マルチレートPWMに基づく単相アクティブフィルタの電流制御系の実験検証

SPC-08-17
マルチレート PWM に基づく単相アクティブフィルタの電流制御系の実験検証
佐藤公彦∗ ,藤本博志(横浜国立大学)
Experimental Verification of Current Control System of Single-Phase Active Filter Based on Multirate PWM
Kimihiko Sato∗ , Hiroshi Fujimoto (Yokohama National University)
Abstract
The shunt active filter, which is connected to power systems in parallel with the load, is considered as a current
source. However, the shunt active filter is actually realized by current control using the voltage source type inverter.
Authors applied multirate perfect tracking control (PTC) to current control of the shunt active filter. Although
conventional single-rate deadbeat control could not guarantee zero tracking error for arbitrary reference signals, the
proposed multirate control can achieve perfect tracking at every sampling point. In this paper, we propose a novel
method to generate repetitive compensation signals. Simulations and experiments are shown to verify the effectiveness
of the proposed method.
キーワード:アクティブフィルタ,電源側電流検出,PWM ホールド,デッドビート制御,マルチレート制御,繰り返し制御
(active filter, source current detection, PWM hold, deadbeat control, multirate control, repetitive control )
1. はじめに
現在,各種電気機器等から発生する高調波が問題になっ
ている。高調波はインバータ駆動の電動機で余分な損失を
増加させたり,機器の損傷等を引き起こす可能性がある。
そこで,高調波補償装置としてアクティブフィルタ(以下,
AF)を用いることが研究されている (1) 。
主流である並列形 AF は,電源と負荷に対して並列に接
続され,電流または電圧の高調波成分を検出して系統の高
調波電流を補償する電流を流す制御を行うものである。並
列形 AF は電流源としてみなせるが,具体的に電流源とし
て動作するには電圧型インバータを用いた回路での電流制
御によって実現される (2) 。本稿では,電源側電流検出一括
補償方式 (3) によって電流指令値を演算し,並列形 AF の出
力電流 iaf が指令値に追従するようにインバータを用いて
制御する。
AF のディジタル電流制御についての研究は,近年提案さ
れたものとしてオーバーサンプリングを用いた制御 (4) や,
従来から研究されているものとしてはデッドビート制御を
用いること (5) (6) などが提案されている。しかし,従来用
いられているデッドビート制御 (7) では,プラントの条件に
よっては不安定零点 (8) 等の影響によりフィードフォワード
制御部が不安定となり,誤差なく指令値に追従することは
できない (9) 。
そこで著者らはマルチレートフィードフォワード制御を
用いノミナルプラントに対してサンプル点ごとに追従誤差
が零になることを保証した完全追従制御(PTC)法 (10) を
AF に適用している (11) (12) 。本稿では,高調波が周期的で
あることを利用して補償信号指令値を作り出す。その補償
信号指令値に対して PTC 法によるディジタル電流制御を
行い,整流器負荷からの高調波を補償できることをシミュ
レーションと実験を通して解析を行う。
is
vs
䌾
Rs
i0
vL
Ld
Ls
Rd
iaf
AF
L2
L1
vi
Cc
Rc
INVERTER
vdc
Fig. 1.
図 1 単相アクティブフィルタ回路
Circuit of the single-phase active filter.
表 1 回路パラメータ
Table 1. Parameters table.
Ls
3.18mH
Rs
L1
700µH
L2
500µH
Cc
1.25µH
Rc
4.0Ω
vdc
150V
電源電圧
0.1Ω
100V, 50Hz
2. 電源側電流検出方式 (3)
本稿で用いた単相 AF の回路を図 1 に示す。点線内が AF
であり,電圧型インバータと出力フィルタにより構成され
る。各素子等のパラメータは表 1 であり,高調波発生源と
して単相ダイオード整流器を用いた。
並列形 AF は系統の高調波を補償するように電流を出力
する。AF 出力電流 iaf の指令値 i∗af を作り出すためには高
調波の検出が必要である。まず,基本波成分 isf と高調波成
分 ish が含まれた電源側電流 is を検出し,DFT(Discrete
1/6
L1

L2
iaf
vi
䌾
Cc
䌾
vL
Rc
図 2 電流 iaf 制御等価回路
Equivalent circuit of current iaf control.
Fig. 2.
