泌尿 器科 領域 に おけ るAmoxycillinの 基礎 的,臨 床的 検討 - J-Stage

VOL.
21
NO.
CHEMOT
8
HERAPY
1671
泌 尿 器 科 領 域 に お け るAmoxycillinの
基 礎 的,臨
床的 検討
鈴 木 恵 三 ・名 出頼 男
名古屋保健衛生大学医学部泌 尿器科学教室
大
越
正
秋
慶応義塾 大学医学部 泌尿器科学教室
は
Amoxycillinは1963年
じ
め
に
寒 天,接
英 国Beecham研
究所で開発
さ れ た半 合 成 ペ ニシ リン で あ る。 そ の抗 菌 スペ ク トラム
はAmpicillin(ABPC)と
ほ と ん ど 同 じ で,ペ
感 受 性 の グ ラ ム 陽 性 菌 と大 腸 菌,イ
ニシ リン
ン ドー ル 非 産 生 変 形
り,こ
種 菌 量 は106/mlに
れ を 培 地 上 に 画 線 塗 布,over
検 定 株53株
つ た。
の うち グ ラ ム 陰 性 菌 が43,陽
た 。AmoxycillinのE.coliに
式 はFig.1に
位 に 水 酸 基 を 導 入 した も の で あ る。 こ の 薬 剤 の 特 長 は 経
口 投 与 時 の 優 れ た 吸 収 性 に あ り,ABPCと
た 場 合,ほ
ぼ2倍
同 量 内 服 し
8株(32%),12.5mcg/mlの
も の が7株(28%),25.0
も の が4株(16%),>100
も の が6株(24%)で
あ つ た 。 い つ ぽ う,
事 摂 取 に よ る 影 響 が 少 な い1)∼3)。 本 剤 の 評 価 に つ い て
は,す
示 し た も の は10株(40%),12.5mcg/mlの
で に1971年
の 国 際 化 学 療 法 学 会(於Prague)に
に欧州におい
て は 臨 床 に 広 く応 用 さ れ て い る 。Amoxycillinは
に 本 邦 に 導 入 さ れ,多
的,臨
く の 研 究,臨
床 的 検 討 が 開 始 さ れ,そ
療 法 学 会 総 会 シ ン ポ ジ ウ ム(於
同年
床 施 設 に お い て基 礎
の 結 果 が 第21回
日本 化 学
札 幌,1973年6月)に
お
は3.13mcg/ml∼6.25mcg/mlのMIC値
%),>100mcg/mlの
も の が6株(24%)で
に 対 す る 抗 菌 力 の パ タ ー ン は,ほ
分 布 は,100mcg/ml以
た 抗 菌 力 に か ん す る基 礎
Chemical
structure
感 受 性 の ピー ク
上 の濃 度 の薬 剤 に 対 す る感 受 性
上 の 濃 度 ま で,ピ
ー ク時 点 よ り
や や 低 い レベ ル でほ ぼ 一 様 で あ る。 同 時 に セ フ ァ ロス ポ
リ ン 系 抗 生 物 質 のCephalexin(CEX)とCefazolin
(CEZ)の
Fig. 1
あつ た 。 こ
ぼ 同 様 とい つ て よい。
い ず れ も3.13mcg/ml∼6.25mcg/mlに
か ら 提 供 を 受 け,泌
的 検 討 を 行 な つ た の で 併 せ 報 告 す る。
も の が3株
も の が6株(24
の 結 果 を 比 較 す る と,AmoxycillinとABPCのE.coli
が あ る 。6.25mcg/ml以
投 与 した 臨 床 成 績 を 検 討 し,ま
を
(12%),25.0mcg/ml∼100mcg/mlの
い て 報 告 さ れ た 。 わ れ わ れ は 本 剤 を 藤 沢 薬 品 工 業K.K.
