触の捉え方
性格
気質
価値観
(生活意識・
購入意識)
生活嗜好
(趣味・表現嗜好など)
消費行動
(商品関心・利用・
ブランド認知・購入意向)
各フェーズでの「ACR/ex」の
捉え方・考え方
ズで捉えることを想定しています。デモグラや社会
的属性だけでなく、
「ターゲットの心の中」に踏み
込んだターゲッティングが「ACR/ex」の得意領域
コミュニケーション領域の全体管理において、
です。こうした生活者に関する情報と、商品への関
「ACR/ex」がどのような考え方に基づいて捉えて
与に関する情報を掛け合わせることで、当該商品の
いるのかをフェーズごとにご紹介します。
①市場分析
当該商品(やコンテンツ、ビークル)の現状を、市場
単位や銘柄単位で確認し、現在のステータスを見定める。
ユーザーを多角的に捉えることを推奨しています。
③メディアプランニング
「ACR/ex」では、
「消費財」
「耐久財」
「サービス財」
定義されたターゲットに対して有効な情報接点を見
出し、効果的にリーチさせる、あるいはフリークエン
シーを高める施策を検討する。
といった幅広い商品・サービスを捉え、これらの大
メディアプランニングでは【図 3】に示すような
カテゴリごとに商品に関する情報を取得します。
4つのフェーズに分け、各ステップでデータを確認
ビールや発泡酒・新ジャンルといったカテゴリのよ
します。5 月と 11 月の年 2 回メディア接触を取
うに、世帯内で飲む人と買ってくる人が別になる
得しており、実際に広告展開を行うタイミングに近
ケースが想定されやすい場合など、購入という指標
い時点のデータを用いてメディアプランを検討しま
だけでは捉えられない真の実態を把握します。
す。性年代ターゲットだけでなく、ターゲット定義
「ACR/ex」が捉える「市場分析」では、カテゴリの
で設定した細かいターゲットでメディア接触傾向を
利用・関心・欲求のトレンドを当該カテゴリだけで
確認することで、ターゲットに適した出稿はどのよ
なく近似したカテゴリや、全く別のカテゴリの状況
うなものなのかを論理的に導きだすことが可能です。
も含めて、多角的に確認することを推奨しています。
④効果測定・ブランドトラッキング
②ターゲット定義
「市場分析」から得られた知見と、当該商品(やコ
ンテンツ、ビークル)がターゲットとしたい層を鑑み、
そのターゲットがどんな特性であるのか、あるいは
狙ったターゲットを細かくセグメント化してより細か
いアプローチを行う。
広告活動の効果や時系列での当該商品のステータス
を確認する。
商品周りのスコアは年 4 回(4 月・7 月・10 月・
1 月を予定)取得し、四半期ごとの広告活動の効果
を、商品指標スコアの変化として捉えることができ
生活者の特徴を捉える上で、
【図 2】のような「性
る設計になっており、以下のような分析を推奨しま
格」
「価値観」
「生活嗜好」
「消費行動」の4つのフェー
す。
3
・指標単体やその掛け合わせでブランドステータ
①市場分析
スの変化を捉えること
「他カテゴリも含めて、当該カテゴリの現状を捉える」
・対象者個々人レベルでのスコア変動をデータ化
カテゴリの分析では、時系列のカテゴリ利用状況
して分析すること
確認と、現状のカテゴリ利用状況に関して詳しく確
・利用だけでなく心理指標のブランドスイッチ状
認します。時系列では例えば男女別の利用率や、利
況を捉えること
用者属性の変化として、縦軸に利用者平均年齢、横
軸に男女比、プロットしたバブルの大きさを利用率
こうしたブランド指標の分析を、代表性のある無
として2次元で表現するなどの分析を行います【図
作為抽出によるサンプルで確認でき、市場全体の推
4 左】
。カテゴリの利用率や利用者特性の推移を一
計結果としてみることができる点に特長があるとい
覧で表現することで、カテゴリの市場におけるポジ
えます。
ションがどのように変化しているのかを検証しま
す。また、同様に直近の性年代別の構成割合や、カ
コミュニケーション全体管理の中の
「ACR/ex」~活用例~
テゴリへの購入の関わり方(自分で購入、あるいは
ここからは「ACR/ex」がコミュニケーション全
カテゴリの関係性に関しては、例えばカテゴリ全体
体管理を行う上で実際にどのようなデータを出すこ
として利用率が低下傾向にある際、別のカテゴリへ
とができるのかについて、
「市場分析」
「ターゲット
の流出がないか、その流出先は何かを確認すると
定義」
「メディアプランニング」
