「転移性腎がんにおける原発巣と転移巣におけるheterogeneity と予後

「転移性腎がんにおける原発巣と転移巣における heterogeneity と予後に関する研究」
【患者さんから得られた既存試料・情報を用いた研究の実施状況についてのお知らせ】
診療にともなって受診者の皆さんから得られる種々の検査の結果、処方歴、病歴、ま
たは検査や治療のために採取された血液、組織などを、既存試料・情報といいます。こ
れらの既存試料・情報は、一人一人の患者さんの診療に役立つことは当然ですが、悪性
腫瘍 (乳癌、大腸癌、腎癌など様々な癌) に対する医療活動の質を今後も継続的に向上
していくためには、多数の患者さんの既存試料・情報を定期的に取りまとめて検討し、
これを評価するという作業(臨床観察研究)が欠かせません。
個人情報である既存試料・情報を取り扱うことに際しては、皆さんの権利の保護は万
全でなくてはなりません。虎の門病院では、院内審査委員会を開催し、客観的な審査の
上、研究における情報の取扱い方法と皆様のご理解を得る方法を決めさせていただいて
います。
このページでは、現在行われている臨床研究とその対象となる皆さんに関する情報をお
知らせします。ご疑問、ご心配、ご希望等がございましたら記載の研究担当者までお知
らせいだだくようお願い申し上げます。なお、対象者へ個別に説明し、ご同意いただく
方法をとる研究課題については、このページには記載しませんので、研究担当者がお渡
ししている説明文書をご覧ください。
悪性腫瘍に対する診療の向上のため、ご参加いただくようお願い申し上げます。
虎の門病院 臨床腫瘍科部長 高野利実
研究の目的
BAP1、PBRM1 という遺伝子の変異は、腎細胞がんにおいて多く認められており、腎細
胞がんの発がんや予後に関わっていると言われております。また、これらの遺伝子の変異
自体を調べなくても、これらの遺伝子が産生するタンパク質の発現を調べる事で、遺伝子
変異の有無が分かる事も知られております。これまでに実施された研究の多くは、原発巣
に関するものだけであり、転移巣を含めた情報は限られているのが現状です。
この研究の目的は、治療の目的で切除された腎癌の原発巣と転移巣の組織(既存
試料)における、BAP1、PBRM1 タンパク発現を調べ、予後との関連を検討することで
す。本研究では遺伝子の検索は行いません。
研究の意義
近年、転移性腎癌に対する様々な治療薬が開発されています。しかしながら、それらの
薬剤は様々な副作用を有し、患者さんの生活の質(QOL)を著しく損なう原因となり得ま
す。そのため、自然経過が非常に緩徐な患者さんに対しては、むやみにこれらの薬剤を使
用するのではなく、無治療経過観察や転移巣切除などの局所治療のみ行うという選択肢も
考えられます。しかしながら、現時点では腎癌の自然経過を予測するために十分な情報が
得られておりません。本研究で腎癌の自然経過を予測するための情報が得られた場合、今
後の治療法の選択に有益な情報となることが期待されます。
研究の対象
虎の門病院で 1985 年 1 月から 2014 年 12 月までに、腎癌に対して根治的腎摘除術
もしくは、腎部分切除術を受けた患者さんのうち、転移再発し、転移巣の病理検査を受け
患者さんを対象として、既存情報と原発巣、転移巣の病理検体を使用して、後方視的に検
討を行います。
調査内容
以下の項目を調査します。
<患者情報>
・ 性別、年齢
・ 初発時日時、原発巣切除日時、サイズ
・ 初回転移部位、出現日時、個数、サイズ
<病理情報>
・ T ステージ、N ステージ、脈管侵襲、組織型、Fuhrman グレード
・ BAP1, PBRM1 タンパクなどの発現を免疫染色で調べます。
研究機関
虎の門病院の臨床腫瘍科、泌尿器科、呼吸器外科、消化器外科、皮膚科、病理部が中心
となって研究を実施します。
研究の期間
本研究は当院審査機関承認後〜2018 年 12 月 31 日まで実施します。
個人情報管理について
この調査では集計、解析の際に匿名化して情報を取り扱うこととし、患者さんの個人情
報である診療情報を厳重に保護し、患者さんに不利益が生じないよう配慮しています。
この調査によって得られた情報は、研究の目的以外には使用しません。また今回の調査
は当院院内審査委員会の承認を得て行なわれています。研究の成果は、学会や学術雑誌
に発表することがありますが、そこに個人名が出ることもありません。また、ご参加い
ただけなくても、不利益をうけるようなことは一切ありません。またご参加いただけな
い場合いつでも登録を取り消すことができます。登録を望まれない場合は、担当研究者
までご連絡ください。
研究責任者 虎の門病院 臨床腫瘍科部長 高野 利実
研究担当者 虎の門病院 臨床腫瘍科 三浦 裕司
連絡先 (三浦 裕司)
〒105-8470 東京都港区虎ノ門 2-2-2
TEL:03-3588-1111 (代表)、FAX:03-3582-7068
e-mail:[email protected]