28Q-am028 ラット近位尿細管上皮初代培養細胞を用いた腎トランスポーター機能解析 1 1 ◯福士 剛純 1 , 光岡 圭介 1 , 佐藤 正延 1 , 白坂 善之 1 , 玉井 郁巳( 金沢大院薬) 【目的】腎臓は生理的物質・薬物を分泌と再吸収により調節しており、その過 程には多くのトランスポーターの介在が明確になってきている。解析手法として は、トランスポーター分子発現系が充実して来ているが、関与するメカニズムの より客観的評価や寄与率の推定においては組織レベルでの解析が必要となる。分 泌については腎スライス法の使用が可能であるが、再吸収過程は評価できない。 単離刷子縁膜小胞は必ずしも生理的とは言えない。一方、腎臓近位尿細管細胞 (PTC)初代培養系は未だ報告は少ないものの、比較的生体内での機能を保持してい ると考えられ、また再吸収のみならず分泌も測定できるためトランスポーター活 性評価系として有用となる可能性がある。そこで、本研究はまず刷子縁膜側トラ ンスポーターに着目し、ラット初代培養 PTC 有用性について検討を行った。 【方法】既存手法によりラットから PTC を調製し 24 穴プレート上に初代培養を 行なった。RT-PCR 法を用いてトランスポーターの mRNA 発現量を測定した。また、 典型的基質を用いた輸送試験よりその輸送特性を評価した。 【結果および考察】ラット PTC 初代培養には、刷子縁膜にその局在が報告され ている Sglt1/2、Octn1/2、Pept1/2 の発現があったが Urat1 は検出できなかった。 一方、Į-methyl-D-glucose、ergothioneine、carnitine はいずれも Na+依存的な取 り込み活性を示した。また、glycylsarcosine の取り込みは pH 依存性を示し、い ずれも発現トランスポーター分子の活性を評価できることがわかった。一方、 Urat1 のように発現が低下する分子もありその克復が必要である。しかし、本実験 系は発現調節因子の探索や現在分子同定がなされていない化合物の再吸収機構解 析にも応用できる有用な手法として位置づけられる。
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