TX テクノロジー・ショーケース in つくば 2010 物質・材料 P-13 金属コロイド触媒による高密着性無電解メッキ ■ はじめに 無電解メッキは、プラスチック等の絶縁材料や複雑な形 状の部品への金属メッキ方法として、産業において不可 欠な技術となっている。従来技術では、メッキ後のメッキ被 膜の密着性を得るための表面処理が必要であり、クロム酸 などの酸化剤によるエッチング処理が行われている。近年、 RoHS指令やWEEEなど環境汚染への規制により有害物 質を用いないメッキ技術が望まれている。本研究では、金 属コロイドを触媒として用いることにより、エッチング処理な しに高い密着性が得られる環境調和無電解メッキ法を開 発した。 ■ 研究の成果 無電解メッキの触媒として、粒径数nm(ナノメートル)の 金属ナノ粒子が水中に分散した白金またはパラジウムコロ イドを用いる。これにプラスチックなどの基材を浸漬すると、 金属ナノ粒子を基材表面に均一に固定化することができ る。ナノ粒子を表面に固定化した基材を、無電解メッキ液 に浸漬すると、ナノ粒子の触媒作用により、常温、短時間 で金属被膜が形成する。 メッキ後に100〜250℃で数分間加熱だけで、メッキ被膜 の密着性が強固になることを見出した。JIS K5600-5-6に 準じたテープ剥離試験により、メッキ膜の剥離が全く起こら ない金メッキ被膜が形成される。ポリエチレン、ポリプロピ レン、ナイロン、ポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネート などのプラスチックについて密着性の良好な金属メッキ被 膜を得ることを確認している。 ■ 参考文献 1.特開2008-19457 無電解金メッキ液 2.産総研プレスリリース(2008.9.19)、シアン化合物を使わ ない無電解金メッキ法を開発。 (http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2008/pr2008 0918/pr20080918.html) 3.堀内伸,中尾幸道,プラスチックエージ,2009, 55, 3, 57-61. 4.堀内伸,中尾幸道,ポリファイル,2009, 46, 545, 28-32. a: エッチングレス無電解金メッキ法の概要;b: ポリスチレン薄膜上に固定化された Pt コロイド; c:10 秒間メッキ後に生成された金微粒子;d:ポリエステル布,カプトンフィルム上の金メッキ 代表発表者 �� ������ ��� 所 属 独立行政法人 産業技術総合研究所 ナノテクノロジー研究部門 問合せ先 〒305-8565 茨城県つくば市東 1-1-1 第 5 事業所 TEL: 029-861-6281, FAX: 029-861-4437 [email protected] ■ キーワード: (1) 無電解メッキ (2) コロイド (3) 接着 −15−
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