Fourier Transform)により isf を求める。
is から isf を除去することにより求めた高調波成分 ish
の逆相を i∗af とする。
i∗af [k] = −ish [k] = −(is [k] − isf [k])· · · · · · · · · · · · · (1)
3. シングルレート制御系設計
〈3・1〉 シングルレート系での制御対象のモデル化
iaf
を制御するために図 1 での AF 設置点の電圧 vL までの回
路である図 2 を用いる。電圧 vi はインバータの出力電圧で
あり,AF 外部の情報は vL で表され,系統・負荷の条件に
よらずに AF の電流制御を考えることができる (5) 。
入力を vi , vL ,出力を iaf としてプラントの伝達関数を
求めると (2) 式となる。
iaf = Pi (s)vi − Pl (s)vL · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (2)
Pi (s) =
bi1 s + bi0
s 3 + a2 s 2 + a1 s
Pl (s) =
bl2 s2 + bl1 s + bl0
s3 + a2 s2 + a1 s
ただし,a1 , a2 , bi0 , bi1 , bl0 , bl1 , bl2 はすべて図 2 の回路パ
ラメータから決定される定数である。
本節では,まず簡単化のため (2) 式の vL の項を外乱項と
して無視し,vi により iaf を制御する。しかし実際には vL
の項は無視できないので,その対策については第 5 節で述
べる。
vL の項を無視すると,(3) 式となる。
iaf =
bi1 s + bi0
vi · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (3)
s3 + a2 s2 + a1 s
状態変数を
x1 =
0
Ap =  0
0
1
iaf · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (4)
bi1 s + bi0
x2 = x˙ 1 · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (5)
x3 = x
¨1 · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (6)
として連続時間系での状態方程式を求めると,(7) 式が得ら
れる。
˙
x(t)
= Ap x(t) + bp vi (t), iaf (t) = cp x(t)· · · · · · · (7)
cp =
[
bi0

1
0
−a1
0
[
1  , bp = 0
−a2
bbi 1
0
]
, x=
[
x1
x2
0
1
x3
]T
,
]T
制御対象を離散化する場合,一般的には零次ホールドを
用いるが,インバータシステムにおいては vi (t) は ±Vdc か
0 のいずれかの値しか取れないため,瞬時値を緻密に制御
したい場合には,零次ホールドによる平均的な離散化近似
は不適切である。そこで,∆T [k] を制御入力 u[k] としてと
らえた PWM ホールドを用いて離散化を行う (13) 。制御対
象を PWM ホールドを用いて制御周期 Tu = 54.2µs で離散
化すると (8) 式が得られる。∆T [k] はパルスの時間幅であ
り,以後,u[k] は ∆T [k] として扱う。
x[k + 1] = As x[k] + bs u[k], iaf [k] = cs x[k]· · · · (8)
T
As = eAp T , bs = eAp 2 bp Vdc ,
cs = cp , u[k] = ∆T [k]
〈3・2〉 フィードバックデッドビート制御 (7)
フィー
ドバックデッドビート制御(以下,FBDB)は従来のディ
ジタル電流制御 (5) (6) に用いられている制御則である。こ
れを今回用いるプラントに適用する。
離散化された状態方程式である (8) 式より,iaf [k + 1] に
ついて解くと (9) 式のように表される。
iaf [k + 1] = cs (As x[k] + bs u[k])· · · · · · · · · · · · · · · (9)
ここで,iaf [k + 1] = i∗af [k + 1] として u[k] について解くと
(10) 式になる。
u[k] =
i∗af [k + 1] − K1 x1 [k] − K2 x2 [k] − K3 x3 [k]
(10)
K4
ただし,K1 ∼ K4 はすべて回路パラメータとサンプリング
周期から決定される定数である。
FBDB では r[k] から u[k] までのフィードフォワード制御
部の伝達関数がプラントの逆システムに相当している。こ
れにより,入力に目標値の 1 サンプル先を与えることでサ
ンプル点ごとに目標値に追従する。
しかし,今回用いたプラントの伝達関数 (3) を離散化す
ると零点が z = −1.30, −0.24 となっている。これにより
プラントの逆システムであるフィードフォワード制御部
の極が z = −1.30, −0.24 ということになり,不安定な極
(z = −1.30) を持っていることがわかる。
目標値として振幅 1A,周波数 200Hz の正弦波を入れて
FBDB を用いてシミュレーションを行うと図 3 のようにな
り,出力が発散して不安定になってしまう。このことから,
シングルレート制御系では任意の指令値に対して完全追従
することができないことが明らかとなった。
2/6
A = A3s , B = [A2s bs , As bs , bs ],
3
iaf(t)
iaf*(t)
r[i]

current [A]
2
0


−1
となり,さらに (11) 式を u[i] について解くと (12) 式が得
られる。
−2
−3
0
1
2
3
4
5
time [ms]
u[i] = B −1 (I − z −1 A)x[i + 1]· · · · · · · · · · · · · · · · (12)
図 3 FBDB を用いたシミュレーション結果
Fig. 3. Simulation results with FBDB.
