たつの市中央学校給食センター 整備計画

たつの市学校給食基本構想
(仮称)たつの市中央学校給食センター
整備計画
平成26年6月
たつの市教育委員会
―
1
はじめに
目
次
―
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2 建設の必要性の把握
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1)中学校給食の現状と課題
① 現状
② 課題
(2)既存施設の課題
① 現状
② 課題
2
3 施設整備の基本理念と整備方針
・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
(1)基本理念
(2)施設整備の方針
① 安全・安心な学校給食「衛生管理の徹底、作業効率、作業環境の快適化」
② 多様な献立(栄養のバランス)に配慮
③ 食物アレルギーへの対応(除去食、代替食)
④ 地産地消の推進、地域と連携
⑤ 食育の推進
⑥ コスト縮減の追及
⑦ 環境負荷の低減、エネルギーの地産地消(節減)
(3)関係法令、基準等
4 建設予定地の条件整理
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1)施設の立地に関する考え方
(2)建設予定地に係る課題と対応
6
5 施設規模と施設計画の検討
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1)給食施設規模の設定
(2)給食の実施内容の検討
(3)施設計画の検討
① 省エネルギー・省資源に関する事項
② 周辺環境への配慮に関する事項
③ 防災・防犯に関する事項
④ 利便性に関する事項
⑤ 本体施設のゾーニング及び配置計画に関する事項
⑥ 本体施設の空間構成に関する事項
⑦ 各室の出入口に関する事項
⑧ 仕上げに関する事項
⑨ 外構計画に関する事項
⑩ 調理設備の配置等に関する事項
7
⑪ 調理設備に関する事項
⑫ 建築設備に関する事項
6 配送回収計画の検討
(1)配送計画
(2)配送手法
7 事業方式の検討
(1)公設方式
(2)PFI方式
8
概算事業費の算出
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
13
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
13
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
13
9 管理・運営の基本的な考え方
(1)外部委託の検討
(2)食育の推進
(3)学校給食事務の効率化
・・・・・・・・・・・・・・・・・
14
1
はじめに
近年、食の重要性が見直される中、「国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊か
な人間性をはぐくむ」(食育基本法第1条)ことを目的として、平成17年6月に食育
基本法が制定され、平成18年3月に同法に基づき内閣府が食育推進基本計画を策定、
平成23年3月には第2次食育推進基本計画を策定し、食育に関する施策を総合的かつ
計画的に推進するため、国をあげて「食育」に対する取り組みが進められています。
さらには、学校給食法の改正に伴い、平成21年4月に文部科学省により新たな「学
校給食衛生管理基準」が示され、「食の安全・安心」に向けたなお一層の施設・設備等
の対応が必要となるなど、学校給食を取り巻く環境は大きく変化しています。
このような中、現在の市内小中学校の給食については、異なる給食方式(自校方式、
給食センター方式、選択制デリバリー給食、家庭弁当)が混在しており、学校給食の新
たな目的である「食育」の統一した指導ができない状況にあります。
また、現有の新宮学校給食センター、御津学校給食センターについては、いずれも建
設されてからすでに30年から40年が経過し、設備の老朽化が著しく、修繕・修理を繰り
返し調理能力を維持しているのが現状で、加えて衛生基準、作業効率など、抜本的な更
新の時期を迎えている状況です。したがって、たつの市制施行以降、安全・安心でおい
しい学校給食の提供を安定的に行うとともに、食育の推進と調理コストの適正化を図る
ため、「小学校給食は自校方式、中学校給食はセンター方式を採用する」ことを念頭に
検討を重ねてまいりました。
その結果、平成26年度に(仮称)中央学校給食センターの実施設計を行い、平成2
