繊維産業の現状及び今後の政策展開 - 経済産業省

繊維産業の現状及び今後の展開について
平成25年1月17日
経済産業省
繊維課長 片岡 進
目次
1.繊維産業の現状について
2.繊維産業のサプライチェーンの状況
3.日本衣料品市場の販路別構成
4.繊維産業のグローバル市場
5.これまでの繊維政策
6.今後の繊維政策の方向性
1
1.繊維産業の現状について
2
繊維産業の現状①
繊維産業の製品出荷額は、1991年がピーク。現在はピーク時の1/3以下。
繊維産業は、70年代以降3度のショックを経験(日米繊維交渉協議(70~72年)、オイルショッ
ク(73、79年)、プラザ合意(85年)後の円高)
14.0
繊維産業の製造品出荷額の推移
兆円
日本の繊維貿易の推移
12.85
12.0
10.0
8.0
5.35
6.0
4.0
3.79
2.0
0.0
(出典)工業統計「産業編」 中分類別 従業員4人以上
季節調整済指数
(2005=100)
繊維産業の生産指数の推移
90
生産
85
4000 (億\)
3500
3000
2500
2000
1500
1000
500
0
ニ
-500
ク
ソ
ン
-1000
シ
ョ
-1500
ッ
ク
-2000
-2500
-3000
’65 ’70
(\/$) 400
輸入(左軸)
350
為替レート(右軸)
プ
ラ
ザ
合
意
オ
イ
ル
シ
ョ
ッ
ク
300
リ
輸出(左軸)ー
マ
ン
シ
ョ
ッ
ク
バブル崩壊と
第2次円高ショック
250
200
150
100
輸出-輸入(左軸)
50
0
’75
’80
’85
’90
’95
’00
’05
’10
80
75
70
65
60
1
3
5
7
2008年
9 11 1
3
5
7
2009年
9 11 1
3
5
7
2010年
9 11 1
3
5
7
2011年
9 11 1
2012年
3
繊維産業の現状②
製品出荷額の減少に合わせる形で、 1990年代以降は輸入浸透率が増加し、現在は数量ベー
スで約96%に。
輸入品の流入に伴い、衣料品の平均単価も低下。製品出荷額の減少を招いている状況。
平均単価の低下は、国内SPAの発展、海外ファストファッションの国内進出も影響。デフレ下で、
品質が高い低価格品が市場に定着。百貨店販売を中心とする伝統的アパレル等は苦戦。
衣料国内供給量と平均単価
衣類の輸入浸透率
(%)
120
(百万点)
輸入浸透率(数量(点数)ベース)
千
4,200
輸入浸透率(金額ベース)
100
80
85.0
87.7 89.0
91.2
92.8
93.3
93.9
94.3
94.7
95.4
79.7
60
70.6
平均単価
(円)
3,000
4,000
2,500
3,800
2,000
3,600
1,500
3,400
1,000
3,200
500
3,000
0
73.8
67.1
51.7 54.2
40
56.6
60.4
67.9
66.8
67.6
63.1
45.0
36.1
国内供給量
36.3
38.7
20
0
(年)
出所:繊研新聞社
01年02年03年04年05年06年07年08年09年10年
注1:衣類=布帛外衣+布帛下着+ニット外衣+ニット下着
注2:輸入浸透率=輸入量÷(生産量+輸入量-輸出量)×100
出所:生産:経済産業省「工業統計」/財務省「貿易統計」
4
繊維産業の現状③
バブル崩壊を契機に経済的に厳しい状況が続く中、価格の低下圧力は、製造原価の引き下げを
加速。
製造原価の引き下げ圧力は、素材及び製品の海外調達を加速したとも考えられる。
結果、海外の調達が増加することで国内繊維産業の事業所数、従業者数は激減。
繊維産業の事業所数及び従業者数
(箇所)
80,000
70,000
(人)
1985年
115万人
1985年
66,174箇所
1,200,000
事業所数(左軸)
従業者数(右軸)
1,000,000
60,000
800,000
50,000
40,000
30,000
600,000
2010年
30万人
400,000
20,000
2010年
15,902箇所
200,000
10,000
0
0
出所:経済産業省「工業統計」
5
繊維産業の現状④
1980年以降、我が国の服飾・モード関係専門学校の学生数も減少していることに留意が必要。
日本全体の学生数の推移と比較してみると、1977年以降、高卒数が全国で増加するのと逆に、
服飾・家政専門学校の生徒数の生徒数は急減。その傾向は、その後一貫して継続。
生徒数が減少していることに加え、海外からの留学生も増加(中国、韓国、台湾等)。
デザイナー(服飾・テキスタイル)の国内での就職口も事業所数の減少に伴い減少していると考え
られる。
(人)
専門学校(服飾・家政)の生徒数の推移
90,000
【参考】
80,000
1977年以降高卒数は増加
70,000
1991年以降減少
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
出所:文部科学省 学校基本調査速報
(年)
6
2.繊維産業のサプライチェーンの状況
7
繊維業界サプライチェーン①
川上から川下まで長い分業体制が特徴。(糸、糸加工、織編、染色整理加工、縫製、アパレル、流通)
最終製品は、化合繊で見れば、衣料向け22%、家庭向け38%、産業資材40%と産業資材向け
用途が拡大。
化合繊・紡績糸
織物・ニット、染色加工
小売
衣料品市場(約16.6兆円)※1
アパレル
【最終製品の用途】
※
数
縫製メーカー
染料メーカー
アパレル
メーカー
衣字
料は
百貨店
化
学
22 繊
%維
の
み
ア
パ
レ
ル
企
画
企
画
デ
ザ
イ
ン
ア
パ
レ
ル
製
造
卸
パ
タ
ー
ン
縫
製
チェーンストア
糸メーカー
生地メーカー
染色事業者
※
・
袋・
シ・
布・
毛・
カ・
カ
ー団布ーー
ツ
テペ
ンッ
ト
数
専門店
家字
庭は
化
学
38 繊
%維
商社
織物卸
流
通
の
み
製造小売
※
通信販売
裁
断
・
縫
製
(
海
外
)
部
品
メ
ー
カ
ー
↑
輸入相手国:中国:83.3%、ベトナム4.6%、イタリア2.6%、タイ1.1% ※2
※1:繊維ハンドブック卸・小売業主要指数、工業統計及び商業統
計。
※2:繊維ハンドブック 主要相手国地域別の衣類輸入数量・金額。
加
工
↑
縫製メーカー
製
織
↑
染色事業者
原
糸
↑
生地メーカー
エ
ア
バ
ッ
グ
の
例
↑
繊
40 維
%の
み
海外
糸メーカー
産数
業字
資は
化
材学
・
ケ・
土・
漁・
フ・
医・
建・
自
テ・
ー嚢ン網エ療設動
ブ袋ト ル製資車
ト
ル
品材
自
動
車
メ
ー
カ
ー
8
繊維業界サプライチェーンの状況
繊維の生産・加工・流通フローチャート(2009年)
繊
維
原
料
の
生
産
・
流
通
糸
の
生
産
・
流
通
織
・
編
物
の
生
産
・
流
通
国産
輸入
原料段階
23,699億円
繊維原料卸
繊維原料輸入
399億円
160
3,879
10,169
繊維原料輸出
1,061億円
生糸・繭玉卸
1,187
16,647