(12) 式のすべての極は z 平面で原点にあることから安定
な逆系であることが分かる。また,制御対象の状態変数に
対する目標軌道の予見値 r[i] = xd [i + 1] を入力に与えると,
フィードフォワード制御入力は (13) 式のようになる。
r[i+1]
y[k+3]
y[k+2]
y[k+1]
r[i]
y[k]
ΔT[k]
ΔT[k+1]
u0 [i] = B −1 (I − z −1 A)r[i]· · · · · · · · · · · · · · · · · · · (13)
ΔT[k+2]
Vdc
kTu
(k+1)Tu
(k+2)Tu
(k+3)Tu
Tu
(i+1)Tr
iTr
図 4 マルチレート PWM 制御
Fig. 4. Multirate PWM control.
x d [i+1]

u1 [i]
∆T [k]
u[i] =  u2 [i]  =  ∆T [k + 1] 
u3 [i]
∆T [k + 2]
1
B -1(I - z-1 A)
u o [i]+
M
(Tu)
D
z-1C
+
+
M
(Tu)
u[k]
+
P(s)
y(t)
x∗1 =
C2[z]
y o [k] e[k]
- +
これより,ノミナルプラントに対してサンプル点ごとに
完全追従が達成される。PTC のブロック図は図 5 のように
表され,外乱やプラント変動によって出力に誤差が生じた
場合フィードバック制御が働きその誤差を抑圧することが
できる。
〈4・2〉 状態変数目標軌道生成
PTC では入力に制御
対象の状態変数に対する目標軌道の予見値を与える。状態
変数は (4)∼(6) 式であり,状態変数の指令値は電源側電流
検出方式より導出した i∗af から求める。すなわち
(Ty)
図 5 PTC のブロック図
Fig. 5. Block diagram of PTC.
4. マルチレート制御系設計
〈4・1〉 マルチレート制御系での完全追従制御 (PTC)
(10)
これまで述べてきたように,従来用いられていたシ
ングルレート制御系では,外乱やモデル化誤差がない理想
的な場合でも,短いサンプリング周期で離散化をしたとき
に生じる不安定零点の影響により任意の指令値に対して誤
差零で追従することは理論的に不可能である。
そこで本稿ではマルチレート制御系を適用することによ
り任意の指令値に対して完全追従を達成する。マルチレー
ト制御系は図 4 に示すように指令値のサンプリング周期 Tr
の間に制御入力を n 回切り替える制御法である。ただし,
n はノミナルプラントの次数であり,ここでは n = 3 であ
る。キャリア周期 Tu と指令値のサンプリング周期 Tr と出
力周期 Ty の間には Tu = T3r = Ty = 54.2µs の関係がある。
(8) 式において 3 サンプル目について考え,x[i] = x(iTr )
とおくと
x[i + 1] = Ax[k] + Bu[k]· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (11)
1
i∗af · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (14)
bi1 s + bi0
として状態変数の指令値 x∗1 を与える。
ここで,(14) 式の伝達関数は 1 次遅れ系であり,そのカッ
トオフ周波数 200kHz は今回用いたキャリア周波数 20kHz
に比べて十分はやいので,直流ゲインである
x∗1 =
1 ∗
iaf · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (15)
bi0
に近似できる。
同様に,(16),(17) 式より x∗2 , x∗3 を与える。
1 ˙∗
iaf · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (16)
bi0
1 ¨∗
x∗3 =
iaf · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (17)
bi0
x∗2 =
シングルレート制御系での FBDB のときと同様に,目標
値として振幅 1A,周波数 200Hz の正弦波を入れて上記の
ように状態変数目標軌道を作り,PTC を用いてシミュレー
ションを行った結果が図 6 である。発散することなくサン
プル点ごとに誤差なく追従していることが確認できる。
5. AF 外部を考慮した制御系設計
〈5・1〉 外乱項の補償法
前節までは (2) 式において
vL の項を外乱項として考慮せず制御系設計を行っていた。
本節からは図 1 の点線に示す AF 外部の回路も考慮するた
めに vL の項についての補償制御を行う。
AF 外部の回路も考慮した場合,(2) 式より,出力 iaf に
3/6
1.5
zu-3
iaf(t)
iaf*[i+1]
1
is[k]
current [A]
0.5
0
isf[k]
ish[k]
-1
switch
iaf*[k]
z-N+3
u
iaf*[i+1]
−0.5
図 7 i∗af [i + 1] 生成ブロック図
Fig. 7. Block diagram of i∗af [i + 1].