「効果測定・ブラン
いった場合に非常に有効な手立てとなります。今回
ドトラッキング」のフェーズごとにご紹介します。
の結果では、ビールカテゴリの利用とともに発泡酒・
具体例として、ビールカテゴリの仮想の「ブラン
新ジャンルカテゴリの利用が大きいことが示されて
ド A」を取り上げ、コミュニケーション全体プロセ
おり、利用者平均年齢が若いことから、今後、注視
スを「ACR/ex」を使って管理、確認する例をご紹
が必要であることが伺えます。
銘柄指定するか)の状況、利用頻度の状況や、他カ
テゴリとの関係性も確認します【図 4 右】
。特に他
介します。
「ブランドの現状を捉える」
ブランドの認知や利用、購入意向の実態に関して、
※今回はまだ実際のデータがございませんので、ダミーの
データである旨をご了承ください。
時系列や競合比較で捉えます。ここでは、競合ブラ
ンド比較を軸に、ブランド指標(認知、利用、購入
【図 4】 市場分析(カテゴリ)のアウトプット例
時系列利用率
1 期利用状況
※データ はダミ ーで す
利用率
分類:
※データ はダミ ーで す
利用者 性年齢
▼性別
60%
男性
女性
購入関与者
カテゴリ利用率:
利用率
自身で 銘柄を
選択し 、購 入
する
52 %
50%
銘柄選択はす
るが自 購入は
しない
33%
40%
男性
10
女性
2
16
18
18
12
10
5
6
7
10
30代
40代
50代
12%
自購入・ 銘柄
選択し ない
36%
16
18
18
12
6
10%
20代
銘柄選択はせ
ず、 頼まれ て
購入する
銘柄選択者・ 性年齢
30%
20%
19%
16
18
18
12
表示
カテゴリ
▼飲料
60代
0%
2012.1
2012.7
2013.1
利用頻度( 全数ベース)
カ テ ゴ リ 別 利用者属性
カ テ ゴ リ 別 利用者属性
(歳)
50
(歳)
50
焼酎
日本酒
ノンア ルコー
ル飲料
ビール
2012. 1
2012.7
201 2.4
2012.10
2013. 1
2013 .4
ウイス キー
発泡酒・新
ジャ ンル 飲料
35
35
男女比率
※値は男性 平均年齢
チュー ハイ
比率
2012
69
45
2013
68
43
2013
64
44
2014
67
42
2014
63
41
2015
62
40
0%
50%
100%
20
0%
女性
男性の比率
男性
50%
⇒利用者は女性へシフト、若年化! 女性
男性の比率
4
100%
男性
20
Video Research Digest 2013. 9·10
意向)の比較やブランド間重複飲用状況、カテゴリ
入意向から詳細認知に置き換えることで「理解 / 浸
利用頻度別の利用率スコア比較を行います。
透状況の把握」を行います。このように、複数のブ
【図 5】の左側のデータは認知、利用、購入意向
ランド指標を用いて多角的分析を行うことで、現状
の各指標の関係性を競合比較でまとめたものです。
のブランドの状況を詳細に捉えます。
認知者の中で、利用はないが購入意向がある人、利
【図 5】の右下部は、ユーザーの利用頻度別に利
用がある人、利用があり購入意向がある人(継続意
用率を表現したものです。同じ利用率であってもよ
向がある人)の割合をそれぞれ図示しています。こ
り利用頻度の高いヘビー層に支持されているのか、
うした比較により、
「競合と同程度の認知率であっ
利用頻度の低いライト層に支持されているのかで、
ても利用率が異なっている」
、
「同程度の利用率で
売り上げが異なってきます。ユーザーの利用頻度別
あってもそもそもの購入意向や継続意向のスコアに
に確認することで、ヘビー層の支持獲得に向けた施
差がある」といった、
競合ブランドとの細かいステー
策を検討します。
タスの違いを確認します。
【図 5】の右側の上部グラフは、
縦軸を購入意向率、
横軸を認知率として各ブランドをプロット(バブル
②ターゲット定義
「
『ターゲット定義』の手立て」
の大きさは利用率)し、それぞれの重複飲用関係の
ターゲットの定義は、
「市場分析の結果や実際の
強さを線で表したものです。この結果から、それぞ
売上データなどからあらかじめ仮説を立てた上で想
れのブランドのポジションを「今後のポテンシャル」
定ターゲットを設定し、その仮説を検証する場合」
という側面から比較します。また、利用率差による
と、
「探索的にある条件に合致したターゲット像を