11,340
化合繊製造
上段:事業所数
中段:出荷(販売)額(億円)
下段:従業員数
98
352
492
炭素繊維製造
15
1,361
1,891
製糸業
紡績業
17
4
83
385
814
6,798
撚糸製造業
2,131
717
8,503
糸段階
5,850億円
糸類輸出
778億円
糸卸
651
2,774
3,888
糸類輸入
763億円
織物業
ニット生地製造業
8,919
3,695
36,702
織物段階
37,017億円
綱・網・レース・繊維粗素材製造業 3,673
4,985
30,212
1,270
1,159
7,322
染色整理業
織物卸
織物類輸入
913億円
3,516
3,895
33,811
3,329
22,369
24,351
織物類輸出
2,531億円
その他繊維工業
衣類等製造業
衣
類
等
の
生
産
・
流
通
繊維二次製品輸入
28,153億円
繊維二次製品輸出
2,776億円
衣類・見回品卸業
繊維製品段階
333,139億円
19,796
124,266
228,623
織物・衣類等小売業
小売段階
8,372
8,145
63,917
18,352
12,420
170,157
百貨店・総合スーパー
166,732
106,940
676,614
1,856
58,584
155,808
輸出
消費額(億円)
165,524
人口:
127,510千人
出所:「繊維ハンドブック」日本化学繊維協会
9
代表的な川上メーカー(糸メーカー)の状況
化学合成繊維メーカーの歴史は選択と集中の変遷。製品別の棲み分けに向けて進展。
東レは糸の品種を堅持。帝人はアクリル、ナイロンから撤退。三菱レイヨンはポリエステルから
撤退。旭化成は、ポリエステル、アクリルから撤退。
海外展開は早く、汎用素材の製造拠点として1960年代からアジア(中国、タイ、インドネシア等)
に展開。
我が国メーカーの高機能繊維は、国際的にも高い評価。
主な化学合成繊維企業の製造品目
合成繊維
ポ
リ
エ
ス
テ
ル
ア
ク
リ
ル
帝人
●
東レ
●
三菱レイヨン
×
クラレ
●
東洋紡
●
旭化成
×
ユニチカ
●
ア
ク
リ
ル
系
ナ
イ
ロ
ン
ア
ラ
ミ
ド
×
×
●
●
●
●
ポ
リ
プ
ロ
ピ
レ
ン
主な化学合成繊維企業のセグメント別売上げ構成(2012年3月期)
ビ
ニ
ロ
ン
ポ
リ
塩
化
ビ
ニ
ル
ビ
ニ
リ
デ
ン
ポ
リ
ウ
レ
タ
ン
●
レ
ー
ヨ
ン
キ
ュ
プ
ラ
×
●
ア
セ
テ
ー
ト
ト
リ
ア
セ
テ
ー
ト
×
炭
素
繊
維
環境・エライフサ
ンジニアイエンス,
3.5%
リング,
その他,
10.7%
炭素繊 0.8%
維・複合
情報通 材料,
信材料・ 4.4%
機器,
プラス
15.3%
チック・
ガ
ラ
ス
●
●
●
●
●(FYは×)
東レ株式会社
再生繊維 半合成繊維 無機繊維
●
●
●
×
●
●
×
×
×
●
×
不動産・
その他,
7.2%
ライフサイ
エンス,
9.1%
繊維,
40.2%
産業マテ
リアル,
20.4%
ケミカル,
25.0%
●
●
東洋紡株式会社
×
●
ダイワボウホールディング
●
その他,
14.3%
●
オーミケンシ
●
ニチビ
●
×は、2000年以降に事業撤退
繊維,
13.6%
トレーディ
ング,
24.1%
●
カネカ
医薬医療,
17.6%
化成品,
26.5%
建材, 2.9%
エレクトロ 繊維, 7.0%
ニクス, その他,
9.3% 1.2%
医薬・医
療, 7.6%
●
●
高機能繊
維, 14.8%
ポリエス
テル繊維,
13.5%
●
日東紡績
セーレン
フィルム・
機能樹脂,
38.1%
流通・リテ
イル,
27.6%
旭化成株式会社
株式会社クラレ
●
●
衣料繊維,
25.2%
帝人株式会社
樹脂,
32.0%
住宅,
28.7%
化学品,
16.1%
業界資料より経済産業省作成
ケミカル,
43.2%
出所:各企業ウェブサイト
日本の合繊メーカーの海外投資例 -紡織含め海外展開する日本企業-
時期
1963年
1970年
1971年
1973年
1995年
1997年
会社名
東レ
帝人
東レ
東レ
東レ
東レ
帝人
東レ
東レ
ユニチカ
地域
タイ
タイ
タイ
インドネシア
インドネシア
インドネシア
タイ
マレーシア
中国
タイ
品目
ナイロンF
ポリエステルS
ポリエステルF
ポリエステルF
ポリエステルS
ナイロンF
ポリエステルF
ポリエステルS
ポリエステルF
ポリエステルF
時期
備考
1999年
2000年
2001年
2003年
2004年
2005年
2006年
会社名
東レ
東レ
旭化成
帝人
旭化成
旭化成
東レ
東レ
旭化成
旭化成
地域
韓国
韓国
台湾
オランダ
中国
タイ
中国
中国
ドイツ
米国
品目
ポリエステルF
PP不織布
スパンデックス
アラミド
スパンデックス
スパンデックス
ナイロンF
PP不織布
スパンデックス
スパンデックス
備考
※撤退
10
川中企業の状況
川中企業の大半は、中小零細企業。従業員9人以下がどの業態も80%。
伝統的にアパレル・問屋等からの委託加工が多かったため、輸入品の急増に伴い、受注が減少
して企業数が減少。自立化が大きな課題であるとともに、国際化(海外展開)も課題。その他、高
齢化、事業承継の問題も抱える。
他方、受託加工の体質から脱却して、自立化を果たし成功している企業も各産地に存在。
— 日本で しかつくれないテキスタイルを求めて欧米の高級ブランドも日本に調達に来ている。
— 衣料向けだけ でなく産業用途(自動車向け、医療向け、エレクトロニクス向け等)でも国際競
争力を有する製品は多数あり。
常用雇用者規模別企業数
繊維工業全体
紡績業等
織物・ニット
生地製造業
染色整理業
繊維製品
製造業
0~4人
11,156 50.0%
545 55.7%
1,742
60.7%
929 50.1% 7,940 47.8%
5~9人
4,425 19.8%
169 17.3%
525
18.3%
343 18.5% 3,388 20.4%
10~19人
3,232 14.5%
100 10.2%
304
10.6%
258 13.9% 2,570 15.5%
20~29人
1,188
5.3%
44
4.5%
98
3.4%
125
6.7%
921
5.5%
30~49人
990
4.4%
32
3.3%
97
3.4%
87
4.7%
774
4.7%
50~99人
769
3.4%
40
4.1%
55
1.9%
62
3.3%
612
3.7%
100~299人
449
2.0%
35
3.6%
33
1.1%
44
2.4%
337
2.0%
300~999 人
95
0.4%
10
1.0%
12
0.4%
5
0.3%
68
0.4%
1000~1999人
14
0.1%
2
0.2%
2
0.1%
1
0.1%
9
0.1%
2000~4999人
6
0.0%
1
0.1%
2
0.1%
0
0.0%
3
0.0%
5000人以上
1
0.0%
1
0.1%