尿 器 科 領 域 に お け る 感 染 症 に 対 して
あ
1に 示 し
を 示 した も の が
ABPCで
お い て 多 くの 論 議 検 討 が な さ れ て お り,現
性 菌 が10で
対 す る 感 受 性 を み る と,
mcg/ml∼100mcg/mlの
mcg/mlの
の 血 中 濃 度 が 得 ら れ る。 ま た,水,食
養 後 に 判
グ ラ ム 陰 性 菌 に 対 す る 感 受 性 をTable
3.13mcg/ml∼6.25mcg/mlのMIC値
ベ ンゼ ン核 の パ ラ
night培
金 耳 採
定 を した。
菌 な ど の グ ラ ム 陰 性 菌 に 対 し抗 菌 力 を 示 す 。 本 剤 の 構 造
示 した よ う に,ABPCの
希 釈 し た 菌 液 を1白
感 受 性 を 検 討 した が,E.coliに
で は,12.5mcg/ml以
12.5mcg/ml∼100mcg/mlの
>100mcg/mlの
ABPCの
つ い てCEX
下 の 感 受 性 を 示 し た 株 は な く,
も の が11株(44%),
も の が14株(56%)で,Amoxycillin,
感 受 性 に 比 較 し て 劣 る 結 果 で あ つ た 。CEZで
は,1.56mcg/mlの
感 受 性 を 示 した も の が6株(24%),
a13mcg/ml∼6.25mcg/mlの
も の が7株(28%)で
あ
つ た 。 ま た11株(44%)は25mcg/ml∼50mcg/mlの
MIC値
で,1株(4%)は,>100mcg/mlの
つ た 。 す な わ ち,CEZで
mlに1つ
今1つ
I
基 礎 的検 討:抗 菌 力
平 塚 市 民 病院 泌 尿 器 科 に お い て 尿 路 感染 症 例 か ら分 離
した 保 存株53株 に つ い て,化 学 療 法 学会 標 準 法 に 準 じて
平 板 希釈 法に よ る感 受 性 の 測 定 を 行 な つ た。培 地 はH.I.
teus
mlの
mlで
MIC値
値 であ
は,1.56mcg/ml∼6.25mcg/
の ピ ー ク が あ り,25mcg/ml∼50mcg/mlに
の ピ ー クが 認 め ら れ た 。 次 に 変 形 菌 群 で はPro-
mirabilts
4株 中1株
がAmoxycillinに1.56mcg/
感 受 性 を 示 し た が,残
残
り の2株
る3株
中1株
は12.5mcg/
は100mcg/mlと>100mcg/mlの
を 示 した 。ABPCで
は6.25mcg/mlの
感 受 性
CHEMOT
1672
Table
1 Sensitivity
HERAPY
of 43 Gram-negative
NOV.
strains
(MIC,
mcg/ml)
1973
VOL.
21
NO.
8
CHEMOT
株 が1株,50mcg/mlの
も の が1株,残
mcg/mlと>100mcg/mlの
る2株
耐 性 を 示
vulgaris,Morganella,Rettgerellaで
全 て の 株 が100mcg/ml以
HERAPY
は100
し た 。Proteus
は,4剤
1673
れ そ れ 食 後30分
た4回
に 対 し
上 の 耐 性 を 示 した 。 ま た
は,ペ
(A)
に 対 す る 感 受 性 試 験 の 結 果 はTable
2に 示 した 。 こ の うち β-Lactamase産
耐 性 と 思 わ れ るStaph.aureus
1株 を 除 い て,ペ
ン 系 薬 剤 に 対 し全 株 が12.5mcg/ml以
し た 。Strept.faecalisで
は,ベ
ニ シ リン剤 と セ フ ァ ロス
ポ リ ン剤 と の 感 受 性 の 態 度 が 異 な り,前
示 す の に 対 し,後
が>100mcg/mlの
しStaph.群
で は,4剤
Table 2
者 では 感 受 性 を
者 で は 感 受 性 が 劣 り,特
6株 中5株
ニシ リ
下 の感 受 性 を 示
にCEXに
は
耐 性 を示 した。 これ に対
に 対 しほ と ん ど 同 じ よ うに 優 れ
Sensitivity
strains
midis
炎 菌 はTable
同 定 の グ ラ ム 陰 性 桿 菌(GNB)が2で
部 に つ い て平 板 希 釈
法 に よ るAmoxycillin,ABPCに
対 す る 感受 性 を 測 定
し た 。Table
3に
み る よ うに 両 剤 間 に 感 受 性 の 差 は な
く,E.coliに
対 し て は 前 者 が13中12,後
に 対 し て25mcg/ml以
Table
3
Not
Causative
identined
者 が21中19
下 で 発 育 を 阻 止 し た 。Klebsiella,
cystitis
Euterobacterで
ま でに,平 塚 市 民 病 院 泌 尿
下Staph.epider-
あ つ た 。 こ れ ら の 分 離 菌 の う ち,一
organisms
of
their
sensitivities
and
Gram-negative
は,50mcg/ml以
acute
bacilli
上 の耐 性 で あつ た 。
投 与50症 例 の臨 床 成 績 はTable
1971年12月 か ら1973年4月
示 し た と お りで あ る 。
占 め,以
3,Proteus mirabilis,Klebsiella,Euterobacter
*
臨 床 的 検 討
3に
中42例(84%)を
が そ れ ぞ れ1,未
た 感 受 性 をみ た 。
II
プ
全 例 女 性 で あ る。 全 て 基礎 疾 患 の無 い単 純
E.coliが50例
of 10 Gram-positive
(mcg/ml)
1. 投 与 対 象
上 投 与
い し2カ
急 性 膀 胱 炎 に 対 す る成 績
性 感 染 症 で,起
生 能 に 由来 す る
プ セ ル を 用 い て,1な
臨床成績
症 例 数50で
グ ラ ム 陽 性 菌10株
内服を加え
セ ル を前 記 と 同様 な方 法 で服 用 させ た 。
3.
