フーリ工級数と有限要素法による 三次元浸透流問題の解法 - 福井大学

1
3
9
福井大学
工学部研究報告
第3
0巻 第 2号
昭 和 田 年 9月
フーリ工級数と有限要素法による
三次元浸透流問題の解法
滝本県生*
段野
勝傘
Solving Me七hod of Three Dimensional permeable
Flow by Means of Fini七e E1ement Method and
Fourier Series
Masaki TAKIMOTO*,Masaru DANNO*
(Received Jul.26,1982)
In order 七o solve the problems of 七hree dimensional
permeable flow,calcu]~s of fini七e differences or series
expansion has been applied 七o i七s numerical analyses.
On 七he comp1ex prob1ems of 七he ana1yses, finite e1emen七
me七hod is a usefu1 mean.
However,tど oub1e of insuf-
ficiency exis七s in 七he capacity of computer since 七he
more 七he mode1 is comp1ex, 七 he vas七er 七he ca1cu1ation
becomes.
This 七roub1e is solved wi七h 七he method 七ha七
七he Fourier series is combined with the fini
七e e1ement
me七hod. By using 七his me七hod, opera七ion 七ime and
memory of compu七er was decreased remarkah1y,and
troubles of division 七0
七he elements were
saved agains七
七he previous methods.
1 緒 言
工学においてはしばしばラプラス方程式,ポアッソン方程式あるいはこれに類似した方程式を解
く必要のあることが多い。しかしこれらの式の厳密解を得ることは難しいので,差分法によって数
値解を求めたり1), 2),
3
),
4
),
5
)境界が複雑で,領域内の物理定数などが複雑に入り乱れたりする場合は有
限要素法が用いられる 06)・
7
),
8
) しかし有限要素法によって精度のよい解を得ようとすれば,領域の細
分化が必要となり,未知数の数が非常に増大し,計算機の大型化と費用の増大を伴なう
O
このため
変数分離法で次元を落してから数値的に解く方法などもあるがア支配方程式を満足する領域が限定
*
産業機械工学科
1
4
0
され,たとえば軸対称の場合などに限られるようである O そのほか少し複雑な式に対して適用可能
な方法に重み付き残差法があるが,応用範囲が多少限定される 010),
l
l
),
1
2
)
本論文は応用範囲にほとんど限定のない有限要素法を改良し,領域の細分化の手間や計算機の規
模及び使用時間の節減などを目的とした研究を述べたものである O すなわち本解法の手法は空間を
円筒座標で表わし,関数(ポテンシャル)を回転方向にはフーリエ展開して次元を落し,半径方向
及び軸方向の面内では有限要素法で解くのである O ここで要素の節点は支配方程式を満足する点と,
しない点とに分ける。満足しない点についてはポテンシャルの値を操作し,任意の場所におけるポ
テンシャルを与えられた境界条件となるようにするのである O このようにして非軸対称問題にも適
用できるような特長をもたせた O われわれはこの解法を F F M解法と呼んでいる O なお以下に取扱
う問題は面対称で,しかも境界においてはポテンシャルが与えられている三次元ラプラス方程式に
限定している。
2 フーリエ級数と有限要素法による問題の展開
ことではポテンシャル φを求める定常問題を考えることにする O ポテンシャルは支配方程式と Z
軸からの距離 r及び角度。なる円筒座標及び境界値などが与えられれば決まるはずである O またポ
テンシャルをフーリエ級数に展開する際,一般には s
in及び cosを用いるが,とこでは簡単のため面対
はc
o
sのみを用いてフーリ
称問題に限定して述べることにする O このようにすれば,ポテンシャル φ
n
エ級数に展開できる O そこでポテンシャルゆを L