8年度中には稼働開始を目指し建設するものです。稼働開始当初は市内全中学校の給食
約2500食を担いつつ、前述の既存の2給食センターの老朽化に伴い、数年以内にそ
の機能を補完することが急務であり、最大約4000食の提供能力を持つ、新鋭の施設
を整備する必要に迫られています。
自校方式を採用している旧龍野市・旧揖保川町の小学校給食調理室についても同様で、
建物、調理機器、設備ともに老朽化が著しく、施設の対応年数が超過している給食室も
あり、「食の安全・安心」を進めるためには、設備の更新も喫緊の課題として取り組む
必要があります。
本来、食育を推進する観点(地産地消・調理風景の見学・出来立ての給食)からは、
自校方式を存続することが望ましいと考えられます。しかしながら、自校方式導入校に
おける新たな給食調理施設や設備の更新については、児童数・生徒数の減少、小規模校
の統廃合、さらに、幼保一元化に伴う、認定こども園の整備計画等を勘案しながら、長
期的視点に立ち検討を進めます。
以上により、本基本構想は、「安全・安心」な学校給食サービスを安定的に提供する
-1-
ために策定するものです。
2 建設の必要性の把握
(1)中学校給食の現状と課題
市内5中学校の学校給食の現状を把握し、課題を整理します。
① 現状
平成 26 年 5 月 1 日現在
中学校名
龍野東
龍野西
新宮
揖保川
御津
生徒数
666名
539名
402名
329名
300名
実施方式
選択制給食
選択制給食
センター方式
選択制給食
センター方式
実施率
12.0%
10.3%
100%
35.7%
100%
※実施率は平成 25 年度実績
※播磨高原東中学校については、新宮学校給食センターから提供を実施しているが、たつの
市、上郡町、佐用町による組合立中学校であるため除く。
※選択制給食:デリバリー給食または家庭弁当
※センター方式:共同調理場方式
② 課題
本市の中学校給食は、選択制デリバリー給食、小学校との共同調理場方式によ
る全員給食が混在しています。このことは公費負担の公平性の面で差異があるこ
とから早期に解消する必要があります。
また、選択制給食については、統一した食育指導ができずに学校給食の新たな
目的である食育の役割を果たすことが困難な状況となっていることに加え、提供
率が著しく低下している中で本来の目的である栄養バランスを考慮した安全安
心な給食を提供するという役割を果たせない状況にあります。
(2)既存施設の現状と課題
現在、一部中学校へ提供している既設給食センターの現状を整理し、課題を抽出
します。
① 現状
平成 26 年 5 月 1 日現在
施設名称
新宮学校給食センター
御津学校給食センター
施設所在地
たつの市新宮町新宮 437
たつの市御津町釜屋 331-7
敷地面積
1,538 ㎡
1,476,6 ㎡
延床面積
555.05 ㎡
729 ㎡
建築年月
昭和 48 年 11 月(築後 40 年) 昭和 54 年 2 月(築 35 年)
最大提供食数
1,500 食
1,050 食
現状提供食数
1,491 食
942 食
提供対象校
小学校 6 校(西栗栖、東栗栖
小学校 2 校(御津、室津)
香島、新宮、越部、播磨高原東)
中学校 1 校(御津)
中学校 2 校(新宮、播磨高原東)
幼稚園 2 園(御津、室津)
幼稚園 1 園(東栗栖)
配送車両
3台(1台は委託調理分)
2台
運営方式
ウエット方式※1
ウエット方式
調理の方式
直営調理
直営調理
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※1 床に水を流し、清掃を実施するなど水を流すことに制限を行わない方法。
ウエット方式に対するものとして、ドライ方式がある。これは、調理場の床を乾い
た状態に保ち使用することで、跳ね水による二次汚染を防ぐとともに、調理場内の
湿度を低く保ち、
細菌や衛生害虫の繁殖を抑え、
食中毒の発生を少なくする方法で、
現在の主流である。
② 課題
ア ウエット方式での運用
学校給食衛生管理の基準では、調理場の床はドライシステムが求められてい
ますが、現在の施設はいずれもウエット方式となっています。
ウエット方式の場合、床が濡れた状態のため高温多湿な状態となり、細菌、
衛生害虫、カビ等の発生しやすい環境となることから、なるべく床を濡らさ
ない方法での運用が必要です。
イ 汚染区域と非汚染区域の区分
学校給食衛生管理の基準では、調理場内の作業区分は汚染区域と非汚染区域
に物理的に区分するように求めています。しかし現在の施設では明確な区分が
