「明の安」対話集会 in 佐賀 - 政府広報オンライン

「明⽇の安⼼」対話集会
in 佐賀
〜社会保障と税の⼀体改⾰を考える〜
■ 日時
平成24年3月31日(土)10:45~12:15
■ 場所
佐賀市文化会館3階
大会議室
(佐賀県佐賀市)
■ 参加者数
計30名
■ プログラム(司会:松本
由紀アナウンサー)
・大串内閣府大臣政務官からの挨拶
・藤田財務副大臣からの説明
・会場参加者との質疑応答
■ 集会の模様
※一般参加者のお名前については、英文字に置き換えさせていただきました。
○司会
それでは、お時間となりましたので、これより始めさせていただきま
す。
改めまして、皆様、本日は、政府主催の「明日の安心」対話集会 in 佐賀にお
集まりいただきまして、誠にありがとうございます。私、本日の司会を務めさ
せていただきますフリーアナウンサーの松本由紀と申します。どうぞ皆様よろ
しくお願いいたします。
さて、政府は、今後の社会保障と税について、全国各地で国民の皆様に改革
の趣旨や内容について御説明をし、話し合いをするという対話集会を始めまし
た。これまで全国 23 か所で実施しまして、本日は全国5か所で開催されており
ます。今回、ここ佐賀県佐賀市では藤田財務副大臣、大串内閣府政務官にお越
しいただいております。今日はよろしくお願いいたします。
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初めに皆様にお断りをさせていただきます。本日の対話集会の模様は、国民
の皆様がいつでもだれでも見られるよう、録画した動画を後日、政府の「明日
の安心」対話集会専用のホームページで配信をさせていただくことになってお
ります。本日参加されました皆様の様子も公開されますので、その点はあらか
じめ御了承いただきますよう、よろしくお願いいたします。
それでは、まず私の方から、本日の対話集会の進行について御説明をさせて
いただきます。まず、大串内閣府政務官から一言ごあいさつをいただきまして、
その後、藤田財務副大臣から、社会保障制度と税について、今、何が問題なの
か、これから政府はどう改革しようとしているのかについて簡単にお話をして
いただきます。そして、その後で、今日御参加いただいております皆様方に藤
田財務副大臣への御意見または御質問をお伺いし、対話を深めさせていただき
たいと考えております。できるだけ多くの皆様方から御意見をいただけますよ
う、私もスムーズに進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い
いたします。
それでは、まず初めに大串政務官よりごあいさつをいただきたいと思います。
○大串内閣府政務官
皆さん、おはようございます。今、御紹介をいただきま
した内閣府の政務官をしております、社会保障と税の一体改革の担当を岡田副
総理の下でやらせていただいております、衆議院議員の大串博志でございます。
今日は、この対話集会に足をお運びいただきまして、本当にありがとうござい
ます。そして、東京からは藤田財務副大臣に今日はこちらにお運びいただいて、
私たちの明日の安心を語り合っていきたいというふうに思います。
この対話集会、内閣官房、私たちの手元で全体の組織をさせていただいてお
ります。今お話がありましたように、全国で今、全県の約半分ぐらいを担当し
ていくことができました。残り半分に関しても、4 月に向けて全国でこのような
形で皆さんと対話をさせていただければなというふうに思っております。
今回、社会保障と税の一体改革という中で私たちが何を考えているかという
ことが、後ほど藤田副大臣からも詳しくお話をいただきたいというふうに思い
ますけれども、このタイトル、
「明日の安心」ということ、これはいろいろ考え
たんです。社会保障と税の一体改革と私たちずっと言ってまいりましたけれど
も、それじゃあよくわからないなあと、何をやろうとしているのか、何が目的
なのかよくわからないなあ、私たち自身、岡田副総理とも本当に悩みました。
そして、今回この対話集会をつくっていくときに、まず今回私たちがやろうと
しているのは、社会保障を、福祉をこれまでずっと予算が削られて先行きが不
安になってきているものを今しっかり強めていくというのが一番大事なことな
んじゃないかという思いなんですね。これをしっかり国民の皆さんにお伝えで
きるようなタイトルにもしなきゃいかんということで、
「明日の安心」というこ
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とで、今回タイトルづけもしてやってきたところでございます。
私、今日朝、実はここに来る前に、小城市の認可外保育園の進級式、入園式
に行ってごあいさつしてまいりました。小さな認可外保育園で個人で頑張って
いらっしゃいます。それでも毎年 10 名を超える新しいお子さん方が入っていら
っしゃるんです。今年も 20 名近い新しいお子さん方が入っていらっしゃいまし
た。これまで保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省という縦割りの中で、
待機児童の問題、大きくなってまいりました。そこに私たちは今、子ども子育
て新システムということで、幼稚園と保育園を総合こども園という形で一体化
して、待機児童の問題がないような形で子育て支援がしっかりできるようなも
のをつくっていきたいという、こういう法案も実は今回出しております。今回、
報道等々で消費税の問題がワーッと前に出ていますけれども、実は私たちこの
「明日の安心」、社会保障と税の一体改革の中でやりたいと思っていることは、
まずは今申し上げたような子育て支援も含めた、そして年金や医療や介護も含
めた社会保障、福祉を充実させていくというのを、まず今やっていきたい。そ
れをやっていかないと、明日の安心につながらない。
「明日の安心につながらな
いとどうしてもお金を使おうと思わない、貯蓄に回ってしまう。」「お金を使お
うと思わないと景気も上がらない。」「景気も上がらないと税収も上がらない。」
「税収も上がらないとまた社会保障に使えるお金も少なくなる。」こういった悪
循環に今入っちゃっているんじゃないか。それを逆にして、子育て支援、雇用
の支援、あるいは年金、医療、介護の支援、こういったものがいざというとき
に、人生大変なときに、社会保障や福祉の支えがあるんだということをしっか
りわかってもらえるようなものになっていければ、経済にもいいし、私たちの
生活もしっかり支えられるんじゃないか。そのためには財源の問題も含めて今
先送りするのではなくて、この問題を真正面からとらえるときに来ているんじ
ゃないかという、こういうふうな考え方で、今回社会保障と税の一体改革を考
えた次第でございます。
ですので、今日はこの点に関しても、藤田副大臣からいろんなお話をいただ
いて、そして皆さんといろんな意見交換をさせていただいて理解を深めさせて
いただけたらなというふうに思う次第でございますので、今日御参加いただい
た皆さん、そして今日これを見ていただく皆様にも多くこれからもお呼びかけ
しながら進めさせていただきたいというふうに思っておりますので、今後とも
よろしく皆様の御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、私の冒頭のごあいさ
つにかえさせていただきます。
あとは藤田副大臣にお譲り申し上げて、私はこちらで失礼させていただきま
すけれども、どうぞ皆様今日1日よろしくお願い申し上げます。ありがとうご
ざいます(拍手)。
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○司会
ありがとうございます。大串政務官はこの後ちょっと御予定がござい
ますので、ここで退席をされます。お忙しい中、ありがとうございます。
それでは、続きまして、藤田財務副大臣にごあいさつとともに社会保障と税
の一体改革についてのお話をお願いいたします。
○藤田財務副大臣
皆さん、おはようございます。ただいま御紹介いただきま
した財務副大臣の藤田幸久でございます。
今日は、お忙しいところ、土曜日、お集まりいただきまして、ありがとうご
ざいます。ちょっと自己紹介をさせていただきますけれども、私は大学を卒業
した後、ずっと国会に来るまではいろんなボランティア活動をやっておりまし
た。難民を助ける会というのを創設したときから関わっておりまして、カンボ
ジアから始まってアフリカ、それからヨーロッパ等の難民支援活動等をやって
おりました。当時、九州の皆さんにも大変ボートピープル等でお世話になりま
した。そんな関係で、国会に来てからも、例えば、最近でありますと、ハイチ
の地震があったときにはすぐ飛んでまいりました。スマトラの津波のときもま
いりましたし、イラクの人質事件とか大体そういう人道援助の仕事とかある場
合には私が飛んでいったという関係でございますので、今日はたまたまスーツ
を来てまいりましたけれども、大体現場はああいうジーンズで、そしてピッケ
ルをはいて、そして現地に行くと、そんな人間でございますが、今、国会でそ
んな観点からもこの社会保障の問題、皆さんの現場の声を聞きながらこれから
進めていかなければいけないということでまいった次第でございます。
社会保障と税のお話をするときにいつも私申し上げるんですが、8 年ぐらい前
ですけれども、当時民主党は菅さんが代表で、私が国際局長でありましたけれ
ども、これからやっぱり年金制度を中心とした社会保障を勉強しようというこ
とで、スウェーデンにまいりました。スウェーデンというのは、この社会保障
で、今、日本が学ぶべきいいモデルの国の1つですけれども、そのときに私た
ちがパーション首相というスウェーデンの首相にこんな質問をいたしました。
当時、スウェーデンの国民負担率、つまり年金ですとか税金とかそれから医療
等も含めまして、いわゆる国民負担率が、今ちょっと下がってきていますけれ
ども、当時 70%ぐらいでございました。それで、私たちの最初のスウェーデン
のパーション首相に対する質問は、
「いや、すごいですね。スウェーデンの国民
の皆さんって、それだけ負担されるんですね」というもので、質問に対するパ
ーション首相は、非常に太った首相でしたけれども、答えは「スウェーデン国
