Twinkle:Tokyo Womens Medical University - 東京女子医科大学

Title
慢性関節リウマチにおける血管内皮細胞の免疫病理学的
検討
Author(s)
中嶋, ゆう子; 佐藤, 和人; 檜垣, 恵; 宮坂, 信之; 西岡,
久寿樹
Journal
URL
東京女子医科大学雑誌, 59(3):227-228, 1989
http://hdl.handle.net/10470/6981
Twinkle:Tokyo Women's Medical University - Information & Knowledge Database.
http://ir.twmu.ac.jp/dspace/
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座長 久保長生(脳神経外科)
12.Primitive neuroectodermal tumorの1例
増田昭博・西川俊郎・中野達也・笠島 武(第2病理)
久保長生(脳神経外科)
13.Esthesioneuroblastomaの2例
遠山 隆・久保長生・田鹿安彦・河村 弘・清水 隆・
氷室 博・井上憲夫・坂入光彦・片平真佐子(脳神経外科)
14,Acquired pendular nystagmus様異常眼球運動を認めた脳幹部梗塞の1剖検例
中地 愛・伊藤道子・小森隆司・佐々木彰一・小林逸郎・
竹宮敏子・:丸山勝一(神経内科)
豊田智里・武石 詞(第1病理)
座長 笠島 武(第2病理)
15.ブドウ球菌感染症toxic shock syndrome発症機序の解析:
toxic shock syndrome toxin−1標的細胞の同定
内山竹彦・今西健一・斉藤慎二・厳 小傑・荒明美奈子(微生物)
16.皮膚良性および悪性腫瘍における〃z翼遺伝子産物の発現の検討
前口瑞恵(皮膚科)
閉会の辞 西川俊郎(第2病理)
結果:1.症例は,甲状腺には,①定型的な乳頭状増
1.著しい粘液気管支塞栓を示した17歳気管支癌全
殖像,②索状/管状あるいは幼若な二次甲状腺濾胞の形
摘例の病理所見について
態③管腔が不明瞭になり,胞体が明調な細胞の二次
(呼吸器外科)石倉 俊策・大貫 恭正・
濾胞型の構造,④扁平上皮化生/扁平上皮癌の組織像,
毛井 純一・新田 澄郎
(第1病理)武石 論
⑤紡錘型細胞の錯綜する束状増殖を認めた.2.血管
(病院病理)相羽 元彦
侵襲像,甲状腺周囲筋肉・気管浸潤像,リンパ節・骨
(呼吸器内科)藤原 和代・滝沢 敬夫
転移巣はいずれも②が主体であり,④⑤は局所に限局
気管支原発の粘表皮癌はまれな腫瘍であるが,今回
性であった.3.108例の甲状腺乳頭癌についても,定
我々は左主気管支に発生し著しい気管支粘液塞栓を示
型的な増殖形式である①②の像の他に③④⑤の像も一
した本症の全摘例を経験したので報告する.
部の症例に見られた.
症例は17歳,女性.出品気管支輪腔に突出する腫瘍
結論:1.多彩な組織像の中で,乳頭癌よりも予後が
が認められ悪性腫瘍の疑いにて手術を施行した.腫瘍
悪いとされる④⑤の要素が限局していたのは,④⑤が
は左回気管支をほぼ閉塞し,一部気管支外へ突出し,
乳頭癌を母地として比較的最近生じたためと思われ
末梢の気管支には著しい粘液気管支塞栓が認められ
る,2.③④⑤が小さな部分像として認められる症例の
た.また腫瘍内部にも粘液の貯留が見られ,腫瘍外へ
予後予測についてはさらに検討が必要である。
粘液が流出している部分が認められた.組織所見では,
腫瘍は気管支粘膜上皮下より圧排性に進展しており,
3.慢性関節リウマチにおける血管内皮細胞の免疫
病理学的検討
粘液を産生する腺様構造,扁平上皮様の細胞による充
(リウマチ痛風センター)
中嶋ゆう子。佐藤 和入・檜垣 恵・
実性の胞巣が認められた.また両者の中間型の細胞も
見られ粘表皮癌と診断した.
2.特異な組織像を呈した甲状腺乳頭癌の1例
(病院病理科)相羽 元彦・平山 章
多彩な組織像を呈した甲状腺乳頭癌の1例につい
宮坂 信之・西岡久寿樹
慢性関節リウマチ(RA)は滑膜組織をその病変の主
座とし,滑膜組織において血管の増生,リンパ球浸潤,
滑膜細胞の増殖がさかんに行なわれていると考えられ
て,原発巣も浸潤転移巣の組織像を比較,また108例の
ている.今回我々はRA 26例, non−RA 6例の滑膜組
甲状腺乳頭癌における組織表現と比較した.
