繊維産業の現状と課題① (全体・川上分野) 世界の市場は新興国等の経済発展を受けて拡大 世界の市場は新興国等の経済発展を受けて拡大。 一方、国内市場が横ばい・微減 国内市場が横ばい・微減。中国からの輸入の増加、輸出の停滞により、国内の出荷額は大幅に落ち込み。 リーマンショック以降、生産は更に急減し、未だ回復していない。 川上分野(化学繊維製造業、紡績業)については、中国による汎用素材の生産が拡大する一方、炭素繊維、アラミド 炭素繊維、アラミド 繊維等の高付加価値素材において、我が国企業が国際競争力を維持。今後は、このような高付加価値素材の市場 繊維等の高付加価値素材において、我が国企業が国際競争力を維持 拡大が課題。 我が国川上分野企業は、汎用分野の生産拠点の海外移転、構造改革による規模縮小等を余儀なくされたものの、 プレーヤー自体に大きな変化は見られないが、欧米企業は、90年代以降事業再編を変遷するなど経営戦略には違 いが見られる。 (千トン) 世界の繊維需要量 衣類の輸入量と輸入浸透率 繊維産業出荷額の推移 80,000 70,000 12.9兆円(1991年) 60,000 50,000 40,000 30,000 4.3兆円(2008年) 20,000 10,000 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 0 2008 (出所)FEB 「Fiber Organon」 (注)オレフィン・アセテートトウ、麻、ジュートを含まない ◆戦略分野:炭素繊維(高付加価値素材) その他 B787構造材料の使用比率 鉄 5% 10% コンポジット チタン (炭素繊維) 15% 50% 軽い(鉄の1/4) アルミ 強い(鉄の10倍) 20% 炭素繊維は日 本メーカーが独 占的に供給 その他海外 31% 東レグループ 東邦テナックスグループ 三菱レイヨングループ 69% 日本メーカーが約7割のシェア 写真・データ提供:東レ株式会社 重量比 将来規模予測 2015年:約60千トン/年以上(2010年の約1.5倍) 繊維産業の現状と課題② (川中・川下分野) 川中・川下分野(織物業、染色業、縫製業、ニット製造業)については、大半が中小・零細企業であり、委託加工中 大半が中小・零細企業であり、委託加工中 心。 心。最終製品の輸入拡大により、受注数・単価が減少。産地の高齢化の進展、人材不足を補うための外国人研修・ 技能実習生への依存等により、特に川中の人材力の低下は深刻。 他方、厳しい状況の下でも、高い技術力や積極的な販路開拓により、高い競争力を有する企業も存在。 高い技術力や積極的な販路開拓により、高い競争力を有する企業も存在。 アパレル分野については、増加する中国等からの安価な輸入品が大半を占め、製品単価も減少。 海外では、「クール・ジャパン」として、カジュアル衣料を中心に日本の衣料・ファッションに対する関心が高く 「クール・ジャパン」として、カジュアル衣料を中心に日本の衣料・ファッションに対する関心が高く、日本の デザイナーに対する評価も決して低くないが、我が国ファッションのブランド化、海外展開(輸出等)は進んでいない。 我が国ファッションのブランド化、海外展開(輸出等)は進んでいない。 そうした中、ファーストリテイリング(ユニクロ)など世界的なSPA(製造・販売一体型企業)も台頭しつつある。 [第一織物株式会社] ・大手合繊メーカーの委託加工から脱却し、スポーツカジュアル分野の自社開発を 実施。 ・超高密度織物開発技術によって、‘防風性’と‘伸縮性’という相対する機能性を実 現した製品を開発。 ・社長自ら米国、中国等の海外顧客を訪問し、効果的な市場調査と販路開拓を行 い、国内だけでなく米国、中国等の海外スポーツカジュアルメーカーに輸出。 