第3節 騒音及び振動の現況と対策 1 騒音及び振動の現況 (1)騒音の状況 ア 環境騒音 騒音に係る環境基準は、公害対策基本法に基づき、表2-59のとおり定 められている。 本県では、富山市、高岡市等9市16町のうち都市計画法に基づく用途 地域の定められている地域(ただし工業専用地域を除く。)について、A 類型とB類型とに区分して、60年6月指定した。 60年度に25市町が386地点で実施した環境騒音の測定結果では、朝、昼 間、夕及び夜間(以下「4時間帯」という。)のすべてが環境基準に適合 している測定点は208点(54%)であり、4時間帯のいずれかが環境基準 に適合している測定点は164点(42%)であった。 イ 自動車騒音 県下の主要道路における自動車騒音の実態を把握するため、60年度に 25市町が162地点で実施した自動車騒音の測定結果では、環境基準の達成 状況及び公安委員会への要請限度の超過状況は、図2-12のとおりで、4 時間帯のすべてが環境基準を達成している測定点は30点(19%)であり、 4時間帯のいずれかが要請限度(表2-60)を超過している測定点は27点 (17%)であった。 ウ 高速道路騒音 高速道路における自動車騒音の実態を把握するため、北陸自動車道下 り線の庄川バス停付近(小杉・砺波I・C間)、池多バス停付近(富山・ 小杉I・C間)及び滑川市栗山地内(滑川・魚津I・C間)の3地点で 調査を実施した。 調査結果は表2-61のとおりで、道路端での騒音レベルは、自動車騒音 に係る公安委員会への要請限度を超えるものは、ほとんどみられなかっ た。 エ 工場騒音 業種別の騒音発生状況を把握するため、繊維工業、窯業・土石製品製 造業等の10工場について調査を実施した。 調査結果は表2-62のとおりで、昼間における騒音レベルは、木材・木 製品製造業、金属製品製造業が他の業種に比べてやや高い値を示したも のの、全体としては低い値であった。 オ 航空機騒音 航空機騒音に係る環境基準は、公害対策基本法に基づき、次表のとお り定められている。 本県では、59年3月、富山空港にジェット機が就航したことにより、 空港周辺の生活環境を保全する必要があることから、60年6月に航空機 騒音に係る環境基準の地域指定を行い、地域の類型は、空港周辺に住居 専用地域がないことから、類型Ⅱをあてはめた。 環境基準の達成・維持状況を把握するため、四季ごとに1回(7日間) 4地点で調査を実施しており、60年度の調査結果は表2-63のとおりで、 すべての地点において環境基準値以下であった。 (2)振動の状況 ア 道路交通振動 県下の主要道路における道路交通振動の実態を把握するため、18市町、 128地点において調査を実施した。 調査結果を区域別に対比すると表2-64のとおりであり、平均的な振動 レベルは、いずれの区域においても、道路交通振動に係る公安委員会へ の要請基準と比較して極めて低い値であった。 イ 工場振動 業種別の振動発生状況を把握するため、繊維工業、窯業・土石製品製 造業等の10工場について調査を実施した。 調査結果は表2-65のとおりで、昼間における振動レベルは、全体とし ては低い値であった。 2 騒音及び振動防止に関して講じた施策 (1)騒音の規制 ア 騒音規制法による規制 (ア)規制地域(9市16町) 富山市、高岡市、新湊市、魚津市、氷見市、滑川市、黒部市、砺波 市、小矢部市、大山町、立山町、入善町、八尾町、婦中町、小杉町、 大門町、大島町、城端町、庄川町、井波町、福野町、福光町及び福岡 町の9市14町に、60年6月、大沢野町及び上市町の2町を加え、これ らの市町のうち都市計画法に基づく用途地域の定められている地域を 規制している。 (イ)規制対象騒音 工場騒音、特定建設作業騒音及び自動車騒音 (ウ)規制対象施設・作業 a 工場騒音 金属加工機械(機械プレス、鍛造機等)、織機等30種類の施設 b 特定建設作業騒音 くい打機を使用する作業等8種類の作業 (エ)規制基準 a 工場騒音 工場騒音の規制基準は、区域及び時間帯ごとに表2-66のとおり定 められている。 