民でたくさん税金、年金等を納めたいと言っている人は1人もおりません」と、
「ただ、スウェーデンの場合には、20 年ぐらいかかって与野党の議員が一緒に
なってシステムをつくって、そして納めた分だけ、少なくとも国の方が私たち
国民に対してしっかりサービスをしてくれるという信頼感があります」と。ス
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ウェーデンは、年金制度というものに所得比例方式のようなシステムをつくっ
た先駆的な国の1つなんですけれども、変な話だけれども、税金の場合には、
脱税して警察につかまらなければ脱税した人が得だと思う人もいるかもしれま
せんけれども、年金の場合は、納めた分だけ返ってくるということなので、や
っぱり納める方が得だという信頼感があってから年金が安定をし、そして税収
も増えるようになりましたと。そして社会保障制度が安定することによって、
先ほど大串さんもちょっとおっしゃっていましたけれども、やはり経済も良く
なってきましたと。年金、税金、政府と国民との関係が安定してくると、やは
り経済政策にも影響を与えて、経済成長も遂げられるようになってきましたと。
したがって、割と先進国では社会保障が安定をすることが国の経済活動にも非
常に役立つんだというのが結論でございました。当時、私たち、やっぱり残念
ながら日本においては、政府と国民との間の関係の社会保障を通した信頼関係
の構築というのが本当に重要だなと思って帰ってきて、そしていろいろ年金制
度、社会保障制度について勉強を始めたという経緯があります。私にとって、
今皆さん方に御説明をする際に、そうした国と国民の皆さんとの信頼関係をつ
くるような社会保障制度をしっかりやっていかなければいけない、そういう思
いでおります。
これが、今私どもが皆さん方に提案をしております、考え方をまとめてみた
ものでございます。この最初のこの絵が、よく野田総理がお使いになる、やっ
ぱり野田総理、ああいう体型でこの話をすると非常に説得力があるなと思って
いるんですが、要するに 50 年ほど前は、皆さんで一緒に胴上げをしていたと、
65 歳以上の1人に対して大体9名ぐらいで1人を支えていた。ところが現在は、
この3人弱ぐらいで1人を支えている騎馬戦型だと。ところが、40 年後になっ
ては、ほぼ1人で1人を肩車で支えなければいけないというふうに、それだけ
この高齢化というものが進んできているということでございます。
それから、これが最近よく言われております歳出と税収の状況ですけれども、
つまりこの昭和 50 年から、平成2年、そして平成 12 年、これだけ歳出という
ものが増えてきています。それに対してこの税収の方がだんだん減ってきてお
りまして、そしてこの国債という赤字の借金ですけれども、この数年間は、こ
の公債発行額の方がこの税収よりも増えてしまっていると、そしてこの 44 兆円
ということでございますので、歳入の 49%というふうになってきていると。
それから、一方、社会保障費の伸びの方ですけれども、いわゆる社会保障の
給付費、お支払いする方が 108 兆円まで上がってきているということでありま
す。そして、平成 11 年から消費税が導入(福祉目的化)されてきておりますけ
れども、社会保険の収入は頭打ちでございますから、結局これだけ差が出てき
ていると。上の表に戻りますと、この税収とそれから歳出の間のこの口がワニ
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の口と言っておりますけれども、どんどんワニさんの口が開いてしまっている
というのがこの現状であるという状況でございます。
そして、これが社会保障のどれだけ予算を使っているかということですけれ
ども、平成2年、約 20 年前には、11.5 兆円。ということはこの歳出の 29.4%
であったものが、現在は社会保障がこの 11.5 兆円に対して倍以上の 26.4 兆円
になって、これはパーセンテージで言うと一般歳出の半分以上の 51.5%である
ということでございます。そして、先ほど別のグラフでお示しをしました国債
の発行額でございますけれども、歳入総額の 10.2%に当たる 7.3 兆円であった
ものが、先ほど申し上げましたが、44.2 兆円ということでありまして、歳入の
約半分近くなっているというのが現在の状況でございます。
今回、昨日提出いたしましたけれども、閣議決定をいたしましたけれども、
社会保障の充実・安定化のために安定財源を確保したいというふうに、つまり
皆さんからお預かりをする消費税というものをどういうふうに使っていくかと
いうことです。結局社会保障の財源ということで、1つは充実ということで、
子ども子育て対策あるいは医療介護の充実にしたいという面と、社会保障その
ものを安定化したいと、これは年金の財源を、この年金というのは決まった額
が必要になってきますから、景気が良くなった悪くなったということではなく
て、安定した財源が必要であると。それから少子高齢化という流れが、これは
厳然としてあるわけですから、それに対応するお金ということで、全部社会保
障にこの消費税のアップの部分は使わせていただくと。したがって、今まで皆
さん方から「おかしいじゃないか」と、
「もしかして官僚の人件費だとか役所の
経費だとか関連団体に無駄遣いをしているんじゃないか」というお話がござい
ましたが、そちらの方には一切回さずに社会保障だけに使わせていただくとい
う考え方でございます。
そして、2014 年の4月から今の5%を8%に上げて、そして 15 年の 10 月か
ら更に2%上げて 10%に上げさせていただくということでございますけれども、
したがって、今に比べますと、消費税率を5%引き上げるわけですけれども、
その全額を社会保障の経費という中で、国と地方の役割分担をしっかり今から
約束をして分担をさせていただくということでございまして、国の方がこの
5%のうちの 3.46%、そして地方にはしっかりその5%のうちの 1.54%という
ものを地方消費税あるいは地方交付税という形でしっかり回させていただくと
いうことでございます。
それから、その際に、消費税というものは、所得が多い方も少ない方も一律
に誰からも同じパーセントで取ることになっておりますので、所得が低い方に
とって、逆進性と申しますけれども、不利ではないかということでございます
ので、その低い所得の方々に対する特別な配慮を今から考えていくということ
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でございます。
1つは、高額所得の方も所得が低い方も一緒に取るということでございます
けれども、先ほど申しましたように、消費税を全部社会保障に充てるというこ
とは、そもそも税を納めることの少ない方に対しても社会保障の恩恵は一緒に
行くわけですから、そのこと自体が、つまり消費税収を全部社会保障の維持、
充実につなげること自体が、低所得者の皆さんにとっては割合で言うと多くの
恩恵が与えられるということになります。
したがって、社会保障の充実そのものが低所得者の皆さんに対する応分のと
いうよりも非常に厚い手当となるわけです。それで、具体的には、その低所得
者の皆さんに対しては、年金、医療、介護、その3つの分野でそれぞれ具体的
な対応をするということで、年金に関しましては、その低所得者の皆さんに対
しては特別の加算をする。介護のことに関しましては、低所得者の皆さんには
介護保険料を安くさせていただく。そして医療の部分は、その低所得者の皆さ
んには国民健康保険料を安くさせていただくという具体的な考え方でございま
す。
それから、再分配と言いまして、まずはマイナンバー法ということを今、計
画しておりますけれども、番号制度を導入することによって、それぞれの皆さ
んに対する分配が公平にいくような制度も考えていくと同時に、低所得者の皆
さんに対しては、これから具体的な案を詰めますけれども、やがては給付付き
税額控除で対応するわけですが、その前に具体的に低所得者の皆さんについて
は現金の給付をさせていただくというようなことを今検討中ということでござ
います。
そういう形で、消費税をアップすることによって一番負担をこうむるのでは
ないかと言われております低所得者の皆さんに対する対応もしっかり準備をし
ていきたいということでございます。
ほかにもいろいろございますけれども、とりあえず今申し上げたことが今回
の考え方の基本でございます、ということを御説明申し上げまして、せっかく
の対話集会でございますから、皆様方からいろいろと御質問とか御意見を賜り
たいと思います。よろしくお願いをいたします。
○司会
はい、ありがとうございました。社会保障と税の一体改革についての
御説明をしていただきました。
それでは、これより皆様方より御意見を伺ってまいります。なお、発言の際
には、差し支えない程度で結構です。お名前と年齢ですとか職業ですとか簡単
に自己紹介をしていただいてから御質問または御意見に入っていただけたらと
思っております。できるだけ多くの皆さんからお話を伺いたいと思っておりま
すので、4人ほど御意見をまとめてお伺いして、それに対して副大臣にお答え
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いただいてというスタイルで進めていきたいと思います。
それでは、御質問または御意見のある方は挙手をお願いいたします。では、
Aさん、お願いいたします。
○参加者
今日は、藤田副大臣、佐賀にようこそお越しくださいまして、あり
がとうございます。
今佐賀市に住んでおります 44 歳のAと申します。ちょうど私どもの 20 歳の
ころ、バブルが絶頂でございまして、ちょうど我々が年金をもらうころには払
った額と給付の額が、ちょうどプラマイゼロになるか、あるいは少なくなるか
というふうな年代でございます。今この最初から胴上げ型、騎馬戦型、肩車型
から社会保障と税の一体改革の話をしてくださったんですが、
「社会保障と税の
一体改革」とおっしゃるんですが、今伺ったお話の流れでいくと、その後にす
ぐ社会保障費の増加ですとか国債発行の増加ですとか、やはり消費税がどれだ
け増えて、要するにどれぐらいお金が足りないかということが主眼のお話だっ