ニ シ リ ン 剤 に 対 し て は 全 て の 株 が>l00mcg/ml
ま た は 就 寝 前 に1回
の 場 合 に は,250mgカ
Citrobacter,Klebsiella,Pseudomouas,Alkaligenesで
の 耐性 で あつ た。
に,3回
に 分 け 服 用 す る よ う指 示 した 。750mg以
4に 示 した 。 わ れ わ
れ はAnnoxycillinを1日375mg,500mg,750mg,
器科 と荻 窪 病 院泌 尿器 科 を受 診 した 外 来 患 者 と入 院 患 者
1,000mgず
の うち か ら,投 与 対 象 を選 択 した 。 投 与 対 象 疾 患 は,急
い て の 臨 床 効 果 を オ ー プ ン トライ ア ル で検 討 した が,表
性 単純 性 膀 胱 炎50例,慢
に み る とお り各 群 間 に 効果 の差 がみ られ なか つ た 。 す な
(淋菌 性7,非
淋 菌性1)で
性 腎 〓 腎 炎4例,尿
道 炎8例
合 計62症 例 で あ る。 性 別 で は
わ ち375mg群
つ投 与 した 群 それ ぞれ14,10,8,18例
で は14例 中13(92.9%),500mg群
尿道 炎 の8例 を 除 く54例 が全 て女 性 で あ る。 年 令 は20才
例 中9(90.0%),750mg群
か ら71才 ま で で あ る。
mg群
2. 投 与 方 法 ・用 量
投 与 した カ プセ ル は,125mgの
方 の うちい ず れ か を 選 択 した。1日
500mg,750mg,1,000mg,2,000mgの5種
375mg,500mgの
場 合 に は125mgカ
で8例
で18例 中16(88.9%)が
な お 効 果 判 定 基 準 はTable
も の と250mgで,双
の投 与 量 は375mg,
類 あ る が,
プ セル を 用 い,そ
につ
で10
中8(100%),1000
それ ぞ れ 有 効 で あ つ た 。
5に 示 した。
い つ ぼ う無 効 症例 に か ん して の検 討 を試 み る意 味 で,
4例 の 無 効例 をTable
症 例1と2は
6に 表 わ した。 これ に よ る と,
耐 性 菌 に よる 感染 で あ るが,3と4は
感受
性 菌 に よる 感染 で あ つ た。 い ずれ も他剤 の投 与 で治 癒 に
CHEMOT
1674
HERAPY
NOV.
1973
Table 4 Clinical result
A-(1) Acute cystitis
Table
5
Criteria
A-(2)
*
Table
Acute
of therapeutic
6 Clinical
result
cystitis : Ineffective
cases
Disc
至 つ て い る。
量 は1日2,000mg(症
再 発 に か ん す る検 討 はTable
4の 右 欄 に 記 した。 原
則 と して 有 効 症 例 に 対 し,薬 剤 投 与 中 止後2カ
llow upす
efficacy
月間fo-
る こ とを 条 件 と した が,約 半 数 が 来 院 せ ず,
例3で は最 初 の1週 間 は1,000mg)
で4回 分 服 と し7日 ∼15日 間 投 与 した。 症 例2,3は
炎 菌 はE.coliで
あ るが,penicillinase産
MICは400mcg/ml以
起
生 株 で その
上 とペ ニ シ リンに強 い 耐 性 を 示
検 査 を 施 行 で きな か つ た。 追 跡 し得 た 約 半 数 の うち の 再
した 。 この 症 例 で は い ずれ も細 菌 学 的 に 無 効 で あつ た 。
発 例 数 は7例 で あ つ た。 投与 量 の差 に よ る差 は 特 に 認 め
残 る2例 は 数 日内 に 尿 中細 菌 は陰 転 化 し,臨 床 的 に も有
られ な か つ た 。
効 で あつ た 。 な お これ らの症 例 は,い ず れ も手 術 的処 置
(B) 慢 性 腎 〓 腎 炎 に 対 す る臨 床 成 績(Table
7)
症 例 は4例 で 全 例 が 女 性 で あ る。 基 礎 疾 患 と して3例
に 膀胱 尿 管 逆 流現 象,1例
に腎 下垂 が 認 め られ た 。 投 与
を後 日に 行 なつ た 。
(c) 尿 道 炎 に 対 す る臨 床 成績(Table
患 者 は い ず れ も男性 で,年 令 は22才
8)
か ら41才 ま で で
VOL.
