林 俊秀 ・渡辺豊彦 ・竹中 皇 ・桜本耕司 ・畠 和宏 ・小野憲昭 ・ 公文裕巳

VOL42
泌 尿 器 科 領 域 に お け るTAZ/PIPCの
S-2
基 礎 的 ・臨 床 的検 討
泌 尿 器 科 領 域 に お け るTazobactam/Piperacillinの
林
俊 秀 ・渡 辺 豊 彦 ・竹 中
皇 ・桜 本 耕 司 ・畠
541
基 礎 的 ・臨 床 的 検 討
和 宏 ・小 野 憲 昭 ・
公 文 裕 巳 ・大森 弘 之
岡山大学医学部泌尿器科学教室*
(主任:大 森弘之教授)
近藤捷嘉
岡山赤十字病 院泌尿器科
片山泰弘
玉野市民病院泌尿器科
赤枝輝明
津 山中央病院泌尿器科
早 田俊 司
鳥取市立病院泌尿器科
朝 日俊彦 ・山 田大 介
香 川県立 中央病院泌尿器科
ペ ニ シ リ ン 系 抗 生 剤 と β-lactamase阻
PIPC)の
害 剤 の 配 合 剤 で あ るtazobactam/piperacillin(TAZ/
抗 菌 力 な ら び に尿 路 感 染 症 に 対 す る有 用 性 に つ い て 検 討 を行 っ た 。
1)尿
路 感 染 症 分 離 株14菌
種206株
に 対 す る 本 剤 のMICを
測 定 し,piperacillin(PIPC),
sulbactam/cefoperazone(SBT/CPZ),latamoxef(LMOX),ceftazidime(CAZ)と
剤 の 抗 菌 力 は,グ
比 較 した 。 本
ラ ム 陽 性 菌 に 対 し て は,Staphylococcusepidermi4isでSBT/CPZに
の の,PIPCと
ほ ぼ 同 等,LMOX,CAZよ
LMOX,CAZに
は 劣 る も の の,SBT/CPZと
劣 る も
り優 れ た 抗 菌 力 を 示 し た。 グ ラ ム 陰 性 菌 で は
ほ ぼ 同 等,PIPCと
は 同 等 な い し1管
程 度優 れ た
抗 菌 力 を 示 した 。
2)複
雑 性 尿 路 感 染 症37例
に 本 剤1回1.25g∼2.5gを1日2回,4∼8日
間連続点 滴 静注 し
臨 床 的 有 用 性 を検 討 した 。
UTI薬
効 評 価 基 準 に よ り評 価 可 能 で あ っ た 複 雑 性 尿 路 感 染 症30例
4例,有
効18例,無
38株,存
続10株
効8例
効 率 は73.3%で
で 消 失 率79.2%で
検 査 値 異 常 と し てGPTの
の 増 多 を1例
で,有
上 昇 を2例
あ っ た 。 自 ・他 覚 的 副 作 用 は1例
に,GOT,GPT,Al-P,γ-GTPの
Tazobactam/piperacillin(TAZ/pIPC)は,大
工 業 株 式 会 社 で 新 し く 開 発 さ れ た β-lactamase阻
鵬 薬 品
害 剤,
富 山化学 工業 株式 会 社 で開 発 さ
れ た 広 域 ペ ニ シ リ ン 剤piperacillin(PIPC)を,力
串〒700岡
中,消
失
も認 め な か っ た 。 臨 床
上 昇 を1例
に,好
酸 球
に認 め た 。
Keywords:tazobactam/piperacillin(TAZ/PIPC),β-lactamase阻
tazobactam(TAZ)12)と
の総 合臨床 効果 は著効
あ っ た 。 細 菌 学 的 効 果 で は48株
山 市 鹿 田 町2-5-1
価 比
害 剤,尿
路 感染 症
1:4の 比 率 で 配 合 した 注 射 用 抗 生 剤 で あ る 。PIPCは
グ
ラ ム 陽 性 菌 お よ び緑 膿 菌 を含 む グ ラ ム 陰性 菌 に 対 し幅
広 い 抗 菌 スペ ク トル お よび 強 い 抗 菌 力 を 有 し,長 年 臨
床 使 用 され,そ
の安 全 性,有
用性 にお いて高 い評価 を
CHEMOTHERAPY
542
OCT.
