お知らせ/こどもの急性虫垂炎

川崎医大小児外科
ニュースレター
矢野講師の替わりに 4 月から吉田達之講師が赴
任してまいりました。吉田先生は大阪市立大学の
No.8
出身で、平成 10 年卒です。中岡講師の後輩にあた
ります。これまで淀川キリスト教病院や大阪市立
総合医療センター小児外科に勤務してきました。
4 月に入り桜が満開の新学期となりました。皆様
小児外科の経験は十分あり、これまでの経歴を生
も花見へ行かれたでしょうか?わたしは半田山植
かして、当院においても活躍して欲しいと思いま
物園に行ってきました。花見弁当はありませんで
す。
したが、多くの方が花見に来られていて、にぎや
また、平成 19 年入局の谷本光隆ですが、これま
かでした。この季節、気持ちがうきうきするのは
で一般外科などを研修しておりましたが、この 4
長い冬が終わって、新しい息吹を感じるからでし
月から小児外科のスタッフとして戻って参りまし
ょうか?
た。これで小児外科のスタッフは
教授:植村貞繁 (昭和 55 年 岡大卒)
さて、前回もお知らせいたしましたが、この 4
講師:中岡達雄 (平成 5 年 大阪市大卒)
月から岡山市中山下の川崎病院で小児外科の外来
講師:吉田達之 (平成 10 年 大阪市大卒)
を開設いたしました。毎週火曜日の午後 2 時から 5
助教:谷本光隆 (平成 17 年 岡大卒)
時までです。すでにご紹介いただいた先生方には
助教:三宅 啓 (平成 18 年 岡大卒)
感謝申し上げます。今後も岡山市内の小児科の先
の 5 名となり、その他にも、診療には前期ローテ
生方には専門的な立場からお役に立てるのではな
ーションの研修医が常に 2~3 名参加しますので、
いかと思います。小児外科に関係する患者様のご
総勢 7~8 名となります。以前より一段と充実して
紹介を是非お願い申し上げます。
きたと思います。より多くの患者様を受け入れる
近いうちに、川崎病院で小児外科の手術も行う
予定です。手術年齢として、乳幼児は当分難しい
ことができると期待しております。患者さまのご
紹介をよろしくお願い申し上げます。
と思いますが、年齢の高いこどものヘルニアや小
手術などを行うことになると思います。尐し難し
いような症例は川崎医大の方で手術を行うことに
なると思いますが、外来診療は川崎病院で行うこ
とになりますので、患者様の利便性にできるだけ
配慮したいと考えております。
もう一点お知らせがあります。この 4 月で当科
のスタッフに異動がありました。矢野講師が 3 月
末で退職しました。矢野先生は平成 18 年に鹿児島
大学小児外科から川崎医大に赴任したのですが、
本人の希望で鹿児島の鹿屋市で開業することにな
りました。本人や家族もこちらの生活に馴染んで
きたところだったのですが、われわれも大変残念
です。
左から中岡、平野、吉田、植村、谷本、三宅、若林
話題提供:こどもの急性虫垂炎
このスコアは独自のものではなく、すでに論文
として発表されたものを参考にしています。オリ
小児科の外来には腹痛を訴えるこどもはたくさ
ジナルは(J Pediatr Surg 37:877-881. 2002)に
んいると思います。たいていは腸炎だったり、便
ありますので、詳しいことはこちらを参照してく
秘だったりするのでしょうが、その中で見落とし
ださい。
てはいけない疾患として、急性虫垂炎がまず鑑別
診断として挙げられると思います。
さて、オリジナルの論文によりますと、このス
急性虫垂炎は卑近な疾患ですが、日常診療の中
コアから計算して 6 点以上であれば、急性虫垂炎
において虫垂炎の診断で苦労された方は多いので
の可能性が高くなり、7 点で 88%、8 点で 93%、9 点
はないでしょうか?経験が豊富な小児科医でも、
以上では 98%以上の確率で急性虫垂炎だったとい
時に怪しいと思っても腸炎と思って経過をみたり
うことです。
している間に、腹膜炎が進行したという苦い思い
をお持ちの先生もいることでしょう。
そのことから、
スコアで 6 点以上となった場合、
小児外科へコンサルトをするとすれば、見落とし
などのおおきな間違いはないと思われ、早期診断
われわれ小児外科医としても、穿孔に至る前に
に繋がると考えます。
手術をすることが非常に重要と考えています。腹
膜炎を合併しますと、手術自体が大変難しく、手
川崎医大の小児救急では 24 時間患者様の受け入
術の安全性に関しても格段の違いがあります。ま
れを行っております。ちょうどこの 4 月から救命
た、術後合併症も格段に増え、入院期間も長くな
救急センター、救急外来棟が新築され、これまで
ります。
より広くきれいになりました。患者様の受け入れ
このようなことから、小児科の先生方には是非
態勢も充実してきました。
とも虫垂炎の早期診断をお願いしたいところです
小児外科の医療サービスは近いところには無い
が、どのような場合、小児外科に患者を送るかと
のかと言われる患者様もいますが、遠方でも、そ
いう判断は結構難しいのではないでしょうか。そ
の専門性をご理解の上、小児の診療は小児専門の
こで、川崎医大の小児救急では小児虫垂炎スコア
医師で行うことを推進していきたいと思います。
というものを導入しております。今回は皆様にそ
皆様のご協力をお願いいたします。
れを紹介して、日常の診療にお役立てて欲しいと
思います。
このニュースレターをメールで配信ご希望の方は
痛みの移動(心窩部から右下腹部)
1点
食欲不振
1点
嘔気、嘔吐
1点
また、患者さんのご紹介は緊急の場合、病院代表
右下腹部の圧痛
2点
(086-462-1111)へお電話していただけるか、上記
咳や打診での腹痛、ジャンプ時の腹痛
2点
のアドレスへメールで紹介していただいても結構で
発熱
1点
す。
時間外、
休日は on call が待機しておりますので、
白血球増多
1点
病院代表へご連絡下さい。
好中球増多
1点
平成 21 年 4 月
合計
10 点
文責 植村貞繁
下記のアドレスへご連絡下さい。
[email protected]