研究炉等安全規制検討会の当面の進め方について - 文部科学省

資料第14−2
研究炉等安全規制検討会の当面の進め方について
平成 16 年 8 月5日
原 子 力 安 全 課
Ⅰ.はじめに
本検討会は、文部科学省が所管する試験研究用原子炉施設等に対する安全規制
のあり方に関して専門的な観点から検討することを目的とし、これまでに、保安
活動への品質保証の取り入れ及び試験研究用原子炉施設の高経年化対策のあり方
等について検討を行ってきているところである。今般、実用発電用原子炉施設等
におけるクリアランス制度の導入に向けた検討の進展、核物質防護を巡る最近の
動向などを踏まえ、当面以下の事項について検討を行うこととする。
Ⅱ.検討事項
1.クリアランス制度の整備
2.解体・廃止に係る制度の整備
3.核物質防護対策の強化
4.自然放射性物質・少量核燃料物質の安全管理のあり方
Ⅲ.関係機関の動向
別添参照
Ⅳ.本検討会における当面の検討課題
1.クリアランス制度の整備
(1)クリアランスレベル
試験研究用原子炉施設等においては、ウラン・アルミ製の板状燃料が用い
られる施設や、ウランやプルトニウムそのものを研究等の目的で使用する施
設がある。このため、今後、これら施設において、廃止・解体が計画される
施設を考えた場合、新たな核種や全α核種を核種毎に重要放射性核種として
定めることの必要性の有無。
【背景等】
原子力安全委員会において、これまでに取りまとめられたクリアランスレベル
に係る検討においては、日本原子力研究所東海研究所のJRR−2及びホットラ
ボ、核燃料サイクル開発機構大洗工学センターの常陽及び照射燃料集合体試験施
設(FMF)を対象に重要放射性核種と基準値が導出されている。
なお、U及び Pu 等の核種は、自然壊変により、長期にわたる時間が経過すると
系列核種等が生成され放射能濃度が増大するためクリアランスすることが相当困
難であると考えられ、原子力安全委員会等における今後の検討に期待する。
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(2)クリアランス制度の導入
当省所管の原子力施設(試験研究用原子炉施設及び核燃料物質の使用施設
の廃止に伴う解体等)に制度的な共通の手続きとして、原子力安全・保安部
会廃棄物安全小委員会により検討されている「国による判断・測定方法の認
可」、「国による測定・判断の確認」を導入すること。
【背景等】
原子力安全・保安部会廃棄物安全小委員会の報告書(案)においては 、「原子
炉施設を例に検討を行っているが、基本的に他の原子力施設にも適用可能なもの
である。」旨の見解が示されている。
(3)クリアランス検認方法等
当省所管の原子力施設(試験研究用原子炉施設及び核燃料物質の使用施設
の廃止に伴う解体等)に共通の手続きとして、原子力安全・保安部会廃棄物
安全小委員会により検討されている「国による判断・測定方法の認可」、「国
による測定・判断の確認」を導入することの問題の有無(独自の検認方法等
の検討の必要性の有無)
【背景等】
原子力安全・保安部会廃棄物安全小委員会の報告書(案)においては、クリア
ランス検認等の技術要件として、国が定める技術基準は性能要件とし、具体的な
手法等は、学協会が定める民間規格等を活用することとしている。
2.解体・廃止に係る制度の整備
(1)現行の解体に係る規制
①解体に係る各種報告徴収
解体に係る年間作業計画、各四半期の状況報告等の報告聴取。
【背景等】
試験研究用原子炉施設については、昭和40年代から廃止に伴う解体が行われ
てきているが、解体届受理後に、解体に係る安全確保状況を確認する観点から通
知を発出し、年間作業計画、各四半期の状況報告等を提出することを求めてきた。
②解体中の施設定期検査等の実施
解体作業中においても、施設供用中の施設定期検査などを適用。
【背景等】
現行の制度では、解体中の原子炉施設について、原子炉主任技術者の選任、国
による施設定期検査、保安検査及び解体の進捗に応じた保安規定の変更などが適
用される。
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(2)今後の解体に係る規制
解体に係る規制及び技術上の基準
① 解体に係る実効的な規制の実施
② 施設の維持管理、作業における安全確保及び解体の完了の確認等、施設
の解体の進捗に応じた技術上の基準の明確化
【背景等】
・
現行規制は、届出の義務及び措置命令に係る規定のみ。また、施設の解体に
係る技術上の基準は法令で定められていない。
・
施設の解体に係る安全確保については、原子力安全委員会より、「原子炉施設