バブルの違いや重複飲用の有無を表現することで、
模索する場合」のふたつの方向性が考えられます。
競合関係を明確にします。今回の結果では、A は認
今回は、
「A 利用者」という観点からそのターゲッ
知、購入意向とも高く、良いポジションにいますが、
ト像を模索する後者を紹介します。A のユーザー像
B のほうが A よりも購入意向が高く、また強くは
をカテゴリとして、伸張している発泡酒・新ジャン
ないものの重複飲用者が一定数存在することが伺え
ルのブランド E のユーザー像と比較する形で分析
ることがわかります。今後、B の購入意向が A よ
し、ビールカテゴリの A へのロイヤルティを高め
り高くなる要因を検討する必要があるといえます。
る(発泡酒・新ジャンルへの移行を防ぐ)ためのター
このグラフに関して、横軸を認知から利用に置き換
ゲット設定を行う例です。
えることで「利用者のロイヤルティ」を、縦軸を購
【図 5】市場分析(ブランド)のアウトプット例
ブ ラ ン ド 実態比較
ブ ラ ン ド 関係性比較
※データ はダミ ーです
24%
92%
60%
60%
20 %
18%
ブラ ンド A
※データ はダミ ーです
ブ ラ ン ド 利用率
ブ ラ ン ド 利用率
ブランドB
ブランドA
18%
ブラ ンド B
87%
24 %
12%
6%
ブラ ンド C
4%
40%
40%
バブルサ イズ
:利用率
ブランドC
80%
ブランドD
バブル間 の線:
利用の相関の
高いブラ ンド
(同時利 用が多い)
30 %
%
6%
ブラ ンド D
4%
78%
75%
20%
95%
85%
75%
85%
認知率
20%
95%
32 %
飲用頻度別ブ ラ ン ド 利用率
利用率
継続利用意向者
認知率
ト ラ イ ア ル意向者
ビ ー ル利用者
全体: 1 0 0 %
ブランドA
ブランドB
ブランドC
ブランドD
5
「ターゲットの基本属性の把握」
クアップし、一覧化した結果が以下の【図 6】の結
最初の段階として、ターゲット理解の基本である
果です。この結果から、A ユーザーは E ユーザー
「基本属性」と「社会的属性」を確認します。そこで、
に比べて以下のような特徴があるということがわか
今回は発泡酒・新ジャンルの E ユーザーとの比較を
ります。
軸にターゲットの確認を試みます。例えば調査対象
者全体(市場全体)との比較や、一般的な男性 30
代との比較、あるいは仮説によって設定された特定
の意識を持つ生活者との比較など、様々な視点から
比較することが考えられます。目的に応じて比較ター
ゲットは変わり、カテゴリ自体の変動要因を加味す
る場合は、他カテゴリユーザーや他カテゴリの特定
ブランドユーザーとの比較をします。競合ブランド
との違いを見る場合は、同一カテゴリ内の他ブラン
ドユーザーとの比較が有効であるといえます。
今回の分析結果
①性別や年齢、未既婚のポジションは両者に大きな違
いはない
②ともに 40 代前半が平均年齢となる
③年代構成は、やや A は 60 代に強くなっている傾向
があるが概ね均一
④ A では「経営・管理職」が多く、E では「労務・作
業職」が多い
⑤ A ユーザーの世帯年収、お小遣いが E よりも高い
⑥学歴は「大学・大学院」が A で目立つ
【性 格】勤 勉で細かくやや融通が利かない。自分
があり人に合わせないが、判断基準は好
き嫌いや気分に依存しがち
【価 値 観】人 からどう見られるのかを気にする。環
境や海外など外への関心が強く、食への
こだわりが強い
【生活嗜好】ブ ランド好きで高くても機能・性能がい
いものを買う。新商品には飛びつかず、
CM に懐疑的な一方、きれいな女性が出
る CM は見てしまう
【消費行動】輸入車、ブランド衣服など高級志向が強く、
カップめんや居酒屋を利用しない。エコ
バックや除湿機といった環境志向も強く
喫煙しない
こうした分析は、
「ACR/ex」に搭載予定のかんたん
メニュー「ベストプロフィールをさがす」という機
能から、簡単にピックアップすることができます。
年収や自由裁量金額が E ユーザーに比べて高く、
一流品に関与が高いこと、見栄ではなく自分の嗜好に
よって「いいもの」を選ぶユーザー傾向が、
A ユーザー
には見られるようです。この結果から、A の利用者に
上記結果から、A ユーザーと発泡酒・新ジャンル
特徴的な特性として「ブランド志向」というキーワー
E ユーザーは、基本属性は似通っている一方、社会