たと思うんですが、肝心の社会保障を将来どういうふうにしたい、どういうふ
うな形にする、そのためにどれくらい足らないから税収や財源をどうするのか
という順番ではなくて、どうしても足らないお金の部分のところが先に来るの
で、何でこう2つ「社会保障と税の一体改革」とおっしゃるんですが、税の一
体改革の方が割合がどうしても多く感じるんですね。実際今お話しいただいた
お話も残りの後半の7割はそういった足らない部分をいかに埋めていくか、ど
う負担していくかというお話が多かったと思うんですが、私たち国民からする
と、社会保障の安心をスウェーデンのようにどうつくっていくのか、どういう
社会保障にするのか、例えば、松、竹、梅、そしてそのためにそれぞれ幾らぐ
らい足りなくなるのか、人口がどう変わっていくのか、その上で国民の皆さん
に松プランなのか梅プランなのか、竹なのかということで、その結果、消費税
が5%足りないのか、3%なのか、あるいは消費税以外にはどういう手段があ
るのかとか、あるいはもっと社会保障をどういうふうにしていくのか、あるい
は健康づくりをどうしていくのかとか、地域の福祉の形をどうしていくのか、
そういう議論が抜けてて、すぐ財源とかそっちの方に来るから、今国民はとて
も私たちは不安に思っていると思うんですけれども、社会保障と税の一体改革、
社会保障の方の改革というのをもっと信頼を取り戻すようなプランや話をしっ
かりしていただいた上で税の方にいくのが順番ではないかと私は思うんですけ
れども、そこが報道が十分にされていないのか、あるいは発信側の野田総理や
今の政府の説明が、今説明してくださったように3割状況、7割が負担の話と
いうことなのか、本当は社会保障の話が先で、その後に負担をどうするのかと
いう順番だと思うんですけれども、その辺のことを社会保障の方もしっかりと
説明を、将来像を描いて、まず信頼を取り戻した上で税の一体改革の方の話に
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順番になるんじゃないかと思うんですが、その辺のことをしっかりと御説明し
ていただきたいと思います。取り組んでいただきたいと思います。
○司会
はい、ありがとうございます。社会保障の今後の具体的なビジョンと
いうことですよね。では、後ほどまたお答えいただきます。
それでは、ほかに御意見のある方。では、右から2番目の男性の方、お願い
します。
○参加者
Bと申します。年齢はやっと 70 歳になりました。まだ若いと言われ
ますが、本当はあちらこちら傷んでおります。
それで、私がいろいろ質問したいのは、今の方は全体的な質問だったと思い
ますが、現在私のうちには 97 歳になる母親がいます。介護をしております。去
年までは下の世話はしなくてよかったんですが、今年からは下の世話までして
おります。それで、母親のことについてですが、介護制度の見直しがある度に
保険料が高くなり、そして施設の利用代も高くなっていると考えています。施
設の利用代や介護保険料が高くなるたびに、母親の年金は 36 万円ということで、
保険料は 24 万円取られて、あと十何万円かで保険料、施設料とか薬代を賄って
いる状況ですね。母親の年金だけではどうしても、本人だけの年金だけでは生
活ができないから、息子夫婦がその足らない分を負担しなさいということで現
在やっているわけですが、それを知ったところの家庭は、介護者の必要なお金
とそれから一緒にこれまで住んでいたんですが、住居を別にして生活をしてい
るというところが何か所かあると聞いております。そういうことがないような、
やはり本人が年金をもらった分で生活できるような社会ができないかなと思っ
ているわけです。そういうことをあちらこちらで説明するのが、
「おまえたちは
2人とも、夫婦共稼ぎだったから良くはないか」と言われますけれども、それ
はそれとして話は別だと思います。やっぱり年金をもらっている分で生活でき
るような方法を取っていくのがスウェーデンのような形になりはしないかなと
いうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
以上です。
○司会
Bさん、ありがとうございます。年金で賄えるような社会保障、充実
した社会保障をというお話でしたね。では、後ほどお答えいただきます。
それでは、ほかに御意見のある方。では、Cさん、お願いします。
○参加者
佐賀市に住んでおりますCと申します。今年から介護保険料を払っ
ている 40 歳です。私は佐賀大学で社会保障法を教えております。
それで、この数年強く感じることなんですが、一体改革をするに当たって、
こういう例えがいいのかなと思うんですが、戦後すぐから住み始めた家が、戦
後すぐに建てた家がだんだん古くなってきて、もはやこの家では住みづらいな
あという感じになってきた。だったら、この家をどうしようかなというところ
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で、だったらいっそのこと新しい家を建ててしまおうかということであるのか、
それともマイナーチェンジで多少の増改築をやった上で、これからしばらくの
間は住み続けられるくらいのチェンジをしていけばいいのか、それとももう年
をとったことだし、一戸建ての家に住むというのは大変なんだから、いっその
ことその家は出てしまってマンションに移ってしまおうかと、この選択肢が3
つあると思うんですが、今回出されている内容を拝見していると、それからこ
の数年の間の制度改革などを見ていると、どの方向性で進もうとしているのか
がよくわからないというところです。その辺の御見解をひとつお聞かせいただ
きたいということがあります。
これはなぜこういう質問をするかと言いますと、新しい仕組みをつくる、あ
るいは構造そのものを大きく変えてしまうというときには、その方向性なり指
針なりが必要だと思うんです。先ほど御説明された中では信頼関係というのが
非常に重要だという説明でありました。この信頼関係を構築するためには、そ
れぞれの方がその制度を信頼していくというために、だれにとっても公平なも
のであるというような、連帯と言ってもいいですし、包摂と言ってもいいかも
しれませんが、そういったものが必要なんだろうと思うんですね。ところが、
この数年の制度改正を見ていると、とりわけ今回出されたような内容について
も、具体的に1つだけ申し上げますと、低年金者に対する年金の補助ですね、
もう少し正確に言いますと、最低保証年金なんですが、公平性から非常にかけ
離れる制度が幾つか出てきている。この数年、それがちょっとかなり大きく見
えてきているような気がするわけなんです。そうしますと、この数年の制度改
正それから将来的に持っていこうという制度改正は、公平公正なものではない
というふうに私たちにはどうしても映ってしまうわけなんです。そうすると、
現実的に動いている公平、公正とは違った形でまた信頼関係を取り戻そうとい
うのは、かなり難しい問題だというふうに考えているんですが、この辺どうい
う御見解なのかというところを少しちょっと、ざっくりした質問で恐縮なんで
すが、教えていただきたいというふうに思います。お願いいたします。
○司会
ありがとうございます。Cさんに御意見をいただきました。今後の新
しい仕組みの方向性をしっかり見えるように御説明いただきたいということで
した。
それでは、もう一方、御発言される方、では、後ろの席の方、お願いいたし
ます。
○参加者
佐賀市に在住しておりますDと申します。35 歳でございます。この
資料の「支え手を少しでも増やす努力が必要」ということですけれども、私た
ちの将来を見据えた場合に、先進国のフランスは少子化対策をして出生率 2.0
を超えておりますが、日本はそこに至っておりません。少子化対策をこの消費
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税アップで具体的にどのようにされるのかというのが1点目。
2点目が、4ページ目に「社会保障の充実と社会保障の安定化、これを行え
ば財政健全化にも一定の寄与」とありますけども、ここがいまいち私には結び
つかないんですが、なぜ社会保障の充実と安定化をすれば財政健全化に一定の
寄与をもたらすのかという御説明をいただきたい。
もう1点が、3点目ですけれども、3点目は、
「低所得者への配慮」とござい
ますけれども、いわゆる低所得者というものが一体個人の年収でどれぐらいな
のか、家庭の年収がどれぐらいなのか、この辺りの御説明をいただきたいなと
思います。
この3点と、もう1つは、私どもだから難しい話はいまいちわかりませんの
で、できれば年収がこれぐらいで独身だったら、この消費税増税でアップでこ
のように生活が変わりますよ、家族が何人いて年収がこれぐらいだとこういう
ふうに将来が変わっていきますよというケース・バイ・スタディーのような具
体的な見える形の説明とか資料とかが今後いただければいいのかなと思ってお
ります。
以上です。
○司会
ありがとうございました。Dさんに御意見をいただきました。
では、お隣、Eさんですね。女性の方です。
○参加者
Eと言います。年齢は 67 歳です。今、公平というようなお言葉があ
りましたので、私はそこが一番胸にきたんですけれども、このお話を聞いてい
ると、何かとてもいい形にうまく流れていくような気がするんですけれども、
例えば、低所得者というこの範囲がどういうような範囲を示しているのかなっ
て、いつも出されるときに何か我々の視点とは違うような、例えば、うちの娘
がお産をしたんですけど、4年前にお産したときには 50 万円近くを一括窓口で
支払わなければならなかったんですね。後から幾ら戻ってくるにしても、その
額ってすごく大きいですよね。それなのに、そのときは窓口で支払わなければ
いけない。でも、去年、次の2番目の子を産んだときには、食費ぐらいでそん
な大したお金じゃなかったんですね。そういうような仕組みが早くなれば、後
から戻ってくるということは、それに対しての人件費とかいろんな何かが動い
ているのではないかなと私としては思うんですよね。
それから、今度その上の子が幼稚園に行くんですけど、大阪に住んでいるん
ですけれども、その幼稚園のお月謝が後から返ってくるんですね。月払いが、
今度4月から行くんですけど、安くなれば安心してやれるのに、何か3月にな