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
合計
22,325
-
979
-
2,870
-
1,854
-
16,622
-
※繊維工業(紡績業、織物業等)の雇用者規模別の企業数をみると、0~4人規模の
企業が50%を占め、99%以上が300人未満の企業で占められている。
出典:統計局 「平成21年経済センサス」
11
川下企業の状況①
我が国アパレル企業は、一部を除いて国内市場中心の思考(海外展開も最終仕向地を日本市
場とする調達先の確保に留まり、海外、特にアジア市場における内販は今後の課題)。
また、海外ブランドとは異なり、一社が多数のブランドを有しており、ブランディング戦略上の弱
みとなる場合あり。今後の海外展開を図る上でブランディング、 差別化戦略が重要。他方、日本
製品への関心が欧米を中心に高く、この追い風を活かすことが重要。
なお、アパレル企業は自社開発生産型から、自社開発外部生産、OEM、ODM調達など業態は
多様化しているのが現状。自社開発生産型は、商品差別化を図れるが、商品の市場投入のス
ピードが遅くなる。OEM、ODMでは、市場投入のスピードが速くなるが、差別化が困難になるとの
一般的特徴あり。
主要なアパレル企業の売上高
1.株式会社 ファーストリテイリング
① 売上高:9,287億円(国内ユニクロ:6,200億円、海外ユニクロ:1,531億円、
グローバルブランド:1,530億円)(2012年8月期)
② 利益高:717億円( 2012年8月期)
③ ブランド:UNIQLO、HELMUT LANG、PLST、Theory等
2.株式会社しまむら
① 売上高: 4,664億円( 2012年2月期)(国内:4,632億円、海外:32億円)
② 利益高: 252億円( 2012年2月20日現在)
③ ブランド:しまむら、Avail、Birthday、Chambre、Divalo
3.株式会社ワールド
① 売上高: 3,299億円(2012年3月期)
② 利益高: 26億円(2012年3月期)
③ 生産比率(仕入金額):海外69%、国内31%(2011年10月現在)
④ ブランド:ALBUM、OZOC、INDEX、Modify、TK 等
9.株式会社AOKIホールディングス
① 売上高: 1,466億円(2011年3月期)
② 利益高:71億円(2011年3月期)
③ ブランド:CAFÉ SOHO、FARAGO、INTIMAGE、Les Mues 等
(単位:100万ドル)
90,000
80,000
70,000
日本は、輸出の割合
が極端に低い
60,000
50,000
輸出
40,000
輸入
30,000
20,000
10,000
4.株式会社オンワードホールディングス
① 売上高: 2,424億円(2012年2月期)
② 利益高:35億円(2012年2月期)
③ 生産比率:海外80%、国内20%(2011年10月現在)
④ ブランド:組曲、23区、M MISSONI、五大陸、自由区 等
10.グンゼ株式会社
① 売上高: 1,366億円(国内:1,149億円、海外:217億円)(2012年3月期)
※うちアパレル:729億円
② 利益高: 6億円(2011年3月期)
③ 生産比率:インナーウエア(海外54%、国内46%)、レッグウエア
(ストッキング(海外40%、国内60%)、ソックス
(海外100%、国内0%))、ハウスカジュアルウエア
(海外91%、国内9%)、繊維資材(海外70%、国内30%)
(2011年10月現在)
④ ブランド:BODY WILD、GUNZE、SEEK、KG、快適工房 等
5.青山商事株式会社
① 売上高: 2,000億円(2012年3月期)
② 利益高:91億円(2012年3月期)
③ ブランド:IMMAGINAZIONE、Savile Row、HILTON TIME、REGAL 等
11.株式会社ポイント
① 売上高: 1,151億円(国内:1,116億円、海外35億円)(2012年2月期)
② 利益高: 68億円(2012年2月期)
③ ブランド:LOWRYS FARM、HARE、JEANASIS、heather等
6.株式会社良品計画
① 売上高:1782億円(国内:1,542億円、海外:240億円)(2012年2月期)
② 利益高: 89億円(2012年2月期)
③ ブランド:無印良品
12.株式会社三陽商会
① 売上高: 1,046億円(2011年12月期)
② 利益高: -12億円(2011年12月期)
③ 生産比率:海外80%、国内20%(2011年10月現在)
④ ブランド:ILFARO、EPOCA、GUILD PRIME、COTOO、BURBERRY等
7.株式会社ワコールホールディングス
① 売上高: 1,719億円(国内:1,496億円、海外223億円)(2012年3月期)
② 利益高: 69億円(2011年3月期)
③ 生産比率:海外43%、国内57%(2011年10月現在)
④ ブランド:Wacoal、Wing、Kirei、IMPLICITE、 BROS 等
〈各国のアパレル輸出入額〉
(出所)繊維ハンドブック2009
8.株式会社TSIホールディングス
① 売上高: 1,478億円(2012年2月期)
② 利益高: -27億円(2012年2月期)
③ 生産比率:海外85%、国内15% (サンエーインターナショナル)、
海外70%、 国内30%(東京スタイル) (2011年10月現在)
④ ブランド:Biancheri tutu、avienne、COLIENU、BISTY、Plidoul
0
日本
韓国
1: 60
50
フランス
1: 2 1: 2
イタリア
3: 2
ドイツ
1: 2
アメリカ
6:100
アパレルの企画・開発のプロセス
自社で行うプロセス
M
D
企
画
デ
ザ
イ
ン
企
画
仕
様
開
発
素
資
材
選
択
工
場
選
定
生
産
管
理
生
産
(ソーイング)
ODM調達
○
・・・
OEM調達
○
○
○
△
自社開発外部生産
○
○
○
○
○
○
自社開発自社生産
○
○
○
○
○
○
FOREVER21、CECIL McBEE、
ポイント
・・・ H&M
・・・ ユニクロ、GAP
○
・・・ ルイ・ヴィトン、エルメス、ZARA
12
川下企業の状況②
国内市場中心の我が国大手アパレル企業の規模は、世界の有力アパレル企業と比較した場合、
総じて小規模であるが、ファーストリテイリング(ユニクロ)など世界的なSPA(製造・販売一体型企
業)も台頭。
海外ラグジュアリーブランドカンパニーと日本アパレル企業の売上げ等の比較
企業名
本社所在国
売上高
営業利益
主なブランド
LVMH
PPR
リシュモン
オンワードHD
TSIHD
フランス
フランス
スイス
日本
日本
2兆3659億円
1兆3597億円
9853億円
2424億円
1478億円
5845億円
1780億円
2267億円
110億円
△ 69億円
ルイ・ヴィトン、ロエベ、
セリーヌ、ジバンシィー、
フェンディ、ケンゾー、ク
リスチャンディオール、
マークジェイコブス等
グッチ、アレキサンダー
マックイーン、バレンシ