;fk(
了
, z)C08 k
(
}なる形に 0方 向 に フ ー リ エ 級
k~O
数に展開し,そのフーリエ係数 fk( r, z)に つ い て は ( r, z )平面を三角形要素に分割し,そ
の要素内では直線的に変化するものとする O ここで有限要素法による適当な処置を fk(r, z) に
)cosk(}は支配方程式を常に満足するようになる O あとは境界上で境界値を
ほどこせば fk(r,z
満足するように fk(r, Z) を決め,領域を境界で囲む O このような処置を施せば領域が軸対称形
でなくても,軸対称問題を解く場合と同様な取扱いが可能となる O また領域を要素分割した場合の
ある節点上での fk(r, z)は r, z とも一定のため θ上では定数として取扱うことができる O
次に上記の詳細を記述することとする O ここでは工学上非常に重要なラプラス式で話を進める O
ラプラスの式を円筒座標で表わせば,
)
(
ar
•
4EE--
θ2φ1θφ1θ2φθ2φ
一 ーGす +
一 +:
;
:
:
2一ーす十一τ=0
r一
ar'
r
Ga
fP .a山
となる O 上式の
φを 0方向にフーリエ級数に展開できるものと仮定すると次式を得る O
a
v
k
1j
s
o
C
z
/1¥
r
k
f
nZ 同
一
一
・
φ
( n =∞〉
(
2
)
ここで以後 fk(r, z) を簡単のため fkで表わすとととする O 式 (
2
)を式(1)に代入した式が 0のい
かんにかかわらず成立するとすれば,すべての kに対して次式が成立する O
士
+(fk);-季世+(fkト
(fk);
o
(
3
)
ここで注目すべきことは式 (
3
)には独立変数は rと Z のみで 0は存在しない点である O そこで領域が
軸対称でない場合でも式 (
3
)が成立するのかという疑問が起こるが,このことについては簡単のため
2次元問題で説明する f
)
1
4
1
y
あるとする O しかし,あらゆる角度で支配方程式を満足すると
¥
いま実際に存在する領域を Fig.lに示す実線の内側のようで
いう表現をした場合の領域(以後この場合の領域を架空の領域
という)は破線で示す円の内側となり,対象としている領域と
x
は異なることとなる O しかしここでは架空の領域を一応破線の
内側までとっておき,架空の領域の内部の実際の境界である実
線上で境界条件を満足させるととができるのであれば,実線の
内側すなわち実在の領域においては支配方程式と境界条件とは
共に満足する領域となり,求めようとする解を得ることができ
F
i
g
.
1 Coordinate
and boundary
るO その際,架空の領域内で境界条件を満足させるととが必要
となってくるが,その方法については次章で述べることとする O
さて式 (
3
)を有限要素法で解くことを考える O 式 (
3
)の汎関数 Xkは
,
J
J
{
r宰 i+r(害)2十
ぞ (fk)2}drdz
(
4
)
Xk=
で与えられる O そこで上式の Xkが極値となる条件を求めることが問題となる O
有限要素法の手法にしたがって,取扱う rz面内の領域を三角形要素に分割し,
各要素について
の式 ω
)の値を求める O いまある三角形要素を考え,その各節点番号を i, j, mとし, fkは要素内
では rと Z の一次式で表わされるとすると,要素内の fkは次のように表わすことができる O
fk=J-{(a
i
z
f
(am+bmr+cmz)f~}
2ム l¥.u..工l +bi
1r+C
.
.
.
.
.
.
l
L
J)
.
J
.
.
.
.
Lf
l +(a.i+b.ir+c.iz)f~
¥
'
(
.
.
L
.J u
J
J
a十 ¥
.
.
u
.
mr I
J
m vm
mJ
1
1
.
.
.
1
.
1
.
I
I
I
.
1
.
I ¥
.
.
J
.
!
.
.
.
J
/
.
.
L
I
J
.
.
I
L.J,I..L
(
5
)
ここにムは三角形の面積であり,さらに,
am=riZj-r
jZュ
ai= r
jZm-rmZj,aj=rmZ工- r工Zm,
bi=Zj-Zm,bj=Zm-Zi ,bm=Zi-Zj
(
6
)
Ci=rm-rj ,Cj=ri-rm,Cm=rj-ri
であり,下付き添字し
j, mは節点番号に対応した値であることを示している o つぎに任意の要
素 eについての汎関数 x5
は式 (
5
)を式 (
4
)に代入することにより次式を得る O
r
rI
~k"
~k
~k-2. /
k
~k.