って戻ってくるという、そういう仕組みが、何かここでいっぱいいろんな人が
動いていて、お金がいっぱい使われているんじゃないかなってね、妙な詮索を
してしまうんですね。だから、そういうように、この低所得者とか、それもこ
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の範囲というのが我々の視点とずれているところがあるのではないかなという
ところが一番の心配です。
以上です。
○司会
ありがとうございます。では、5名ほど御意見をいただきましたので、
ここで副大臣の方からお答えをお願いしてもよろしいですか。
○藤田財務副大臣
いろいろな貴重な御提言も含めた御質問をいただきまして、
ありがとうございます。対話集会ですから座ったままの方がいいと思いますの
で、座ったままお話をさせていただきたいと思います。
まず、5名の方の御質問と御心配に共通していることは、政府に対する信頼、
つまりこういった提言をしている以上は、信頼のできる政治をやってほしいと
いうことでございます。私どもは、例えば、国会議員の定数を減らすあるいは
公務員の皆さんの給与、国会議員の給与、そして定数等を減らす、そういった
本当に皆さんから税をいただくわけですから、それに見合った信頼できるサー
ビスとそして政治をやっているという信頼を取り戻すことがまず先決だろうと
いうふうに思っております。それが私、冒頭でスウェーデンの際に申し上げた
ことでございますけれども、それをまずやっていくことが重要だろうと思って
います。
それからもう一つ、別にスウェーデンばかりがいいわけじゃありませんけれ
ども、やはり与野党で 20 年ぐらいかかって、ある議員はあるとき野党であり、
ある議員はあるとき与党に変わったけれども、与野党変わっても、しっかり制
度をつくっていったということがございますけれども、やっぱり皆様方の目で
国会で何か争いごとばかりしているんじゃないかと、あるいは足の引っ張り合
いをしているんじゃないかと、そういうことがないような政治を、これは党派
を超えてやっていかなければいけないと、それは私一番強く感じております。
例えば、今度の予算に関しましても、実は四十数年ぶりで実は公務員の数を
今度は全ての省庁で減らすことにいたしました。あまり伝わっておりませんけ
れども。それから、例えば、すべての省庁とそれからすべての特別会計の事務
費というものをすべて減らしました。例えば、光熱水量費だとか備品だとか。
これも 30 年ぶりで初めて減らしました。それから、私自身が担当したんですが、
国家公務員の宿舎というのが全国で 21 万 6,000 戸ほどあるんですが、これを 5.6
万戸減らして 25%減らすというようなことも決めました。そういうまずは政府
自身が、あるいは国会議員の方が身を削るということをまずやるということが、
そして無駄遣いをしていないんだと、この間AIJの問題なんかもございまし
たけれども、まさにあれは年金の関係でございますけれども、そういったこと
をしっかりやっていかなければ皆さん方にとって信頼ができる政策等が提示で
きないというふうに思っている。ですから、順番が逆だという話がありますけ
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れども、そのまずやるべきことをしっかりやらなければいけないというふうに
思っております。
それから、その上で、この皆さん方に御提案を申し上げて、そしてまず最初
のこのAさんの御質問にありましたように、増税のための社会保障で順番が逆
じゃないかというお話を皆さんから伺いますけれども、まさにその社会保障の
あり方というものをもっと細かく皆さん方に御提示しなければいけないと思っ
ております。スウェーデンの場合、申し上げたことは、要するにあまり貯金し
なくていいような安心した社会になっているんですね。要は、国に年金保険料
という形かあるいは税金という形でお金を貸しておいて、必要なときに年金を
受け取る、必要なときに介護のサービスを受け取る、必要なときに医療もしっ
かりお医者さんに行ける形をつくっているというのが、ある意味では、そうい
ったヨーロッパの国なんかの仕組みだろうと思いますけれども、信頼があれば
皆さんが年金保険料なり税金という形で国にお金を預けて必要なときにサービ
スを受け入れられる、その社会保障の中身の充実を図っていくということが重
要だろうと思っております。
その松竹梅のプランをということでございましたけれども、1つは、今回の
社会保障と税の一体改革の中で強調しておりますのが、今までは社会保障とい
うと年金、医療、介護、3つが主に強調されておりましたけれども、今回は子
育て支援あるいは子ども手当から名前が新しい児童手当というふうに変わりま
すけれども、先ほどDさんですか、おっしゃったように、その少子化対策を含
めたこの社会保障の充実が重要だろうと思っておりますので、それが子育て世
代の皆さんに、生まれたときから中学3年までは、名前は変わりますけれども、
児童手当という形で皆さん方が安心して子育てができる、それに待機児童も含
めた保育所の対策、そして先ほど大串さんがおっしゃっていましたように、保
育園とそれから幼稚園も含めた安心してお子さんを預けられるような仕組みを
つくることによって、それからお母さん方が、例えば、今はお2人とも働いて
いる世帯が多いわけですけれども、会社に勤めて、そして結婚されて、出産を
し、そしてある程度育児をした後、また同じ会社あるいは別の会社に戻ってき
ても、その女性の方が安心して仕事についたり育児ができる形によって、子ど
もを育てる環境をつくるということが非常に重要だろうということが、今度の
1つの柱になっています。
それから、いろんな方の質問にちょっと重複をいたしますが、実は、今度も
診療報酬と介護報酬の改定で対応するという形にいたしました。実は、診療報
酬というのは、別にお医者さんが取る給料というんじゃなくて、要するに医療
予算のことですけれども、一昨年までは毎年 2,200 億円ずつその社会保障の予
算が減ってきてたんです。今、OECDの中でも日本のいわゆる社会保障とい
13
うか医療関係の予算というのは、お医者さんの数も少ないですけれども、OE
CDの中で、先進国の中で一番低い方なんですけれども、それを去年とそれか
ら3年前とアップをいたしまして、要するに社会保障の医療関係の予算を増や
すということにしましたけれども、やっとそのOECDのレベルぐらいの数に
近づくような方向を取ったんです。例えば、今日来るに当たって調べたら、佐
賀県というのは、病院の数といいますか、病院施設の数は全国でかなりトップ
レベルなんですね。私の、茨城県は下から数えて下位の方なんですけれども、
その1つはそういう医療関係、介護関係の予算を増やす形で去年とそれから3
年前はプラスにしてきたというのが1つございます。
そうして、そんな中で、医療と介護の部分、それから例えば、社会保障で言
いますと、緊急医療とか産科とか外科とか、そういう地域の医師不足等を解消
するための政策といったものも、今度の中に入っております。メニューについ
ては、多分皆さん方に資料をある程度お配りしているんだろうと思いますけれ
ども、更に詳しいことを申し上げますけれども、そういった形で年金保険料と
税金と併せた形での年金、医療、介護、子育てというものを総合的に充実させ
るようなメニューというものを幾つか用意をしておりまして、その年金の部分
については、まだ制度の部分で詰めきれていないところもございますけれども、
それを法案を出した後、更に詰めていくという状況にございます。
それから、それが先ほどのBさんの御主人の方のお話になろうと思いますけ
れども、年金が 36 万円で、その保険料が 24 万円で、その差をということです
けれども、その部分をある意味では埋めるような部分の充実を図っていくとい
うことが、先ほど申し上げたような形で対応したいと。それにつけても、やっ
ぱり安定した社会保障の財源というものを確保した上で、できるだけいろんな
世代で分担をして給付も受けられ、そして公平性の保たれたような形での社会
保障というものを充実させていこうという考え方でございます。
それから、いろんな方の質問にお答えをしてしまっておりますけれども、C
さんに私の方からお話を伺わなければいけないわけですけれども、先ほどのそ
の戦後建てた家が住みづらくなってきて、どう変えるのかと、新築とマイナー
チェンジとそれからマンションに移るかという話ですけれども、どちらかとい
うと、今民主党がもともと提唱しておりますのは新築案でございます。ですか
ら、特に新しい年金制度に変えようというのが基本的にもともとの民主党の考
え方で、所得比例年金であって、それから最低保証年金であってと、それに対
して自民党と公明党の方で今までやってきたのがマイナーチェンジという形だ
ろうと思っています。今、その新築の部分の良さと、あるいは新築にしなけれ
ば無理だという考え方と、いや、マイナーチェンジで今の制度でもかなり有効
に使えるんじゃないかという部分が、今国会でいろいろ議論を聞いてみますと、
14
大分近づきつつあるのかなという感じがいたします。
それと、その最低保障年金の部分は、ある意味ではこれは相当財源もかかる
ことですから、確かに公平でもないという部分もあるんですけれども、ただ、
最低保障年金の部分よりもやはり所得比例年金にし、それから制度を一元化す
ることの方がより重要だという考え方が民主党のもともと言っております新築
をしようという考え方でありますので、そのどちらがという部分について、今
国会もねじれている状況の中で、与野党の中で、先ほど申しました、ほかの国
でもそうですけれども、与野党立場を越えていい案をつくっていくという部分
で、新築とそのマイナーチェンジの間でどういうふうに合意を得ていくかとい
うことが今後の課題ではないかなというふうに思っております。
今まずは被用者年金を一元化しようということから手始めに、そしてその最
終的にはできるだけ一元化をしていくという方向でやっていくという部分がそ
の新築とマイナーチェンジの間の部分の論点になって、大分国会の議論なんか
を聞いておりますと、それぞれの良さ、それから欠点というものが明らかにな