アガ、イブ・サン・ローラ
ン、プーマ等
ダンヒル、クロエ、ランセ
ル、カルティエ、モンブラ
ン等
23区、組曲、ICB、五
大陸、JOSEPH、ジル
サンダー等
ジルスチュアート、ピン
キー&ダイアン、バー
ビー、ナチュラルビュー
ティー等
※LVMH、PPRは2011年決算、リシュモンは11年4月~12年3月決算、オンワードHD、TSIHDは平成24年2月期。
※レートは、1ユーロ111.12円(2011年平均レート)で換算
世界的SPAの売上等の比較
企業名
ヘネス&
マウリッツ
ギャップ
インディテックス
フォーエバー21
ファースト
リテイリング
本社
スウェーデン
アメリカ
スペイン
アメリカ
日本
展開ブランド
H&M
ZARA 他
FOREVER21 他
UNIQLO 他
売上高※1
1兆3541億円
1兆1616億円
1兆5326億円
2715億円※2
9286億円
売上総利益率
60.1%
36.2%
59.3%
非上場のため
非公表
51.2%
営業利益※1
2509億円
1148億円
3620億円
非上場のため
非公表
1264億円
店舗数※3
(内日本国内)
2629店
(19店)
約3300店
(95店)
5887店
(89店)
542店
(11店)
GAP、
OLD NAVY、
BANANA
REPUBLIC 他
※1 レートは、1ドル=79.84円、1ユーロ111.12円、1スウェーデンクローネ=12.31円で換算。
財務データについては、ファストリが12年8月で、他が11年末時点のもの。
※2 Hoover’s公表(12年2月期)
※3 店舗数は、H&M、ファストリが12年8月末、ギャップ、フォーエバー21が12年12月末、インディテックスが12年10月時点のもの。
2222店
13
3.日本衣料品市場の販路別構成
14
日本の衣料品の販路別構成
SPA型の専門店、ネット販売などが伸長する中、百貨店・量販店は低迷。
百貨店・量販店の低迷は、販売を依存するアパレルにとっては無視できない状況。駅ビル、駅ナ
カ、高速道路SAなど、多様化する商業施設への販路対応が求められている状況。
こうした販路別構成の変化は規制の変遷とも大きな関係。SPAの発展は定期借家権の活用など
の面も大きいと見られる。
日本の衣料消費市場の販路別構成(2010年)
無店舗販
売
百貨店
11%
25%
専門店
49%
5
4
量販店
15%
1
1974年
百貨店
大規模小売店舗法(大店法)
店舗面積1,500㎡以上が調整対象。
量販店
1991年
1992年
1993年
専門店
無店舗販売
販路別に見た衣料消費市場の変遷(兆円)
1998年
専門店
規制強化
出店抑制
大店法改正
1994年改正では、1,000㎡未満を
調整不要とし、閉店時間、年間休業
数等を緩和。
まちづくり3法の制定(中心市街
地の空洞化問題への対応)
-大規模小売店舗立地法 (大店立地法)調整対象は、店舗面積1,000㎡超とし、
地域社会との調和や環境問題への
対応という観点からの社会的規制へ
百貨店
3
2
商業施設関連の規制緩和・強化の流れ
日米構造協議
を背景とする
規制緩和
量販店
2000年
借地借家法改正
定期借家権制度の導入
2006年
都市計画法、中心市街地活性化
法の改正
無店舗販売
0
01年 02年 03年 04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年
出所:繊研新聞社
規制強化
コンパクトシティ構想の具体化
(大規模小売店舗の郊外出店規制)
15
4.繊維産業のグローバル市場の見通し
16
繊維産業のグローバル市場の見通し
グローバルで見た繊維産業は成長産業。2011年の生産量76百万tから2020年には90百万t
まで成長することが見込まれる。
合繊で見れば今後の成長市場は中国。中国市場を無視してはグローバル市場を語れない状況。
インドは2020年以降成長を加速するとの予測。
一人当たりのGDPと一人当たりの繊維消費量の相関関係で見れば、新興国市場で、今後まだま
だ繊維消費が増加すると予測。
世界の主要繊維生産量
一人当たりGDPと繊維消費量の相関関係
主要国・地域の合繊生産量
17
アジア・欧州市場の現状
韓国は、品質レベルは著しく成長しかつ衣料品市場としても成熟。ファッションのレベルは、日本
と同等あるいはそれ以上との認識も一部にあり。
中国は、富裕・中間層の増加により、ハイエンド市場が成長途上。他方、生産レベルは、完成度
は低いとも言われるものの、技術力は我が国と肉薄。
アジアの中では一人当たりGDPが高いシンガポール、香港、台湾も、製品の質が高く衣料品市
場としても成熟。
マレーシア、タイ、インドネシアは、衣料品市場の成長は著しいが、ハイエンド市場は一部の大都
市圏に限られるとの見方あり。
2020年以降成長が見込まれるインドは、一人当たりGDP水準は未だ低く、ごく一部の富裕層を
除けばハイエンド市場はまだまだ未成熟。
フランス、イタリアは、産地の企業数が減少傾向にある等、日本と共通の課題に直面。他方、フラ
ンスでは百貨店やSCの売り場で高級品の売れ行きが近年増加。
一人当たりのGDP(2011年)
12位
17位
18位
19位
24位
26位
34位
40位
64位
90位
91位
110位
118位
124位
137位
141位
143位
147位
154位
157位
159位
シンガポール 49,270.87
日本
45,869.72
ドイツ
44,110.99
フランス 44,007.33
イタリア
36,266,88
香港
34,259.34
韓国
22,424.06
台湾
20,082.92
マレーシア 10,084.61
中国
5,416.67
タイ
5,394.71
インドネシア
3,511.80
モンゴル
3,125.53
フィリピン
2,344.89
インド
1,513.62
ベトナム
1,374.01
ラオス
1,320.26
パキスタン 1,199.11
カンボジア
853.50
ミャンマー
824.19
バングラディッシュ 766.94
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
USドル
繊維産業における事業所数の推移(イタリア、フランス、イギリス)
近年の円高等の日本全体を取り巻く環境は厳しいが、欧州市場については、産地企業数の減少、
高級品志向の回帰により、日本企業にとっての進出のチャンスは広がっているものと考えられる。
また、日本ブームの追い風もあり。
アジア市場は、中国、韓国、シンガポール、台湾、香港は市場として成長・成熟。
欧州での高級志向の回帰とも合わせれば、アジアでも高級品市場が、今後伸長する可能性あり。
日本企業にとっては好機と見るべきか。
その他、マレーシア等については、将来を見据えて布石を打っていくというスタンスか。
18
繊維産業の現状(まとめ)
1.ファストファッション、SPAの発展、市場の二極化
2.産業構造の変化、流通構造の変化
(多段階のサプライチェーンの変化、産地内の生産完結が困難化、販路の変化)
3.国内市場は縮小、海外市場は拡大の一途