ドが浮かび上がるかと思います。以降のメディアプラ
的属性が異なることが考えられます。この結果を踏
ンニングでは、このフェーズにおける分析で浮かび
まえ、意識ベースではどのような差異があるのかを
上がった「ブランド志向」を持つターゲットがどう
分析し、ロイヤルティ向上の訴求を行う手がかりを
いったメディア接触傾向があるのかを確認します。
検討します。
「ターゲットの意識的側面把握」
このカテゴリ分析の結果から、ビール市場のメイ
ターゲット定義で設定した「A を飲用するブラン
ンユーザーは男性 30 代~ 50 代であることがわか
ド志向の男性」という切り口で、メディア接触デー
りました。次は両ユーザーの中から、
メインユーザー
タを分析します。前述のご紹介のように、
「情報経
層として若年の男性 30 代を対象とし、意識プロ
路の確認」
「メディア接触意識」
「メディアの接触傾
フィール分析を行います。意識プロフィールを見る
向」
「ビークルごとの接触傾向」といった順にデー
際は、その意識項目が性年代やライフステージに特
有の特性項目であり、その要因でスコア差が生じる
6
③メディアプランニング
タを確認します。
「情報入手経路の確認」
ことがあるため、できる限り「基本属性」
「社会的
ビール広告へのそもそもの関心や、情報を得る媒
属性」でターゲットを絞り込んだ上で分析すること
体がどの媒体かを確認したものが【図 7】左上のデー
が必要です。分析では、前述のとおり「性格」
「価
タです。同時に、
「商品を知るメディア」
「商品の詳
値観」
「生活嗜好」
「消費行動」の各段階でそれぞれ
細を知るメディア」
「欲求喚起するメディア」に関
データを確認します。各段階で A ユーザーが E ユー
しても、男性全体との比較で分析します。これらの
ザーに比べて尖る(スコア差異が出る)項目をピッ
データは、例えば商品が新商品である場合や、
「利用」
Video Research Digest 2013. 9·10
の喚起に商品の詳細を理解させる必要がある商品
況を捉えます。前者に関しては、上述のターゲット定
(市場分析やブランドトラッキングで「ACR/ex」
義で「意識」分析を行う手順と同様に、メディアへの
内で分析可能)など、目的に応じて確認するデータ
意識を確認します。この際も、性年代に特有な項目に
です。今回の結果では、ブランド志向の男性は男性
留意し、各メディアの評価や、メディアから得た情報
全体に比べてビールの広告への関心が高く、情報を
をきっかけとした体験を捉えます。その後、
実際のリー
得るメディアとしてはテレビ、そして屋外媒体が高
チを確認する目的で、
【図 7】右側のような形で接触
く挙がることが特徴的です。
率を捉えます。ここでは、同時にコンテンツの内容も
「メディアへの意識と接触状況の確認」
捉えたサマリー形式としていますが、
「ACR/ex」
メディアへの接触意識や大まかなメディア接触状
ではさらに詳細な分析を提供します。
【図 6】ターゲット定義(意識)のアウトプット例
※データ はダミ ーです
価値感分析
性格分析
性格
気質
価値観
消費行動分析
生活嗜好分析
生活嗜好
消費行動
凡例
ブランドA
ブランドE
【図 7】メディアプランニング(メディア接触全体俯瞰)のアウトプット例
7
詳細な分析の一例として、メディア接触の重複状
は「詳細認知」
「利用」
「購入意向」
「継続意向」の
況や、個別のビークルに関してはランキング形式で
各スコアが前回に比べて伸張する結果ですが、ブラ
表現するなど、様々なアウトプットで表現すること
ンド指標変化量をカテゴリ平均と比較すると、
「利
が可能です。
用」はカテゴリ全体で伸張する傾向があり、季節性、
カテゴリ市場の要因による伸張であるとわかりま
④ブランドトラッキング・効果測定
す。一方「詳細認知」
「購入意向」
「継続意向」は、
ここでは、四半期ごとの商品指標の動きを確認し
カテゴリ平均の指標変化量を大きく上回っており、
ます。四半期ごとに商品データを捕捉する関東地区
季節性や市場変動ではない要因(広告効果要因を想
でのデータを用いた分析を行います。四半期の広告
定)であるといえます。
展開として、上述のターゲット定義で設定した「ブ
「生活者のブランドに対する関与変動を捉える」
ランド志向の男性」を狙った訴求を行ったとした場
1 年間のパネル調査のため、対象者内でのブラン
合、指標は全体での結果だけでなく、
「ブランド志
ド指標変化(指標スイッチ)を、