し難く、職員の行き来が自由になっていることから、相互汚染の原因となるお
それがあります。
ウ 調理環境
新宮学校給食センター、御津学校給食センターとも空調設備が充分でないた
め、外気温の影響を大きく受け、また、揚げ物等の調理を行うことにより、夏
場は非常に温度が上がり、労働環境、衛生面にも影響が出ることが懸念されま
す。また、ウエット方式での運用であるため、長靴やビニール製のエプロンな
ど重い衣服での作業となり、職員に過大な負担がかかっています。
エ 調理設備の老朽化
新宮学校給食センター、御津学校給食センターにおいては、築後 30 年~40
年が経過しております。調理設備については、耐用年数が概ね 10 年~15 年で
あり、これまでも調理設備の更新を行いながら現在に至っておりますが、現セ
ンターは学校給食衛生管理基準を満たしておらず老朽化も進んでいるため、早
期・抜本的に施設を更新する必要があります。
3 施設整備の基本理念と整備方針
(1)基本理念
学校給食センターの施設整備にあたっては、学校給食法の改正や食育基本法の制
定、栄養教諭制度の創設等、学校教育における給食の役割が従来にも増して高まり
つつある中で、将来を担う児童生徒が、食事を通して、豊かな人間性をはぐくみ、
生きる力を身につけていくためにも、将来にわたって安全・安心で、魅力ある学校
給食づくりを視野に入れた、経済・効率性の高い施設整備、施設運営を行うことを
基本理念とします。
従って、新設の(仮称)中央学校給食センター施設整備にあたっては、以下の基
本方針に従って整備を進めることとします。
-3-
(2)施設整備の方針
① 安全・安心な学校給食「衛生管理の徹底、作業効率、作業環境の快適化」
ドライシステム及び汚染・非汚染区域の明確なゾーニングを導入します。「学
校給食衛生管理の基準」及び「大量調理施設衛生管理マニュアル」等に基づき、
衛生管理の徹底を図ります。
食材搬入から調理・配送までの食材・食器・調理員の流れに基づき諸室の動線
が一方通行確保となるようレイアウトします。
また、空調設備など作業する側にも最適な環境を確保します。
② 多様な献立(栄養のバランス)に配慮
メニューの多様化など、より豊かでおいしい給食を安定的に供給するため、焼
く・煮る・蒸す・揚げるなど、様々な調理方法に対応できる設備や作業の効率化
のための設備を充実させます。
③ 食物アレルギーへの対応(除去食、代替食)
アレルギー対応については、個々のアレルギーの症例も様々で、人的、経費的
な面のみならず、ケースごとに万全を期すことの困難さが指摘されるところです。
このため、保護者、学校との連携を図り、より安全性の高い食材の研究、導入に
努めるととともに、除去食・代替食についてできる限り対応に努めます。
④ 地産地消の推進、地域と連携
地産地消には、「産地(生産者)と食卓(児童・生徒)の交流」「旬と食文化の
理解」「食料自給率の確保」「地域の活性化」など「地場産品の消費活動」だけで
なく、さまざまな役割を担っています。
生産者・学校・保護者・地域・行政など幅広く連携を取りながら地産地消に取
り組みます。
⑤ 食育の推進
食育の観点から、児童生徒や市民が調理工程を見学できる見学施設など、開放
的な施設づくりを目指します。
また、施設整備に併せ、学校・家庭・地域の連携を深める総合的な食育推進を
目指します。
⑥ コスト縮減の追及
イニシャルコストだけでなくランニングコストを含めたライフサイクルコス
トの低減に取り組みます。
⑦ 環境負荷の低減、エネルギーの地産地消(節減)
新エネルギーの利用等、省エネルギー設備の導入を図るとともに、生ゴミの減
量化及び再資源化への対応、臭気対策など環境負荷の低減に取り組みます。
-4-
(3)関係法令・基準等
(仮称)中央学校給食センターの建設にあたって順守すべき法令・基準には、以下
のようなものが挙げられます。
[法令・施行令・施行規則]
・食品衛生法、同施行令及び施行規則
・兵庫県食の安全安心と食育に関する条例、同施行規則
・兵庫県食品衛生法基準条例
・食育基本法
・学校保健法
・学校給食法、同施行令及び施行規則
・建築基準法、同施行令及び施行規則
・都市計画法、同施行令及び施行規則
・河川法、同施行令及び施行規則
・高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の促進に関する法律、
同施行令及び施行規則
・消防法、同施行令及び施行規則
・下水道法、同施行令
・水道法、同施行令