4.日本の繊維・アパレル企業の立つ位置
~ 国際的に高い評価も、海外(アジア)の猛追
5.今後必要とされるのはさらなる意識改革
~ 自立化は、海外で戦う覚悟(海外市場の取り込み)を伴うものであることが必要
グローバルで生き残る企業が今後生き残る企業
~ マーケティング戦略の重要性に対する認識が必要
技術開発の段階からマーケティング戦略を取り入れる企業が
ブランディングに成功する企業
19
5.これまでの繊維政策
20
繊維ビジョン(2007年)で示された方向性
平成19年5月に取りまとめられた「繊維産業の展望と課題」(いわゆる繊維ビジョン)を踏まえ、繊
維産業の国際競争力の回復を目指し、以下の重点5分野に取り組んでいる。
3つの柱
構造改革の推進
①産地中小企業の活性化
・企業間連携、統合による多段階構造の克服
・「よろず相談窓口」となる総合支援拠点整備
(中小企業基盤整備機構との連携)
・中小企業地域資源活用プログラム
②生産性向上
・取引慣行改善
(「中小企業底上げ戦略」との連携)
・IT化の推進
(情報共有基盤整備の推進)
技術力の強化
①研究開発投資の重点化
・「技術戦略マップ2007」への
「ファイバー」分野の新設
②異業種との開発協力の促進
・「産業クラスター計画」への参画
情報発信力・
ブランド力の強化
①ホームに拠点を持つ
・「東京発 日本ファッション・ウィーク」
・「TOKYO FIBER」
②アウェイで競う
・海外展示会の充実(JETROとの連携)
③新しいライフスタイル需要を創る
・環境調和型ライフスタイルの促進
・和装需要の振興
③技術流出対策
・外為法等の見直し
③その他横断的施策の活用
「TOKYO FIBER」
国際展開の推進
①WTO/EPA交渉等を通じた
海外市場の障壁削減
②国際展開のリスク軽減支援
(JETRO、日本貿易保険との連携)
③知的財産保護の強化
・模倣品対策
人材の確保・育成
2つの基盤整備
①必要な人材の確保・育成
・技術者・技能者
・ファッション人材
・国際事業展開に必要な人材
②人が育つ環境の整備
・資料館の整備
・子供に対する産業・産地教育の実施
・産業の魅力の発信
21
機密性○
今後の繊維・ファッション産業のあり方研究会での提言(平成22年4月)
・国内市場の成熟・縮小や人件費等の高コスト構造、新興国・途上国の競争力向上等を踏まえると、全
員の生き残りは不可能。
・一方、経営、技術、デザイン、品質管理などの強みを有する(差別化ができる)事業者や産地には発展
のチャンスあり。
・また、我が国は今後の世界の成長センターとも言われるアジア諸国の近接に位置するため、この成長
市場をうまく取り込むことができれば、我が国繊維・ファッション産業の新しい展開も期待できる。
現 状
チャンス
今後の方向
内 需 依 存
アジアを中心に拡大する外需
内需依存体質からの脱却・外需
の取り込み
低 価 格 化
価値観の多様化、クールジャパン
等日本の文化産業の人気
コスト競争からの脱却
-感性をビジネスへ
中小・零細企業中心にバラバラ
の取組
技術面での途上国の追い上げ
技術開発の成果が見えにくい
安全・安心や感性を十分アピー
ル・ブランド化できていない
連携・統合により今までにない強
み、効率化を産む可能性
現状では先端技術の水準は世界
トップクラス、応用分野の拡がり
環境や安全・安心への関心の高まり
個別から連携・統合へ
トップレベルの技術を幅広い分野に
社会のニーズを付加価値に変える
22
1.内需依存体質からの脱却・外需の取り込み
これまでの取り組み
 EPAの推進
 クール・ジャパン戦略の推進
 海外展開の個別支援(tokyoeye事業、ものづくり事業者等販路開拓支援事業、
ジェトロ・中小企業基盤整備機構による海外展示会出展支援等)
成果と課題
 アジア、アセアン等でのEPA締結。日中韓FTA、東アジア包括的経済連携(RCE
P)について交渉開始合意、 日EUEPAはEUにおける欧州委員会への権限承認
により交渉開始の環境が整ったところ、TPPは参加に向けた関係国との協議段
階。他方、アジアでの生産拠点の展開を進めている我が国繊維産業にとって、中
国、韓国とのFTA早期締結は重要。EUとのEPAも韓国との競争条件の対等化の
上で必要。TPPについても外需取り込みの上で無視できない取組。
 クール・ジャパン事業は、民間投資の呼び水との位置づけとしても、単発では成果
が出ないとの不満もあり。
 海外展開の個別支援事業では、契約成約に至る例あり。他方で、展示会出展後
のフォロー体制が企業側に整っていないこと等から、せっかくのビジネス機会を逸
している例もあり(そもそも海外展開への本気度が低く冷やかし意識での参加事
例もあり)
23
2.コスト競争からの脱却 ~ 感性をビジネスへ
これまでの取り組み
 クール・ジャパン戦略の推進 ~ 日本文化の一体的発信の一環として、繊維・
ファッションについてもジャパン・ブランドとして発信
 tokyoeye事業
 ものづくり事業者等販路開拓支援事業
 JAPANブランド育成支援事業 等
成果と課題
 支援事業の成功事例あり。(今治産地(タオル)、紀州産地(パイル織(編)物)、丹
後産地(絹)等)
 コスト競争からの脱却は道途上、ファストファッションの発展の中でデフレ圧力は加
速化しているのが現状。
 製造コストを抑えるため国内産業の空洞化が進展(化合繊・紡績メーカー、縫製業
をはじめ海外へ)
 海外への製造拠点の移転に伴い、国内産地が苦境に直面。失われていく高度の
我が国固有の独自技術。
24
国の補助金等を活用した産地の成功事例①
紀州産地(パイル織(編)物)の事例
活用した国の補助金
期間・・・平成19~20年度
補助事業・・・地域資源活用新事業展開支援事業
期間・・・平成21~23年度
補助事業・・・JAPANブランド育成支援事業
事業内容
今治産地(タオル)の事例
活用した国の補助金
期間・・・平成18~21年度
補助事業・・・JAPANブランド育成支援事業
事業内容
・ 「自ら作ったものは、自ら売る」ことを目指し、委託生産型か
ら自販型への転換。「高野口ブランド」の消費者への認知を
最終目標に事業を展開。
・ ブランドロゴマークの製作の独自の品質基準の設定し、地域ブラ
ンドを確立。
・ 国内単独展「高野口パイルファブリック展」の開催、JCやPT
J、ギフトショーへの出展。
・ タオルソムリエ資格制度の創設。
・ ロゴマークを策定し、ブランド認知を向上。
・ タオルマイスター制度の導入と新しい技能評価検定制度の創
設。
・ 新商品の開発と国内外見本市への出展。
・ 参加企業とデザイナーとの共同で新規素材を開発
・ 服飾専門学校と連携し、産地視察の積極的受入を実施。
成功の要因
・ ラフォーレ原宿といった消費地で開催したことで、プレゼン
テーション能力、モチベーションの向上につながった。
・ 産地の技術を熟知しているコーディネーターにプロデュース
を依頼し、ライフスタイルの提案をテーマとして、当産地の織
物の特色である幅広い用途をPRし、展示商談会を開いて
いること。
成功の要因
・ 官民を挙げた地域ぐるみでの取組であったこと。