1994
う け て い る 。 し か し 各 種 細 菌 が 産 生 す る β-lactamase
100μg/mlの
間 に 分 布 し,MIC50は6.25μg/ml,MIC90
に分 解 を受 け や す い と うい う欠 点 を有 して い る。 この
は50μg/mlと
対 照 薬 剤 とほ ぼ 同 等 の 抗 菌 力 を 示 した 。
欠 点 を 補 う た め,PIPCにTAZを
配 合 し β-lactamase産
生 菌 に 対 し て も 優 れ た 抗 菌 力 を 示 すTAZ/PIPCが
P名otmsspP.に
開発
つ い て は,Proteus
mimbilis(20株)の
MIC50は0.39μg/ml,MIC90は0.78μg/mlで,Proteus
さ れ た3)。 今 回 我 々 は 本 剤 に つ い て の 抗 菌 力 な ら び に
vulgaris(9株)のMIC50は0.78μg/ml,MIC90は3.13μg/
複 雑 性 尿 路 感 染 症 にお け る 臨 床 上 の 有 用 性 に つ い て 検
mlとLMOXよ
討 を行 っ た の で 報 告 す る 。
る も の の,PIPCと
1.抗
1.対
菌
力
Morgamlla
標 準 株3株(Escherichia
coli 2株,Proteus
mirabilis
1
よ び 最 近 の 尿 路 感 染 症 患 者 よ り の 分 離 株206株
(グ ラ ム 陽 性 菌25株,グ
TAZ/PIPCの
ラ ム 陰 性 菌181株)に
最 小 発 育 阻 止 濃 度(MIC)を
つ い て
測 定 した 。
ま た,PIPC,sulbactam/cefoperazone(SBT/CPZ),lata-
せ てMICを
よ びceftazidime(CAZ)に
測 定 し,本
臨 床 分 離 株206株
lactamase産
2.結
本 剤 とPIPCに
morganii(9株)で
は2管
SBT/CPZよ
つ い て も併
ト ロ セ フ ィ ン 法 に て β生 菌 に
つ いて比較 検討 した。
0.78∼>100μg/mlの
は 本 剤 のMICは
間 に 分 布 し,MIC50は12.5μg/ml,
MIC90は>100μ9/mlと,SBT/CPZよ
り も3管
も の の,PIPC,LMOX,CAZよ
marcescms(19株)で
り も1∼3管
程度 優 れ て
は3管
Enterococm
faecalis(15株)で
間 に 分 布
は 本 剤 のMICは1.56∼
LMOX,CAZよ
Pseudomonas
spp.に
つ い て は,P.aeruginosa(21株)
で はMIC50は25μg/ml,MIC90は50μg/ml,Pseudomonas
putida(10株)で
(Table
は そ れ ぞ れ12.5μg/ml,100μg/ml
り も2∼4管
程 度 劣 る も の の,PIPCと
り2∼3管
優 れ た抗 菌 力 を示 した
に つ い て,ニ
Ecoli(29株)で
ラ ム 陽 性 菌9株,グ
PIPCよ
は 本 剤 のMICは1.56∼12.5μg/mlの
ラ ム 陰 性 菌135株)に
ほ ぼ 同 等,SBT/CPZ,LMOX,CAZに
り1な
い し2管
程 度
株)に
お け る 本 剤 のMIC50は,そ
1.56μg/ml,MIC90は
PIPCよ
り1管
り も4∼5管
Enterobacter
り1∼
cloacae(10
3)。
ほ ぼ 同 程 度,SBT/CPZ,LMOX,CAZよ
50μg/mlとLMOXを
,MICgoは
除 き,ほ
Citrobacter
り も2
そ れ ぞ れ25μg/ml,
ぼ同 等以 上 の抗 菌力 を示
した 。
1.対
は 本 剤 のMICは0.39∼
成
績
成3年1月
よ り 同 年12月
まで の期 間 に お
床 試験 参加 の同 意 が得 られ た複 雑性 尿 路 感 染症 患 者
40例(慢
例)で
