2-3 糖尿病性ケトアシドーシスを契機として先端巨大症と診断された 5例

セッション 2
2-3
糖尿病性ケトアシドーシスを契機として先端巨大症と診断された
5例の検討
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吉田 尚弘 、鈴木 尚宜 、竹下 章 、宮川 めぐみ 、福原 紀章 、西岡 宏 、山田 正三 、竹内 靖博
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虎の門病院 内分泌センター 内科、 虎の門病院 間脳下垂体外科
【背景・目的】先端巨大症では成長ホルモン(GH)過剰によりインスリン抵抗性を生じるため、その約
30%に糖尿病を合併する。1型糖尿病に好発する糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は絶対的インスリ
ン欠乏により発症する重篤な代謝失調状態であるが、2型糖尿病でもインスリン分泌の低下により稀
にDKAを発症する。これまで先端巨大症とDKAの合併は比較的稀とされており、その報告例は少ない。
さらに、DKAを契機として先端巨大症と診断される症例はより少なく、過去に12例に過ぎない。我々
はDKAを契機として診断された先端巨大症を5例経験したため、その臨床的特徴を検討した。
【対象】最近3年間に当院で診療した、DKAを契機に先端巨大症と診断された5例(22∼43歳、男性4例、
女性1例)。
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【結果】年齢32.8±9.8歳、BMI 24.3±4.5kg/m 、HbA1c(JDS)10.4±1.3%、血糖値871±486mg/dl、
血液pH 7.24±0.11、尿ケトン2.2±0.4(以上n=5)、GA 59.1±5.0%(n=2)であった。抗GAD抗体(n=5)
と抗IA-2抗体(n=2)は全て陰性であった。血清GH 193±172ng/mlおよびIGF-1 796±185ng/mlであっ
た。全例DKA発症前は未治療であり、DKA発症後に先端巨大症が診断された。いずれも糖尿病合併症
はなかった。糖尿病家族歴を2例で、肥満を3例で認めた。DKAに対する治療により、先端巨大症につ
いては未治療の状態で、いずれも内因性インスリン分泌能の著明な改善を認め、内3例ではほぼ正常
化した。
【考察・結論】DKAはインスリン不足により惹起される重篤な糖代謝失調状態であり、β細胞機能の著
しい低下が背景にあるとされている。DKA発症の誘因として感染症、手術後、オクトレオチド中止
後、清涼飲料水などが報告されているが、今回検討した症例ではいずれも清涼飲料水の関与を認めた。
DKAの治療によりインスリン分泌能が回復しており、先端巨大症を合併するDKAでは、GH過剰による
インスリン抵抗性の増大のみならず特異な未知の病態の関与が想定される。また、DKAの基礎疾患と
して先端巨大症も考慮する必要性が示唆された。