【図 8】左下のよ
向の男性」に絞った結果も確認する必要があります。
うな形で捉えることができます。
「ACR/ex」では
ここでは、効果測定・ブランドトラッキング分析の
認知が形成された層(非認知→認知に回答がスイッ
例として、4つの分析をご紹介します。
チ)や利用が形成された層(利用なし→利用ありに
「ブランド指標のスコアを単純比較する」
回答がスイッチ)のそれぞれの割合を確認、それら
「ACR/ex」で取得するブランド指標の単純な時
のプロフィール(性年代や意識など)を確認するこ
系列変化を確認します【図 8 上段】
。例えば純粋に
とで、どんな層にアプローチできたのかを確認する
四半期で購入意向が伸びたのかどうかを確認するこ
ことを推奨しています。
とで、四半期での広告活動が購入意向に影響したか
「ブランドステータスの変化を捉える」
否かを検証します。もちろんブランド指標の変化に
上述のブランドステータス別にそれぞれのステー
は、季節性の変動などの要素も含まれます。そのた
タスに属する人の割合の変化を捉えることで、課題
め、他ブランドのブランド指標スコア変化量の平均
を打開できたか否かを確認することができます【図
と比較してどの程度伸びたのかを、広告活動の成果
8/ 右下】
。この結果では、購入意向の上昇がもたら
変数と捉えることで、季節性やカテゴリ市場の状況
された結果、ロイヤルユーザーが若干増える結果に
要因を排除します。今回の結果では、ブランド A
なっています。
【図 8】ブランドトラッキング・効果測定(ブランド指標・ステータス変化)のアウトプット例
8
Video Research Digest 2013. 9·10
「ブランドスイッチの実態を捉える」
ペーンカルテのデータと「ACR/ex」のデータを融
パネル化した対象者のデータであることのもうひ
合(データフュージョン)する、あるいは並列して
とつのメリットは、ブランドスイッチの現状を確認
複合的にデータを見ることで、キャンペーンリーチ
できる点です。
【図 9】では、ブランドスイッチの
の確認も含めた包括的な成果確認を行うことが可能
分析例を示しています。例えば過去の時系列データ
です。データフュージョンにより、例えばターゲッ
から、
「他ブランド利用」
「非利用」への流れを大ま
ト定義で設定したターゲットのキャンペーンリーチ
かにつかみ、直近データに関して「他ブランド利用」
を確認する、キャンペーンリーチ者と非リーチ者の
にスイッチしたブランドの内訳詳細を確認するとい
メディア接触状況を比較する、リーチ者のカテゴリ
う分析を行います。この結果、競合のどのブランド
やブランド関与、類似カテゴリの関与を確認するな
からユーザーを獲得したのか、逆にどのブランドに
ど、分析できるデータが爆発的に広がります。現在、
ユーザーを奪われたのかを一覧でき、今後の広告戦
当社では「ACR/ex」を核に、
当社の様々な商品(例
略を考える上で重要な視点をもたらします。同様の
えば上述のキャンペーンカルテ以外に、TVCM カ
分析は、利用だけでなく「購入意向」といった心理
ルテや Mind-TOP など)との併用やデータフュー
指標でも可能です。
ジョンの可能性を探る検討を進めております。
「キャンペーンリーチとの絡みを見る」
一方で、
「個別のキャンペーン成果を見る」という
点においては、
「ACR/ex」では『キャンペーンのリー
チ』
という指標データを取得しておりません。
「ACR/
今回は「ACR/ex」の活用例を交えつつ、全体像
を説明させていただきました。今回の活用例は、
「ACR/ex」でできる分析のごく一部となります。
ex」では、個別のキャンペーンの有無を把握し、そ
現在、当社では「ACR/ex」をより活用しやすく
の認知や評価を調査することを前提としておらず、
するため、すぐに活用できる様々な基本分析パター
「ACR/ex」が選定したブランドに対する定点的な自
ンを、今回ご紹介したコミュニケーション全体管理
主調査という性質を持つことのデメリットでもあり
の各フェーズで検討しております。次回以降も順次
ます。しかし、当社では広告キャンペーンのリーチ
「ACR/ex」の活用に関してご紹介させていただき
と全体的な評価を行う調査パッケージ「キャンペー
ますので、何卒よろしくお願いします。
ンカルテ」というサービスを展開しており、キャン
【図 9】ブランドトラッキング・効果測定(ブランドスイッチ)のアウトプット例
9