ってきておりますので、それを詰めていくということがその新築かマイナーチ
ェンジかあるいはマンション的なものにするかという部分でのこれから一番大
きな課題になっていくんじゃないかなというふうに思っております。
それから、先ほどもちょっと部分的にお答えをいたしましたが、Dさんのそ
の少子化対策ですけれども、やはりフランスを初めといたしまして、少子化対
策が出生率を高めることによって、そして社会保障がバランスが取れて、そし
てやっぱり経済成長につながっているというのがフランス及びヨーロッパの
国々の中で出ておりますので、これをやはり今回少子化対策、子育て支援と入
れた部分は、それが一番大きな要因でございます。それで、例えば、これはい
ろいろ議論があるかもしれませんが、フランスなんかの場合に、いわゆるシン
グルマザーと言ったらいいのか、シングルファーザーをお父さん、お母さんと
されるお子さんが非常に多いんですけれども、日本はたしか非嫡出子で2%ぐ
らいですかね、それでフランスが 60%ぐらいですかね。そういう生まれてきた
以上は、どういう形で、お父さん、お母さんの婚姻関係があるにかかわらず、
しっかり社会全体としてお子さんを育てていくというような部分について、も
う少し政策的に詰めていかなければいけないのではないかなというふうに私ど
もは考えております。そのこととその幼保一元化といいますか、幼稚園と保育
所をできるだけ垣根を取って柔軟に対応していこうということと、それからそ
ういう私立幼稚園とか私立保育園に対する支援という形も今充実をさせようと
思っておりますけれども、総合的に子育て支援というものをもっと厚くしてい
かなければいけないというふうに思っております。
それで、先ほど、低所得者という場合の低所得者というものは、大体幾らぐ
15
らいを想定し、どんなケースが想定されてこの政策立案になっているかという
部分については、実は今日財務省の中村課長に来ていただいておりまして、そ
の辺ちょっと数字のこともありますので、中村さんの方で、もしわかればちょ
っと補足をしていただけるとありがたいと思いますが、いいですか。
○中村財務省主税局調査課長
財務省の主税局で調査課長をしております中村
と申します。低所得者の水準と、先ほどお二人の方からあったと思います。低
所得者対策ということでございますが、結局先ほどEさんからお話ありました
ように、1人目のお子さんのときには払ったけれども、2人目のお子さんのと
き払わなかったと、恐らくそれは世帯の構成が変わっているからではないかと
思います。お子さんが1人増えると所得が多い方でもやっぱり低所得者とみな
されるというところがあるんだと思います。世帯の構成がどうかということで、
多分単身の方とそれから家族がたくさんいらっしゃる方というので、多分変わ
ってくるということだと思います。
それから、先ほど、一番最後にお示ししたこの資料の中で、低所得者対策と
いうことで、社会保障の充実の中で、低年金者への加算ですとかあるいは保険
料について軽減させていただくというようなことを盛り込んでおりまして、そ
の効果がどういうふうに及ぶかということ、実際のところはたしかDさんがお
話しになりましたように、どのぐらいの世帯の方でどれぐらいの効果が及ぶか
ということをきちんと考えませんと、どのぐらいの方にこれだけの負担がある
かということがなかなかわからないというところがあると思います。しっかり
そうした具体的な姿をお示ししていくということは大事なんだと思いますが、
今のところ、まだこれから制度を考えていくということになっていますので、
ちょっとまだお示しできるという段階ではないんです。低所得者についてとい
うことについては、そういうことでお願いいたします。
社会保障の充実、安定化ということがなぜ財政健全化に資するのかという質
問がありました。皆さんにお配りしているもうちょっと分厚い資料とかも使わ
せていただければもう少し丁寧に御説明させていただけたのかもしれないので
す。社会保障の充実の部分というのは、歳出もこれから増やしますと、その分
また税も使わせていただきますというところです。それ以外の安定化というと
ころについても、消費税を使わせていただきますとしています。今どうなって
いるかと申しますと、国の財政、先ほど副大臣から御説明がありましたが、実
は半分は借金なんですね。ということは、社会保障に 26 兆円ほど今、国の一般
会計の歳出ですと出させていただいておりますけれども、その半分は実は将来
世代に先送っている借金だということになっています。社会保障のそこの部分、
一部分ではありますけれども、そこに消費税率の引上げ分を充てさせていただ
くということになれば、その分だけ借金を少なくすることができるということ
16
になりますので、社会保障の安定財源を確保するということは、ひいてはその
借金を減らすということになるので財政健全化にもつながりますということに
なります。我々これで十分だということはなかなか申し上げられませんけれど
も、現状よりも借金を少なくすることができるという意味で財政健全化にもつ
ながるんですというふうに御説明させていただいております。
○藤田財務副大臣
漏れたところがあれば、またお聞きして、それを更にカバ
ーをしてまいりたいと思います。
○司会
ありがとうございます。
それでは、引き続き皆様方から。では、後ろのお席、右から2番目の男性の
方です。
○参加者
佐賀市に在住しておりますFと申します。消費税の滞納の問題、こ
れは国税の約半分程度が消費税の滞納だというふうに言われています。これを
どういうふうに原因として考えていらっしゃるのか、その対策をどういうふう
に考えられているのか、そして私自身が思うのが、下請、中小地場企業がやは
り元請に対してこの消費税の増税分を価格に転嫁できない、大企業、親企業を
指導すればいいという話があるんですが、もうこれは私はあまり具体的ではな
いのかなと思っています。現実的ではないのかなと思っています。そういった
中小地場企業が今後増税分を価格に転嫁できないという状況をどういうふうに
考えていらっしゃるのか、ちょっとその2点についてお伺いしたいと思います。
○司会
ありがとうございます。
それでは、ほかに。では、右から3番目の男性。
○参加者
佐賀市のGと申します。今、38 歳ですので、ちょうど私、まさに肩
車型が自分の老後を迎えるときだと思います。そういう立場から言うと、今の
お話をずっと聞いてて思うのが、社会保障、今既に半分ぐらいは恐らく子孫の
キャッシュカードでいわば今の社会保障を回していると、これをいわば赤字を
少しでも止めるために今、消費税の御議論をされていると思うんですけれども、
我々から見ると、今度5%仮に法案が成立して上がったとしても、また次に増
税来るんじゃないかというふうに思うのが普通の多分感覚だと思うわけです。
多分、私があと 40 年、平均寿命に到達するまでには更に上がるんじゃないか、
そうしないと恐らく運営できないんじゃないかと思うのが率直なところだと思
うので、是非政府の信頼ということをお考えなのであれば、そういったところ
も正直にお示しいただくということがまず大事じゃないかというふうに思って
います。
それともう一つは、低所得者の話がいろいろ出ていましたけれども、ただ、
その所得が少なくても資産をお持ちの方というのは結構いらっしゃると思いま
す。そうしたときに、一体どこで線引きをするのが本当に公平なのかというこ
17
とを、是非これは所得という概念だけ、収入という概念だけではなくて、資産
まで含めた形で見ていかないと、なかなか公平性というのはちょっと保たれな
いのじゃないかと。
それから最後、これ3点目なんですけれども、税率を上げても経済が落ち込
んでしまったら税収が入ってこないわけですから、結局何にもならないと。当
然、経済政策というのもきちんとやっていかなければいけないと思うんですけ
れども、そのためにも魅力のある市場というか、これから伸びゆくであろう市
場に対して大胆に投資をしたり、いろんな新規の参入だとか企業経営がうまく
いくような仕組みというのが必要だと思います。そうしたときに、恐らくこの
社会保障という分野というのは、これから多くの方が高齢化社会を迎えていく
という意味では魅力的なそういうマーケットだとは思うんですけれども、残念
ながらこういった市場に限って規制だとかいろんなしがらみが多くて、なかな
か新しい産業だとか新しいアイデアが生まれてこないという意見も聞くわけで
す。こういったところもなかなか進まずに、今の制度のままでは税率をどんど
ん上げていっても、なかなか安心だとか、これは良くなったというふうに実感
できる制度にはならないと思うんで、是非そういったところにもきちんと対応
をしていただきたいというふうに思います。
以上です。
○司会
ありがとうございます。
それでは、後ろのお席の右から4番目の男性の方、お願いいたします。
○参加者
佐賀県の鳥栖市の方から来ましたHと申しますけれども、よろしく
お願いします。
2点ほどお伺いしたいんですが、大筋、税のこうした必要性とかまた今後の
我々の老後とか、もしくは若い将来の子どもたちの負担の問題等考えれば、私
たちの世代にこうした負担をしていくべきだという、そうしたことは大筋多く
の方は大体理解できるんではないかとは思うんですけれども、その相反する部
分として、やはり民主党政権になって、消費税は上げないんだというふうなこ
とが多くの国民の皆様にそうしたイメージというか、そうしたものが非常に根
強くあると思うわけですね。ですから、幾ら任期中ではないかもしれませんけ
れども、任期中に上げることを決めてしまうということが1つ何かしら割り切
れない、そうした思いに国民の方がなられるんではないかなと思うですけれど
も、その辺りが1点と、それとこの絵で言う支える方なんですけれども、やは
り若い方が高校、大学を出て就職がないとかいうことで、やはり率を上げると
いうこともですけれども、やはり納税できる人をしっかりとつくるというか、
子どもさんたちを大きく成長させて、きちんとした納税をできる能力のある人
を生み出す、そういう施策も大きな柱としていただかなければならないと思い
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ますけれども、そうしたことについて2点ほど質問をさせていただきたいと思
います。