・水質汚濁防止法、同施行令
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律、同施行令
・大気汚染防止法、同施行令
・騒音規制法、同施行令
・振動規制法、同施行令
・各種の建築関係資格法・業法・労働関係法及び関連施行令・施行規則
・その他の関係法規
[基準・要綱・要領等]
・学校給食衛生管理基準(文部科学省)
・大量調理施設衛生衛生管理マニュアル(厚生労働省)
・集団給食施設の衛生確保に関する要綱(厚生労働省)
・兵庫県食品衛生管理プログラム認定実施要領(兵庫県)
・建設工事安全施行技術指針
・建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事編)
・建設副産物適正処理推進要綱
・建設工事共通仕様書及び同標準図
・日本建築学会制定 標準仕様書
・機械設備工事共通仕様書及び同標準図
・電気設備工事共通仕様書及び同標準図
・その他の関連要綱・各種基準等
-5-
4 建設予定地の検討
(1)施設の立地に関する考え方
複数ある候補地の中から、①揖西町小畑 ②龍野町島田 ③揖保川町山津屋 の
3箇所について、下記のとおり比較検討を行い、「4000食規模の学校給食セン
ター整備に十分な面積・形状等を有すること」、
「調理後2時間以内の喫食を遵守す
るために最も効率的・確実に配送が可能となる場所であること」、
「換気扇等の騒音
や廃水処理施設、残渣処理、臭気対策等、近隣住民の生活環境への配慮」が選定に
あたっての重要な要件となることを踏まえ、①揖西町小畑地先 企業団地6号地を
建設予定地として決定しました。
(2)建設予定地に係る課題と対応
建設予定地については浄化槽区域であり、放流先の確保が最も懸案事項となりま
す。放流先の候補地である小犬丸川は天候による水量変化が激しく、降雨の少ない
状況が続けば施設から流れる大量の放流水が河川に与える影響が大きく晴天時に
悪臭が発生し臭う恐れもあります。
そこで、(仮称)中央学校給食センターの排水処理にあたり、公共下水道への区
域外流入により対応するものとしますが、単なる「汚水処理」にとどめるのではな
く、公共用水域の汚濁負荷の軽減や水質保全をといった環境面での優位性を考慮し
たうえで実施するものとします。
項
目
揖西町小畑地内
龍野町島田地内
揖保川町山津屋地内
敷
現状
企業団地内(宅地)
田
田
地
面積
約11,000㎡
約6,500㎡
約6,500㎡
条
用途地域
市街化区域(工業地域)
市街化調整区域
市街化調整区域
件
地目
宅地
田
田
建ぺい率
60%
―
―
容積率
200%
―
―
・用途地域上も工業地域で企業団地
・周りを田で囲まれ住宅もない。
・北側が住宅密集地であるため、近
周辺土地
内であること、住宅地から距離があ
・前面道路が約6.7~8.4mで
隣住民の生活環境に特段の配慮を要
との関係
るため地元からの理解が得られやす
あり、開発適地であるか県民局と協
する。
い。
議することが必要。
・前面道路は9m以上が確保されて
・前面道路が9m以上確保されてお
おり大型車の出入りがしやすい。
り大型車の出入りがしやすい。
土地の形状
造成されており、直ちに建設工事に
田であり、造成が必要。
田であり造成が必要。
・配送時間に問題なし。
・配送時間に問題はない
・前面道路の幅員も十分なことから、
配送時間・
・近隣に住宅地がないこと、前面道
・前面道路が狭く、歩道がない上に、 仕入れ・配送車両等の通行について
交通事情
路の幅員も十分なことから、仕入
すぐ西に踏切及び信号があるため、
も特に問題がないと考えられる。
れ・配送車両等の通行についても特
近隣住民の交通環境・安全確保に特
・国道2号線南に踏切があり、交通
に問題がないと考えられる。
段の配慮を要する。
状況により渋滞する恐れがあり、配
着工できる。
送時間が安定しない可能性がある。
インフラ
浄化槽区域
公共下水道区域
-6-
公共下水道区域
5 施設規模と施設計画の検討
(1)給食施設規模の設定
平成28年度に予想される生徒数、市内5中学校(生徒・教職員等計2,400
人(62クラス))、新宮学校給食センター(児童・教職員等計719人)、御津学
校給食センター(同572人)が給食施設規模の指標となります。
また、市内中学校の生徒の推移を推計すると、少子化の影響により今後も減少傾
向が続くと予想され、必要給食数はこの傾向に従い将来的に減少していくものと考
えられます。
たつの市全体の学校給食施設の設定は、将来の生徒数に加え、新宮学校給食セン
