BM トピックス - 日本ボンド磁性材料協会 JABM

 BM トピックス
報告:
「寺子屋BM塾」
2011年前期講座
理事 兼 技術委員 兼 寺子屋塾長
浜野 正昭
((社)未踏科学技術協会・評議員・特別研究員)
講師:谷腰欣司、延べ受講生:172 名
⑧「徹底解剖:ネオジム焼結磁石」
(2010 年 9,10,11 月 ),
講師:徳永雅亮、延べ受講生:150 名
これに続く 2011 年前期の第9講座は、
ボンド磁性材料の基礎に戻り、BM 総括
講座「ボンド磁性材料の基礎と応用」を
企画した。内容が材料に特化的である為、
1.寺子屋繁盛記:2007 年の開設以降の
沢山の参加者は期待できないが、協会に
ブックかバイブルのような資料集であっ
推移
とっては重要な普及・促進テーマである。
た。経験豊かな講師ならではの集大成版
「寺子屋BM塾」は、前書きとして毎回
講師陣には、それぞれの材料別に協会内
である。何かの時には、この資料集を尋
記載しているように、本協会誌 BM News
部から3名のエキスパートにお願いした。
ねると良い。最後の「よくある質問の例」
No.38, 2007.10.1. 号に詳述したごとく、磁
そして会場は東陽テクニカ殿のご厚意で、
にいたっては、正にかゆい所に手が届く
性材料に関する基礎技術の理解と伝承を
何時ものテクノロジーインターフェース
解説であり、脱帽させられた。
旨として、協会員のみならず広く一般か
らも勉学の徒を募り、入門的な教育を施
こすことを目的としている。これは、団
塊世代の定年以後、益々困難になってき
たOJTの肩代わりを、この塾がOFF
-JTとして実践するという社会貢献的
な側面も有している。
まず、2010 年後期までに開催し、何れ
も好評を得た寺子屋BM塾のこれまでの 8
期分の講座名、時期、講師、塾生数を以
下に列記する。
①「永久磁石のイロハ」
(2007 年 4,5,6,7 月 )、
講師:浜野正昭、延べ受講生:207 名
②「永久磁石のイロハⅡ」
(2007 年 9,10,11,12 月 )、
講師:浜野正昭、延べ受講生:243 名
③「軟質 ( ソフト ) 磁性材料のABC」(2008
年 5,6,7 月 )、
講師:落合達四郎、延べ受講生:147 名
④「良く分かるボンド磁石の基本技術」
(2008 年 9,10,11 月 )、
講師:芳賀美次、吉田洋一、有泉豊徳
の初の各回分担制、延べ受講生:168 名
⑤「ボンド磁性体の材料・製法・応用」
(2009 年 5,6,7 月 )、
講師:伊田壮、大森賢次、五十嵐和則
の分担制、述べ受講生:63 名
⑥「永久磁石のイロハⅢ」
(2009 年 9,10,11 月 )
講師:浜野正昭、延べ受講生:126 名
⑦「とことん分かるモータの話」
(2010 年 5,6,7 月 )、
(TI)センターを無料拝借できることに
なった。BM 塾関係者一同大いに感謝申し
第2講
上げる次第である。
2011 年 6 月 17 日 ( 金 )
以下に、本年前期 BM 塾の三回の講義の
東陽テクニカ TI センター
内容とその実施状況を報告する。
講義:2)レアアースと希土類系ボンド
磁石
2.報告:2011 年前期 寺子屋BM塾
講師:大森賢次 元住友金属鉱山 BM
協・専務理事・事務局長
BM総括講座
「ボンド磁性材料の基礎と応用」
レジメ:レアアースとは、希土類元素の
電子構造と磁気的性質、希土類ボンド磁
第1講
石の歴史、磁石粉の種類と製法、ボンド
2011 年 5 月 13 日 ( 金 )
磁石の製法と磁気特性、成形技術概説、
東陽テクニカ TI センター
市場と用途等、最近話題の技術開発。
講義:1)「ゴム・プラスチックとフェラ
受講生総数:39 名 ( 含:聴講生 )
イト系ボンド磁石」
奮闘記事:講義は、「レアアースとは」か
講師:芳賀美次 アクテム代表 BM協・
ら始まった。昨年来の中国の供給制限か
会長
レジメ:原材料/各種ポリマーとボンド
磁石用粉末、コンパウンディング方法、
等方性・異方性とは、成形加工技術、磁
場中射出成形の条件、磁石品質評価、応