○司会
ありがとうございました。
では、もう一方御意見をいただいてからお話しいただきます。
○参加者
佐賀市に住んでいますIと申しますけれども、先ほどEさんの方か
らも話があったんですけれども、やっぱり今、国に対する信頼という点に関す
ると、非常に私は損なわれているというふうに感じております。その理由は、
消費税を上げるというその必要性というものに関しては、私はある程度のコン
センサスは得ることはできるだろうと思うんです。ただ、いわゆる民主党政権
に代わったときの期待というものが全く裏切られたという思いがあるわけです
ね。例えば、先ほどから教育、子育てに関する新システムの話もありましたけ
れど、この問題もそもそも国民側から言えば、何で幼稚園は文科省で保育園は
厚労省なんだと、なぜ縦割りで2つの行政に分かれているんだという素朴な疑
問があったわけです。そういったところを一元化していこうという話だったけ
れども、新システムにおいては、ここに内閣府まで入って、結局3元、3つの
所管の権限になるのではないかと。要は、今、私たち国民が思っているのは、
国民は自分たちのために痛みを享受しようという思いにあるのに、国は自分た
ちの権限を手放そうとしていない。例えば、補助金をやめて一括交付金に変え
ますと、社会資本整備交付金等に変えるということだったけれども、これらも
ふたをあけてみると、交付金と言いながら、限られた決められたメニューの中
から選ばなきゃいけない。なおかつ国に提出する書類は膨大に増えたと。これ
は結局国の言うとおりにしなきゃいけない。その国の仕事というものを決して
手放そうとしていない。ここのところが非常に不信と言いますか、そういう不
満といったものが地方、現場に実質暮らしている者としてあります。そこのと
ころについての見解をお尋ねしたいと思います。
○司会
ありがとうございます。
では、ここで副大臣の方からお答えをお願いいたします。
○藤田財務副大臣
いろいろ建設的な肝の質問をたくさんいただきまして、あ
りがとうございます。
まず、Fさんの滞納の件ですけれども、私もこれ調べたんですが、滞納は、
かなり1年目、2年目、3年目と言って、かなり1年目は必ずしも価格転嫁が
できてないけれども、2年目、3年目という形で補っていって、そしてその滞
納を、業種によってはちょっとシステムが複雑な面もありますので、それで納
めていただくことによってかなり滞納率は良くなっていると思っている。それ
は後でちょっと数字を示していただきたいと思います。
2番目は、価格転嫁の部分が非常に重要だろうと思っておりまして、今まで
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も2回消費税を上げたときに、駆け込み需要があって、その後またガクッと落
ちたと。ですから、それをできるだけ分散化するということと、それからもう
1つは、いわゆる大手企業から下請企業に対する圧力とか、そういう部分をで
きるだけ避けるようなさまざまな法整備を含めてやっていこうということと、
そしてその何といっても、これだけ消費税をこれから上げることになりますの
で、皆さん是非協力をお願いします、こういう形での消費税になりますという
ことを、できるだけ今まで以上に、今までの、言葉は悪いですが、お役所的な
あれじゃなくて、相当一般の皆さんにとってもわかるようなことを表示してい
くというようなことも含めて、これは財務省とかあるいは厚労省とか経産省だ
けではなくて政府全体で取り組もうということで、その価格転嫁に関する対策
本部をつくりまして、今準備を始めて、今度はそういうことで価格転嫁ができ
ないというような、特に商店とか中小企業の皆さんが困らないような万全の対
策をとろうということで、既に本部を立ち上げて今準備を進めております。
それから、要するに子ども、子孫にキャッシュカードで負担を与えるのでは
ないかというお話がございましたけれども、この部分がやはり今回のいわゆる
社会保障の3経費と言われております介護、年金、それから医療に加えて子育
て支援を充実させようと思っている最大の理由でございます。よくその子ども
手当と言われたときに、その負担を将来世代にという議論ばかりされましたが、
私はそうではなくて、子育て支援というのは、負担ではなくて納税者人口と生
産年齢人口を増やすことなんですということを申し上げていたんですけれども、
仮に民主党が最初に言っておりました月1万 3,000 円にいたしましても、これ
0歳から 15 歳でありますと、大体四百数十万円の投資をすることによって、そ
のお子さんが成人になってからは、納税者であり生産年齢人口になるんですね。
これが先ほどHさんがおっしゃった納税者を増やすということにつながる。で
すから、その子育て支援というのは、先ほどのフランスの例もありましたよう
に、いわゆる胴上げ型、それから騎馬戦型、肩車型の下の分母の部分を増やす
ということが子育て支援につながるわけですから、やはり若いお父さん、お母
さん方に聞いてみますと、経済的な理由というのが非常に大きいという話を伺
っておりますので、できるだけその納税者人口、生産年齢人口を増やすという
意味においての子育て支援というものは、将来に対する負担というよりも、や
はりこれは必要な投資でございますから、そんな意味での子育て支援というも
のを充実させることによって、その子どもに対する将来のつけ回しという以上
に、その投資というような形での子育て支援というものをやっていきたいとい
うふうに思っております。
それから、低所得者の皆さんに対する対策につきましては、先ほど年金、医
療、介護、それぞれについて申し上げましたけれども、その資産という部分に
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ついては、いろいろな意味で反映させるような税制面での対応というものを更
に充実をしなければいけないと思っておりますけれども、例えば、逆に言いま
すと、お年寄り、おじいさん方が持っている資産を、例えばお子さん方が住宅
を取得する場合に、それを生かしてお子さん方が住宅を取得しやすいような今
の税制の措置ですとか、それからいわゆる相続税に関する部分についても、で
きるだけ公平性を持たせた税制に変えようというような今度の税制の中にもそ
のメニューが入っているというふうに思っております。
それから、3つ目の、これはGさんに対するお答えの3つ目でございますけ
れども、魅力あるマーケットをつくって、参入しやすいような規制改革等を進
めながら進めるべきではないかと、まさに今回も成長戦略ということと、それ
から国際戦略特区というようなことも幾つか指定をしておりまして、九州の北
部も福岡県を中心に多分佐賀県等も関係するのかもしれませんけれども、国際
戦略特区というものの指定をいたしました。これは、今まで特区というと、い
わゆる規制をなくして、その参入してくるだけというイメージが強かったと思
いますけれども、加えてそれ以上にやっぱり日本再生につながるような、つま
り生産力を高めるような、裾野の広い戦略性を持ったところを戦略特区という
形で指定しておりますので、全国で7つぐらい今回特区を決めたと思いますけ
れども、その際に環境とか医療とか、そういう部分で特化をし、そしてその先
端技術を生かしたような形での魅力ある特区にしていただきたいということで
認定をしておりまして、佐賀県も福岡県等と九州北部全体としてそういう部分
が、それからアジアに対する比較優位もあると思いますので、そういうところ
で民間のいろいろな知恵とか技術を生かしたような形での魅力ある市場づくり
といったものを更にやっていきたいというふうに思っております。
それから、Hさんの方で、民主党政権ができたときに、その4年以内には消
費税を上げないと言ったけれども、今回の場合には、実際に上がるのは 2014 年
の 4 月だから、その選挙が終わった後だけれども、任期中に決めることについ
ては割り切れないというお話がございました。確かに公約をしたことに関しま
しては、次の選挙、来年の夏までに衆議院選挙があるわけですから、その再来
年の4月というのは、実際にスタートするのは選挙が終わった後だけれども、
選挙が終わる前に決めるのはどうかという話ですけれども、確かにそういう面
では正確には任期が終わった後だけれども、やっぱり説明をしてからその政策
転換の部分については説明がもっと必要かと思っておりますけれども、もう1
つの要因は、さっきおりました大串さんと私は毎月、例えば、日本銀行の政策
決定会合にも出たりしておりますし、それからいろいろ財務省で金融関係も対
応しておりますけれども、やはりもう1つ社会保障と別の意味で、今回消費税
というものの必要性が出てきた1つの理由は、昨年の夏以来のギリシャに端を
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発する、やはりヨーロッパの経済危機というものがあると思っています。これ
は単にギリシャという国が怠け者であったとか、その政策が間違っていたとか
いうギリシャだけの問題じゃありませんで、やはり国際的な金融の動きという
ことと、それぞれの国においてやはり財政が悪化したならば、実体経済がおか
しくなってしまう。実際に、ギリシャもポルトガルもスペインもイタリアもそ
うですけれども、例えば、年金の給付額を下げたりとか消費税(付加価値税)
を上げたりとか、そういう形で改革をしなければいけないというところに追い
込まれているんですけれども、ヨーロッパで起きている金融危機がアメリカに
対してそれが伝播をし、それから日本のいろいろな金融機関もそれを保証した
りしているものですから、実はシステム的にかなり日米欧が一緒に連携してい
る部分がありますことと、財政の問題と金融の問題と実体経済の問題が実はリ
ンクしておりますので、そういう意味からもやっぱりスピードを早めることに
よって、セーフティーネットを準備しなければいけないという面が、正式には
任期が終わった後導入するけれども、今の段階でそういったことを決めること
が国際的にもやっぱり信頼を得て、そしてその日本の経済財政、金融制度を含
めました安定につながるという面がやっぱり去年からの流れでいうと1つの大
きな要因として加わったのではないかというふうに思っております。