~k., 21. k2
e
JIr{(bd~ +bjf~ +bmf~j + ( 仏 +Cjfj-+cmf白 }+?{(a +bir+叩
さ
'
2
j
zt=z
(/,
工
向 山 山 村 山 川d
汀
咋
rdz
)fi
(
7
)
ところで汎関数 Xkが極値をとる条件は次式で示される O
θxk
ム
0マ
4
θ X~
:
:
; ~-P k =0
=2
aム
正
f
-~
i一
=1, 2
・ ・ ・
H
H
N , N .全節点数)
(
8
)
また式(7)より有限要素法の手法にしたがって次式を得る O
釘
θ
θ
f
山
/川川陀
叫山M
山左
釘
似xV θ
θ
âf~
~j~
ト
=I
主 s笥j~
I
釘fE
似x
θ
θ
E
ド
/
川
引
I I~.位占
~仏ム ハ
│I性f~
E
5
品
岱
占 仏
I
f~
主 !
川I
l
9
仰
引)
1
4
2
する一次式となり, f~を求めることができる O ここで k ,
iの 値 は そ れ ぞ れ フ ー リ エ 級 数 の 項 数 番
号及び節点番号である O 以上の原理から明らかなように,三次元的な問題を二次元的な処理と一次
元的な処理に置き換えられることに本解析の便利さがある。
3 境界条件の設定方法
φを式 (
2
)のようにフーリエ級数に展開した場合,
fk(r, z)は 境 界 内 に お い て は 式 (
3
)を満足し,
境界上においては境界条件を満足しなければならない。このととにより,問題によっては未知数の
数より条件式の数が多くなる可能性がある O そこで未知数の数と条件式の数を等しくするために最
小 二 乗 法 を 導 入 す る こ と に す る O いま境界上の
φを式 (2)で 近 似 し , そ の 誤 差 の
2乗 を 6 t とすれば,
式次が成立する O
6 t=
{
φ一
n
(
1
5fk(r,Z ))}&
ω
t
全 境 界 に わ た っ て 式 制 を 積 分 し , そ の 値 を 最 小 に す る よ う な fkを求めることが考えられるが,計算
時 間 の 短 縮 と プ ロ グ ラ ム の 簡 単 化 の た め , 境 界 上 で の 積 分 を す べ て 各 節 点 上 に お い て 0方 向 の 角 度
)
1- (
)2
(I
(
)
1- (
)
2I
>2π/4n)で 境 界 を 持 つ 場 合 に は 式 帥 を
で 積 分 す る こ と に す る O す な わ ち 節 点 iが (
。
'
1
-(
)
2の角度で積分するが│向 -021<2π/4n又は 0
3で , す な わ ち 点 で 境 界 を 持 つ 場 合 に は 2π/4n
x(1/100)ラ ジ ア ン の 角 度 で 式 帥 を 積 分 し , そ の 値 を 100倍 す る と い う 方 法 を と る こ と と す る O こ
れ ら の 結 果 得 ら れ た 誤 差 の 和 を E とすれば, f~( k =0, 1, …
θε/θf~=
0
k= 0, 1, … , n
n )は次式
1, 2, .
.
.
…
, N
i
f
i
]
)
となるところであるが, f~に式 (8) と式 Ul を同時に,常に満足させることには無理がある O そこで節
点を 3種 類 に 分 け , そ の 各 々 を 外 点 , 内 外 点 , 内 点 と 呼 ぶ こ と に す る O 各 節 点 の 性 質 と 表 記 方 法 を
表 lに示す O また
Z軸
表 l 各節点の性質と表記法
に直交する面で領域を
性
質
切断した場合の節点の
境界条件のみ満足する
種類と境界の関係を図
支配方程式,境界条件共に満足する
示 す れ ば Fig.2のよう
支配方程式のみ満足する
である O 実 線 は 実 在 の
境界で,実在の領域はこの内側であり,破線は各節点が
受けもっている領域を示すO つまりこれらの節点は各々
rな る 同 心 円 に 対 し て 定 義 す る O こ こ で 内 外 点 及 び 外 点
の 境 界 条 件 を す べ て 外 点 の フ ー リ エ 係 数 の l次式によっ
て表わすことを考える O こ の こ と は 外 点 の 値 を 種 々 変 え
ることにより内外点の境界での値を操作し,かっそれ自
身の値も希望の値に持っていこうとするわけである。こ
のようなことが可能であると,式 U
lは 外 点 の フ ー リ エ 係
数のみ独立変数と考えてつぎのように書き直すべきであ
。
E θ ε θ ε h
θfi-θf~θf~ -
d
2
f
i
g
.2 D
e
f
i
n
i
t
i
o
no
fi
n
n
e
r
.o
u
t
e
r
.
