53 (381〉 演題番号:53 演題名:牛の腸管手術におけるドレープの考案とその有用性について 発表者氏名:O井上智陽 井上麻里 鷲谷裕昭 荒町聖子 難波 稔 岡本 徹 発表者所属:NOSA1オホーツク北見 1.背景二近年、HBS(出血性腸症候群〉に代表される腸管の疾病に録する手術件数が増加傾向にある。しかし、腸管 手術は汚染を受けやすく、病変部位の特定やその後のアプローチに時聞がかかることが多い。そのため牛への負担が大き く、手術中に死亡してしまうケースも見られ、治癒率が著しく低いのが現状である。この要図の一つとして従来の有窓ド レープでは、腸管を創外へ出した時に汚染しやすいことや、腸管全体を観察することが困難なことなどが挙げられる。今 囲、腸管手術に対する新しいドレープを考案し、案際の症例に対する有用性について検討した。 2.材料および方法:新しく考案したドレープは従来使用している有窓ドレープ(104c盤×112cm〉に、無窓ドレープ(112 cm×190cn1〉を設けた。さらにその爾側に把持できる部位を作製することで、腸管をドレープ上に確保できるようにした。 今回麗BSを疑う1症例に遭遇したため、外科的手術(横臥位での右謙部切開)を行ない、このドレープを使粥した。 3.結果および考察:ドレープの面積が広くなったことで、腸管を創外へ鵡しても汚染させることがなかった。また腸管 全体が目視下で確認できたために、病変部位へのアプローチが早く、可視的な施術が可能であった。さらに従来では腸管 を腹腔内に戻す作業に非常に手問と時間を要していたが、ドレープの両側を引き上げながら行なうことで容易に行なうこ とが可能となった。結果として手術時問の短縮にもつながり、このドレープを適胴した1症例は治癒経過となった。今團 考案したドレープは腸管手術、試験的開腹などを行なう際に非常に有用であると考えられた。しかし現段階では腸管をド レープ上に確保するために術者、助手以外にその爾側を支持する人が二人必要である。腸管手術は緊急性を要するものが 多く、現地で行なわなければならないことも少なくない。そのため術者、助手のみで手術を衛生的に行なうことができる ようにすることが課題である。今後症例数を重ねていくとともに、ドレープのさらなる改善を検討していきたい。 演題番号:54 演題名:和牛雄子牛の瞬ヘルニアヘの圧迫整復に継発する尿石症と膀胱破裂の一症例 発表者氏名:○茅先秀司1)谷川充輝’〉土岸洋司”野澤利範i}岸 裕明D寺崎信広’〉石川行一圭) 茅先 史2) 発表者所属:1)釧路地区NOSAI鶴居 2)鋪路地区NOSAI事業部 1.はじめに二子牛騰ヘルニアの非観血整復法である圧迫整復(圧迫包帯・ヘルニアネット〉は、現場で実施できる簡易 さから広く利用されている。本症例は、哺乳中の和牛雄子牛へ圧迫整復を実施したところ、尿石症から膀胱破裂を起こす に至ったものである。圧迫整復のリスク部分として本症例を報告する。 2.症例:経過)雄の和牛、2007年7月4日の出生時から直径3.5cmの騰ヘルニア輪あり。22日齢から!8ヨ間の圧迫包帯 処置、続けて1蝦問のヘルニアネット装着、誹29日問の圧迫整復を実施。ヘルニア輪は縮小し腸管脱出なくなる。ヘルニ ァネット除去の9日後(64日齢)から哺乳欲なくなり、治療を再開。前半の3日問は発熱を伴う呼吸器疾病様の症状、後 半の3霞間は腹部の膨満と虚脱が進行し、71醸齢で発死する。胤液検査)腹部の膨満が始まった68沼齢:多撫症RBC(1194 ×10‡承1)、急性炎症像P烈丁(89.1×104/瞬)α一glo(1.32g/d1)、尿毒症BUN(103.5mg/d1)CRE(1L26㎎/d1)、腎での 低分子蛋白漏出1瞥P(6.2g/d1)ALB(2.5g/di〉γ・glo(L42g/d1)、腎排泄障害iP(10.5mg/d1)K(7.8m狙01/1)、腎 再吸収障害Ca(7.3灘g/di)Na(128n1亙nol/1)C1(86mmol/i〉、腎実質の障害GOT(70王U/1)CPK(1751U/i)LDH(2814 王U/玉)。解剖所見)多量の腹水(尿〉貯留、腎臓の水腎化と一部壊死、左右尿管移行部における膀胱破裂(各3・2cm)、 膀胱粘膜の潰瘍と剥離、尿道における剥離粘膜の結石化と睾丸前方における完全尿閉。腹水所見)pH7.0、潜血・タンパ ク+++、細菌分離培養Co磁br獄s÷+。聞き取り調査〉給与乳・飲水など適切な飼養管理実施。 3.考察二腎臓より膀胱・尿道の炎症程度が大きく、外尿道口から上部移行性の細菌感染があったと考えられた。腹水gH、 解劃所見、飼養管理よりから、一般的な尿gHのアルカリ化による尿石発生とは違っており、膀胱炎の炎症産物が尿石の 原圏となったと考えられた。通常尿道結石を形成しない陰嚢前方に、完全尿闘を起こした結石が形成されていた。形成部 はヘルニアネット辺縁部と一致することから、ヘルニアネットによる物理的な尿道狭窄があったと考えられた。本症例で、 雄子牛への29臼閥に及ぶ圧迫整復は、膀胱炎と尿石症のリスクあると考えられた。雄子牛の騰ヘルニアヘ圧迫整復を実施 する際の適切な処置期間の模索が必要と考えられた。 コヒ 獣 会 誌 52 (2008〉
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