・ 佐藤可士和氏によるブランディングに成功したこと
・ 消費者へのPRが成功したこと。(伊勢丹新宿店によるコーナー
の設置、テレビ、新聞などへの露出)
・ 徹底した品質管理を行い、ブランドの価値を維持していること。
・ UstreamといったIT媒体を使った展示会中継を行うなどを
実施し、話題を集めた。
25
国の補助金等を活用した産地の成功事例②
丹後産地(絹)の事例
平成24年度中小企業海外展開支援事業費補助金
(JAPANブランド育成支援事業)
【ブランド確立支援事業1年目】
都道府県名
補助申請者名
実施プロジェクト名
栃木県
有限会社
小池経編染工所
両毛シルクワールド・プロジェクト
新潟県
見附商工会
MITSUKE KNITブランド構築並びに海外展開
事業
新潟県
栃尾織物工業
協同組合
栃尾織物「おりなす」ブランド海外拡販プロジェク
ト
石川県
株式会社繊維
リソースいしかわ
・ ウェディングドレス、その他洋装生地等についての共同商品
開発
世界市場に通用する【かなざわブランド】(合繊長
繊維テキスタイル商品)の構築支援事業― 「日
本版“コモ”産地」化を目指して―MITSUKE KNIT
ブランド構築並びに海外展開事業
奈良県
NARAICHI(ならいち)ブランド海外展開事業
・ 平成18年~21年まで、パリにおいて年1回の単独展を開
催。また、国内においての展示会も開催。
奈良県繊維工業
協同組合連合会
和歌山県
和歌山ニット
工業組合
J Knit Wakayama ブランド確立事業
活用した国の補助金
期間・・・平成18~20年度
補助事業・・・JAPANブランド育成支援事業
事業内容
・ 「TANGO SILK」としてオンラインストアを開設。
【ブランド確立支援事業2年目】
・ ルイヴィトン、シャネルなど有名ブランドと継続して素材提案を実施
・ プルミエール・ビジョンの招待企業に選ばれるなど海外で高い評価
を受けている。
成功の要因
・ 補助金を活用したこともあり、3年間継続して展示会を開催。
・ テキスタイル業界に強いパリのエージェントを通して招待者リ
ストに狙いをつけたこと
都道府県名
補助申請者名
実施プロジェクト名
京都府
ファッション京都
推進協議会
(代表者:京都商
工会議所)
京(みやこ)素材グローバル展開事業「Kyoto
Connection」(京都コネクション)
兵庫県
財団法人神戸
ファッション協会
Channel KOBE(チャンネルコウベ)
~『ファッション都市・神戸』から世界へ~
【ブランド確立支援事業3年目】
都道府県名
補助申請者名
実施プロジェクト名
京都府
城陽商工会議所
燦彩糸プロジェクト
福岡県
北九州商工会議
所
小倉織(KOKURA STRIPES JAPAN)世界進出プ
ロジェクト
・ 会場を有名高級メゾンから近いオフィス街に設営したこと。
・ 事前に市場調査を行い、ニーズの把握に努めたこと。
26
3.個別から連携・統合へ
これまでの取り組み
 北陸3県繊維産業クラスター
 繊維産業の連携支援事業(新事業連携支援事業、グローバル連携支援事業、地
域資源活用新事業展開支援事業等)
成果と課題
 成功事例あり。(鶴岡産地(絹)等)
 北陸3県繊維産業クラスターについては、北陸3県の協業に道を開いたとの評価
は可能も、その後のクラスター事業の継続に課題を抱えている状況。
 繊維業界は、一般的に「横の連携」に慣れない業界(海外からの大ロットの発注を
産地内で共同受注する発想なくビジネス機会を逸している例も存在)。
 「縦の連携」も、海外素材の調達に躊躇なく走る点では、希薄というべきか。
 「海外市場を取りに行く」上で、実績のあるリーダー企業が中心となって強者連合
(垂直)を組むモデル、同業種で水平連携で受注を取りに行くモデル、異業種連携
で市場を取りに行くモデル、場合によっては海外と連携するモデル(海外企業のM
&Aを含む)等で戦うことが必要か。連携の原点は、「危機意識」であり、産地を超
えた連携も視野に入れるべき。
27
国の補助金等を活用した産地の成功事例③
鶴岡産地(絹)の事例
活用した国の補助金
期間・・・平成20~22年度
補助事業・・・地域資源活用新事業展開支援事業
事業内容
・ 山形県産の絹にこだわり、養蚕農家、製糸、製織、精練、染
色加工業者が連携。
・ 従来、廃棄処分されていた「きびそ」を活用し、専門家による
監修のもと、その特徴を活かしたテキスタイル、ショール、ス
カーフ、バッグ、洋服、クッション、ソファーなどの製品を開
発。
・ 「kibiso」ブランドとして、若手デザイナーとのコラボレーション
商品の開発や、百貨店での販売などの取組を継続中。
成功の要因
・ きびそプロジェクト運営委員と専門家による適切なアドバイ
ス、コーディネートにより、着実に販路開拓を実施。
・ 若手経営者、技術者の積極的な意見交換により、研究開発
を実施。
・ 販売に力を注ぐために新会社を設立。
国内ニット業界の事例
活用した国の補助金
期間・・・平成20~22年度
補助事業・・・地域資源活用新事業展開支援事業
期間・・・平成23~24年度
補助事業・・・中小企業海外展開等支援事業(補正)
事業内容
・ ニット製品の産地の国内製造事業者による高付加価値国産
ニット製品を集めた展示会「ジャパン・ベストニット・セレクショ
ン(JBKS)」の開催。
・ コストメリットだけを追求した商品でなく、長年培ってきた技
術による日本製にこだわり、着る人に商品の価値を再認識
してもらい、国内外市場での新規販路開拓及び拡大を目的
としている。
・ JETROの協力の下、または事務局独自の取組として、海
外からバイヤーを招待し、海外市場開拓の足がかりとしてい
る。
成功の要因
・ 全国の中小企業ニット製造業者が結集し、新規販路開拓を
目的として自らが実行委員会を立ち上げ、自主的に事業執
行・運営していること。
・ ニットに特化した展示会であり、来場者もはっきりとした目的
を持って訪れていることから、出展者と来場者のマッチング
のロスが少なく、効果的であること。
・ 第三者の有識者による「出展審査」を実施しており、回を重
ねるごとに出展各社のレベルアップが図られている。
28
国の補助金等を活用した産地の成功事例④
平成24年度新事業活動促進支援補助金
地域資源活用新事業展開支援事業(地域資源活用売れる商品づくり支援事業)
補助事業者名
所在地
事業テーマ
株式会社タネイ
愛知県豊川市
刺し子織の三河木綿を使用したバッグ・袋物など新分野商品の製造・販売事業
小塚毛織株式会社
愛知県一宮市
温水で洗い流すだけで汚れが落ちるなどの特性を持ったポーラル構造の新テキスタイル製品の製造・販売事業
吉田司株式会社
石川県かほく市
メディカルマーケットに向けた機能性サポーターの製造と販路拡大
株式会社松井機業場
(共同申請:株式会社松文)
富山県南砺市
新しいインテリアファブリック「しけシルク」のインテリアシェード・スクリーン等の製造販売
株式会社スズニット
(共同申請:有限会社スズルネス)
富山県南砺市
ホールガーメント機でのプレーティング編成による肌に優しい無縫製ハイゲージニット商品の製造・販売