ター及び御津学校給食センターの機能集約や小規模小学校の給食方式の見直しな
どを含め、市の公共施設の更新計画を定める「公共建築物ストックマネジメント計
画」による長期的・一元的な計画の元で総合的に判断するものとして、新給食セン
ターでは約4,000食を提供できる規模で設定します。
・計画食数
当初調理提供数 2,500食/日
5校 62クラス
最大調理提供数 4,000食/日 13校123クラス
(2)給食の実施内容の検討
米飯給食は、伝統的な食生活の根幹である米飯に関する望ましい食習慣を子ども
に身に付けさせることや、地域の食文化を通じて郷土への関心を深めるなど「日本
食の良さ」を伝えるために原則として「完全米飯給食」を目指します。
① 学校給食を実施するにあたり、下記の観点を重視し対応します。
・栄養バランス
・安全で安心できる給食
・温かくおいしい給食
・地元食材を使った給食
② 給食の内容
・主食
・副食
・献立数
・アレルギー食
・使用食器等
米飯 原則週5回
牛乳、汁物
おかず2品(焼物、揚物、蒸し物、煮物、炒め物、和え物)
デザートを時々提供
1献立
約30食程度
PEN 樹脂食器
(3)施設計画の検討
施設計画については、全体的にHACCP(ハサップ)に基づいた計画とし、具
体的には次のとおりとします。
※HACCP:食品を製造する際に工程上の危害を起こす要因(ハザード:Hazard)を分
析しそれを最も効率よく管理できる部分(CCP:必須管理点)を連続的に管理して安
全を確保する管理方法。
-7-
① 省エネルギー省資源に関する事項
大量の食材や水を使用するなど、施設の特性を十分考慮し、施設整備段階から
維持管理・運営段階に至るまで、建物の熱負荷の抑制、設備システムの効率性、
自然エネルギーの利用、水資源の有効利用など、省エネルギー性に留意した設計
とし、効率的な運用ができるよう、設備機器の運転状況が一元的に管理できる設
計とします。
② 周辺環境への配慮に関する事項
敷地外周部等を適切に緑化するなど周辺環境保全に努め、排水処理施設等から
生じる臭気が周辺に拡散しないよう配慮し、設備機器作動時や配送作業時等に発
生する音や振動が周辺に影響を与えないよう配慮し、地域に調和した設計としま
す。
③ 防災・防犯に関する事項
各諸室から建物外までの安全な避難経路を確保するとともに、セキュリティ対
策を講じます。
④ 利便性に関する事項
ア 敷地へのアプローチは、食材納入時・配送時・回収時における車両の錯綜が
少なくなるよう配慮し、適切に配置します。
イ 施設へのアプローチは、玄関が来場時によくわかるよう、駐車場や駐輪場の
位置を配慮して計画するとともに、食材搬入車及び給食配送車がスムーズにプ
ラットホームに接車できるよう、回転や切り替えし等のスペースを考慮します。
ウ 人の動線については、外構部分について、車の動線とできるだけ交錯しない
よう配慮するとともに、施設内については、事務職員及び見学者等外来利用者
の動線と、調理員等の動線が分離されるよう配慮します。なお、調理員の動線
は、調理員及び事務員の利用特性を考慮し、それぞれ効率的に業務が行えるよ
う動線の短縮化を図ります。
エ 扉部分は開閉に伴う人の衝突を未然に防ぐよう配慮するとともに、ガラス部
分はガラスへの衝突防止及び衝突時の飛散防止に配慮します。
オ 空調設備等の操作各部については、確実な運転操作と運転状況確認が容易に
行えるよう配慮します。
カ バリアフリーについては、障害者対応の手すりを設けたり、多目的トイレや
イス式昇降機を設置するなど高齢者や障害者等に留意します。(身障者用駐車
スペースの確保、玄関ポーチへのスロープ設置等)
キ 室内環境については、各室の仕様用途、空間規模を考慮した環境計画としま
す。
⑤ 本体施設のゾーニング及び配置計画に関する事項
ア 施設の機能及び機能相互の関連、及び施設利用者の動線を十分考慮した配置
計画とし、食材の搬入から調理までの物の流れに基づき、各作業室への動線が
スムーズなレイアウトとします。
-8-
イ 作業区分は汚染区域と非汚染区域とを明確に区分し、食材の搬入、調理済み
の食品の配送及び食器・食缶の回収までの一連の作業工程・作業動線を考慮し
た設計とします。
ウ 各区域の境界には、隔壁、扉又は床面の識別表示等により交差汚染のないよ
う配慮した設計とします。
エ 廃棄物の搬出動線は、清浄区分の区域ごとに搬出可能とし、清浄度基準の低
い区域から高い区域への搬出ルートは避けるような設計とします。
