駐在員便り ウィーン 皆さんこんにちは。 今年のウィーンの 5 月の天候は悪く、特に 5 月 20 日から 25 日にかけては、どんよりと曇って いて、時折雨も降りました。気温はというと 10℃を下回り、最高気温も 15℃を少し超えるくら いでしたので、私が住んでいる地区は市内中心部より気温が低く、朝、子供を送っていく時間帯 では、白い息が出るほどでした。このような天候は 6 月の初旬まで続き、特に 5 月末から 6 月の 第 1 週目にかけては記録的な大雨が降り続き、オーストリア周辺国も含めて川が氾濫、家屋や農 地が浸水し、死亡者も出るという事態になりました。幸いにも、ウィーンは大きな被害にならな かったのですが、ドナウ川(Donau)の水位は上昇し、新ドナウ川(Neue Donau)との間にあるドナ ウ島(Donauinsel)の周辺にあるレストランなどは水没しました。ウィーンが大きな被害にならな かったのは、このドナウ島のおかげといわれています。ドナウ川の水位が上昇すると、新ドナウ 川に水を最大 1 秒間に 14,000m3 になっており、水位を調整できるようになっているからだそう です。これは、1954 年にウィーン市は大規模な水害を受けたことで、ウィーン市議会が市民の保 養地と災害時の防護壁となる人口島であるドナウ島の建設を提案しました。建設には周囲の反対 もあり着工まで時間を要したのですが、15 年の歳月をかけて、1987 年に全長 21km のドナウ島 が完成しました。そして、天気の良い日には市民のレクレーションの場として活躍し、今回のよ うな大雨にも活躍したことで、当時の関係者の方の苦労も報われて良かったと思います。 この大雨の後も天気はさほど良くなかったのですが、6 月 12 日以降は快晴の日が続き、ついに 17 日からは日中の最高気温が 30℃を超えるようになり、現地の新聞が例える“ターボ・サマー” という感じです。 5 月 18 日頃からは市内各所でイベントがあり、5 月 24 日にはシュテファン寺院(Stephansdom) では綱渡りが行われました。この綱渡りは地上 60mの高さで約 50mを渡るもので、18 時と 20 時の 2 回行われ、私は 18 時の方を見に行きました。開始 5 分ほど前に到着すると寺院前の広場 は、歩くのもやっとというくらいの大勢の人だかりで、18 時を過ぎて司会者の紹介と説明が行わ れ、綱渡りは 18 時 5 分から始まりました。綱の上を歩く速度は想像していたよりも速く、約 50m を数分で渡り切ったのですが、スタート地点の塔から反対側の塔に渡りきったときには、観客か らどよめきの後に大きな拍手が送られました。また、スタート地点に折り返しているときには、 観客から「頑張れ!」という意味での拍手があり、スタート地点に無事に戻った時には、綱渡り をした Waldner 氏も大きなガッツポーズをして、再び観客から大きな拍手が送られました。 そして、翌日の 19 日の土曜日には、市庁舎前広場(Rathausplatz)で、欧州最大の Aids チャリテ ィイベントである“LifeBall”が開催されました。今年のゲストには、Bill Clinton 前アメリカ大 統領、英国大物歌手の Elton John そして女優の Hilary Swank らがいました。このイベントだけ で、昨年は 200 万ユーロ以上の収益を上げており、今年は 250 万ユーロと報告されており、この 収益金は HIV と AIDS を持つ人々を支援するために使われるようです。 我が家の方は、長男が通うウィーン日本人学校では、5 月 25 日に運動会が開催されました。先 にも書いたように、この日は非常に寒かったのですが、雨はなんとか降らずに無事終わって良か ったなと思いました。また、6 月 12 日からは 2 泊 3 日でグラーツの方に宿泊学習にも行きました。 運動会も宿泊学習も生徒数が少ないので、小学 1 年生から中学 3 年生までが、一緒に活動をしま ― 110 ― ●●報告 ●●●● す。上級生は下級生の面倒を見ることになるので、大変だと思うのですが、小学1年生の長男は よく面倒を見てもらったようで、体調も崩さずに機嫌良く帰ってきて、楽しかったことを沢山聞 かせてくれました。 次男の方は幼稚園にも大分馴染んできたようで、嫌がらずに通ってくれています。先日、入園 後初めて、彼と一緒に幼稚園に行きました。その日は、野外学習日で朝一番に出発して、半日か けて市内を散策する日でした。幼稚園に到着後、しばらくして年上の子に手を引かれ、野外学習 に出ていく我が子の後ろ姿を見て、 「アイスクリーム屋の前でダダをこねなかったらいいけど」と 思っていました。その日の夜の妻の話では、ダダはこねなかったのですが、帰りに大分と疲れて しまい歩かなくなったようで、次回から、抱っこはできないからベビーカーを持ってきてと先生 から言われたようです。次回は自然史博物館を終日見学するそうで、幼稚園児には大変だなと思 っています。 写真は、大雨の後の新ドナウ川の状況で、写真左側がドナウ島で右側が Copa Cagrana(Kagran 地区とブラジルのリゾート地の Copacabana を掛け合わせた造語だそうです)。4 月から 10 月ま では、写真中央の川に浮かぶ橋(Ponte Cagrana)はつながっているのですが、大雨のために再度分 割され、現在復旧中です(写真左のラジオ塔も大雨の影響で傾いたままです)。 ジェトロ・ウィーン事務所 産業機械部 ― 111 ― 坪井 智之
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