性 複 雑 性 腎 盂 腎 炎8例,慢
あ っ た 。 基 礎 疾 患 は,膀
立 腺 肥 大 症14例,神
例 で あ っ た(Table
投 与 方 法 は,本
性 複 雑 性 膀 胱 炎32
胱 腫 瘍11例,前
立腺 癌
経 因 性 膀 胱3例,そ
の 他6
2)。
剤1.259∼2.59を1日2回,1∼8日
間
連 続 点 滴 静 注 し た 。臨 床 効 果 判 定 は 主 治 医 判 定 お よ び,
UTI薬
dremdii(15株)で
床
象お よび 方法
対 象 は,平
6例,前
そ れ ぞ れ3.13μg/ml,6.25μg/ml
程 度 劣 る もの の
間 に
い て 岡 山 大 学 泌 尿 器 科 な い し 関 連 施 設 に 入 院 中 で,臨
程度 劣 ってい た。
aerogenes(10株),Enterobacter
対 す るMIC50は
とPIPCと
れ ぞ れ3.13μg/ml,
そ れ ぞ れ25μg/ml,6.25μg/mlと,
程 度 優 れ て い る も の のSBT/CPZよ
2管,LMOX,CAZよ
∼5管
oxytoca(10
間 に 分 布 し,
い し3管 優 れ る 結 果 で あ っ た(Fig.
II.臨
pneumoniae(19株),Klebsiella
比 し
優 れ て い た(Fig.2)。K.pnezmo-
り2な
劣 ってい た。
Klebsiella
あ り,PIPCに
そ の う ちE.coli(26株)
は 本 剤 のMICは,0.78∼25μg/mlの
分 布 し,PIpcよ
は4管
β-lactamase
に 対 す る 本 剤 のMIC50
程 度 優 れ て い た(Fig.1)。
niae(11株)で
間 に 分 布 し,MIC50は1.56μg/ml,MICgoは3.13μg/mlで,
PIPCと
トロ セ フ ィ ン法 に
生 の 有 無 を 測 定 し た と こ ろ,144株(グ
に お け る 本 剤 のMICは1.56∼12.5μg/mlの
程度優 れ てい た。
同 等,
1)。
て β-lactamase産
て1管
ほ ぼ 同 等,SBT/CPZ,
り5∼6管
優 れ た抗 菌 力 を
示 した。
は3.13μg/ml,MICgoは50μg/mlで
し,MIC50は3.13μg/ml,
MIC90は6.25μg/mlで,PIPCと
程 度 劣 る も の の,
比 し2∼3管
の 産 生 を 認 め た 。 こ れ ら144株
>100μg/mlの
同 程 度,
はMIC50は6.25μg/ml,
MICgoは50μg/mlとCAZに
全 臨 床 分 離 株206株
程 度劣 る
いた。
株)に
はMIC50は0.78μg/mlで,
程 度 優 れ て い た 。 ま たMIC90は
SBT/CPZ,LMOXよ
epidermidi3(10株)で
程
対 照 薬 剤 よ り も優 れ て た 。
Serratia
とCAZよ
果
Staphylococcus
程 度劣
り も2管
程 度 劣 る も の の,PIPC,CAZと
り も3管
12.5μg/mlと
剤 と 比 較 検 討 し た 。 さ ら に,全
に つ い て,ニ
り も3∼4管
程 度,SBT/CPZよ
PIPC,SBT/CPZ,LMOXに
生 の 有 無 を 判 定 し,β-lactamase産
対 す るMICを
LMOXに
日本 化 学 療 法
学 会 標 準 法4)に 準 じ,接 種 菌 量106cells/mlで
moxef(LMOX)お
は1管
度優 れて いた。
象 お よ び方 法
株)お
り も1∼2管,CAZよ
効 評 価 基 準(第3版)5)に
準 じ て 行 い,全
例 につ い
て 自 ・他 覚 的 副 作 用 な ら び に 臨 床 検 査 値 の 異 常 変 動 の
VOL.42
泌 尿 器 科 領 域 に お け るTAZ/PIPCの
S-2
基 礎 的 ・臨 床 的 検 討
543
Table
1-1.