andi
n
n
e
rand o
u
t
e
rp
o
i
n
t
s
0 ・@
る
。
p
o
i
n
t
i
n
n
e
rp
o
i
f
l
t
s
i
n
n
e
rando
u
t
e
rp
o
i
n
t
s
~uter
1
4
3
とこに f~ , f~ , f~ ,…・・…・は外点のフーリエ係数である O 式 ω においては未知数の数と条件式の
数が一致するので,外点のフ」リエ係数 f~ ,
f~ ,…・・は求まることになる O 外点のフーリエ係数
は式 (
8
)すなわち支配方程式を満足する必要はないので,既知の値として式侶)に代入すれば内点,内
外点のフーリェ係数も求まることになる O 簡単な問題では外点は lつで十分であるが,外点,内外
点などが内点により分割されるような形になると精度は低下する O そのような場合には外点を増す
必要がある O その場合外点もラプラスの式を満足しなければならなくなってくる O この場合,最小
二乗法を用いて一部の外点は実際の領域内においてラプラスの式をも満足するようにする O このこ
とについては後でふれることとし,まず内外点での境界条件をも外点のフーリエ係数で表わされる
ことを示す O
まず内外点,たとえば節点 iにおける
φ
iをフーリエ級数に展開すれば次式を得る O
k
。v
ロU
k-fム
O
c
nZM
.、ム
AUT
一
一
M
上式において, fの添字はフーリエ級数の項数及び節点番号を示している O つぎにたとえば外点 a
上の
φをフーリエ級数に展開すれば次式となる O
AU
k
ka
f
s
o
c
nZ同
φa
一
一
M
次に式 (
8
), (
9
)より次のような関係が求まる O なおこの関係には外点 a, b ,…ーに関するフーリエ
,
、111aEE
(
1
1
f
﹀
d
N :全節点数
n
(k=o,l,
﹂
寸Ill1111li-UtE'enuit--nU
ハ
一
一
﹁ Il--Illi-﹂
!
l
I
l
l
I
l
l
i
I
l
l
l
1
1
1
l﹂
﹁
f
l e
f
a e
f
N
K1kakN
f
Ef
flif--if
f~' …・…・も含まれている O
﹁lIBilli--Illlll
し
係数 f~ ,
上式はすべての節点がラプラスの式を満足するとき成立する O いわば各節点におけるラプラスの式
である O 式同において内点及び内外点のフーリエ係数をまとめて
寸Ill--J
nunU
﹁Ill111L
一
一
﹁
Illi--J
﹁
till--﹂
打u
K
、
llJ
r、
l
k
v
kk
v
u
とし,それらのマトリァクスの要素をまとめて
u
k
J
,外点のフーリエ係数を C
C
vkJ
C
V
k
J,C
U
k
J とすれば,式 Mは次式のように書ける O
。
。
したがって次式となる O
Cvk)=
一 CVk)1. CUk)・CUk)
ヵ
。
ー
つまりラプラスの関係を満足する内点及び内外点におけるフーリエ係数 f~ ,
ーリエ係数 f~ ,
・は外点のフ
f~ ,……の一次式で表わすことができ,次式のようになる O
f~ = C~a f~
f~
f~ ,
=crf~
ただし,たとえば
+c~bf~ +・...…
+c~bf~ +・・
¥
1
.
8
)
c
t
aはマトリックスの要素であり,式問より得られるものであって,節点番号 i
のフーリエ係数を表わす場合の外点 aのフーリエ株数の係数である O 式闘を式帥に代入すれば,境
界条件は外点のフーリエ係数のみで表わされることになる O そして境界上での誤差を最小にするよ
うな外点のフーリエ係数を求めればよいことになり,式仰が成立する O 今外点の数は (N-Q,)で
あるから式仰の未知数,条件式の数は共に (n+l)(N-Q,)であって解を得ることができる O
144
五(
}
z
)の 範 囲 で ラ プ ラ ス の 式 を 満 た す
次 に 外 点 aのポテンシャル φaが 部 分 的 に あ る 角 度 (θ1孟 O三
必 要 が 生 じ た 場 合 に つ い て 述 べ る O もしも外点 aが ラ プ ラ ス の 式 を 満 足 す れ ば
f
Eは式侶)を満足しな
8
)の 計 算 式 は (
9
)で あ る が , こ こ で 節 点 m をラプラスの
け れ ば な ら な い o 1つ の 要 素 eに つ い て の 式 (
9
)の m を a と書き直して,
式 を 満 足 す る 外 点 a とすれば,式 (
a
克明
k
害訴=ヲ (~aif~
+ 明 +~aaf~)
(
1
9
)
= 0
a
ここで 2は節点 aを 含 む す べ て の 要 素 に つ い て の 加 え 合 せ を 意 味 し て い る O また i, れま節点 aを
1
9
)より,
含 む 要 素 の 他 方 の 2節 点 で あ り , 当 然 要 素 が 代 わ れ ば 節 点 番 号 i, jも代わる O 式 (
a
旦
側
f~ =号 (ιiff+~ajf~)/ ヂ臼
なる式が得られる O もし節点 aで の フ ー リ エ 係 数 が ラ プ ラ ス の 式 を 満 足 す る な ら 角 。 で の ポ テ ン シ
ヤノレ Øa~ま,
øA = k土{土
(ιf~ +し廿)/土e ι~ c
o
sk
(
}
=O I e
凶 占 占
凶
υυ
e
>
.
