アンケート結果評価票(対策実施前) - 医療法人社団 健育会

健育会グループ 第6回TQM活動発表セミナー
より良いケアプランを作るためにサービス担当者会議を充実させよう
テーマ
施
設
名 ホットライン21居宅介護支援事業所 発
表
者 佐藤 求 (ケアマネージャー)
リ ー ダ ー 佐藤 求
ホットライン在宅支援隊2
サ ー ク ル 名
サ ブ リ ー ダ ー 吾田 健一
活 動 期 間
平成23年7月~11月
吾田 健一 阿羅 純子
メ ン バ ー
会合回数
11 回
横内 啓子 本間 容子
会 合 状 況
1回あたりの会合時間
45 分
テーマ選定の理由
ケアマネジャーが利用者さんのケアプランを作成する際に重要な業務としてサービス担当者会議がある。ケ
アプランを作成しそのプランがその方にとって適正かつ満足が得られるものになるためにはこのサービス担
当者会議での意見交換が重要である。よってサービス担当者会議における業務の問題点(改善点)について
考察する。
【①現状の把握】
QCサークルでサービス担当者会議に関する業務で問題となっている点について意見交換を行ったが、
攻撃対象となる具体的課題が挙げられなかった。よって攻撃対象となる課題を分析するために関係する
居宅サービス事業所へアンケートを実施し、サービス担当者会議における問題点について現状を把握す
る事とした。
現状を把握するうえでサービス担当者会議を「時間」「場所」「情報提供」「会議内容」の4つのカテゴリー
に分類し以下の6つの質問項目を設定する。
1.事前に必要な情報が提供されているか 2.希望する日程や時間が調整されているか
3.開催場所については適正か 4.会議にかける時間は適正か
5.意見交換ができる会議になっているか 6.適切なタイミングで会議が行われているか
アンケートの評価については5段階とし「不満」を1、「ふつう」を3、「満足」を5として数値化し平均値を測
定。アンケートの結果「事前に必要な情報が提供されているか」が2.6点と最も平均数値が低く事前の
連絡調整不足が問題点となっている事が判明した。よって攻撃対象を「事前に必要な情報が提供されて
いない」とする。
【②目標の設定】
1ヶ月間対策を実施した後各事業所へ再度アンケートを実施。「事前に必要な情報が提供されているか」
についての平均値を4.0点とする。
【③要因の分析】
なぜ事前に必要な情報が提供されていないかについて特性要因図を用いて分析を行い、分析の結果、
以下の3点を重要要因として選定する。
1.フェースシート記入時において、項目ごとの内容についての認識が各スタッフによりばらばらである。
2.適切なアセスメント(課題分析)ができていない。 3.退院や退所までの日程の余裕がない。
調整
アンケート結果評価票(対策実施前)
項目
希望する日程や時間が調整されているか
開催場所については適正か
会議にかける時間は適正か
意見交換ができる会議となっているか
適切なタイミングで会議が行われているか
アセスメント
適切なアセスメント
ができていない
評価(不満を1、満足を5とした場合)
2.6
3.5
3.6
2.9
3.1
2.9
事業所との
日程が合わ
ず会議が遅
くなる
事業所と
の連絡不
足
会議まで時間の
ゆとりがない
相談先からの
紹介のタイミン
グが遅い
時間がなく
フェースシー
トの作成が
おいつかな
い
提供できる
情報源が少
ない
事業所のニーズ
を理解していない
ケアマネ
が重要視
していな
病院のサ
い
マリーに
たよってい
る
退院、退所ま
での日程の余
裕がない
サマリー
等がない
病院があ
る
時間
情報収集不
足
-17-
サービス開始まで
に間に合わない
フェースシートが完成しない
日数が
ない
退院ケースでは家族に充分な
聞き取りができない
聞き取るタイミングがない
うっかりし
ていた
法人内という
甘えがある
ケアマネから
事業所への
情報提供が
遅い
主治医意見書の
入手が遅い
方法
特性要因図
サマリーがな
いと遅くなる
記入する
部分が多
い
医療や薬の 利用者ごとに
重要な情報を
情報が足り
把握できてい
ない
ない
口頭で情報
を伝えようと
している
フェースシートに
ついての認識が
ばらばら
ケアマネの
意向がない
サマリーに
たよっている
事前に必要な情報が提供されていない
事前に必要な情報が提供されているか
サービス
調整が
遅れる
利用者の意向が固
まらずサービス案が
定まらない
必要な情報が
伝えられない
フェースシートを作る際に
空白の部分が目立つ
健育会グループ 第6回TQM活動発表セミナー
【④対策の立案】
要因分析の結果をもとに系統図を活用し対策の立案を行う。
1.現在使用しているフェースシート(基本情報)、アセスメントシート(課題分析)はフェースシートだけ
で3ページあり、アセスメントシートがA3判の書式であるために、事前に情報収集を行った後に各書
式へ入力をするのに時間がかかっている。よってこの2つの書式について見直しを図り業務の効率化
を図る。
2.アセスメント技術についての研修を行い、スタッフの能力の差をなくし認識についての統一を図る。
以上の2つの方法で5W1H表を作成し対策を実施していく事とした。
対策の立案
実
現
性
○
○
○
○
△:1点
△
○:2点
○
評価点数
2
5
△
新しいツー
ルを作る
価
△
ツールについて
の見直しを行う
△
○
アセスメント
のマニュアル
を作る
果
2
×
×
研修を開催
する
アセスメントの
個人差をなくす
評
○
サマリーを
必ずもらう
病院や施
設に必ず
出向く
適正なアセスメ
ント方法につい
て検討
効
×
病院からの情
報を早くもらう
×
事前に必要な情報を提供する
より早く情報
収集をする
検討
持
続
性
4
5
×:0点
【⑤対策の実施】