織についてそれぞれの滑膜血管の増生度を比較検討
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し,またRAの活動性,滑膜組織における表層細胞の
syncytial trophoblastの直下の絨毛間質には組織球浸
増殖,リンパ球浸潤と血管増生との相互関係について
潤があった.しかし,風疹・サイトメガロウイルス症・
検討した.さらに血管内皮細胞において,トロソボモ
梅毒・原因不明の絨毛炎(VUE)などと異り,絨毛間
ジュリン(TM), HLA・DR抗原の陽性率について検討
質深部には胎児由来の炎症反応はほとんど認めなかっ
したところ,RA群において血管内皮細胞のTM陰性1
率,HLA・DR抗原陽性率が高い傾向にあった.今後
た.
RA滑膜におけるTMの機能の面から,さらに症例を
ABC法を施行したところ,syncytial trophoblastに麻
重ね検討することが必要と思われる.
疹ウイルス抗原の局在を見た.卵膜炎を合併していた
麻疹ウイルスのnucleocapsidに対する抗体を用い,
が,卵膜では陰性であった.
生卵巣ムチン性嚢胞腺腫に肉腫様病変を認めた1
麻疹の血行性胎内感染を示す胎盤の所見を報告した
例
例は他にはなく,貴重な症例なので供覧した.
(産婦人科)
横尾 郁子・滝沢
6.中毒性表皮壊死症(Toxic epiderma1皿e−
憲・佐藤美枝子・
crolysis:TEN)の免疫病理学的検討
井口登美子・武田 佳彦
(第2外科)
(皮膚科)
豊田 裕之・池田美智子・肥田野 信
亀岡 信吾・木村 恒人・浜野恭一
最近,中毒性表皮壊死症(Toxic epidermal ne−
(病院病理)相羽 元彦・平山 章
症例は,右卵巣嚢腫の診断にて2回の手術を施行さ
れた52歳主婦.2回の摘出物は良性ムチン性嚢胞腺腫
crolysis:TEN)の発症機序としてGVH反応が考え
られてきている.TENの皮疹に浸潤している細胞を
であったが,手術直後に再腫大し放射療法,アドリア
凍結組織片を用いてモノクローナル抗体で染色し,
マイシン動注療法により一時緩解を得た.約10ヵ月後,
GVHDと組織学的,免疫病理学的そして臨床的に比較
腫瘍は急激に腫大し膀胱・直腸壁にも浸潤したため骨
検討した.
結果は,真皮ではLeu2aとLeu3a陽性細胞は同程
盤内臓器全摘術を施行して,大部分の腫瘍を摘出した.
度だったが表皮ではLeu2a陽性細胞が優位に浸潤し
H−E染色では紡錘形の細胞増殖がみられ,KL・1,
EMA染色も陽性なので肉腫が考えられた. Desmine,
ていた.Leu6, Leu7, Leu12, LeuM3陽性細胞はほと
Myoglobin染色が両方共陰性であったが, Masson染
んど認めなかった.HLA−DR抗原陽性iの表皮細胞が一
色で腫瘍は赤面し,PAS染色で弱陽性であったので筋
部に認められた.
肉由来の肉腫が考え易かった.血管壁・直腸壁・膀胱
組織学的には表皮の好酸性壊死,液状変性,リンパ
壁への浸潤癒着を認めた手術所見からも平滑筋肉腫の
球の表皮内浸潤と両疾患とも同じ組織像を示し,浸潤
可能性が示唆された.しかし,もし平滑筋肉腫とした
リンパ球のサブセットもGVHDと同様の傾向を示
場合,それがいつ発症したのか,先行した卵巣腫瘍と
し,臨床的にも比較的類似していた.
以上より,TENの発症機序としてGVH様反応が
の関連性はどうか,さらに局所的に強い浸潤傾向を示
したにもかかわらず遠隔転移を認めないなど特異な問
示唆された.
題があり興味深い.
5.特異な絨毛炎の所見を示した胎内麻疹感染の胎
7.結節内出血を呈し,肝切除により救命し得た非
硬変肝の多発性結節性過形成病変の1例
盤の1例
(消化器病センター)
(第二病院中央検査部)藤林真理子
山本 雅一・高崎
(国立予防衛生研究所病理部)佐多徹太郎
(聖ルカ国際病院病理科)斎木 茂樹
妊娠22週に麻疹に罹患し,24週5日早産となった妊
婦の胎盤を検索した.
絨毛間腔に多量のフィブリン沈着があり,絨毛の
syncytial trophoblast lま壊死に陥ったり,核の空胞変
健・中野 雅行・
鈴木 博孝・小林誠一郎
症例は27歳,男性.主訴は右季肋部痛.6年前に交
通事故にて肝外傷の既往あり.来院時超音波検査にて
肝煎葉内に不均一な高エコーを呈する腫瘤像を認め
た.血管造影,CT検査にて肝右葉腫瘤内出血と診断
し,手術を施行した.
性やスリガラス様変性を示した.Syncytial trophob−
開腹所見では肝は非硬変で両葉に多発性の柔らかい
lastに接する絨毛間腔にリンパ球や単球が浸潤し,
腫瘤があり,右後区域被膜下に血腫を認めた.三葉に
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