それから、Iさんの方で、文科省と厚労省の縦割りの御質問がございまして、
全くそのとおりでございまして、もっと更にこの詰めなければいけないと思っ
ておりますけれども、少なくとも今回の幼稚園とそれから保育所の部分につい
ては、かなり文科省と厚労省の壁を横串を入れて、それを調整するために内閣
府もかかわるということでございますので、要するに壁を取り崩す部分はかな
り時間がかかりましたけれども、そこまでは来たと思っています。それを本当
に現場のお子さんを育てていらっしゃる皆さんにとっていいような形での仕組
みをこの数年間でつくっていく、とにかく壁を取っ払ったということが多分新
しい政権になったのでできたのではないかというふうに思っております。
例えば、こういうことがあるんですけれども、公共建築物というのは、3年
前までは木造はできなかったんですね。それは戦後の仕組みで、公共建築物は
基本的に木材は使ってはいけないという仕組みになっていたんですけれども、
それを厚労省と文科省と国交省と農水省の政務三役で決めて、今、実は木造で
公共建築物を作れるようにしたと、その大変な壁があったんですけれども、実
は結構民主党政権になってから、壁を越えて省庁横断的に実現をしてきたこと
がたくさんございまして、その1つが俗に言う幼保一元化と言っておりました
この政策の流れにつながってきたんではないかというふうに思っています。
それから、補助金から交付金になったと言いながら、そのメニューの縛りが
あって、手続が煩雑なので、実際使い勝手が悪いという話は、これはやっぱり
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相当更に詰めていかなきゃいけないと思っています。実は、昨年の東日本大震
災で復興庁ができて、そうしてかなり実際には地域で自由に使えると言いなが
らメニューが決まっているので使い勝手が悪いんだという話がありまして、そ
れからちょっと一部誤解がありましたけれども、復興庁で決めたメニューがか
なり地元の県が出したものが採用されなかったと、
「査定庁じゃないか」という
ふうに復興庁が言われたという話がありましたけれども、それはちょっと一部
誤解があったんですけれども、やっぱり本当の意味で地元が使えるようなお金
の使い方というものは、これは財務省はよく言われることでございますけれど
も、もっと本当に地域が使いやすいような、それから手続が煩雑過ぎて東日本
大震災の場合も、そうじゃなくても役所の方が少なくなっている中で、書類だ
けでも大変なことになってしまうというようなことがないような仕組みを霞が
関全体で変えていかなければいけないというふうに思っております。
とりあえずお答えしたつもりでございますが、抜けていた部分がありました
らば、御指摘をいただきたいと思いますが。
○司会
ありがとうございます。
○中村財務省主税局調査課長
御質問いただきました消費税の滞納のところで
すけれども、消費税の滞納額がほかの税目に比べて多いということは、御指摘
のとおりなんですけれども、実は消費税と言いますのは、副大臣からもお話が
ありましたとおり、翌年度までに 99%以上、21 年度の数字で申しますと、99.4%
が翌年度までにきちんと納付されております。確かに滞納額というのは非常に
多かったということで、積み重なりも多かったんじゃないかということもある
のでございますけれども、例えば、平成 22 年度の数字で言いますと、消費税の
22 年度中に発生した新たな滞納の額というのは、3,400 億円ほどです。これは
ピークだった平成 10 年の 47%ぐらいまで減っております。それから、この滞納
の額がどんどんストックになってたまってきているという分も、ずっと 11 年ぐ
らい連続で減ってきています。現在はピーク時の、これは平成 11 年度がピーク
だったんですけれども、ピークの 7 割弱ぐらいまで減っています。金額で言い
ますと、4,250 億円ぐらいになっていまして、国税庁も一生懸命努力をして、あ
と皆様方にも御理解をいただいて支払っていただいているということだと思い
ます。
あと1点だけよろしゅうございますか。先ほどGさんからでしょうか、低所
得者ということについて資産もきちんと考えるべきでないかと、誠におっしゃ
るとおりでございまして、確かに生活保護の受給については、自治体の方で資
産があるかどうかということも調べた上で給付をするかどうかを決定されてい
るというふうに聞いております。実はこの給付付き税額控除とか総合合算制度
というものが、ここにありますとおり番号制度が入るということを前提として
23
となっているところがポイントでございます。実際、社会保障の給付でありま
すとか税についてしっかり個々の方々の所得でありますとか資産でありますと
かの状況に応じた形できめ細かな対応をしていくというために、このまさにマ
イナンバーというものがあるわけでございます。諸外国でもそうしたことを考
えながら低所得者対策というのを講じているところがございますので、そうい
った例も踏まえながら、これから考えていくことになると思います。
○藤田財務副大臣
ちょっと補足ですけれども、今の生活保護制度については、
相当チェックを厳しくしなければいけないと思っております。一応日本でも、
最初に一旦その生活保護の認定を受けますと、ずっと生活保護者でいらっしゃ
るんですね。それから、実は生活保護の2世の方もいらっしゃる。あるいは3
世も最近いらっしゃる。つまり、その生活保護者として生活をされたお子さん
がまた生活保護者として生活をされる。そして生活保護者の方の、例えば、医
療は免除になっているという、その部分の相当の実は支出が多い。それで、こ
れはいろんな国によるのですけれども、生活保護者の方があるときから実は収
入が増えたケースがございまして、資産ばかりじゃなくて、その場合には、運
転免許証の場合には免許更新ってありますね、その数年ごとに、もう1回試験
を受けてじゃありませんけれども、その生活保護者の方の資格を審査をしなが
ら、やっぱり見直しをしていくというような仕組みが他の国にはかなり実態的
にありますので、それもやはり充実をしなければいけない。その部分の支出が
実は相当ございますし、それからもう1つは、似たような例ですけれども、数
年前に日本でかなり高齢の方が、実はもうお亡くなりになっていたけれども、
家族であったり別の方が受け取っていたというケースがありまして、これも大
きな無駄遣いでございますので、これもかなり他の国では、要するに生存確認
という仕組みがございまして、藤田さんは実は生きていらっしゃって、今まで
これだけ例えば、年金を納めていたので、あなたはこれだけもらうことができ
ますという中で確認をしていくという部分が、若干日本の場合にあいまいな、
あるいは弱い面がありましたから、実際に生存確認をし、あなたは今までどれ
だけ納めてこられて、そして実態の資産も含めた収入がこうでございますので、
これだけあなたは受け取る権利がございますという部分を、やっぱり相当整理
をしていく。それがこのマイナンバー制でもございますし、それから先ほどの
幼稚園と保育所の関係のいろんな役所間の縦割りについては、これはいろいろ
議論がありますけれども、その「歳入庁を設けろ」という議論が今いろんな政
党から出てきておりますけれども、そのいわゆる税を納める部分と年金を納め
る部分を一緒にして、特に年金の部分は実はなかなかずさんだったということ
が出ておりますし、その部分を一緒にして皆さん方がトータルな国民負担とい
うものをどれだけ納められて、それに対してどういうメニューで国側の方がお
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返しをするかという部分を整理して、できるだけ無駄をなくすべきじゃないか
という議論がありますけれども、それもそういうような流れでございます。
○司会
ありがとうございます。
残りのお時間も少なくなってまいりましたので、御意見、あとお二人ほどお
伺いさせていただきます。では、後ろの列の方からよろしいですか。では、J
さんでしょうか、お願いします。
○参加者
佐賀市在住のJと申します。消費税についてもうちょっと具体的に
お話を伺いたいと思いまして、給付などをする場合に関しましても、具体的に
税収としてどれぐらい増えるかというのを見込みがあってから給付とかの額と
かも決まっていくと思うんですけれども、今消費税というのは、大体1%が 2.6
兆円ぐらいだと思うんですけれども、これが例えば、8%になったときに1%
当たりの額がどれぐらいになるのか、10%になったときに1%当たりの額がど
れぐらいになるのかというのは、消費税が増えたときは消費というのが基本的
に冷え込みますので多少増減はしてくると思うんですけれども、その辺りはど
ういう試算になって8%や 10%というふうな数字になって出てきているのかと
いうことをお教えいただければと思います。
○司会
ありがとうございます。Jさんに御質問いただきました。
それでは、もう一方、Kさんにお願いいたします。
○参加者
神埼市在住の 51 歳、Kと言います。よろしくお願いします。私は、
地元の地方公共団体で公務員をしていて、今、子育て関係の部署におります。
子育て関係の団体の方だとか市町村の方とかもよくお話を聞く機会があるんで
すけれども、そういった中でちょっと疑問に思った制度の中で、ちょっと3点
御質問したいと思います。要望も兼ねてなんですけれども。
1つは、教育費の充実を是非お願いできないかということです。社会保障と
いうことなので、そこが教育費のところは入っていないのかもしれませんけれ
ども、やはり少子化、子どもを産み育てるという中では、やはり教育費の充実
が必要だと。教育費にやっぱりお金がかかるという負担感を持って、なかなか
子どもを産むことができないようなこともアンケート調査では結果として出て
いるということもありますので、お願いしたい。具体的には、例えば、小中学
校は義務教育ということでいいんですけれども、高等学校、ここはほとんどの
方が9割以上が行っているんですが、やはり今、公立の方は無償化になってい
ます。ただ、私学の方は、同額は行っていますけれども授業料はかかるという
ことで、そういった公立と私学の格差が出ているという、そういったところも
どうにか是正ができないかという要望でございます。