株式会社エヌエス・ブレーン
富山県射水市
「ナノ加工技術(防汚、撥水、撥油)を施したアクリル混ニット商品」の製造・販売
株式会社細尾
京都府京都市
西陣織の技術を活かした高級ファブリックの開発と販売
阿江ハンカチーフ株式会社
兵庫県加東市
クラッシュ加工播州織先染ジャカード生地による日傘の開発および販売
29
4.トップレベルの技術を幅広い分野に
これまでの取り組み及び課題
 個々の企業の取り組みとしての販路開拓。
 自治体、リソースセンターでの異業種交流会の開催
 国の研究開発プロジェクト(例:炭素繊維の量産車向け開発)
 異業種とのマッチング(海外を含めて)の場をいかに増やしていくかが課題か。
5.社会のニーズを付加価値に変える
これまでの取り組み及び課題
 クールビズ事業
 JCでのエコ素材をテーマにした展示 等
 国際標準化の推進 ~ 我が国が競争力を有する高機能繊維について、国際的
に試験方法を標準化することで、強みを客観的に評価できるように。
30
6.今後の繊維政策の方向性
31
繊維政策の方向性①
日本から海外へ、海外での成功を日本に、海外での成功を受けて日本での調達・受注・購入が増える例あり。
そのために 官民での意識の共有化が必要
・企業レベルでは海外で成功している事例多数あり (欧米の高級ブランドの素材調達)
・自治体レベルでの取り組みも多数あり(姉妹都市、産地間連携、海外拠点(エージェント)の設置等)
・他方、これらの取り組みが単発で終わっている面あり。JAPANブランドの総合力にまで高まっていない。
・官民で意識を共有化して協力・連携して海外で戦うことが必要
・ Made in Japanでないとして海外での取引先から引き取りを拒否される事例あり
・欧米の高級ブランドが高機能の素材を求めて定期的に訪日して素材を調達しているという実態あり
・欧米のデザイン・モード専門学校では日本の素材への関心大
・イタリアでは伊製素材をまとめて日本の服飾専門学校に提供していた実態あり
・国内の百貨店等でも差別化のために産地に光を当てる取り組みあり
・縫製工場が中国をはじめ海外展開している中で、原産国表示上、Made in Japanと表示できない例が増加。日本製素
材の差別化ができていない現状あり。日本製素材の表示は、Made in Japanの発信の上でも、コスト競争から脱却
して付加価値を消費者に認識してもらう上でも必要か
・国際競争力のある我が国の高機能繊維についてもMade in Japanの発信力強化の上でも大きな武器
そのために 業界内での意識の共有化が必要
・産地内生産完結が困難となりつつある中、産地を越えた取り組み、業界(毛、絹、綿、合繊、ニット等)を越えた
取り組みが必要
32
内需依存体質からの脱却
コスト競争からの脱却
個別から連携・統合へ
トップレベルの技術を付加価値に変える
日仏産業協力委員会 2012.12.7 (経済産業省と仏生産復興省の定期協議)
・セクター別のWG設置を合意(繊維のほか、ロボット、スマートコミュニティー)。
・2013年前半中に第1回会合を開催する方向(官民を入れた会合とする方向)
・繊維については、具体的な協力内容は今後検討するも、以下の内容を提案。
-政府間の対話の場の設置
-繊維業界間交流の場の設置(仏繊維産業連盟(UIT)は前向き)
-我が国繊維業界と仏アパレル産業間の交流、オートクチュール組合との交流(仏側は前向き)
-我が国繊維業界と仏デザイン・モード学校との交流・協力(仏側は非常に積極的)
-クラスター連携
*化繊協は、すでに仏側との交流実績あり。テクニカルテキスタイル分野での協力強化を検討中。欧州
での産業用途をはじめとした素材(糸等)の需要拡大の可能性ありか。
 プルミエール・ビジョンのパスケ代表は、南仏で毎年4月に開催している国際ファッショ
ン・写真フェスティバルの場で、日本のテキスタイル素材をテーマにしたラウンドテーブ
ルを開催することは一案との立場。同フェスティバルには高級メゾンのほか、イタリア
ファッション評議会等も参加しており、日本の素材のPRが可能。同フェスティバルは
オートクチュール組合のグランバック会長が主催。
 仏モード学院(IFM)をはじめ全仏の専門学校でも、プルミエール・ビジョン等の機会を
利用して、学校での日本素材の紹介セミナー等の開催に関心あり。
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内需依存体質からの脱却
コスト競争からの脱却
個別から連携・統合へ
トップレベルの技術を付加価値に変える





対欧州では、仏を手始めに、伊との関係強化も検討。
いずれにせよ、繊維業界のニーズを踏まえて対応。
ビジネスのとっかかり・拡大に有益と考えられる取り組みを検討。
既に各機関で構築・有しているネットワークも活用
ジェトロ、中小企業基盤機構の支援ツール、クール・ジャパン戦略の支援ツールとの連携
も視野に
*クラスターでは欧州先端繊維センター(CETI)が日本との関係強化に前向き。
成功事例に光を当て、共有化を図ることで、次に続く企業・連携グループのモチベーショ
ン強化を図る。
政府間・業界間交流の場を作ることで、海外展開に逡巡している企業の海外展開への
抵抗を和らげることを意図。
デザイン学校等との連携(フィージブルかどうか要検討)により、将来の種をまく。
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内需依存体質からの脱却
コスト競争からの脱却
個別から連携・統合へ
トップレベルの技術を付加価値に変える
 アジアへの海外展開は生産拠点の展開として60年代から進展。
 気候の問題、経済的な成熟度の問題等から、欧米市場とは違う戦略が必要。生産拠点
の展開+内販の視点
 繊維消費量が急増するとみられる中国は、製造拠点としても内販市場としても重要。台
湾、韓国は中国展開の足掛かりという視点でも重要か。
 市場として成熟するタイ・インドネシア・マレーシア、縫製工場拠点としてのベトナム、ミャ
ンマー、バングラデッシュ等、国ごとに異なる戦略、対話が必要。
 アジア各国での繊維産業協力の機会を活用し、各国との対話の場を設定することも検
討。
 過去の知見を糾合し国ごとの戦略地図を作成・共有する作業から開始。
今後成長するアジアで確固たる地歩を築くための戦略を検討。
政府間・業界間交流の場を作り、海外展開に逡巡している企業の海外展開への抵抗を
和らげることを意図。
 必要に応じ、トルコ、東欧、中近東、ロシア、南米等についても情報を整理。
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内需依存体質からの脱却
コスト競争からの脱却
個別から連携・統合へ
社会のニーズを付加価値に変える
原産国表示の在り方の再検討
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不当景品類及び不当表示防止法(景表法)に基づき、原産国を表示する場合は、その商品の内容に
ついて実質的な変更をもたらす行為が行われた国」を原産国とすることとされており、繊維製品の場
