CPLD による ビデオ信号の作り方 - CQ出版社

第 3 章 同期信号をシンプルな回路で生成!
CPLD による
ビデオ信号の作り方
森田 一
Hajime Morita
第 2 章では,マイコンを使ってビデオ信号を生成し
ました.ここでは CPLD を使って同期信号とカラ
た,基板上には 4 個のプッシュ・スイッチと 8 個の
LED,そして 50 MHz の水晶発振器が実装されていま
ー・バー信号を生成します(写真 1).CPLD や FPGA
す.ブロック図を図 1 に示します.
を使用することの利点として,
¡マイコンの負荷が軽減する
この基板上にはコンフィグレーション・データのダ
ウンロード用の CPLD も実装されているため,USB
¡ソフトウェアによる信号発生ではないため,信号の
時間的揺らぎ(ジッタ)が小さくなる
Blaster や ByteBlaster(いずれもアルテラ)といったダ
ウンロード・ケーブルが不要です.本器のダウンロー
¡マイコンに固有のペリフェラルを使用しないため,
ほかの種類の CPLD への移植も容易になる
ド用の回路は,アルテラの USB Blaster と同等なので,
最近のパソコンなどにおいて,パラレル・ポートがな
¡細かいタイミングをあらかじめシミュレータで確認
いような場合も悩まずに済みます.
できる
などがあります.
さらに,基板上の DIP スイッチを切り替えること
で,この USB Blaster 互換の回路を USB Blaster とし
また,第 5 章で説明する NTSC 信号を生成する場合,
CPLD や FPGA などのハードウェアの力を借りないと
ても使用できますから,別の基板の FPGA や CPLD
のコンフィグレーションもできます(アルテラのみ).
ソフトウェアだけでは非常に困難です.
株式会社ソリトンウエーブ(http://www.solitonwave.
開発準備… CPLD 基板を利用する
今回は,Terasic Technologies 社(http://www.
co.jp/)が輸入し,CQ 出版社でも販売していますから,
入手も容易だと思います.
画像の表示方法の復習
terasic.com.tw/)製の MAX Ⅱ Micro Kit(写真 2)を使
用しました.この MAX Ⅱ Micro Kit は,名刺大の基
板上にアルテラの MAX Ⅱ(EPM2210F324C3)を実装
● 同期信号は 1 枚の絵,1 本の線の始まりを示す
それでは,パソコン用ディスプレイに図形を表示す
しています.接続コネクタには 88 本の I/O と 2 本の
グローバル・クロック入力が引き出されています.ま
ることを考えてみます.まず,どのようにして映像を
表示しているかを考えてみます.アナログ映像信号は,
筆者が製作したディ
スプレイ接続用基板
白
黄
シ
ア
ン
緑
マ
ゼ
ン
タ
赤
青
MAX
MAXⅡMicro
Kit
写真 1 筆者が制作したカラー・バー信号
(a)パッケージ外観
(b)基板外観
写真 2 Terasic Technologies 社の MAX II Micro Kit
㈱ソリトンウェーブや CQ 出版社から購入できる
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2009 年 11 月号