加工段階別に見た生産指数 鉱工業 その他 化学繊維 織物 染色整理 繊維工業 衣類 紡績 不織布 120 100 80 60 世界的SPAの売上等の比較 デザイナーランキング2005 デザイナーランキング2005 上位60ブランドの出身国 上位60ブランドの出身国 40 米 5% ベルギー 3% 20 日 10% 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 2000年を100とする指数 ヘネス& マウリッツ ギャップ インディテックス フォーエバー21 ファースト リテイリング 本社 スウェーデン アメリカ スペイン アメリカ 日本 展開ブランド H&M GAP、 OLD NAVY、 BANANA REPUBLIC 他 ZARA 他 FOREVER21 他 UNIQLO 他 売上高※1 1兆1252億円 1兆4156億円 1兆4157億円 1632億円※2 6850億円 売上総利益率 61.5% 37.5% 56.8% 非上場のため 非公表 49.9% 営業利益※1 2554億円 1502億円 2188億円 非上場のため 非公表 1086億円 店舗数※3 (内日本国内) 2000店 (7店) 3149店 (121店) 4264店 (43店) 460店※2 (1店) 2173店 (1326店) 仏 41% 英 13% 各国のアパレル輸出入額 〈各国のアパレル輸出入額〉 企業名 (出所)繊維ハンドブック2009 伊 28% (単位:100万ドル) 90,000 80,000 70,000 デザイナーランキング2005における日本デザイナーの順位 デザイナーランキング2005における日本デザイナーの順位 日本は、輸出の割合 が極端に低い 60,000 順位 50,000 輸出 40,000 輸入 30,000 2005年 10月 4 Yohji YAMAMOTO 11 COMME DES GARCONS 20,000 10,000 0 日本 韓国 フランス 1:60 50 1:2 1:2 イタリア ドイツ アメリカ 3:2 1:2 6:100 18 27 39 52 Junya WATANABE Issey MIYAKE UNDERCOVER Tsumori CHISATO 順位 3 10 11 16 21 (出所)2005年9月26日Jaurnal du Textile(仏) 1998年 10月 Yohji YAMAMOTO Issey MIYAKE COMME DES GARCONS Atsuro TAYAMA Junya WATANABE ※1 レートは、1ドル=96.65円、1ユーロ136.03円、1スウェーデンクローナ=12.71円で換算。 財務データについては、ファストリが09年8月で、他が08年末時点のもの。 ※2 日経新聞発表(09年2月期) ※3 店舗数は、H&Mが10年3月6日、ギャップが09年11月末、インディテックスが08年末、ファストリが09年8月末時点のもの。 2 繊維産業の今後の方向性・アクションプラン 繊維産業のビジョン 内需依存体質から脱却し、周到な準備の下で、アジアを中心に拡大する海外市場の開拓 内需依存体質から脱却し、周到な準備の下で、アジアを中心に拡大する海外市場の開拓を進める。 繊維素材・技術の適用を衣料以外の幅広い産業分野(例:環境や健康分野)に広げ、繊維の市場拡大を図る。 幅広い産業分野(例:環境や健康分野)に広げ、繊維の市場拡大を図る。 我が国のファッション産業を今後の成長産業として期待されている文化産業の中心的担い手へ 今後の成長産業として期待されている文化産業の中心的担い手へ飛躍させる。 事業者間の連携を推進し、お互いの強みを活かすことによって、新興国企業が台頭する激しい国際競争を戦う。 事業者間の連携を推進し、お互いの強みを活かす アクションプラン ∼自社の強みなどの現況を踏まえ、更なる成長に向けて自らリスクをとって努力する事業者に重点化∼ ①内需依存体質からの脱却・外需の取り込み 【全体】 ・ 海外発信(展示会、常設のビジネス拠点、テストマーケティング等)と側面的サポート(エージェントとのマッチング等)の一 体的支援の実施、中小企業の海外ビジネス機能(「商」の機能;他社との連携を含む)の強化を促進 ②個別から連携・統合へ 【全体】 ・リスクのとれるリーダー企業の下でのチームの組成を促進(例:リーダー企業の責任の下での自社ブランド・グループブラン ドの開発・販売)、チームによる海外市場開拓・技術開発を支援 ③社会のニーズを付加価値に変える 【全体】 ・ 我が国が強みを有する高機能繊維(消臭、抗ウイルス等)に関する試験方法、基準値の国際標準化推進、繊維製品のト レーサビリティの推進(安全・安心な繊維製品を消費者に届ける仕組みの構築)、低炭素社会に資する高機能繊維の開発 