気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 5 次評価報告書の 骨子及び

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 5 次評価報告書の
骨子及び作成スケジュールについて
(お知らせ)
平成 21 年 10 月 30 日(金)
環境省地球環境局総務課研究調査室
直通: 03-5521-8247
代表: 03-3581-3351
室
長: 小野 洋 (内線 6730)
室長補佐: 清野 達男(内線 6731)
係
長: 橋本 徹 (内線 6735)
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 31 回総会が、第 1~3 作業部会会合と
あわせて、10 月 26~29 日にインドネシア・バリにおいて開催されました。
本会合では、2013~2014 年の公表を予定している第 5 次評価報告書の骨子及び作
成スケジュールが承認されました。
1.IPCC 第 31 回総会の概要
開催月日:平成 21 年 10 月 26 日(月)~29 日(木)の 4 日間
開催場所:インドネシア・バリ
Bali International Convention Center
出席者:約 160 か国の代表、世界気象機関(WMO)、国連環境計画(UNEP)等の国際機関
等から合計約 320 名
我が国からは、環境省、文部科学省、経済産業省、気象庁などから 13 名が出席。
2. IPCC 第 5 次評価報告書の特徴(承認された骨子より)
○第 1 作業部会報告書(自然科学的根拠)
・気候変動の自然科学的基礎を網羅的に取り上げつつ、現時点で特に関心の高い事項
については独立の章を設けて重点的に扱う構成。
・新たに独立した章となったのは、気候変動のメカニズムの中で明らかでない点が多い
「雲とエアロゾル(第 7 章)」、今後数十年間を対象とする「近未来気候変動:予測と予測
可能性 (第 11 章)」および、対策の必要性から正しい科学的知見に対する要請の大き
い「海面水位の変化(第 13 章)」、「気候の現象およびその将来の地域規模気候変動と
の関連性(第 14 章)」の計 4 章。
○第 2 作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)
・全地球的/分野別の部(20 の章で構成)と、地域別の部(10 の章で構成)の2分冊となり、
地域の影響についてより詳細に評価。
・第 4 次評価報告書でその重要性が言及された、気候変動への適応に関する章が、「適
応の必要性およびオプション(第 14 章)」、「適応計画および実施(第 15 章)」、「適応の機
会、制約および限界(第 16 章)」、「適応の経済的側面(第 17 章)」の計 4 章に拡大され
(第 4 次評価報告書では計 2 章)、実際の適応策に役立つ科学的知見の提供に重点が
置かれる。
・人間の健康、福祉、安全に関して、「人間の健康(第 11 章)」、「人間の安全(第 12 章)」、
「生活および貧困(第 13 章)」の計 3 章に拡大され(第 4 次評価報告書では計 1 章)、中
心的な課題の一つとして取り上げられる。
○第 3 作業部会報告書(気候変動の緩和策)
・気候変動を緩和する対策について、各セクターの温室効果ガス排出削減の技術的なポ
テンシャル評価に基づくボトムアップアプローチと、シナリオからの分析に基づくトップダ
ウンアプローチを元に、統合的に、より確かな気候変動緩和の方向性を明らかにする
(第Ⅲ部、第 5 章~第 12 章)。
・国際協力、地域協力、国内方策など各レベルの方策および資金供与に関する評価を行
う(第Ⅳ部、第 13 章~16 章)。ここでは、国際的な取組のための枠組み、緩和政策の実
施手法等に対する情報提供の観点から、科学的見地からの研究について評価を行う。
その他、気候変動への緩和・適応・持続可能な開発、コストと経済評価、海洋酸性化を含
む炭素循環等については、分野横断的な事項として、作業部会間で横断的な専門家会合
を開催する等、第 5 次評価報告書で包括的に評価されることとなった。また、国連気候変動
枠組条約(UNFCCC)第 2 条に定められる究極目標に関連する科学的知見については、特
に重要な分野横断的課題として、今後検討されることとなった。
3. IPCC 第 5 次評価報告書の作成スケジュール
第1作業部会報告書が 2013 年 9 月に先行して完成、公表され、その成果を踏まえて、
2014 年に第 2 作業部会、第 3 作業部会各報告書が完成、公表される予定。統合報告書は
各作業部会報告書の成果を踏まえて、2014 年 9 月に公表される予定。
・第 1 作業部会報告書
・第 2 作業部会報告書
・第 3 作業部会報告書
・統合報告書
2013 年 9 月公表予定
2014 年 3 月公表予定
2014 年 4 月公表予定
2014 年 9 月公表予定
(添付資料) IPCC 第 5 次評価報告書 第 1~3 作業部会報告書目次(仮訳)
(参考)IPCC 第 5 次評価報告書
第 1 作業部会報告書
第 1~3 作業部会報告書
目次(仮訳)
目次
政策決定者向け要約
技術要約
1章
2章
3章
4章
5章
6章
7章
8章
9章
10 章
11 章
12 章
13 章
14 章
序
観測:大気圏と地球表面
観測:海洋
観測:雪氷圏
古気候のアーカイブ(記録・資料)からの情報
炭素およびその他の生物地球化学的循環
雲とエアロゾル
人為起源と自然起源の放射強制力
気候モデルの評価
気候変動の検出と原因特定: 全球規模から地域規模まで
近未来気候変動: 予測と予測可能性
長期気候変動: 予測、既定および不可逆性
海面水位の変化
気候の現象およびその将来の地域規模気候変動との関連性
第 2 作業部会報告書
目次
政策決定者向け要約
技術要約
パート A: 全地球的および分野的観点
1章
2章
出発点
政策決定の基盤
自然および管理された資源とシステム、およびその利用
3章
淡水資源
4章
陸域および内水域のシステム
5章
沿岸システムおよび低平地
6章
海のシステム
7章
食料生産システムおよび食料安全保障
居住地、産業およびインフラ
8章
都市域
9章
10 章
農山漁村域
主要な経済部門およびサービス
人間の健康、福祉及び安全
11 章 人間の健康
12 章 人間の安全
13 章 生活および貧困
適応
14 章
15 章
16 章
17 章
適応の必要性およびオプション
適応計画および実施
適応の機会、制約および限界
適応の経済的側面
複数分野に係る影響、リスク、脆弱性および機会
18 章 観測された影響の検出および原因特定
19 章 切迫するリスクおよび主要な脆弱性
20 章 気候変動に対し回復力のある発展経路: 適応、緩和および持続可能な開発
パート B
21 章
地域的観点
地域的背景
地域に関する章
22 章 アフリカ
23 章 ヨーロッパ
24 章 アジア
25 章 オーストラレーシア(南太平洋地域)
26 章 北アメリカ
27 章 中南米
28 章 極域
29 章 小島嶼
30 章 外洋域
第 3 作業部会報告書
政策決定者向け要約
技術要約
Ⅰ.導入
1章
導入
目次
Ⅱ.枠組問題(FRAMING ISSUES)
2章
気候変動への対応政策の総合的なリスクと不確実性の評価
3章
社会的、経済的、倫理的コンセプトと手法
4章
持続可能な発展と衡平性
Ⅲ.気候変動の緩和への経路
5章
動因、傾向と緩和
6章
変移経路の評価
7章
エネルギーシステム
8章
運輸
9章
建築
10 章 産業
11 章 農業、林業およびその他の土地利用(AFOLU)
12 章 居住地、インフラ、空間計画
Ⅳ.政策、措置、資金の評価
13 章 国際協力:合意と措置
14 章 地域開発および協力
15 章 国内・国内小地域政策
16 章 クロスカッティング、投資と資金問題