合は「縫製・編立てがなされた地が原産国」と規定されている。
素材=日本、縫製=中国の製品については、原産国=中国となり、素材の表示はされないため、日
本製の素材の発信ができていない状況。
素材=中国、縫製=日本の製品については、原産国=日本となり、オールMade in Japanが差別化
できないという問題もある。
Made in Japanに光を当てることは、高機能・高品質の日本製素材の価値を再認識する契機にな
る可能性あり。
公取委告示上は、原産国表示とプラスαで素材の表示をすることを排除していない(義務づけは不
可)。実際、海外では素材の表示の例あり。また、日本でも「中国製、生地イタリア製」等の表示例あ
り。
日本繊維産業連盟では、自民党繊維ファッション産業政策小委委員会での問題提起を受けて、平成
17年、18年に検討した経緯あり。当時は、「各製品ごとに実態が異なり全ての商品を抽象的に束ねて
日本製とすることは無理がある」、「日本製生地の表示は製造業サイドの思いであるが、消費者サイド
の視点に立った検討が必要」として、業界を挙げての取り組みにまで至らず。
現在、当時とは状況の変化あり。業界からの個別の要請あり、百貨店等でも産地に光を当てた取り組
みが始まりつつある状況、産地内生産完結が困難になる中で産地を越えた連携が必要となる場面も
増えているなど。
業界としての統一的な基準の策定が困難であるとしても、意欲のある業界から取り組みを開始するこ
ともありうるか。JAPANブランドの発信力強化は、海外戦略上も有益か。
産地の活性化につながることを期待
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内需依存体質からの脱却
コスト競争からの脱却
個別から連携・統合へ
社会のニーズを付加価値に変える
国際標準化の推進
我が国が強みを有する高機能繊維の機能の明確化を客観的に図ることで、競争優位を確固たるものとする。
高機能繊維の市場規模(2009年)151,395百万円
国内市場
114,115百万円
日系メーカーの海外販売
37,280百万円
SPAとメーカーの共同開発例
SPA/量販店 メーカー
海外での需要拡大
SPAとの共同開発
高機能繊維の市場規模(2013年) 予測
167,300百万円
国内市場
124,950百万円
日系メーカーの海外販売
42,350百万円
ユニクロ
東レ
イオン
ミズノ
東洋紡績
クラレ
ブランド
ヒートテック(蓄熱・発熱保温繊維)
シルキードライ(吸汗速乾)
クーリッシュファクト(吸汗速乾)
アイスタッチ(清涼涼感)
高機能繊維2008年実績と2013年予測の比較
80000
70000
60000
50000
百万円
高機能繊維2008年実績と2013年予測の比較 (百万円)
2008年(実績) 2013年(予測) 成長率
19,750
22,380
2.5%
吸汗速乾
11,100
12,250
2.0%
透湿防水性
9,250
20,200
16.9%
蓄熱・発熱保温
12,000
11,940
-0.1%
抗菌防臭・制菌
68,200
62,100
-1.9%
弾性
2,050
1,600
-4.8%
アレルギー対策
3,560
2,500
-6.8%
PTT
1,310
1,900
7.7%
清涼涼感
2,960
2,980
0.1%
消臭
3,600
3,610
0.1%
防汚
2,570
2,620
0.4%
制電制・導電性
5,700
8,850
9.2%
形態安定
1,300
2,310
12.2%
生分解性
1,600
2,380
8.3%
ウィルス対策
1,980
2,150
1.7%
紫外線遮蔽
8,700
6,500
-5.7%
電磁波シールド
156,695
167,300
1.3%
合計
40000
2008年(実績)
2013年(予測)
30000
20000
10000
0
富士経済:2010年版 高機能繊維関連技術・市場の現状と将来展望より作成
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(参考)日本発ISO提案項目数推移(繊維分野)
ISO発行済及び現在審議中の案件
テーマ
内容
件数
2012年8月15日現在
検討
開始
審議段階
抗菌測定方法ISO20743
抗菌活性値の測定方法
2000
2007発行
繊維鑑別ISO1833-24
ポリエステルとアラミドの鑑別
2007
2010発行
ケアラベルISO3758の改正
自然乾燥記号の導入提案
2000
2012発行
家庭洗濯ISO6330の改正
日本の洗濯機・洗濯条件の追加
2000
2012発行
抗カビ活性試験方法
ルミネッセンス試験方法
2009
2012発行
発がん性染料
トリエチルアミン/メタノール溶剤試験方法
2009
DIS
消臭性試験方法 パート1~4
1:消臭概論、2:検知管法、3:GC
2010
1~3:CD
法、4:濃縮試験法
4:WD
吸汗速乾性
2検査機関の測定方法
2011
CD
カシミヤ鑑別方法
DNA法
2011
WD
抗菌測定方法(改正)
抗菌活性値の測定方法
2011
DIS
抗ウィルス活性試験方法
インフルエンザA,B、ポリオウィルス
2012
NWIP承認
帯電防止試験方法パート1~4
1:半減期、2:摩擦帯電圧、3:摩擦
2012
WG26設立
(JISのISO化)
帯電荷量、4:摩擦帯電電荷量減衰
消臭試験方法パート5
金属酸化物半導体試験方法
承認
2012
NWIP承認
繊技協作成
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繊維政策の方向性②
企業間の様々な経営レベルでの提携や合併等の業界再編の促進、自立化の推進
業界団体についても再編・統廃合について検討
繊維産業流通構造改革推進協議会の活動支援
Japan Fashion Week (JFW)の活動支援 (アパレルのビジネスとの関係強化)
Japan Creation, Premium Textile Japanの発信力の強化 (内外デザイナーとのコラボ)
Japan Best Knit Selectionの発進力の強化 (海外バイヤーとの関係強化)
JAFIC Platformの活動強化 等
自治体・経産局・産地組合・商工会議所等の連携・協力等による繊維・アパレルへの関心の喚起 等
・特にアパレル製品についてのデフレスパイラルからの脱却に向けた施策の検討
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事業環境の整備
1.円高 ・・・・ 大胆な金融緩和 等
2.電力需給問題 ・・・ 原発安全基準の策定、エネルギー基本計画の見直し
3.法人税 等 ・・・ 事業環境改善の方策検討
4.FTA戦略の遅れ ・・・ FTAの戦略的推進
5.労働規制 ・・・ 労働法制についても検討
6.温室効果ガス削減目標等強い環境制約 ・・・ エネルギー政策の見直しと
一体的に議論
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