Antibacterial
activity
of tazobactam/piperacillin
against
clinical
isolates
Inoculumsize:
106CFU/ml
CHEMOTHERAPY
544
で は,著
有 無 を検 討 した 。
2.結
OCT.
果
効2例,有
効8例,無
複 数 菌 感 染 群15例
総 投 与 症 例 数 は40例
で あ っ た が,本
剤 投 与前 の尿
例 で 有 効 率80.0%で
培 養 に て 細 菌 が 検 出 さ れ ず1日 間 し か 本 剤 の 投 与 が な
15症
さ れ な か っ た3症 例 を 除 い た37例
で あ っ た(Table4)。
を検 討対 象 と した
主 治 医 判 定 で は 著 効3例,有
効24例,や
無 効5例 で 有 効 率73.0%(27/37)で
や 有 効5例,
あ った。
で は 著 効4例,有
効18例,無
あ っ た(Table3)。
2.5g投 与 群 で は 著 効2例,有
58,3%(7/12),5g投
効8例,無
投 与 量 別 効 果 で は1日
65.2%(15/23)で
効5例,無
効5例 で 有 効 率
効13例,
あ った。
細 菌 尿 に対 す る効 果 は 陰 性 化19例(63.3%),減
交 代2例(6.7%),不
少3
菌 率 は79.2%で
ず つ 存 続 し て お り 除 菌 率 は92.0%
あ り存 続 し た8株
μg/ml,E.faecalisが6.25μg/ml,P.aeruginosa8株
で は
3.13μg/mlが2株,6.25μg/mlが1株,12.5μg/ml以
上が
5株 と 中 等 度 か ら 高 度 耐 性 株 が 多 か っ た(Table6)。
善6例(20.0%),不
用 い て 検 出 し た β-lactamase産
あ っ た。
Table
1-2.
Antibacterial
activity
は 全 てPaeruginosa
で あ っ た 。 存 続 し た 株 のMICはSepi4ermidisが1.56
あ っ た 。 膿 尿 に対 す る 効 果 は 正 常 化7例(23.3%),改
変17例(56.7%)で
あ っ た
あ っ た。 グ ラム 陰性 菌 に対 す る 除菌 率 は
っ た42株
UTI疾 患 病 態 群 別 効 果 を み る と,単 数 菌 感 染 群15例
で 有 効 率(60,0%)
剤 投 与 前 に 尿 中 よ り分 離 さ れ
全 症 例 の う ち β-lactamase産
変6例(20.0%)で
効3
グ ラ ム 陽 性 菌 で は,Sepidermidis,E.fae-
(23/25)で
与 群 で は 著 効2例,有
効10例,無
効6例
が 消 失 し,除
calisが そ れ ぞ れ1株
効8例 で 有 効 率73。3%
無 効3例 で 有 効 率83.3%(15/18)で
例(10.0%),菌
中38株
(Table5)。
UTI薬 効 評 価 基 準 に 準 じて 行 っ た 総 合 臨 床 効 果 判 定
(22/30)で
例 中 著 効1例,有
た48株
で 有 効 率66.7%,
効2例,有
あ っ た 。カ テ ー テ ル 留 置 症 例 で は,
細 菌 学 的 効 果 で は,本
(Table2)。
効5例
で は,著
1994
Table7に
of tazobactam/piperacillin
に つ い て,β-チ
生 能 の測 定 が 可 能 で あ
ェ ッ ク(フ
生 能 と細 菌 学 的 効 果 を
示 し た 。 測 定 さ れ た42株
against
clinical
ァ イ ザ ー 製 薬)を
isolates
Inoculum
の う ち16株(38.1
size:
106 CFU/ml
VOL.42
%)が
泌 尿 器 科 領 域 にお け るTAZ/PIPCの
S-2
β-lactamase産
dis 1株
生 能 を 有 し,そ
とP.aeruginosa
4株
菌 率 は68.8%(11/16)で
1株,真
545
の う ちS.epidermi-
を 除 く11株
が 除 菌 さ れ,除
あ った。
投 与 後 出 現 菌 と し て は,S.mrcescens
ginosa