用用途事例、今後の課題など。
受講生総数:38 名 ( 含:聴講生 )
奮闘記事: 実に 51 ページの講義資料を
用意して、基礎の基礎からの説明が行わ
れた。例えば、コンパウンドとは、ボン
ド磁石とは、のように定義から解説する
のは、塾講師として必須の基本姿勢なの
で、塾生はすんなり聴講できたと思われ
る。 そ し て、プラスチックに関しては、
時には分子構造や模型図でわかり易く解
説した。ボンド磁石とその応用に関して
も、豊富なデータが満載で、丸でデーター
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ら、今や小学生でもレアアースという言
葉は知っている。しかし、この講義の内
容は、希土類元素の電子構造から説き起
こし、それに由来する磁性や電荷分布 ( 異
方性の方向に関係 ) の特異性にまで突っ込
んだので、さあ大変! 最も賢明な塾生
は、すぐに睡眠時間に切り替えたが、真
面目に聴講した塾生は、さぞかし頭を酷
使したと思われる。しかし、一度は希土
BM トピックス
類元素の基礎物性に触れておくことも必
受講生総数:37 名 ( 含:聴講生 )
勉強になった」と大好評であった。
要である。講師の大英断に感謝したい。
奮闘記事:ソフト磁性材料分野は、近年
前半をかく費やし、休憩後、やっと希土
BM協としても普及・促進に力を入れて
3.そして次の、2011 年後期は、第 10 講:
類ボンド磁石の歴史、磁粉・ボンド磁石
いる 。ソフト磁性体のボンド材料の二大
ネオジム磁石の基礎的学習と諸問題・諸
の製法と磁気特性などの本来的講義が行
分野としては、電磁波吸収体と圧粉磁心
課題に関するまとめの講座が9月から既
われた。日本の希土類ボンド磁石の生産
が挙げられるが、前者は、測定システム
に進行中!
量は、海外の日系企業分を含めると右肩
が普及中の段階であり、工業的、大規模
上がりであり、最近も様々なアイデアや
的な応用は遅れ気味である。それに対し
本年後期の講座名、講義題目、及び講
工夫による新製品が上市されているとい
て、圧粉磁心は、プリウスなどに昇圧リ
師を以下に示す。その詳細はBM協HP
う。誠に心強い限りである。
アクタ ( 電圧を高圧化する変換機 ) として
をご参照下さい。
搭載されたことや、省・脱希土類モータ
初級講座「ネオジム磁石:その話題と課題」
第3講
の磁心適用などにより、近年注目されて
9月2日 ( 金 )
2011 年 7 月 22 日 ( 金 )
いる新技術である。講義は、磁性材料の
1)「永久磁石の基礎とネオジム磁石の発
東陽テクニカ TI センター
基本的解説から始まり、ソフト磁性材料
明秘話」浜野正昭(未踏科学技術協)B
講義:3)ソフト磁性材料と圧粉磁心
の要求特性である渦電流損失の低減を詳
M協・理事・塾長
講師:五十嵐和則 三菱マテリアル B
10月14日 ( 金 )
M協・理事・技術委員
2)「保磁力とは何か、その発現と増強の
レジメ:磁性体概論、軟磁性粉末、絶縁
セオリー」小林久理真(静岡理工科大学・
被膜、バインダ、製造プロセス、圧粉磁
教授)
心の歴史と特徴、三次元磁気回路、渦電
11月18日 ( 金 )
流損失、ヒステリシス損失、損失低減法、
3)「ネオジム磁石の最近の諸問題とその
純鉄系圧粉磁心とその応用事例等。
対応策」徳永雅亮(明治大学・講師)BM協・
技術委員
細に分かり易く説明した後、圧粉磁心の
最後に、BM協本体も、寺子屋BM塾
製法、応用へと進んだ。特に、三次元的
としても、日本のお家芸であり、かつ現
磁気回路が形成できることがメリットで
在も世界をリードしている磁性材料分野
あり、今後も、電気自動車、太陽光発電、
の永続発展が祈願ですので、今後 会員
各種インバータなどへの応用が更に進展
企業や会員各位の益々のご支援とご鞭撻
するものと期待出来る。講義後の塾生た
を、伏してお願い申し上げる次第です。
ちの感想は、「とても分かり易くて大いに
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