オ 微生物等による汚染を極力避ける必要がある作業を行う区域は、他の区域か
ら隔壁等に区画されるよう配慮した設計とします。
カ 給食エリアへの出入口及び給食エリア内の諸空間の出入口は、冷蔵庫・冷凍
庫及び倉庫への出入口を除き、手を使わずに開閉できる設計とし、調理器具等
の搬出入が可能な大きさとします。
キ 調理員専用のトイレには、食品を扱う場所及び洗浄室から直接出入りできな
いよう配慮します。また、各個室には自動手洗いを設置するとともに、トイレ
には靴の履き替えを促すように床の色を変える等配慮します。
ク コンテナプールでは、食器・食缶・コンテナ類を消毒保管し、コンテナの消
毒保管、移動や積み込みに十分なスペースを確保します。
⑥ 本施設の空間構成に関する事項
各室は、その用途や備品・家具等の配置を考慮し、使い勝手のよい形状とし、
天井高を十分確保します。また、各室内の作業の流れや安全性に配慮し、床面は
段差のない構造とします。
⑦ 各室の出入口に関する事項
ア 出入口は、各室の機能・規模に応じ、備品、間仕切りユニット、設備機器等
が搬出入可能な寸法とします。
イ 廊下から各室への出入口は、開閉時に扉が廊下に突出しないものとし、開き
戸の扉は、レバーハンドルによる開閉とし、自閉装置付きとします。
ウ 各室の性能を満たすために必要な水密性、気密性を確保します。
エ 非汚染区域への出入口及び非汚染区域内の諸室間の出入口は、手を使わずに
開閉できるものとします。(ただし、冷蔵庫・冷凍庫及び倉庫への出入口は除
く。)
オ 配膳室は、外部からの異物混入を防ぐため、廊下等と明確に区分し、その出
入口には原則として施錠設備を設けます。
カ 搬出入を行うプラットホームには、シャッターを設置し、シャッターの鍵の
開閉が内外から可能なものとします。また、搬出入口にはドックシェルター等
を検討していきます。
⑧ 仕上げに関する事項
ア 床は不浸透性、耐摩耗性、耐薬品性で滑りにくく、清掃が容易に行える構造
とします。
イ 天井・内壁・扉は、耐水性材料を用い、隙間がなく平滑で清掃が容易に行え
-9-
る構造とします。
ウ 内壁の巾木等には、アール等を設け清掃及び洗浄が容易に行える構造とし、
塗装の剥離しにくいものとします。
エ 屋根や外壁は、劣化しにくい仕様とします。
⑨ 外構計画に関する事項
ア 配送・回収が円滑に行える位置に給食配送車の駐車スペースを確保します。
イ 駐車場は50台以上を確保します。
⑩ 調理設備の配置等に関する事項
ア 調理員が、一般区域、汚染区域、非汚染区域の各作業区域内のみで動くこと
を原則とし、他の作業区域を通ることなく、目的とする作業区域へ行くことが
できるレイアウトとします。
イ 一般区域から汚染区域及び非汚染区域への入口には、靴の履き替えスペース
や、手洗い・消毒等の洗浄設備を設けることとします。また、非汚染区域への
入口には、エアシャワーを設けることとします。
ウ 物の流れが非汚染区域から汚染区域に逆戻りしないよう、一歩通行のレイア
ウトとします。
エ 各作業区域の境界は、壁で区画し、食材や容器等がコンベア、カウンター等
で受け渡しされるレイアウトとします。
オ 「食肉・魚・卵等」と「野菜・果物等」は、相互に交差汚染しないよう、食
材の動線及び保管場所を区分します。
カ 生で食べる果物等を調理する作業区域と、病原菌が付着している食肉等を調
理する作業区域を区分します。
キ 包丁、まな板、ざる及び秤等の調理器具の使用を通じて交差汚染の危険があ
るため、調理器具を区別します。
ク 生ゴミ及び残渣が非汚染区域を経由せずに屋外へ搬出されるよう設計しま
す。
⑪ 調理設備に関する事項
ア 基本的な考え方
調理設備はドライシステムとし、HACCP(ハサップ)に対応した食材の
搬入から調理済み食品の配送までの安全衛生管理を徹底するために、以下の点
に留意し、調理設備の規格及び仕様を計画します。
(ア)温度と時間の管理及び記録
(イ)微生物の増殖防止(機器の構造及び材質)
(ウ)ほこり・ごみ溜りの防止(機器の構造)
(エ)鳥類・昆虫類・ねずみ等の哺乳類の進入防止(機器の構造及び気密性)
(オ)洗浄、清掃が簡単な構造
(カ)床面を濡らさない構造(汚れの飛散防止)
- 10 -
イ
献立調理
献立調理ラインは、一献立とします。また、調理後はできるだけ早期に喫食
できる体制のもとで、調理後2時間以内での喫食を前提とします。
ウ
炊飯等の実施
米飯はセンターでの炊飯とし、果物・デザート等は一旦センターで受け入れ
し食缶と一緒に配送します。
エ
アレルギーへの対応