基 礎 的 ・臨 床 的 検 討
菌3株
1株,P.aeru-
で あ っ た(Table8)。
自 ・他 覚 的 副 作 用 に つ い て は1例
臨 床 検 査 値 異 常 と し て は2例
も認 め な か っ た 。
にGPTの
例 にGOT,GPT,Al-P,γ-GTPの
軽 度 上 昇 を,1
上 昇 を,1例
に好 酸
球 の 増 多 を 認 め た(Table2)。
皿.考
察
現 在 日 常 臨 床 に お い て は,抗
lactam剤
の 使 用 頻 度 が 高 い が,そ
resistant
Staphylococcus
菌 化 学 療 法 剤 と し て βの 一 方 でmethicillin-
aureus(MRSA),P.aeruginosaを
始 め と し た,耐 性 菌 の 増 加 も 重 大 な 問 題 と な っ て い る 。
各 種 細 菌 の β.lactam剤
に 対 す る 耐 性 機 構 と し て は,外
膜 の 薬 剤 透 過 性 の 変 化,β-lactamase産
の 加 水 分 解,β-lactam剤
生 に よる 薬剤
の 作 用 点 で あ るmurein
peptidaseの
変 化 な ど が 知 ら れ て い る が,一
を 除 き,大
部 分 は β-lactamase産
trans.
部 の もの
生 に よる耐 性 が 関 与
し て い る と 言 わ れ て い る31。
PIPCは1974年
発 さ れ,1980年2月
に富 山化 学工 業株 式 会 社 にお い て開
よ り臨 床 で の 使 用 が 開 始 され た 注
Fig. 1. Sensitivity distribution of clinically isolated 13-lactamase
producing bacteria (106cfu/ml, 144 strains).
TAZ/PIPC: tazobactam/piperacillin, PIPC: piperacillin
Fig. 2. Sensitivity distribution of clinically isolated P-lactamase Fig. 3. Sensitivity distribution of clinically isolated P-lactamase
producing Klebsiella pneumoniae (106cfu/ml, 11 strains).
producing Escherichia coli (106cfu/ml,26 strains).
TAZ/PIPC: tazobactam/piperacillin, PIPC: piperacillin
TAZ/PIPC: tazobactam/piperacillin, PIPC: piperacillin
CHEMOTHERAPY
546
Table 2-1.
Clinical summary of complicated UTI patients
OCT.
1994
treated with tazobactam/piperacillin
CCC: chronic complicated cystitis
MIC: inoculum size 106 cells/ml*before
treatment
BPH: benign prostatic hypertrophyafter
treatment
CCP: chronic complicated pyelonephritis
**UTI: criteria proposed by the Japanese
NGB: neurogenic bladderDr
.: doctor's evaluation
PCase: penicillinase
CSase: cephalosporinase
UTI Committee
VOL.42
泌 尿 器 科 領 域 に お け るTAZ/PIPCの
S-2
Table
YLO: yeast-like
2-2.
organism
Clinical summary
of complicated
UTI
基 礎 的 ・臨 床 的 検 討
patients
treated
with tazobactam/piperacillin
547
CHEMOTHERAPY
548
Table 2-3.