1.フェースシートとアセスメントシートの見直しについては、この二つの書類をA4用紙2枚に統一。
1枚目に基本情報を記載し、2枚目にはアセスメント情報を記載する事で入力作業の短縮化を図り、
更にその利用者さんやご家族様の現状とケアマネジャーがどのような支援が必要と考えているか
「見える化」を図る。そして完成したツールを使用し各居宅サービス事業所へ情報提供を行う。
2.作成した新しいツールの原案をもとに研修会を開催。アセスメントシートの入力に対しての認識を
統一する事で個人差をなくすとともに疑問点についても部署全員で確認する。
対策実施(5W1H)
項目
なぜ
フェースシー入力作業の
トとアセスメ 短縮化を図
ント票の見 るため
直しについ
て
アセスメン アセスメン
トについて ト技術の統
の研修
一を図るた
め
だれ
事業所
全体で
事業所
全体で
いつま どこで
で
9/29
10/20
ホットライ
ン
何を
どうす
る
新しい
ツールを
作成する
・使用状況
ホットライ
新しい の確認
・各項目に
ン
ツールにつ ついての認
いて
識の統一
-18-
健育会グループ 第6回TQM活動発表セミナー
【⑥効果の確認】
新しいツールでの情報提供を1ヶ月間実施した後、各居宅サービス事業所へ再度アンケートを実施。「事
前に必要な情報が提供されているか」についての評価点を確認する。確認の結果、評価点が10%アップ
の3.1点という結果であった。よってステップ【④対策の立案】まで一旦戻り対策案についての再検証を行
う事とする。
事前に必要な情報が提供されているか
アンケート結果評価票(対策実施後)
5.0
4.5
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
評価(不満を1、満足を5とした場合)
項目
事前に必要な情報が提供されているか
希望する日程や時間が調整されているか
開催場所については適正か
会議にかける時間は適正か
意見交換ができる会議となっているか
適切なタイミングで会議が行われているか
3.1
3.8
4.1
3.3
3.6
3.3
評価結果
10%UP
評価結果
アンケート実施前
アンケート実施後
2.6
3.1
【④対策の立案(再検証)】
なぜ目標値である4.0点に至らなかったのか検証を行った結果、以下の意見が出る。
①対策の実施期間(検証期間)が1ヶ月では短か過ぎる。
②各サービス事業所で「必要な情報」とはどんな情報なのかが分からない。
③新しいツールがサービス事業所に個別に適応できるものではない。
④ケアマネも書面(新ツール)での情報提供をして安心してしまっている。
以上の意見から対策立案の再検証を行なった。
新たに気づいた点として、各サービス事業所により求める情報は異なると考えられ、新しいツールでの
情報提供だけでは不十分であり、書面での情報提供後もサービス担当者へどのような情報が有用なの
かを確認し合い、必要であれば資料(サマリー等)や口頭での情報提供を怠らずに行う事が必要である
事を確認した。よって新たな対策として実施する事とする。
そして今後も新しいツールでの検証とアセスメントについての研修を継続。更に各スタッフに書面以外の
情報提供についても意識して業務を行い、24年1月に再度効果について確認する。
無形・波及の効果としては、今まで基本情報を揃えるまでにフェースシート3枚、アセスメントシート1枚
の計4枚に及ぶ記載量が、A4用紙2枚となった事で作業時間の短縮と職員のストレスの軽減に繋がっ
た。また各サービス事業所からも新しいツールについて「フェースシートが見やすくなった」「アセスメント
シートがコンパクトで情報が分かりやすい」等の評価もいただけた。更には今回のTQM活動における各
スタッフの意識改善もみられた。
改善意識
4
活動前
活動後
3
2
1
チームワーク
0
問題意識
QC手法
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健育会グループ 第6回TQM活動発表セミナー
【⑦歯止めと標準化】
5W1H表を作成し歯止めと標準化の定着化を図る。新ツールについての使用状況については
毎月1回ケアマネ全員で記載方法やアセスメントの方法について研修会を開催する。またツール
での情報提供で安心してしまわないよう各サービス事業所の担当者と、どのような情報が必要な
のかを確認し合うよう意識して行う事とする。
歯止め
項目
なぜ
何を
誰が
どこで
どのよ
うに
いつ
事前に必要 新ツールに ケアマネ全 ホットライン 毎月に1度 研修会・意
見交換会を
で
開催する
サービス事 載方法につ
業所へ提供 いて
するために
標準化 な情報を各 ついての記 員が
まだ必要な 各事業所に ケアマネ全 ホットライン 事前の調整 担当者と確
認しあい、
と各事業所 段階で
口頭または
との間で
参考資料な
どを提供す
る
スタッフ 情報を提供 とって必要 員が
できていな な情報が何
の意識 いため かを
【⑧反省と今後の課題】
○良かった点
・QCメンバーで楽しくサークル活動を続ける事ができた。
・昨年よりもQC手法についてより理解する事ができた。
・今まで利用者さんやご家族様へのアンケート調査は実施しているが、今回各サービス事業所へ
アンケートを実施した事でサービス事業所が普段ケアマネに対してどのような意見を持っているのか
知る事ができた。
○反省点及び今後の課題
・今回は目標を達成させる事ができなかった。再検証した結果新たな対策も講じられたため、その効果に
ついて来年1月に確認をする。
・TQM活動についてはテーマ選定と、現状把握による「悪さ加減」、「攻撃対象」をどう分析するかが重要
であり、普段より業務での矛盾点や疑問点等を話し合う機会が必要と考えられる。
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