アレルギー対応食の調理をおこなうための除去食等の提供が可能な調理機
能を備えたものとします。
⑫ 建築設備に関する事項
(共通)
ア 熱源は、地球環境、ランニングコスト、維持管理の容易性等を十分考慮し選
択します。
イ セキュリティ対策を考慮した機械警備に対応した設備とします。
ウ 給排水設備については、維持管理を考慮した設備設計とします。
(空調設備)
ア 空調システムは、エネルギー供給事情、立地条件を検討した上で、環境性、
安全性、健康性を配慮し、運用コストが安く更新工事に容易に対応できるもの
とする。
イ 空調系統は使用時間帯や温度条件に応じて系統分けを行います。
ウ 管理エリアは、取扱いや運転等が容易な個別空調システムとします。
エ 加熱系の調理室や食器食缶洗浄室のような高温高湿度の環境下では、調理員
の疲労度が増大し、作業への集中力や衛生意識が低下するため、調理室や食器
食缶洗浄室は作業員へ十分配慮した空調計画とします。
オ 和え物室は、腐敗の進みにくい温度まで下げる計画とします。
(換気設備)
ア 冷房、暖房を行う事務室系統の換気はエネルギーロスが少ない換気方式とし
ます。
イ 油分を多く含む排気系統には洗浄の容易なグリースフィルターを設けるこ
ととします。
ウ 調理室及び洗浄室に設置する換気設備は、結露対策を施した構造とするとと
もに、釜や揚げ物機等にはフードを下して、場内の温度・湿度の上昇をできる
だけ防ぐように配慮します。
エ 外気を取り込む換気口には、汚染された空気及び昆虫等の流入を防ぐためフ
ィルター等を備えたものとします。なお、フィルター等は、洗浄、交換及び取
付が容易に行える構造とします。
オ 給食エリアの外部に開放される個所にはエアカーテンを、非汚染区域への入
口にはエアシャワーを設けるものとします。
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(排煙設備)
排煙方式は、省エネ等を考慮した効率的な排煙方式とします。
(自動制御設備)
管理エリアの空調機器類は、各室で操作できると同時に事務室においても集中コ
ントロールが可能なシステムとします。また、給食エリアの空調機、換気設備に関
し、制御、設定等を事務室で一括して行うことが可能なシステムとします。
(衛生器具設備)
ア 大便器は洋式とします。ただし、施設見学者が利用するトイレ内の便器につ
いてはその内1器(男女各1)を和式とします。
イ 小便器は個別感知方式とします。
ウ 給食エリアの各室の必要な個所に、調理員の数に応じた流水式手洗い設備を
設置し、手を使わず操作できる蛇口を設けます。
エ 非汚染区域の入口に設ける手洗い設備には、温水が供給され、手を洗わず操
舵できる蛇口、手指の殺菌装置を設置し、肘まで洗浄できる大きさの洗面台を
設置します。
オ 見学者が使用する衛生器具は、高齢者・障がい者等が使いやすいものとしま
す。
(排水設備)
ア 給食エリア内の排水を場外に排出する配管はグリストラップを介して、廃水処
理施設に接続します。この場合、グリストラップは容易に点検、清掃が可能な構
造とし、よどんだ水や廃水処理施設からの逆流を防止できる構造とし、防臭蓋仕
様とします。
イ 汚染区域の排水が非汚染区域を通過しない構造とします。
ウ ねずみ及び昆虫等、そ族の侵入防止及びゴミの流出防止のための対策を施すこ
ととします。
(ごみ処理)
ア 残渣等の生ごみの減量・減容化等、環境に配慮した設備を設けるものとします。
イ 生ごみ処理を行う個所には臭気対策を施します。
(電気設備)
ア 食材を検収する検収室や調理に関する諸室において、作業台面で400ルクス
以上の照度を得ることができる照明設備とします。また、食品の色調が変わらな
いよう演色性に配慮した光源を採用するとともに、省エネルギーに対する取組と
してLED照明を採用し環境負荷の低減も図ります。
イ 給食エリアに設けるコンセントは漏電ブレーカーを設け、防水タイプとし、取
付位置を考慮し、湿気の多い場所での安全を図ります。
ウ プラットホームや外部の照明器具は虫を誘引しない低誘虫照明器具等を採用
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します。
6 配送・回収計画の検討
(1)配送計画
調理後2時間以内の喫食を前提として、対象校・クラス数・配送距離等により配
送校の組み合わせ、配送車の台数等を検討し効率的な配送計画を検討します。
(2)配送手法
配送手法として、食器・食缶を一緒に配送する1段階配送と食器と食缶を別々に