b 特定建設作業騒音 特定建設作業騒音の規制基準は、作業の種類に応じて75ホンから 85ホンまでとなっている。 なお、日曜・祭日の作業禁止及び一日当たりの作業時間の制限等 も併せて実施している。 c 自動車騒音 自動車の走行によって発生する騒音については、定常走行時及び 加速走行時について許容限度を定め規制されているが、今回新たに 二輪の小型自動車及び軽自動車並びに原動機付自転車について、排 気騒音による測定を近接排気騒音による測定に改めることにより、 騒音の許容限度が強化された。 なお、指定地域内の道路周辺部における自動車走行騒音の限度は 表2-60のとおりで、この値を超える場合には市町村長が公安委員会 等に対して、交通規制や道路構造の改良等について要請することが できることになっている。 (オ)届出状況 騒音規制法に基づく特定施設の届出状況は、表2-67のとおり1,510工 場・事業場、20,246施設となっている。 イ 条例による規制 条例による規制は、騒音規制法による規制を補完するものであり、法 の指定地域以外の地域及び規制対象外の施設(ファスナー自動植付機、 走行クレーン等)を対象として、県下全域にわたって規制している。 規制基準は、騒音規制法に準じて、区域及び時間帯ごとに定められて いる。 なお、条例に基づく届出状況は、表2-68のとおり1,658工場・事業場と なっている。 (2)環境基準の地域指定 ア 指定の必要性 近年、生活様式が高度化し騒音の発生源が多様化する傾向にあること や富山空港にジェット機が就航したことにより、騒音に係る環境基準及 び航空機騒音に係る環境基準の地域指定を行い、騒音に係る生活環境の 保全を図ることとした。 イ 経緯 59年6月11日 「騒音に係る環境基準及び航空機騒音に係る環境基準 の地域指定について」県公害対策審議会に諮問、同日、 騒音振動専門部会に付託 (騒音振動専門部会を4回開催、航空機騒音実態調査 を含めて調査、審議) 60年3月26日 騒音振動専門部会より公害対策審議会に「騒音に係る 環境基準及び航空機騒音に係る環境基準の地域指定に ついて」の基本的考え方を報告。 公害対策審議会から、同部会報告をもとに地域指定の 基本的考え方を答申 60年6月1日 騒音に係る環境基準の地域類型の指定 (富山県告示第600号) 航空機騒音に係る環境基準の地域類型の指定 (富山県告示第601号) ウ 指定の内容 (ア)騒音に係る環境基準 騒音規制法と整合を図るため、騒音規制法で地域指定がなされてい る9市16町の区域のうち都市計画法に基づく用途の定まっている地域 (工業専用地域は除く。)を指定した。 (イ)航空機騒音に係る環境基準 75WECPNLを超えるおそれのある地域のうち空港敷地、河川区域 及び航空機騒音の防止のための緑地帯を除く地域を指定した。 (3)振動の規制 振動規制法による規制 ア 規制地域(9市16町) 富山市、高岡市、新湊市、魚津市、氷見市、滑川市、黒部市、砺波 市、小矢部市、大山町、立山町、入善町、八尾町、婦中町、小杉町、 大門町、大島町、城端町、庄川町、井波町、福野町、福光町及び福岡 町の9市14町に、60年6月、大沢野町及び上市町の2町を加え、これ らの市町のうち都市計画法に基づく用途地域の定められている地域を 規制している。 イ 規制対象施設 工場振動、特定建設作業振動及び道路交通振動 ウ 規制対象施設・作業 (ア)工場振動 金属加工機械(機械プレス、鍛造機等)、織機等20種類の施設 (イ)特定建設作業振動 くい打機を使用する作業等6種類の作業 エ 規制基準 工場振動に係る規制基準及び道路交通振動に係る公安委員会等への 要請基準は、それぞれ表2-71、表2-72のとおりである。 また、特定建設作業振動の規制基準は75デシベルで、日曜・祭日の 作業の禁止及び1日当たりの作業時間の制限等も併せて実施している。 オ 届出状況 振動規制法に基づく届出状況は、表2-73のとおり788工場・事業場、 11,266施設となっている。
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