J
)
~~I
で 表 わ さ れ る わ け で あ る が , 実 際 に は 節 点 aで の ポ テ ン シ ャ ル は 式 帥 で 表 わ さ れ る O 節 点 aは外点,
つまりラプラスの式を満足しない領域の節点であるから,
ることは可能である O もし角度
(}1- 内で
Øa~φa である O しかし,
eazzφa とす
oa
=φaとすることが可能であると,節点 aでのポテンシャ
}
Zで ラ プ ラ ス の 式 を ほ ぼ 満 足 す る こ と に な る O つ ま り 次 式
ルは θ1 - (
aθφa
J.,?~, _
_r
(
)
.
θo
o
日一恥)勾=も"2(o
a一 州
E
E
F
)
d
θ
=0
θ((}2/'
"
五百よ
2(
E
E
E
を 式 仰 に 加 え れ ば よ い 。 な お kは Oから nまで代わり
を行ない nを 限 り な く 増 や せ ば θ が
(
}
1豆
.
.
.
.
.
.
)
(c:a,b
闘
cは 外 点 の 数 だ け 代 わ る O こ の よ う な 操 作
θ手 (
}
zの 範 囲 で φaにラプラスの式を満足させることは可能
である O
4 解析例とその検討
フーリエ展開を用いた解析
法の有効性はつぎのようにし
M
a
g
n
i
t
u
d
ea
n
df
o
r
m
o
fa h
o
l
e
て確めた O まずフーリエ展開
一φ=225
を用いた解析法が境界値問題
の数値解析に対して通してい
の何十寸
るかどうかを調べるため, Fig.3
に示すような境界条件を与え
た円錐形多孔体モデルを設定
した O こ の 領 域 内 で の 支 配 方
程式はラプラスの式であると
F
i
g
.
3B
o
u
n
d
a
r
yc
o
n
d
i
t
i
o
no
o
d
e
l
fam
する。円錐面上の境界条件と
しては,ポテンシヤル
φの 値 は 底 面 か ら の 距 離 Z の 値 を 入 れ る も の と す る O
また円錐の底面からの
00, z軸から 7
0
0離 れ た と こ ろ に 同 図 に 示 す よ う な 形 状 の 空 洞 が あ る も の と す る O 空洞内
高さが 2
1
4
5
のポテンシャル φは一様に
=225とした O
φ
9
2
.5
"
FE M
さらに底面は
不浸透性の平板に接している
Sectionview
ものとする O
このような三次元問題につ
いて F E Mと F F Mの解の比
1
1
較を行うため,各々の解法に
適するように Fig.4及び 5の
F
i
g
.4 Anexampleo
ft
h
emodeld
i
v
i
d
e
di
nt
oa number0
1elements
ような要素分割を行なった O
FFM
Fig.4については多角錐の中
に厚味のある扇状の空洞のあ
Sectionview
るモデルに要素分割した O 要
0分割し,
素は平面図のように 1
各分割面は断面図のように分
割した 6面体である。フーリ
g
ぱ3
エ解との対比は同図中の番号
の付された節点について行っ
たO 節点数は 561個となる O
Fig.5については,三次元的
な情報を
F
i
g 5 Anexampleo
fthemodeld
i
v
i
d
e
di
nt
oanumbero
felements
Z 軸を中心に一次元的なフーリエ展開と,断面図のような二次元的な情報に分けることに
より処理した O ここでフーリエ展開項数を 1
0次,外点数を 1
4個,節点数を 5
1個とした O なおこのモ
デルのように領域内に空洞すなわち境界が存
表 2 モデルの計算結果の比較表
在するような場合においては節点 5, 6, 7,
8などは外点として取扱う必要がある O
前章で述べたようにフーリエ展開を用いた
角度 (
)
O
2
.