21
NO.
CHEMOT
8
HERAPY
1675
Table 7 Clinical
result
B: Chronic
pyelonephritis
*
Vesicoureteral
reflux
Table
8
Clinical
result
C : Urethritis
あ る。 淋 菌 性 尿 道 炎 が7例,非
淋 菌 性 尿 道 炎 が1例
で計
え て そ の ま ま 投 与 を 継 続 し た 。 中 止 し た1例
8例 で あ る。 表 に み る よ うに 全例 に優 れ た 臨床 効 果 を 認
め た。 淋 菌 性 尿 道 炎 の 場 合,膿 汁 は 内服 開 始2日
目に は
ほ とん ど消 失 し,白 血 球 内 外 の 淋 菌 も認 め な い。1例
500mg投
与 で あ つ たが,臨 床 効 果 は1g投
3日
圏か ら 発 疹 が 全 身 に 拡 が り,同
ス タ ミ ン剤 投 与 で 治 癒 した 。
与 例 と 同様 に
III
1. 抗 菌 力
なか つ た。
AmoxycillinはABPCと
9)
でそ の 内 容 はTable
9に 示 した 。5例
aureus,Staphylococcus
中
calisな
4例 は いず れ も ご く軽 度 の もの で,無 視 し得 る も の と考
Table
*
Accompanied
総
with
epigastric
discomfort
9
生 株 以 外 のStaphylococcus
epidermidis,Streptococcus fae-
どの グ ラム陽 性 菌 に優 れ た 抗 菌 力を 示 す 。 グ ラ
ム 陰 性 菌 で は,E.coli,Proteus
Side
effects
括
ほ と ん ど 同 じ抗 菌 ス ペ ク ト
ラ ム を 有 し,penicllinase産
症 例数 は 合 計62で この うち な ん らか の副 作 用 を 認 め た
もの は,5例
用後
た も の で あ る 。 こ の 例 は 短 期 間 の ス テ ロ イ ド投 与 と 抗 ヒ
が
有 効 で あつ た 。 全 例 と もに2週 間以 内 の再 発 は 認 め られ
4. 副 作 用(Table
は,服
時 に 胃部 不 快 を訴 え
mirabilisに
は抗菌力
CHEMOT
1676
HERAPY
を示 す が,Citrobacter,Klebsiella,イ
ン ドー ル 陽性 変形
菌群,Pseudomonas,Alkaligenesに
は 抗 菌 力 は きわ め
て低い。
NOV.