支援(炭素繊維複合材料、植物由来の化学繊維等) ④トップレベルの技術を幅広い分野へ 【産業資材】 ・ 先端技術の開発支援(例:炭素繊維複合材料を一般大衆車へ適用するための技術開発)、ユーザー事業者(医療機器、自 動車、建築等)とのマッチング・共同事業の推進、ニーズ対応型の出口の見える技術開発に対する支援 ⑤感性をビジネスへ・コスト競争からの脱却 【衣料・ファッション分野】 ・ 「クールジャパン」の一環として、文化産業の一体的発信によるブランド化、ファッションビジネス人材の育成、JFW(日本 ファッションウィーク)自立化促進 「今後の繊維・ファッション産業のあり方に関する研究会」の考え方 繊維産業の展望と課題(繊維ビジョン)提言 平成19年6月 構造改革の推進 技術力の強化 アジア・世界に対する 情報発信力・ブランド力の強化 国際展開の推進 人材の確保・育成 従来からの構造的課題 新しい環境変化 国際競争の激化(新興国・途上国の繊維産業の台頭) 国内人口減による市場の縮小、海外展開の遅れ、ブランド力不足 分業・流通の非効率性 リーマンショック以降の需要の急減及び低価格志向 消費者による環境問題や安全・安心問題に対する意識の高まり 基本的方向性 内需依存からの脱却 ・外需の取り込み 我が国繊維・ファッション 産業の現状と課題 ・日本の繊維産業の出荷額はピーク時 の約3分の1まで減少。 ・特にリーマンショック以降、生産レベ 特にリ ンショック以降、生産 ルが急減。低価格化も進行。 ・グローバルなコスト競争の中で中国 による汎用素材の生産が拡大。国内企 業は生産拠点をアジア等に移転。 ・川中・川下分野の大半は中小・零細 企業。多くは、委託加工に甘んじてきて おり、厳しい状態。 ・アパレル(最終製品)の大半は輸入 品。輸出もほとんどできていない。 ・サプライチェーンが長く複雑で、連携 がうまくいっていない。 ・高齢化の進展、外国人研修生への依 存等、人材力の低下が深刻。 産業のフロンントランナーとして 今後の我が国産業が歩む べきモデルケースの提示 コスト競争からの脱却 ・感性をビジネスへ 個別から連携・統合へ 今後進むべき方向 発展のチャンス − 全 体 − − 全 体 − ・世界的には繊維・ファッション産業は大きく拡大する見通し。特に、地理的に も近いアジアの発展が見込まれる。 ・人々の価値観の多様化にともない、多彩な技術・感性や多品種少量生産が 強みに。 ・100年を超える産業の歴史、多角化や統廃合等により、多くの苦境を乗り越 えた体験 えた体験。 − 産 業 資 材 − ・従来の衣料用途から高機能な産業資材等に展開、新たな用途が拡大。 ・環境ビジネスや医療、航空宇宙等の今後の成長期待産業での使途拡大が 期待される。 ・我が国は、市場拡大が期待される炭素繊維等の先端分野での技術力は世 界トップレベル。 社会のニーズを 付加価値に変える 国の対応 − 基本的考え方 − ・経営、技術、デザイン、品質管理などの 強みを有する事業者や産地には、発展 のチャンスあり。 ・今後の世界の成長センターとも言われ るアジア諸国の近接に位置する利点を 活か 活かし、これらの需要を取り込むことが れら 需 を り込む とが できれば、大きな発展の可能性。 ・強みを有する、又は強みを獲得しようと努 力する事業者に支援を重点化。 ・川上∼川下の事業者連携や異分野との連 携を重視。 ・国等の支援機関と業界団体、企業等の連 携促進による支援の効果的実施 携促進による支援の効果的実施。 − 産 業 資 材 − ・医療機器等、成長期待分野と関連づけた 技術開発の推進。 ・繊維企業とユーザー企業のマッチングのた めの交流会・FS等の実施。 ・機能性繊維の国際標準化(JIS/ISO)の 推進。 ・トップランナー分野(炭素繊維、ナノファイ バー等)の維持・強化。 ・国際標準をリードすることによるビジネス チャンスの創出。 ・ユーザーと繊維メーカーのコラボによる 出口志向の製品開発・使途拡大。 − 産 業 資 材 − − 衣料・ファッション − − 衣料・ファッション − ・世界トップレベルの技術と感性をもち、日本の素材は欧米トップブランドも数 多く使用。厳しい経済状況下でも、さらなる新技術・開発に取り組む企業あり。 ・海外では、「クール・ジャパン」の一環として、日本の衣料・ファッションへ関心 が高い。 ・超高級品でもなく、量産・低価格でもない、中間的な「第三のカテゴリー」に属 する衣料・ファッションを提供する日本。 ・ウェブ等の新しい販売チャンネルが登場、拡大。新たな需要の発掘、海外販 路の拡大の可能性。 今後の我が国を牽引する 成長産業への貢献 トップレベルの技術を 幅広い分野に − 衣料・ファッション − ・外需(輸出、海外生産、来日観光客の消 費)取り込みのためのデザイナーズブランド からリアルクローズまで、またあらゆる生活 文化関連産業の一体的取組。 ・感性力に加えて、ビジネス力の強化。 ・役割分担の明確なチーム形成、連携・統 合による取組みの促進。 ・コスト競争から脱却のための、安全・安心 や感性の付加価値化。 繊維・ファッション産業が日本を変える 感性価値創造による文化 産業の担い手として新た 低炭素社会実現への貢献 な成長産業に ・海外常設ビジネス拠点の創設を支援 ・他の生活文化関連産業と一体となった海 外への発信、ブランド化(展示会、テストマー ケティングの実施を支援)。 ・JFWのコレクション事業の自立化、デザイ ナーと産地等との連携機能強化を支援。 ・役割分担の明確な企業チーム形成や統合 の促進。 ・トレーサビリティ確保のための枠組みづくり 等を通じた安全・安心の付加価値化支援。 産地中小企業の新たな活 動領域の創出と地域社会 への貢献 国の支援のあり方の具体的イメージ あるべき姿 内需依存からの脱却 コスト競争からの脱却・ 個別から ・ 外需の取り込み 感性をビジネスへ 連携・ 統合へ 産業の現状と課題 国内志向 海外市場開拓の遅れ 「感性」のビジネス化の困 難さ(ブランド力のなさ) ファッション分野への素材 提供の限界(特に汎用品) ファストファッションの台 頭、 低価格化 個別企業の取組の限界 (特に中小企業) 産地の疲弊 現在の施策 ・JETRO海外展示会 ・JFWによる国内からの発信 ・産地の海外展開支援事業 (「JAPANブランド戦略展開支 援事業」等) ・JFW(コレクション事業、テキス タイル展示会(JC))による発信 等) ・新人支援(人材育成) ・展示会支援(全国版、産地版) ・クラスター形成支援 ・企業連携・産地の取組に対する 支援 (「JAPANブランド戦略展開新事 業」等) 現在の施策の問題点 ・展示会前後のフォローが希薄(見せるだ けでビジネスに繋がっていない) ・欧州中心の展示会出展 ・発信(展示会)以外の海外市場開拓促進 策が少ない(特に制度的後押し) ・アジアでの展示会出展支援等を実施・見直し ・海外常設ビジネス拠点の設置(上海等)支援 ・中小企業の輸出機能の強化 ・官民海外市場開拓協議会の創設 ・関連産業と一体となった発信によるブランド化 ・高機能繊維の基準、検査方法等の国際標準化 ・輸出の数値目標の設定(輸出額1兆円を目指す) ・ビジネスに結びついていない ・ビ・ビジネスに結びついていない ・クション(パリコレ等)に追いつくのは困難ジネスに ・欧米コレクション(パリコレ等)に短期間で 結びついていない 追いつくのは困難 ・欧米コレクション(パリコレ等)に追いつくのは困難 ・新興国(中国、韓国等)の追い上げ ・文化産業の一体的発信によるブランド化 (再掲) ・コレクション事業の自立化 ・デザイナーと産地とが連携したものづくり支援 ・テキスタイル展示会の質の向上のための出展者絞 ・ り込み、海外への門戸開放(JC) ・ファッションビジネス人材の育成支援、新人支援の 見直し トップレベルの技 術を幅広い分野へ 社会のニーズを 付加価値に変える ・成果の出ている事業(例えば、今治タオル)も あるものの、具体的な企業間連携や統廃合が 目に見えて進んでいるわけではない。 ・展示会では、個々の企業等の裁量に任せる 部分が多く、一体的な事業支援が不足 ・リスクと責任を負うべきリーダー企業の役割 が曖昧 先端素材分野では世界トッ プクラスの技術、品質水準 新たな社会ニーズ(環境、安 心・快適等)への対応の必 要性 ・適正表示の推進等、受け身 の対応 ・新たな社会ニーズを積極的に取り込んだ製 品の付加価値化に対する支援がほとんどな い (限定的な施策効果) ・幅広く、手厚い支援(中小テ キスタイル企業、新人デザイ ナー等) ※100%補助の事業も存在 ・本気度に欠ける企業等が支援対象として 含まれるため、上位企業が下に引っ張られ る可能性(例えば展示会) ・新たなビジネス展開に繋がらない事例も多 く、費用対効果が少ない。 ・技術開発支援 新興国による追い上げ ・技術戦略マップの作成 今後の施策のあり方、具体的イメージ ・シーズ志向の技術開発 ・技術を持つ企業・大学とユーザー企業等の 連携が希薄、お互いがもつ技術・情報の出し 惜しみ ・リーダー企業(大企業も可)の下での チーム 支援/チーム組成支援 ・企業再編・統廃合の促進策の検討 ・一体的プロモーションの実施、支援する企業 体的 ショ 実施、支援する企業 等の絞り込みの強化(展示会事業等) ・業種・分野ごとに細かく分離している業界団体 の連携強化・統廃合の推進 ・ユーザーとの連携の下での技術開発支援 ・繊維企業とユーザー企業のマッチング(異分野へ の提案型展示会の実施、異分野との交流会・共同 の取組(FS等)の実施等) ・高機能繊維の基準、検査方法等の国際標準化 (JIS/ISO)促進 ・機能性繊維の標準化(JIS/ISO)促進(再掲) ・適正表示の推進(カシミヤ等) ・生産工程のトレーサビリティ確保のための体制構築 ・安全、機能性等に関する消費者の理解促進の ための広報活動 ・繊維リサイクルの推進 ・やる気のある企業等に支援を重点化(支援 基準の明確化等) 今後の「我が国繊維・ファッション産業」が担うべき役割 ①産業のフロンントランナーとして今後の我が国産業が歩むべきモデルケースの提示 【全体】 繊維産業は、我が国の産業の中でいち早く発展し国の経済成長を支え、成熟した産業。繊維の技術は様々な形で改良、応用され、企業 の多角化(プラスチック、IT素材、医療・ヘルスケア、水処理事業など)に貢献。今後も高度化、多角化を通じた日本の企業の発展のモデ ルたり続ける。 また、新興国からの激しい追い上げの中、更なるグローバル化を通じた構造改革など、生き残りのための方策を確立できれば、同様の 問題を抱える我が国の他産業に対して一つのモデルケースを提示できる。 ②今後の我が国を牽引する成長産業への貢献 【産業資材】 革新的繊維先端素材の活用により、「 環境・エネルギー」、「健康(医療、介護)」など、今後の成長産業の競争力強化を支え、素材メー カーとユーザー企業のWIN-WINの関係を構築することが可能。 ③感性価値創造による文化産業の担い手として新たな成長産業に 【ファッション】 日本のファッション産業は、コンテンツ、日本食等とともに文化産業の担い手として、今後の我が国にとって新しい外貨獲得手段にもなり 得る大きな可能性を秘めている 得る大きな可能性を秘めている。 「クール・ジャパン」として日本の感性や文化が注目を集める中、生産コストの高い先進国であっても、イタリアやフランスのように、ブラン ド力を背景としたファッション、アパレル産業の発展は十分可能。 炭素繊維利用によるCO2削減効果の定量化(LCA) ④低炭素社会実現への貢献 【産業資材】 強くて軽い炭素繊維複合材料を航空機に加え一般大衆車にも適用を広げる ことにより、車体の大幅な軽量化を図り、CO2排出量を更に削減できる。 炭素繊維のみならず、海水淡水化などの水処理膜(中空糸)、植物由来の化 学繊維など、我が国の技術力を一層高め、その活用を広げることにより、低 炭素社会への貢献できる。 (出所:炭素繊維協会) ⑤産地中小企業の新たな活動領域の創出と地域社会への貢献 【全体】 革新的な繊維素材と産地中小企業(異分野企業も含む)が有する高度加工技術を融合し、成長分野で新たなビジネスを展開が進むこと が期待できる(例えば、繊維産地企業の技術を活用した炭素繊維クロスの開発や自動車部品メーカーによる炭素繊維複合材の活用)。 更にはこうした新たな分野での技術が産地に集積することにより、地域の活性化にも貢献。 6 また中小企業であっても、内需依存体質から脱却し、拡大するアジアなどの海外市場に対して積極的に活動の領域を広げていくことが 求められる時代となり、この点でも地域社会の活性化、人材のグローバル化が促進される。
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