KW-0761 第 2 部(モジュール 2): CTD の概要(サマリー) 2.2 緒言 協和

KW-0761
第 2 部(モジュール 2):
CTD の概要(サマリー)
2.2 緒言
協和発酵キリン株式会社
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KW-0761
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2.2 緒言
緒言
KW-0761(一般名:モガムリズマブ(遺伝子組換え))は、ヒト CC ケモカイン受容体 4(CCR4)
を標的抗原とするヒト化モノクローナル抗体であり、抗体の Fc 領域に付加する糖鎖中のフコー
ス含有量の改変(低フコース処理)により、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を増強する技
術(高 ADCC 活性技術:POTELLIGENT®)を用いて創製された世界初の治療用抗体である。協
和発酵キリン株式会社は、世界に先駆け本邦にて成人 T 細胞白血病リンパ腫(ATL)を対象と
した臨床試験を 2006 年より開始し、2012 年 3 月に「ポテリジオ®点滴静注 20mg」の販売名で「再
発又は難治性の CCR4 陽性の成人 T 細胞白血病リンパ腫」を効能・効果として医薬品製造販売
承認を取得した。その後、本邦にて化学療法未治療の ATL を対象とした併用投与並びに再発・
再燃の末梢性 T 細胞リンパ腫(PTCL)及び皮膚 T 細胞性リンパ腫(CTCL)を対象とした単独
投与による開発を進めてきた。それぞれの適応症に対する臨床開発の経緯の概略を以下に示し
た。
1)化学療法未治療の ATL
ATL は悪性リンパ腫の中でも極めて難治性であり、初発時の治療として CHOP 療法等の多剤
併用化学療法が行われてきたが、最も優れた成績が得られている mLSG15 療法でも、3 年生存
割合は 24%、生存期間中央値(MST)は 12.7 ヵ月であり、満足できる成績とはいい難い1)。ATL
は他のリンパ腫と比べ免疫不全が強く、年齢や合併症等の影響により現行の化学療法以上に治
療強度を高めることが難しいことから、化学療法剤の組合せでは、今以上の成績向上をもたら
すことは難しい状況にある。したがって、より効果的でベネフィット・リスクバランスの優れ
た新たな治療薬・治療レジメンの開発が急がれている。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)の助言をもとに実施した後期第 II 相
臨床試験(0761-003 試験)では、初発未治療 ATL 患者(化学療法未治療患者)を対象として
mLSG15 療法と KW-0761+mLSG15 療法とを比較した。
その結果、mLSG15 群の完全寛解率 33.3%
(8/24 名)(95%信頼区間:15.6~55.3%)に対して、mLSG15+KW-0761 群の完全寛解率は 51.7%
(15/29 名)(95%信頼区間:32.5~70.6%)であり、mLSG15+KW-0761 群の方が 18.4%(95%信
頼区間:
~
%)高い完全寛解率を示した。安全性では、mLSG15 療法と KW-0761 を併用
した際に、皮膚障害が発現し、感染症が重症化するなどのリスクが認められたが、ベネフィッ
ト・リスクバランスを考慮すると、mLSG15 と KW-0761 の併用療法は臨床的に有用性が高いと
考えられた。
2)再発又は難治性の PTCL 及び CTCL
PTCL 及び CTCL は、成熟した T/NK 細胞を起源とし、リンパ系腫瘍細胞による多彩な臓器浸
潤を特徴とした多様な疾患群である。PTCL の主な疾患の 5 年生存割合は、末梢性 T 細胞リンパ
腫-非特定型(PTCL-NOS)が 32%、血管免疫芽球性 T 細胞リンパ腫が 32%、未分化大細胞型
リンパ腫(ALCL)・未分化リンパ腫リン酸化酵素(ALK)陰性が 49%であり、ALCL・ALK 陽
性の 70%を除くと一般的に予後は悪い2)。更に、腫瘍細胞が CCR4 陽性の場合、5 年生存割合は
PTCL-NOS で約 20%と ATL と同程度に予後不良であることが明らかになっている3)。
また CTCL
は、化学療法の対象となる病期 IIB~IV 期では病勢進行が比較的速く、臨床的悪性度も高い。中
でも内臓浸潤のある IV 期は MST が 2.5 年で、腫瘍細胞が形質転換した菌状息肉腫/セザリー症
候群では初診時からの MST が約 3 年(形質転換してからの MST は約 1.6 年)と特に予後不良で
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あることが示されている4)。本邦では、PTCL を適応症とする治療薬はなく、CTCL を適応症と
する治療薬として 2011 年 7 月に Vorinostat が承認されたのみであり、その有効性も十分ではな
い。このような背景から、両疾患に対する新規治療薬開発の医療ニーズは非常に高い。
PMDA の助言をもとに実施した後期第 II 相臨床試験(0761-004 試験)では、再発又は再燃の
PTCL 及び CTCL 患者を対象として KW-0761 単独投与による評価を検討した。その結果、奏効
率は全被験者で 35.1%(13/37 名)(95%信頼区間:20.2~52.5%)、疾患別では PTCL が 34.5%
(10/29 名)(95%信頼区間:17.9~54.3%)、CTCL が 37.5%(3/8 名)(95%信頼区間:8.5~75.5%)
であり、全体及び疾患別ともに 95%信頼区間の下限値が閾値奏効率 5%を上回る結果であった。
また、安全性上も ATL を対象とした評価で既に特定されているリスク以外に大きなリスクはな
かった。治療選択肢が限られているこれらの疾患に対して、0761-004 試験で示された KW-0761
の治療効果は、ベネフィット・リスクバランスを考慮すると、臨床的にも有用性が高いと考え
られた。
以上より、今回、化学療法未治療の ATL に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用投与の適応追加
並びに再発又は難治性の PTCL 及び CTCL に対する単独投与の適応追加を目的として、医薬品
製造販売承認事項一部変更承認申請を行うこととした。
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【参考文献】
1.
Tsukasaki K, Utsunomiya A, Fukuda H, Shibata T, Fukushima T, Takatsuka Y, et al.
VCAP-AMP-VECP compared with biweekly CHOP for adult T-cell leukemia-lymphoma: Japan
Clinical Oncology Group Study JCOG9801. J Clin Oncol. 2007;25(34):5458-64.
2.
Vose J, Armitage J, Weisenburger D;International T-cell Lymphoma project. International
peripheral T-cell and natural killer/T-cell lymphoma study: pathology findings and clinical
outcomes. J Clin Oncol. 2008;26(25):4124-30.
3.
Ishida T, Inagaki H, Utsunomiya A, Takatsuka Y, Komatsu H, Iida S, et al. CXC chemokine
receptor 3 and CC chemokine receptor 4 expression in T-cell and NK-cell lymphomas with special
reference to clinicopathological significance for peripheral T-cell lymphoma, unspecified. Clin
Cancer Res. 2004;10(16):5494-500.
4.
Diamandidou E, Colome-Grimmer M, Fayad L, Duvic M, Kurzrock R. Transformation of mycosis
fungoides/Sezary syndrome: clinical characteristics and prognosis. Blood. 1998;92(4):1150-9.
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