lt.: left
NFR: nonglucose
Clinical summary of complicated UTI patients
fermentative
Table 3.
gram-negative
OCT.
treated with tazobactam/piperacillin
rod
Overall clinical efficacy of tazobactam/piperacillin
in complicated
UTI
1994
VOL.42
泌 尿 器 科 領 域 に お け るTAZ/PIPCの
S-2
射 用 抗 生 剤 で,グ
ラ ム 陽 性 菌 お よ び グ ラ ム 陰性 菌 に 幅
基 礎 的 ・臨床 的 検 討
(SBT),clavulanicacid
549
(CVA)よ
り も β-lactamaseに
対
広 く 抗 菌 力 を 示 す ウ レ イ ド型 半 合 成 ペ ニ シ リ ン で あ
す る 阻 害 ス ペ ク トル は 拡 大 さ れ,阻
る 。 し か し 近 年,β-lactam剤
て,PIPCにTAZを
配 合 す る こ と に よ り そ の 抗 菌 力,
特 に β-lactamase産
生 菌 に対 す る 抗 菌 力 の 増 強 が 期 待
penicillinase産
の 使 用 量 の 増 加 に 伴 い,
生 耐 性 菌 の 増 加 を 来 し つ つ あ る 。 一 方,
そ
され る 。
れ 自 体 で は 抗 菌 力 は 限 ら れ て お り 臨 床 効 果 は あ ま り望
事 実,臨
大 鵬 薬 品 工 業 株 式 会 社 で 合 成 ・開 発 さ れ たTAZは
め な い が,各
種 細 菌 が 産 生 す る β-lactamaseと
る こ と に よ り 不 可 逆 的 に β-lactamaseを
徴 を 有 し て い る 。 そ の β-lactamaseに
は,penicillinaseを
抑 制 し,既
対 す る阻 害 作 用
強 く,cephalolsporinaseを
存 の β-lactamase阻
Table
4.
Overall
Table 5.
PCase: penicillinase
結 合 す
不 活 化 す る特
中等度 に
害 剤 で あ る,sulbactam
clinical
efficacy
Bacteriological
CSase: cephalosporinase*regardless
床 分 離 株 に 対 す る 抗 菌 力 の 検 討 に お い て,
β-lactamase産
生 菌144株
に 対 す るMICはPIPCに
1管 程 度 優 れ て い た 。 特 に,Penicillinase産
す るE.
coli, K. pneumoniaeに
MICが50μg/ml以
株,K.
of tazobactam/piperacillin
response
害能 は強 い。従 っ
to tazobactam/piperacillin
of bacterial count
お い て は,PIPCに
上 の 高 度 耐 性 を 示 す 株 がE.
pneumoniaeで3株
classified
比 して
生株 の存 在
存 在 し た が,本
by the type
in complicated
of infection
UTI
対 す る
coliで2
剤 に おい て は
CHEMOTHERAPY
550
Table
6.
Relation
between
MIC and bacteriological
OCT.
response
to tazobactam/piperacillin
No. of strains eradicated/no. of strains isolated
Table
7.ƒÀ-lactamase
production
and
bacteriological
response
in complicated
1994
UTI
VOL.
42
泌 尿 器 科 領 域 に お け るTAZ/PIPCの
S-2
基 礎 的 ・臨 床 的 検 討
そ れ ら 高 度 耐 性 株 は 認 め ら れ な か っ た 。 す な わ ち,
PIPCの 弱 点 と 考 え られ るpenicillinase高 度 産 生 性 のE.
coli,K.pneumoniaeに
TAZの
文
1)
対 す る 治 療 上 の 無 効 症 例 は,
ま た 今 回,我
々 は40例
Nakai
の慢 性 複 雑性 尿 路 感 染 症患
失 率 が33.3%(2/6)と
のMICは
低 か っ た た め で,存
全 て12.5μg/ml以
2)
菌
カテ ー テ ル留 置 例 で は 有 効 率60.0%,複
SBTとampicillinお
数 菌感 染症 に
4)
5)
1986
与 群 で 有 効 率58.3%
6)
用量 依
与 が 適 当 と考 え られ る 。
8.