配送する2段階配送の2案を配送先に応じて採用します。
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事業方式の検討
学校給食センター整備の事業方式について、従来からの公設方式だけでなく民間資
金や経営ノウハウを活用したPFI方式等も含めて、これまで検討を行ってきたとこ
ろである。その要約は次のとおりである。
(1)公設方式
・設計・建設・維持管理・運営の各業務について個々に契約を締結。
・単年度に多額の予算が必要となる。
(2)PFI方式
・民間企業の企業体が新会社を設立し、設計から運営までの一括契約により実施
・財政支出の平準化、施設や運営の向上、コストダウン等が期待される一方で、
PFI法に基づく可能性調査や、入札要件書、事業契約書等の作成など業務負
担が多く、完成までに時間がかかる。
・契約締結時に想定していなかった事態が発生した場合には契約の変更が難しい。
(仮称)中央学校給食センターの建設に当たっては、異なる給食方式の中学校給食
を早期に是正することだけでなく、他の給食施設の更新や認定こども園への給食提供
等も含めた柔軟な対応など、長期的視点から対応することも考慮して検討した結果、
公設方式による建設が望ましいと考えられます。
8 概算事業費の算出
(仮称)中央学校給食センターの整備に係る経費は、本計画に示した事項を元に概算
額を示します。
なお、本計画においては、基本的な施設・整備の方針や概要を示したものであり、
ここで示す概算事業費は、他の類似施設等の事例を参照に算出したものです。
・厨房機器
692,000千円
・建設工事 1,084,000千円
・用地費
397,000千円
・下水道工事
120,000千円
総事業費 2,293,000千円 (事業年度:平成27年度)
財源内訳:国庫交付金
98,294千円
(見込) 地方負担額 2,194,706千円
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管理・運営の基本的な考え方
学校給食の充実に向けて、学校・保護者・生産者・栄養教諭・調理員・教育委員会
事務局等が連携して別途策定する「(仮称)たつの市中央学校給食センター管理運営
計画」により、下記の項目をはじめ、安全・安心な学校給食の運営に取り組みます。
(1)外部委託の検討
本市の学校給食については、センター方式、自校方式ともに直営により運営して
おり、臨時調理員の配置等により経費節減しているものの、生徒・児童の減少によ
る給食数の減少が調理コストの上昇を招いています。
文部科学省は「学校給食業務の運営の合理化について」(昭和60年 1 月21日
付け文体給第57号)により地域の実情に応じた学校給食業務の合理化を推進する
よう通達を出しています。この通知では、臨時職員の活用・民間委託等の方法によ
り人件費等の経常経費の適正化を図る必要があると指摘しています。
そこで、(仮称)中央学校給食センターの管理・運営については、調理(米飯炊
飯を含む)業務や配送改修業務、食器洗浄・消毒・保管業務等を民間に委託するこ
とを検討します。献立作成は設置者が直接責任を持って行うこととし、食材の調
達・検収業務については安全に直接資するものであるので民間委託の導入に関して
は、慎重に議論した上で対応するものとします。
(2)食育の推進
食育基本法や食育推進基本計画では、学校給食を「生きた教材」として活用する
ことや、給食食材への地産地消の推進を図り、地域の生産者や生産に関する情報伝
達の促進を図ることとされているため、学校・保護者・生産者・栄養教諭・調理員
が連携して取り組める組織・仕組みづくりを検討します。
(3)学校給食事務の効率化
現在、既存給食センター、自校方式導入校それぞれで行っている学校給食事務(発
注、支払、給食費徴収)を(仮称)中央学校給食センター内に設置する学校給食会
(=学校給食担当課)で集約し効率化を図ります。また、会計方式については、自
校方式導入校も含めて、私会計・公会計の特性を踏まえて検討するものとします。
これらのことを踏まえて、学校給食及び(仮称)中央学校給食センターの管理・運
営については、学校給食の使命である「安全・安心な学校給食の提供」に十分配慮し
ながら、行政と民間の役割分担を明確にして経費削減を図るとともに、学校、保護者、
生産者等関係者と連携して基本理念・基本方針の実現を目指します。
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