BWR燃料棒熱・機械設計コード (PRIME03・CARO-NA)に係る トピカル

資料26−3−1
BWR燃料棒熱・機械設計コード
(PRIME03・CARO-NA)に係る
トピカルレポートの技術評価について
平成22年6月15日
原子力安全・保安院
(独)原子力安全基盤機構
BWR燃料棒熱・機械設計コードに係るトピカルレポートの技術評価
PRIME03コードに係るトピカルレポート
・提出者:(株)グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン
(平成21年1月28日提出、平成22年4月21日改訂)
CARO-NAコードに係るトピカルレポート
・提出者:原子燃料工業(株)
(平成20年12月24日提出、平成22年4月21日改訂)
・コードの概要:
設置許可申請書添付書類八の燃料の機械設計において、燃料棒の健全性を確認する
ために使用するコードであり、現在用いられているPRIME01及びCAROコードに最新の
知見を取り入れ、高燃焼度領域まで評価を可能としたもの
トピカルレポート制度の対象であるための要件
・BWR燃料棒の熱・機械設計に用いられるコードに係るトピカルレポートであり、原子炉施
設の特定の安全に係る事項を取り扱っている。
・技術的内容についての妥当性を示すための十分で詳細な情報が完備されていることは、
評価の中で確認した。
・BWRで採用が予定されている10行10列型燃料に係る設置(変更)許可申請において、参
考文献として用いられることにより、安全審査の実効性の向上が期待されるものである。
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・ 10行10列型燃料は、BWRで順次導入が予定されており、複数の設置(変更)許可申請
で当該トピカルレポートが参考文献として用いられることが期待されるものである。
BWR燃料棒熱・機械設計コードについて
燃料集合体
燃料棒
ペレット仕様
ペレット
温
度
被覆管
被覆管仕様
・寸法
・材料
材料
・He加圧量
等
等
炉心条件
・冷却材温度
・圧力
・出力
等
燃料棒熱・
機械設計コード
空間(He加圧)
・寸法
・濃縮度
・密度
主な改良点
・改良被覆管への適用
・ペレット融点の燃焼度依存性の改訂
・ペレット熱伝導率の燃焼度依存性の改訂
・FPガス放出モデルの改訂
・ペレットリム組織形成のモデル化
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・被覆管円周方向1%
塑性歪相当出力
・被覆管温度
・内圧
BWR燃料棒熱・機械設計コードの主な改良点
1.改良被覆管への適用
高燃焼度領域における、被覆管の水素吸収の抑制の観点から開発された改良
ジルコニウム合金製の被覆管についても適用できるように改訂
2.ペレット融点の燃焼度依存性の改訂
ペレット融点の燃焼度依存性に関する最新の知見を取り入れ改訂
3.ペレット熱伝導率の燃焼度依存性の改訂
従来ペレット熱伝導率については、燃焼度依存性はないとして取り扱っていたも
のを、最新の知見を取り入れ燃焼度依存性を考慮
4.FPガス放出モデルの改訂
FPガス放出量の燃料温度及び燃焼度の依存性について、最新の知見に基づく
見直し
5.ペレットリム組織形成のモデル化
高燃焼度において形成されるペレットリム組織を考慮し、最新の知見に基づき
同組織形成に伴う熱伝導率等への影響を考慮
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BWR燃料棒熱・機械設計コードの適用範囲
項目
用途
使用条件
燃料棒仕様
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CARO-NAの適用範囲
BWR燃料棒の熱・機械設計
BWR燃料棒の熱・機械設計
ペレット燃焼度
80GWd/t以下
80GWd/t以下
燃料棒平均燃焼度
73GWd/t以下
70GWd/t以下
線出力
60kW/m以下(通常運転時)
100kW/m以下(運転時の異常な過渡変化時)
44kW/m以下(通常運転時)
80kW/m以下(運転時の異常な過渡変化時)
燃料棒外径
9.0∼13.0mm
10.2∼12.4mm
封入ガス
ヘリウム
ヘリウム
加圧量
0.1∼1.1MPa(abs)
0.4∼1.1MPa(abs)
ペレット‐被覆管ギャップ
(被覆管内径−ペレット径)
0.13∼0.25mm
0.1∼0.3mm
被覆管材質
ジルカロイ-2、GNF-Ziron
再結晶化焼鈍材
(ジルコニウムライナ内張)
ジルカロイ-2、HiFi
再結晶化焼鈍材
(ジルコニウムライナ内張)
被覆管肉厚
0.50∼0.95mm
0.50∼0.95mm
燃料材料
UO2、Gd2O3入りUO2 焼結体
(Al-Si-O添加を含む)
UO2、Gd2O3入りUO2 焼結体
235U濃縮度
8wt%以下
0.2∼5.0wt%
ペレット密度(理論密度)
93.0∼98.0%T.D.