Strains*
treatment
appearing
after
in complicated
2 ƒÀ- ƒÀ(1,2,3-triaa-carboxylic
triazol
Ishida
of
vitro
derivatives.
N,
Inoue
/3-lactamase
M
and
by
antibacterial
with
tazo-
activity
piperacillin.
567-574,
松 本 慶 蔵:
of
J
Anti-
1990
第40回
日本 化 学 療 法 学
新 薬 シ ン ポ ジ ウ ム 。Tazo(TAZ/PIPC,
YP-14),
青 森,
委 員 会:
最小発 育 阻止
測 定 法 再 改 訂 に つ い て 。Chemothe76∼79,
1981
究 会 (代 表
大 越 正 秋),
UTI薬
(第3版)。Chemotherapy34:
効 評価 基
409∼441,
Williams R J, et al.: National survey of antibio-
Jacob J Y, et al.: Pseudornonas aeruginosa i3-lactaand piperacillin.
221, 1984
篤 な もの は な か っ た 。
8)
剤 で あ る と考 え られ た 。
Table
A,
25:
T,
and ƒÀ-lacta-
mase as a defence against azolocillin, mezocillin
に好 酸球
以 上 よ り,本 剤 は複 雑 性 尿 路 感 染 症 に対 し有 用 な薬
Yamazaki
microb Chemother 14: 9, 1984
7)
自 ・他 覚 的 副 作 用 は1例 も認 め な か っ た 。 臨 床 検 査
値 異 常 と し て は3例 に 肝 機 能 の 異 常 上,1例
の 増 多 上認 め た が,重
in
W,
tic resistance in Pseudomonas aeruginosa. J Anti-
存 的 で あ り,体 内 動 態 と抗 菌 力 よ りみ て も1日59(1回
2.591日2回)投
Hyodo
T
1987
Inhibition
Chemother
UTI研
慮 す る と良 好 な結 果 で あ る と 言 え る。
与 群 で 有 効 率83.3%(15/18)と
related
combined
rapy29:
準
投 与 量 に つ い て は,1日2.5g投
of
日 本 化 学 療 法 学 会MIC小
の な い 有 効 率 で あ り,今 回 の 対 象 症 例 の 背 景 因 子 上考
(7/12),59投
and
濃 度 (MIC)
の 配 合 剤8,9)ある
の 配 合 剤lcl)と比 較 して も遜 色
M,
Hall
1993
良 好 な成 績 で あ っ た 。 これ は
よ びcefoperazoneと
い はCVAとticarcillinと
and
会 東 日 本 支 部 総 会,
高 く,
P,
Synthesis
146•`1474,
bactam/Piperacillin
今 回 の 臨 床 的 検 討 で は,総 合 有 効 率 は73.3%と
Tanaka
K:
properties
F,
武 部 和 夫,
Spevak
-2 a-methylpenam-3
S:
microb
3)
消 失 率 と良 好 で あ っ た 。
お い て も有 効 率80.0%と
Higashitani
N,
N,
30:
tazobactam
々の 薬剤 不 活 化 酵 素 の 産生
え ら れ た。 ま た そ の 他 の グ ラ ム 陰 性 菌 で は100%の
Chem
S
Ogawa
1,1-dioxide
bactam
耐 性 化 の 機 序 と して β-
や 薬 剤 の 膜 透 過 性 の 低 下 も 関 与 して い る6.7)ため と考
Ishida
Mitsuhashi
上 と高 度耐 性 株 で あ った。
この 理 由 と し てPaemgimsaの
1actamase産 生 以 外 に,種
消
S,
methyl]
J Med
続 し た4株
Maiti
inhibitory
acid
必 ず し も満
足 の ゆ く も の で は な か っ た 。 こ れ はPaer14gimsaの
G,
and
zol-l-yl)
β-lactamase産 生 株
で あ り,そ の 菌 消 失 率 は68.8%(11/16)と
献
R
A
mase
剤 投 与 前 に尿 中 よ り分 離 さ れ た 菌
42株 の う ち で は,16株(38.1%)が
Micetich
Yamabe
配 合 に よ り減 少 す る も の と思 わ れ る 。
者 に投 与 した が,本
551
J Antimicrob
那 須 良 次,
津 川 昌 也,
岸
公 文 裕 巳,
大 森 弘 之,
難 波 克 一,
片 山 泰 弘,
赤 澤 信 幸,
朝 日 俊 彦:
複 雑 性 尿 路 感染 症 に対
motherapy36
UTI
9)
14:
山 田 大 介,
す るSulbactam/Ampicillinの
tazobactam/piperacillin
Chemother
幹 雄,
臨 床 的 検 討 。Che-
(S-8): 415∼423,
1983
赤 澤 信 幸,
石 戸 則 孝,
大 橋 洋 三,
沖 宗 正 明,