1973
か らす る と,最 小 必 要 量 の 差 を 見 出 す には,Am0xycillin,Annpicillinと
もに これ 以 下 の 体液 内濃 度 に 達 す る
量 で 比 較検 討 せ ね ば な らぬ こ とが 予 想 され る。 薬 剤 が 吸
2. 臨 床 成 績
収性 に優 る こ とが,体
(1) 急 性 膀 胱 炎:50例 中46例(92%)に
有効な成績を
内に お い て そ の 薬 剤 の効 果,す な
わ ち 有 効性 を 高 め る ことは,当 然 の こ と と考 え られ る。
得 た。 薬 剤量 を1日375mg,500mg,750mg,1,000mg
しか し臨 床 効果 と して評 価 され る場 合 に は,吸 収 の低 い
と した 各投 与 群 を 作 り,そ れ ぞ れ の効 果 を 比 較 検 討 した
抗 菌 薬 剤 と,吸 収 の 高 い薬 剤 とを 比 較 した場 合に は,少
が,そ の差 は 認 め られ なか つ た 。 無 効 症 例4例 に つ い て
な くと も尿 路 感染 症 とい う場 合 に お い て は,そ の差 が 未
み る と,2例
だ 捉 え られ て い な い。
は耐 性 菌 に よ る感 染 で あつ た 。 再 発 は 合 計
7例 認 めた が,こ
の場 合 も各 投 与 群 別 の 差 は み られ な か
つ た。
次 に 無 効 例 の4症 例 につ い て 考 察 す る と,2例
菌 に よ る感 染 で,単 にMICと
(2) 慢性 腎 〓 腎 炎:ペ
で は無 効,2例
ニ シ リン耐 性 菌 に よ る症 例2例
の感 受 性 菌 に よ る 感 染 に は 有 効 で あ つ
意 味 づ け るに は,い
は耐 性
の相 関 だ け で そ の無 効 を
さ さか 問題 が あ る。 実 際 に耐 性 菌 に
よ る感 染 で も,単 純 感 染 症 で は,第1選
択 に 用 い た 薬剤
で治 癒 に い た る症 例 は か な りあ る。 今 回 の例 で もAmo-
た。
(3) 尿道 炎:淋 菌 性7,非
淋 菌 性1の 合 計8例 に は き
xycillinで 無 効 と し代 わ りに 投 与 し た 薬 剤 は,Nali-
わ め て 良 好 な 臨 床成 績 で あつ た 。 い ず れ の症 例 で も2週
dixicacid(NA)と,Cephalexin(CEX)で,い
間 以 内 に 再 発 は な か つ た。
も起 炎 菌 は これ ら薬 剤 に対 して耐 性 で あ るが,細 菌学 的
(4) 副 作 用:症 例 数62例 中,発 疹 のた めに 中 止 せ ざ る
ずれ
に 有 効 で あつ た 。 こ う した現 象 を解 析 す るに は,多
くの
を 得 な か つ た 例 が1例 で,他 に 胃部 不 快,発 疹,下 痢 な
要 因 を 追 求 せ ね ば な らな い 。 この要 因 につ い て は い ずれ
どを 訴 え た もの が4例 あ つ たが,い ず れ も軽 度 で,臨 床
詳 細 な検 討 を 待 た ね ば な らぬ が,た
上 投 与 に 支 障 な い もの と考 え られ た。 数 例 に お い て,投
る吸 収 の態 度 が 薬 剤 に よつ て 差 が あ る の では な い か,無
与 前 後 の末 梢 血,肝 機 能,腎 機 能 の検 査 を施 行 した が,
効 時 の宿 主 側 に,い わ ゆ る従来 の基 礎 疾 患 の範 疇 に は入
ら ない よ うなminor
異 常 所 見 を 認 め な か つ た。
IV
考
complication(た
と えば,外 陰 部
皮 膚 炎,膣 炎 な ど)が あ るの で は ない か な どが あ げ られ
按
AmoxycillinはAmpicillinに
とえば,各 個 体 に よ
比 し,約2倍
の吸 収
を 示 す こ とか ら,こ れ が 実際 に 臨床 上 どの よ うな差 と な
る。 今 後 こ う した 要 因 に つ い て 検討 をす す め て ゆ く考 え
で あ る。
V
つ て 現 わ れ るか 興 味 とな る点 で あ る。 こ の点 に か ん し,
Amoxycillinに
わ れ わ れ は オ ー プ ン トライ ア ル で,急 性 膀 胱 炎 とい う比
結
語
か んす る抗 菌 力 と泌 尿 器 科 領 域 に お
較 的 宿 主 側 条 件 の 均 一 な疾 患 に対 し,通 常 のAmpicil-
け る感 染 症62例 に か ん す る臨 床成 績 に つ い て 報 告 し,若
linの 投 与 量 の半 量 のAmoxycillin(1日375mg∼500
干 の考 察 を 加 え た 。 本 剤 はAmpicillinの
mg)を
の半 量 で,急 性 膀 胱 炎,淋 菌性 尿 道 炎 に きわ め て 優 れ た
投 与 し,同 一 薬 剤 の750mg∼19と
効果 を比較
従 来 の 投与 量
した が,有 意 差 は 認 め られ なか つ た 。 また 同 じ くオー プ
臨 床 成 績 を 認 め た 。 腎〓 腎炎 では,ペ
ン トライ ア ル でAmpicillin
細 菌 に よ る感 染 例 が 無 効 で あ つ たが,感 受 性 菌 に よる感
375mg投
与 群5例
と比 較
した が,両 薬 剤 間 に 差 は 認 め なか つ た 。 こ の結 果 を み る
染 例 で は 有 効 で あ つ た。 副作 用 は1例
と,両 剤 の差,す
は,ほ
な わ ち動 物 実 験 で のED
差 を臨 床 的 に 追 求 す るに は,さ
50に 相 当 す る
参
1.