95.0∼98.5%T.D
ペレット外径
8.0∼11.0mm
8.8∼10.5mm
Gd2O3濃度
10wt%以下
10wt%以下
Al-Si-O添加量
250∼2500ppm
−
被覆管仕様
燃料仕様
PRIME03の適用範囲
技術評価の基本方針及び評価方法
基本方針
評価にあたっては、当該トピカルレポートがBWR燃料棒の熱・機械設計の評
価へ適用できること、及び最新の知見が品質保証の考え方に則り当該レポー
トに反映され管理されることを評価の基本方針とした。
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評価方法
評価方法については、評価要領に基づくとともに、具体的な以下の確認項目
を設定し、確認項目毎に技術的内容についての妥当性を示すための必要か
つ十分で詳細な情報が トピカルレポ トに完備されていること等を確認すると
つ十分で詳細な情報が、トピカルレポートに完備されていること等を確認すると
ともに、必要に応じ申請者から説明を求め、これらの結果を精査した上で評価
を実施した。
(1) 燃料の物性及び照射挙動が適切にモデル化され、検証されていること
(2) 燃料の熱的挙動及び機械的挙動が適切にモデル化され、検証されている
こと
(3) 評価項目に対する予測の不確かさが適切に設定されていること
(4) 上記を踏まえ適用範囲が適切に設定されていること
(5) 品質保証計画が適切に規定されていること
また、評価にあたっては原子力安全保安部会原子炉安全小委員会「燃料
ワーキンググループ(燃料トピカルレポート)」における審議を経たうえで報告
書を取りまとめた。取りまとめの過程においては意見公募を実施した。
技術評価の結果
確認結果
(1) 燃料の物性及び照射挙動が適切にモデル化され、検証されていること
ペレット熱伝導率、ペレットリム組織形成等が試験炉及び実炉における照射データ等に基づいて
適切にモデル化され、検証されていることを確認した。
(2) 燃料の熱的挙動及び機械的挙動が適切にモデル化され、検証されていること
コ−ドが、試験炉及び実炉における照射データ等に基づいて燃料中心温度、燃料棒内圧等につ
いて検証されていることを確認した。
(3) 評価項目に対する予測の不確かさが適切に設定されていること
検証データ等に基づいて燃料中心温度評価、燃料棒内圧評価等に係る予測の不確かさが、定量
的に評価され適切に設定されていることを確認した。
(4) 上記を踏まえ適用範囲が適切に設定されていること
適用範囲としている燃料仕様、最高燃焼度等において、燃料棒の熱・機械設計における健全性評
価が適切に行えることを確認した。
(5) 品質保証計画が適切に規定されていること
品質マネジメントシステムが全体として機能していること、トピカルレポートが、品質保証計画のも
とで継続的に品質が維持されること、並びに新たな知見が評価されトピカルレポートに反映される
仕組みが構築されていることを確認した。
まとめ
PRIME03及びCARO-NAコードに係るトピカルレポートは、当該トピカルレポートに記載の適用範囲
内において、BWR燃料棒の熱・機械設計に適用可能である。
ただし、今後の設置(変更)許可申請において当該トピカルレポートが参照された場合においては、
解析コードの不確かさの設定が評価に適切に取り入れられているとともに、今回の評価以降におい
て得られた知見が当該トピカルレポートに適切に反映されていることを確認する必要がある。
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トピカルレポート制度の概要
(参考)
1.経緯
・燃料の機械解析コード等のプラント共通事項についても、個別の設置(変更)許可申請の中でその都度審査
・個別審査に先立ち、共通的な技術基盤を評価することで、安全審査の実効性の向上に資することを目的
2.制度の位置づけ
・評価は経済産業省設置法に基づく制度(内規:平成20年12月12日制定)
・技術評価を経たトピカルレポートが用いられている設置(変更)許可申請に係る安全審査においては、当該
レポートに関し、当該申請における適用の妥当性について確認。
3.本制度で技術評価を行うレポートの要件
・特定の安全に係る事項を取り扱ったレポートであり、技術的妥当性を示す情報が完備されていること
・個別安全審査の実効性の向上が期待され、複数の設置(変更)許可申請での活用が期待されること
4.対象分野
・安全評価で用いられる安全解析コード
・燃料の機械設計
対象分野の拡充は慎重に検討し追加
5.評価の体制
・原子力安全・保安院及び(独)原子力安全基盤機構(JNES)が評価報告書を策定
・必要に応じ原子炉安全小委員会WGで審議
・燃料に関するトピカルレポートの審議を行うために、原子炉安全小委員会 燃料WG(燃料トピカルレポート)
を設置(平成21年1月27日)
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6.評価のポイント
・レポートの技術的妥当性を確認するとともに必要な情報が完備されていること
・最新の知見等が品質保証の考え方に則り当該レポートに反映され管理されること
質問・回答
協力
保安院及
びJNES
の評価
原子力安全基盤機構
評価依頼
原子力安全・保安院
プラントメーカー、原子炉設置者等
トピカルレポートの評価の流れ
評価報告書
(案)の作成
通知
評価報告書の
確定
(参考)
原子炉安全小委員会
WGで審議
意見公募
(パブリック
コメント)*
必要に応じ
反映
公表
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個別安全審査で活用