−1
−1.5
0
1
2
3
4
5
time [ms]
図 6 PTC を用いたシミュレーション結果
Fig. 6. Simulation results with PTC.
は vL の項も影響する。よって,この項が出力に影響を及
ぼさないように補償する必要がある。
そこで,提案する制御法ではあらかじめ目標軌道として
∗
iaf に vL の項を足し合わせたものを与える。(2) 式より
iy := iaf + Pl (s)vL = Pi (s)vi · · · · · · · · · · · · · · · · · (18)
と変形し,PTC を用いて vi により iy をその目標軌道に追
従させる。すなわち,(15) 式として与えていた x∗1 を (19)
式として与える。
x∗1 =
)
1 ∗
1 (∗
∗
iy =
iaf + Pl (s)vL
· · · · · · · · · · · · · · (19)
bi0
bi0
これにより,出力時に vL の項の影響を相殺して打ち消す
ことができ,iaf を指令値に追従させることが可能になる。
〈5・2〉 補償信号指令値生成
PTC を用いる際,目標
軌道の 1 サンプル先の予見値が必要である。目標値は (19)
∗
式であり,x∗1 [i+1] を作り出すためには i∗af [i+1] と vL
[i+1]
を与えなければならない。
∗
まず,vL
[i + 1] について考える。vL は高調波に影響され
る波形となるが,高調波を完全に補償できたとすると基本
波成分のみとなるはずである。そこで,DFT を用いて vL
∗
の基本波成分 vLf を求め,(20) 式より vL
[i + 1] を与える。
∗
vL
[i + 1] = vLf (t + Tr )· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (20)
次に,i∗af [i + 1] についてであるが,本稿ではスイッチン
グによるフィードフォワード型の補償と繰り返し制御器が
学習をし続けることによるフィードバック型の補償という
2 種類について検証を行う。
〈5・2・1〉 フィードフォワード (FF) 型
電源側電流検
出方式から作り出される i∗af [i] は系統電源の基本波 1 周期
分で周期的である。そこで,1 周期間だけスイッチをオン
にして i∗af をメモリに蓄え,その信号を順番に出力するこ
とで指令値を作り出す。これはフィードフォワード補償と
なる。i∗af [i + 1] = i∗af [k + 3] は図 7 に示すように
i∗af [i + 1] = i∗af [k − N + 3]· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (21)
として得られる。ここで,N は基本波周期 T あたりのサン
プル数 N = T /Tu = 369 であり,図 7 の zu は Tu 間隔での
遅延要素を表している。
〈5・2・2〉 フィードバック (FB) 型
上記の方法で補償
信号指令値を生成することで理想的には高調波を完全に補
償できるが,実際には整流器負荷からの電流が変化し高調
波が残ってしまう。そこで,FF 型ではオフしていたスイッ
チをオンにし続けることにより完全に高調波を除去するこ
とを考える。FF 型に対し,この補償はフィードバック的に
繰り返すことで指令値を生成する。i∗af [i + 1] = i∗af [k + 3]
は図 7 のスイッチをオンし続けることにより
i∗af [i + 1] = i∗af [k − N + 3] − ish [k − N + 3]· · · (22)
として得られる。
FB 型の場合,基本波の整数倍の高調波を抑圧すること
ができるが,次数間高調波成分に対しては悪化させてしま
うという問題点がある (14) 。
6. シミュレーションおよび実験
〈6・1〉 シミュレーション
シミュレーションにはパワ
エレ用回路シミュレータ PSIM を用いた。
図 8(a),(b),(c) は AF オフ時と AF オン時でのそれぞ
れの電源側電流 is の波形であり,それぞれを FFT 解析し
たものが図 9(a),(b),(c) である。図 8(a) の AF なしの時
に比べ,FF 型の補償信号生成を行った時にはある程度の高
調波を補償できてはいるが,まだ 0A 付近のところが歪ん
でおり高調波が残っていることがわかる。これは上述した
理由によるものである。図 9(b) からもそのことはわかる。
それに対し,図 8(c),図 9(c) の FB 型補償では奇数次の高
調波成分を完全に抑圧できていることが確認できる。また,
FF 型補償と FB 型補償それぞれの AF 出力電流を表したも
のが図 10(a),(b) であり,iaf が指令値に追従しているこ
とがわかる。
〈6・2〉 実
験
実験では,エヌエフ回路設計ブロッ
ク社製のシステム交流電源 (P-STATION/4471 インターフェ
イス) を用い,AF の制御は TEXAS INSTRUMENTS 社製
の DSP(C6713) によるディジタル制御装置を利用している。
図 11(a),(b),(c) はシミュレーションと同様に AF を動
作させたときの実験結果で,図 12(a),(b),(c) はそれぞれ
を FFT 解析した結果である。シミュレーション結果とほぼ
同様に,FF 型補償ではある程度高調波を抑圧できており,
FB 的に繰り返して補償することにより奇数次の高調波を
抑圧できていることが確認できる。なお,そのときの AF
電流が図 13(a),(b) である。
7. おわりに
本稿では,AF のディジタル電流制御に PTC を用いた。
4/6
15
10
10
10
5
5
5
0
current [A]
15
current [A]
current [A]
15
0
0
−5
−5
−5
−10
−10
−10
−15
0
10
20
30
40
−15
0
50
10
20
30
40
−15
0
50
10
20
(b)With AF.(FF 型)
(a)Without AF.