50
解析法では境界値を境界全体で,最小二乗法
により誤差が少なくなるように設定している O
したがってフーリエ展開による解析法では,
2
2
.
50
与えた境界値と解析結果の境界値とから間接
的にフーリエ解の近似の度合を予測すること
ができる O これはフーリエ展闘による解析法
0
の特徴であり,近似の度合を判断するのに有
効な指標となる O このような観点よりモデル
2
2
.
5
節点
F E M解
F F M解
地
a
b
│
1
1
0
2
21
x1
372.2
2
9
9
.
6
2
5
0
.
0
3
2
4
.
7
3
0
0
.
3
2
9
6
.
4
2
8
3
.
6
2
7
9
.
8
.1
2
71
3
2
9
.
6
3
1
0
.1
3
0
7
.
5
2
9
0
.
4
2
8
8
.
0
2
7
9
.
3
3
9
2
.
9
3
0
6
.
4
2
5
4
.
7
3
2
2
.
0
2
9
8
.
4
2
9
4
.
0
2
81
.7
7
.5
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4
5
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7
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9
4
5
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7
8
9
1
4
6
の解析結果である表 2をみると,境界値を与えた外周及び空洞共に,与えた境界値と対応する境界
上のフーリエ解は 99%以上近似している O このモデルを一般の有限要素法で解いた場合を想定して
比較してみても,解の精度は非常によい。またフーリエ展開による解析法の方が従来の方法より,
コンピュータの記憶容量は小さくてよく,演算時間も短縮できる O また三次元的な要素分割が二次
元的要素分割でよいので,ほとんど要素分割の手聞がかからないなどの利点がある O たとえば,こ
40x 1
4
0に,演算時間は 9分 5
1
のモデルで使用した最大マトリックスは 561x561であるものが 1
秒が 1
5秒程度まで節約できた O この結果からもこの解法の有効性は明らかである O
5 結 言
境界が複雑になったり,領域内の物理定数などが複雑に入り乱れたりするような場の問題におい
ては,有限要素法が解析の有力な手段となる O しかしながら精度向上を要求すると領域の細分化が
必要となり,要素分割に多大の手数が必要となる O また未知数も比例的に増大するので,計算機の
大型化と演算速度の向上が必要となる O
本研究は解析の手法としてフーリェ係数に有限要素法の制約を加えることにより三次元問題を二
次元問題と一次元問題に帰着させたものである O この方法によれば三次元的要素分割は二次元的要
素分割におきかわり,要素分割の手聞は飛躍的に軽減することになる O さらに任意の形状の問題の
解析精度の向上と計算機の演算時間,使用メモリーの飛躍的節約を可能にした O また精度について
は,要素内でのポテンシャルを直線近似せずに θ方向には三角関数で近似するため,近似に無理が
なく,精度もよいものと思われる O 一例として円錐面及び空洞内に境界値を与えたモデルについて
の境界上のフーリエ解は 99%以上近似した O このモデ、ルを一般の有限要素法で解いた場合は最大マ
1秒であったが,本法では最大マトリックスは 140x140
トリックスは 561X561,演算時間は 9分 5
であり,演算時間は 1
5秒であった O また解の精度も良好で,フーリエ展開による解析法が境界値問
題に対して十分適用できるものと認められた O
おわりに本研究にご協力いただいた金属鉱業事業団鉱害防止技術委員会しゃ断部会(部会長,東
大・山口梅太郎教授)の委員各位及び金属鉱業事業団技術部の関係者各位に厚く感謝の意を表わす。
またセントラル・コンピューターサービス株式会社中野拡二氏には数々の有益な御明言をいただい
たO 重ねて感謝の意を表する次第である O
文 献
1
) P.Aロングウエル,大谷訳,化学技術者のための流れ学, (1970), 90,共立出版
2
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) 岡・滝本・段野,日本鉱業会誌, 97- 1118, (1981)
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1
4
8