もう1点は、保育所の関係の整備のことで、これまでは国の方に保育所整備
をする場合に補助金の請求なんかをしてやったわけですけれども、それが緊急
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経済対策で安心こども基金という形で県の方に下りて、スピーディーな形でお
金の増額もあって、今、急速に保育所の整備が進んでいます。それは非常にあ
りがたいと思っておりますが、これが緊急経済対策で行われたということもあ
って、もともと平成 22 年度までの期限措置でございました。それが、地元の要
望だとか保育所関係者の要望によりまして、平成 23 年度まで延びて、また更に
今年度、24 年度まで延びてきているんですけれども、そういったことでなかな
かその先の見通しが立たないということを保育関係者が言われておりますんで、
是非この新しい今度「子ども・子育て新システム」、これが平成 27 年度ぐらい
から始まると思いますけれども、それまでのつなぎとして是非その制度をきち
っと構えていただければと思うのが2点目です。
3点目ですけれども、これは所得税の関係で、保育所の保育料というのは、
それぞれの所得に応じて決まるのですけれども、そこが先ほど副大臣もおっし
ゃったフランスの例えば、未婚の母ということで、未婚でも未婚でないという
ことでも同列に扱われるというお話ありましたけれども、税制の寡婦控除のこ
とで未婚の母の方が寡婦控除を受けられないという制度的な欠点があると思い
ます。未婚、既婚にかかわらずやはり寡婦控除を受けられるような税制改正を
お願いできれば、保育所の保育料の負担もそういった方々には提言できるよう
になりますので、是非お願いをしたいと思っています。
以上です。
○司会
ありがとうございました。以上、お二人の方に御質問をいただきまし
た。
○藤田財務副大臣
じゃあ、Jさんの件は、数字のことでもございますので、
中村課長の方でお願いしたいと思いますが、今のKさんの1番目と2番目の要
望についてでございますけれども、実は、やっぱり一昨年までは、先ほど申し
ました医療費が毎年 2,200 億円ずつ減らされてきたことと、実は教育予算もか
なり減ってきておりました。それをこの2年間特に私学助成を含めてそれなり
にやってきたということの2つの事例だろうと思っておりますけれども、それ
で高校の授業料無償化、これも決めたのも大変でしたけれども、やはり 15 歳ま
では、いわゆる子どもあるいは児童手当が対象で、今度 15 歳以上でほとんど9
割の方、そしてかなり大学進学もされるということですから、次がやっぱり高
校だろうと思って、従って、特にその高校の部分のやっぱり教育費って高いん
ですよね。ですから、生まれてから 15 歳までと、それから更にその後の高校ま
でをシームレスにということで、高校授業料無償化をし、私学の部分も、まだ
そういう十分じゃない部分がありますので、これは実は私学を支援する議員連
盟がたくさんございまして、これは超党派でやっておりますけれども、これを
更に充実をさせるということだろうと思っております。
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それから、確かに新しいシステムに移行するまでのその安心こども基金が緊
急経済対策ということは、そのいわゆる制度的に補助金を出すという部分が難
しいので、とりあえずつないでいるわけですけれども、やはり少し、これも財
源の問題もあるかもしれませんけれども、やっぱり子育て支援ということが非
常に国の重要な政策であるということからかんがみますと、その保育所、幼稚
園の時代の、つまり小学校に入るまでの充実というものが一番やっぱり先ほど
の未婚のお父さん、あるいはお母さんから生まれていらっしゃるお子さんにと
っても重要な時期というふうに考えておりますので、それは更に充実をするよ
うなことに努力をしてまいりたいというふうに思っております。
それから、所得税のこの未婚のお母さんの寡婦控除についても、こういった
先ほど申しました制度設計の部分で、ヨーロッパなんかに比べて、その未婚の
方のお子さんの部分に対する制度的な論点がその寡婦控除以外にもかなりある
と聞いておりますので、その辺を是非充実させていきたいと思っています。
私は数年前にアメリカのハネウェルという非常に世界的な超一流企業に参り
ましたけれども、その本社に託児所とそれからシングルマザーの方の中学校が
一緒にありました。そこは、要するにお子さんがいるので普通の中学に通えな
いシングルマザーの方のお母さん用の中学校と、それからそのお子さんのため
の託児所と同じ場所がそのハネウェルの本社にありました。本社ということは、
市のど真ん中であります。そうやって子育て支援をしながら、そのシングルマ
ザーの方のお母さんの教育も企業が実は支援をしているというところに行きま
して、大変感銘を受けたことがございますけれども、やはり日本においてもそ
ういう民間もそうですし、制度的に社会全体でそういうお母さん方、あるいは
お父さん方がお子さんを社会全体として支援をしていく仕組みが重要だろうと
思っておりますので、また制度的に十分でない部分をちょっとチェックしなが
らやっていきたいと思っております。
それで、Jさんの部分と、もし今の3番目の未婚の方の寡婦控除についても
し中村さんお答えがあれば、答えていただきたいと思います。
○中村財務省主税局調査課長
皆さんにお配りしている資料の中に、
「明日の安
心」というこのパンフレットがあると思いますので、その 10 ページをお開けい
ただけますでしょうか。この5%の引上げ書いてありますけれども、これ全体
で 2014 年、それから 2015 年に段階的に引き上げますが、5%引き上がった後、
2015 年度の段階では、この 2.7 兆円とそれから 10.8 兆円を足していただくと、
13.5 兆円、つまり1%分は大体 2.7 兆円ぐらいに当たると考えています。今は、
先ほど御指摘ありましたように、大体 2.6 兆円ぐらいですから、経済が内閣府
の見通しですと、実質で言いますと、これから平均で1%ぐらいの成長率が見
込まれるだろうということを考慮しますと、大体1%当たり 2.7 兆円ぐらいに
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なると見込まれています。
それから、寡婦控除の件ですけれども、手元に資料がないのであれなんです
けれども、多分、控除については、恐らく御指摘のとおりになっているんだと
思います。実は私も去年の7月まで自治体の職員で3年間おりましたので、そ
ういった話はあると思いますけれども、恐らくその保育料の話は、各自治体で
お決めいただくということもできると思うんです。そのときにどういう決め方
をされるかということをまた御検討いただくということも1つなのかなと。恐
らく住民税非課税世帯とかそういったところを使っていらっしゃるので、税と
連動してしまっているというところがちょっとあるんだと思いますけれども、
税の問題は税の問題で考えなければいけないところはあるかもしれませんけれ
ども、また保育料のそのところは各自治体で考えていただくという面もあるか
なと思います。
○司会
ありがとうございました。まだまだ皆様方から御意見をちょうだいし
たいところではありますけれども、そろそろお時間となってしまいました。少
子高齢化や貧困、格差の拡大などさまざまな課題に直面しております日本の社
会保障制度、今、私たちが抱えております「今日の心配」を「明日の安心」へ
と変えていくために、今日は皆様方から貴重な御意見をたくさんいただきまし
た。本当にありがとうございました。皆様からいただきました貴重な御意見は、
政府の今後の政策運営や社会保障と税の一体改革についての広報活動の参考と
させていただきます。
それでは、いよいよ最後となりましたけれども、藤田副大臣の方から一言ご
あいさつをいただきまして、締めさせていただきます。
○藤田財務副大臣
今日は本当に私どもが一番取り組まなければいけない具体
的な点を質問という形で寄せていただきまして、本当にありがとうございまし
た。大変勉強になりました。実は、一番この社会保障と税について詳しい国会
議員が先ほどおりました大串さんでございます。彼は一番中心になってまとめ
ておりましたので、彼が一番詳しい国会議員でございます。
それから、先ほど規制緩和を含めた魅力ある地域づくりという話がございま
したが、この間、日本銀行が物価目標として1%、そして 10 兆円の金融緩和と
いうことを2月 14 日に決めまして、私もその場におりましたけれども、それか
ら非常に株が上がって、そして円安になってきましたけれども、やっぱり日本
銀行とも一緒に連携しながら、新成長戦略、とにかく経済を良くするというこ
とが重要ですから、それを進めてまいりたいと思います。川崎稔さんは日本銀
行におりましたけれども、私の仲間ですけれども、その関係に詳しいわけで、
それから、先ほどのいろんな地方の問題なんかは、これは総務省の関係が非常
に強いんですが、原口一博さんが随分それは壁を崩してくださいましたので、
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そういったことも含めながらこれからやってまいりたいというふうに思ってお
ります。
それで、多分皆さん方も1問、1回ずつしか質問されなかったので消化不良
の方もいらっしゃいましたならば、後で名刺交換をさせていただいて、必要な
ことはまた資料をお送りするなりして、対話というのは1回切りでは申し訳な
いと思っておりますので、対話は続けなければ意味がないと思っておりますの
で、今後も対話をいろんな形で続けさせていただきたいと思いますので、今日
言いづらかったことも含めてございましたならば、また質問なり御意見として
寄せていただきたいというふうに思っております。
改めまして、非常に貴重な御意見をいただきましたことに御礼を申し上げま
して、私からごあいさつとさせていただきます。本当に御参加いただきまして、
ありがとうございました(拍手)。
○司会
ありがとうございました。
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