ず もな く,最 低 必 要 量 を 決 め る良 い 指 標 を 求 め るに は 困
難 が予 想 され る。 いず れ に せ よ375mg以
下 の 投 与 で,
比 較 検 討 せ ね ば な ら ない 。 わ れ わ れ は 先 に 内 服 した 場 合
きわ め て吸 収 の悪 いCefazolinに
よ る急 性 膀 胱 炎 に 対 す
る臨 床 成 績 約60例 に つ い て,2度
に わ た つ て 化 学 療 法学
会 で発 表 した(原 著 投 稿 中)。 この 場 合250mg内
血 中濃 度 は最 高0.86mcg/mlで,尿
2.
文
献
penicillin. British Med. J. 3 : 13. 1972
ACRED, P. ; PAMELAA. HUNTER, LINDAMIZEN &
semisynthetic
服 して
xycillinの 臨 床 成 績 と まつ た く同 じで あ つ た 。 この知 見
考
SUTHERLAND,R. ; E. A. P. CROYDON& G. N.
ROLINSON: Amoxycillin : A new semi-synthetic
G. N. ROLINSON: a-Amino-p-hydroxy-benzylpenicillin
(BRL-2333),
a new broad-spectrum
中 濃 度 は90mcg/ml
で あつ た。 この程 度 の吸 収 で臨 床 効 果 は,今 回 のAmo-
の発 疹 を 除 い て
とん ど臨 床 上 問題 とな ら なか つ た 。
らに 投 与 量 を 減 少 して 検
討 せ ね ば な ら ない が,治 療 効 果 発 現 の 遷 延 は 許 され るは
ニ シ リン破 壊型 の
Antimicr.
3.
第21回
penicillin
Agents
: In vitro evaluation.
& Chemoth. 416. 1970
日 本 化 学 療 法 学 会 シ ン ポ ジ ウ ム(1973)Amo-
xycillin.
VOL.
21
NO.
8
LABORATORY
OF
Amoxycillin
to
1)
that
Bacterial
composed
strains
of
genes,
43
Clinical
A)
Acute
**
Department
of
Urology
is
a
of
ampicillin.
B)
was
divided
given
of
active
500
mg,
total
of
into
four
8,
750
of
Medicine,
with
of
,
Fujitagakuen
urinary
of
E.
of
tract
coli,
anti-bacterial
infections
ones.
indole
strains
University
spectrum
gram-positive
**
University
broad
from
10
OHKOSHI
Keio
a
Pseudomonas,
against
pyelonephritis
;
sensitive
due
to
were
Except
positive
Proteus,
Proteus
mirabilis,
activity
53
in
total,
penicillinase-producing
Klebsiella
and
Staphylococcus
Alkaliaureus,
faecalis.
the
and
18,
of
with
500
1000
88.
acute
cystitis
patients
mg.
Each
9%•`100%
4 patients
group
the
treated
with
reveived
days'
with
in
50
375
demonstrated
3•`4
cured
failed
was
of
with
were
however,
resistant
of
with
Fourteen
being
Two
patients
dosis
patients
groups.
organisms,
penicillin
Seven
of
50
mg
cures
satisfactory
Side
School
isolated
Streptococcus
bacteriological
amoxycillin
drug
be
and
A
were
Urethritis;
the
to
Medicine
and
strains
MASAAKI
of
bacteria
bacteria,
and
School
penicillin
test
aureus,
*
FIELD
evaluations
infections
C)
: The
INVESTIGATIONS
UROLOGICAL
NAIDE
,
semi-synthetic
gram-negative
cystitis;
Chronic
by
new
showed
response,
3)
Urology,
epidermidis
patients
10
YORIO
of
amoxycillin
2)
SUZUKI,
Department
Staphylococcus
Staphylococcus
CLINICAL
IN
*
activity
of
AND
AMOXYCILLIN
KEIZO
similar
1677
CHEMOTHERAPY
2, 000mg
of
the
The
drug
satisfactory
treatment
treatment
amoxycillin.
mg
daily,
therapeutic
courses.
of
the
drug
daily,
of
the
two
cases
infected
with
acute
mg•`1000
gonorrheal
mg
daily
urethritis
and
one
no
significant
were
well
cured
non-gonorrheal
within
urethritis
3•`7
days
exhibited
result.
reaction
: Except
one
case
the
strains.
of
skin
rashes,
side
reactions
were
encountered.
with
also