の解体に係る安全確保の基本的考え方」
(昭和 60 年 12 月 19 日、一部改訂平成 13
年8月6日)示されている。
同基本的考え方には以下の項目について考え方が示されている。
(1)安全確保上の重要な事項
・
解体中における保安のために必要な原子炉施設の適正な維持管理方法・公衆
及び放射線業務従事者の放射線被ばくの低減など
(2)原子炉の機能停止措置
・
原子炉からの核燃料等の撤去など
(3)解体中の原子炉施設の維持管理
・
保安のために必要な措置、建家・構築物等の維持管理及び火災の防護など
(4)解体撤去作業における安全確保
・
放射性物質等の評価、解体撤去の手順及び工法選定時の留意事項、公衆に対
する安全確保及び放射線業務従事者の放射線被ばくの低減化対策など
(5)放射性廃棄物の取扱い
・
放射性廃棄物の区分と措置、放射性廃棄物中の放射性物質の量及び濃度評価
並びに解体中における放射性廃棄物の処理など
(6)解体完了の確認のあり方
・
解体完了に当たっての確認事項(核燃料物質は全て撤去されていること、
放射性廃棄物は適切な廃棄が確実になされること)
(7)解体にあたっての安全性の評価
・
平常時における周辺公衆の被ばく線量評価など
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3.核物質防護の強化
事業者の核物質防護措置に係る国の検査体制の整備及び核物質防護に係る情
報管理体制の整備等の核物質防護の強化のための措置について、法的措置を含
めた体制整備を行う。
4.自然放射性物質・少量核燃料物質
核原料物質及び核燃料物質の使用に係る現行の規制、自然放射性物質として
様々な分野で使用されている現状を考慮し、安全確保上必要なガイドライン等
を作成し、実効的な使用に対する制度を検討する。
Ⅴ.当面のスケジュール
クリアランス制度の整備、解体・廃止に係る制度の整備及び核物質防護の強化
については、原子炉等規制法の法改正を念頭に、検討の期間を5ヶ月程度(平成 16
年 12 月始め頃)とする。
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別
添
関係機関の主な動向
項
目
クリアランスレベル
原
子
力
安
全
主
な
動
向
これまでに取りまとめた
・
「主な原子力施設におけるクリアランスレベルについて」
・
「重水炉、高速炉等におけるクリアランスレベルについて」
・「核燃料使用施設(照射済燃料及び材料を取り扱う施設)に
おけるクリアランスレベルについて」
に対して、国際原子力機関(IAEA)が検討している「規制
除外、規制免除及びクリアランスの概念の適用」
(DS161)
の内容を反映する必要性について検討中
【検討の場】
放射性廃棄物廃止・措置専門部会クリアランス分科会
【検討スケジュール】
平成 16 年6月より検討開始(検討期間6ヶ月を予定)
委
原子炉施設の運転終
員 了以降の安全規制制
度に関する規制調査
会
運転終了以降の原子
力施設に対する安全
規制のあり方の検討
試験研究用原子炉施設の解体の実例を対象に調査中
総 クリアランス制度等
合 の整備
資
源
エ
ネ
ル
ギ
クリアランスレベルを用いて、「放射性物質として取り扱う
必要のない物」であることを原子力事業者が判断し、その判断
に加えて、規制当局が適切に関与を行う方法等について、法制
度の整備も視野に入れた検討を実施中。
また、廃止措置規制の透明性及び実効性を確保する観点から
所要の検討を実施中。
ー
調
査
会
平成 16 年7月より調査開始(調査期間3ヶ月を予定)
上記規制調査を受け、運転終了以降の原子炉施設に対する安全
規制のあり方を検討
【検討の場】
原子力安全・保安部会 廃棄物安全小委員会、
低レベル放射性棄物等 WG
【検討スケジュール】
クリアランス制度の整備については、平成 16 年夏頃を目途に検
討結果を取りまとめ、平成 17 年を目途に、所要の法改正を含め制
度を整備する予定
原
子 核物質防護の強化
世界的なテロの頻発、治安情勢の悪化等を踏まえ、原子力施
力
設の核物質防護などセキュリティ面の強化を図るため、核物質
安
防護に関する検査制度や情報管理の具体的あり方等について検
全
討中
・
【検討の場】
保
原子力安全・保安部会 原子力防災小委員会
安
【検討スケジュール】
部
平成 16 年秋口を目途に検討結果を取りまとめ、平成 17 年春に法
制化の予定
会
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