宮 田 和 豊,
公 文 裕 巳,
松 村 陽 右,
大 森 弘 之:
複 雑 性 尿 路 感 染 症 に 対 す るSulbactam/Cefope.
razoneの
基 礎 的 ・臨 床 的 検 討 。Chemotherapy
32 (S-4):
10)
坂
549∼560,
義 人,
1984
熊 本 悦 明,
酒 井
茂,
雑 性 尿 路 感 染 症 に 対 す るBRL28500
YLO: yeast-like organism
* Persisted: regardless of bacterial count
nic
py
acid-Ticarcillin)
35:
563∼592,
他29名:
(Clavula-
の 臨 床 効 果 。Chemothera1983
複
CHEMOTHERAPY
552
Basic
and
OCT.
1994
clinical
studies
of tazobactam/piperacillin
in the urological
field
Toshihide Hayashi, Toyohiko Watanabe, Tadasu Takenaka, Kouji Sakuramoto,
Kazuhiro Hata, Noriaki Ono, Hiromi Kumon and Hiroyuki Ohmori
Department of Urology, Medical School, Okayama University
(Director: Prof. H. Ohmori)
2-5-1 Sikada, Okayama-shi, Okayama 700, Japan
Katsuyoshi Kondo
Department of Urology, Okayama Red Cross Hospital
Yasuhiro Katayama
Department of Urology, Tamano City Hospital
Teruaki Akaeda
Department of Urology, Tsuyama Central Hospital
Shunji Hayata
Department of Urology, Tottori Municipal Hospital
Toshihiko Asahi and Daisuke Yamada
Department of Urology, Kagawa Prefectural Central Hospital
We studied the antibacterial activity and clinical efficacy of a new combined drug, tazobactam/
piperacillin (TAZ/PIPC), prepared at a ratio of 1:4, in the urological field.
1) Antibacterial activity: We measured the MICs of TAZ/PIPC against clinical isolates (206
strains of 14 species) from urinary tract infections, and compared them with those of piperacillin
(PIPC), sulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ), latamoxef (LMOX) , and ceftazidime (CAZ).
Against gram-positive bacteria, the antibacterial activity of TAZ/PIPC was almost equal to that of
PIPC, but was superior to that of other control drugs, whereas against Staphylococcusepidermidis,
the activity of TAZ/PIPC was inferior to that of SBT/CPZ.
Against gram-negative bacteria the antibacterial activity of TAZ/PIPC was almost equal to that
of SBT/CPZ and equal to or twice that of PIPC but inferior to that of LMOX and CAZ.
2) Clinical efficacy: According to the criteria of the Japanese UTI Committee, the overall
clinical efficacy rate was 73.3% (22/30) for chronic complicated UTI. Bacteriologically, 38 of 48
strains (79.2%) were eradicated.
3) Side effects: No subjective side effects were observed in this investigation. Liver dysfunction in three cases and eosinophilia in one case were observed, but these were not severe.