30
40
50
time [ms]
time [ms]
time [ms]
(c)With AF.(FB 型)
10
10
9
9
9
8
8
8
7
7
7
6
5
4
current [A]
10
current [A]
current [A]
図 8 電源側電流 is (シミュレーション)
Fig. 8. Source current is .(Simulation)
6
5
4
6
5
4
3
3
3
2
2
2
1
1
0
0
200
400
600
800
0
0
1000
1
200
400
600
800
0
0
1000
200
(b)With AF.(FF 型)
(a)Without AF.
400
600
800
1000
frequency [Hz]
frequency [Hz]
frequency [Hz]
(c)With AF.(FB 型)
図 9 FFT 解析 is (シミュレーション)
Fig. 9. FFT analysis is .(Simulation)
15
15
iaf(t)
iaf*[i+1]
10
10
5
5
current [A]
current [A]
iaf(t)
iaf*[i+1]
0
0
−5
−5
−10
−10
−15
0
10
20
30
40
50
−15
0
10
20
30
time [ms]
time [ms]
(a)FF 型
(b)FB 型
40
50
図 10 AF 電流 iaf (シミュレーション)
Fig. 10. AF current iaf .(Simulation)
その指令値生成の際,高調波が周期的であることを利用し
た補償信号生成において FF 型と FB 型という 2 種類につ
いての方法を提案し,シミュレーションと実験を通してそ
の有効性を確認した。
今回は高調波に基本波の整数次しか現れなかったため,
FB 型の補償信号生成がより有効であった。しかし,基本
波に対して次数間高調波が存在した場合,5 章で述べたよ
うに FB 型の繰り返し制御では高調波を増幅させてしまう
という問題がある。それに対し,FF 型では抑圧特性が悪
化することは無い (14) 。今後は AF においてこの検討を行っ
ていく予定である。
参考文献
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( 6 ) L. Zhao and A. Kawamura:“ Current Control for Active Filter with Multi-rate and Deadbeat Control ”, JI5/6
15
10
10
10
5
5
5
0
current [A]
15
current [A]
current [A]
15
0
0
−5
−5
−5
−10
−10
−10
−15
0
10
20
30
40
−15
0
50
10
20
30
40
−15
0
50
10
20
(b)With AF.(FF 型)
(a)Without AF.
30
40
50
time [ms]
time [ms]
time [ms]
(c)With AF.(FB 型)
10
10
9
9
9
8
8
8
7
7
7
6
5
4
current [A]
10
current [A]
current [A]
図 11 電源側電流 is (実験)
Fig. 11. Source current is .(Experiment)
6
5
4
6
5
4
3
3
3
2
2
2
1
1
0
0
200
400
600
800
0
0
1000
1
200
400
600
800
0
0
1000
200
(b)With AF.(FF 型)
(a)Without AF.
400
600
800
1000
frequency [Hz]
frequency [Hz]
frequency [Hz]
(c)With AF.(FB 型)
15
15
10
10
5
5
current [A]
current [A]
図 12 FFT 解析 is (実験)
Fig. 12. FFT analysis is .(Experiment)
0
0
−5
−5
−10
−10
−15
0
10
20
30
40
50
−15
0
10
20
30
time [ms]
time [ms]
(a)FF 型
(b)FB 型
40
50
図 13 AF 電流 iaf (実験)
Fig. 13. AF current iaf .(Experiment)
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