2 骨髄腫の新しい治療 (BOA) BOR - 新潟大学

血液疾患の治療をめぐる進歩
61
2 骨髄腫 の新 しい治療
瀧澤淳
新潟大学大学院医歯学総合研究科
血液学分野
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要
旨
多 発 性 骨
しか
し ,
髄腫 (
MM) は予後不良な造血蓄膿癌 で あ り,治癒 に導 く治療法 は確立 していない.
近年 にな り新規治療薬の開発が進み,MM 患者 の生命予後や QOLは改善 しつつ ある.
注 目され る新規抗魔境剤 と しての ポルテゾ ミプ,サ リ ドマ イ ド,レナ リ ドマ イ ドにつ いて解説
す る.
キーワー ド :多発性骨髄腫,ボルテゾ ミプ,サ リ ドマ イ ド,レナ リ ドマ イ ド
は じめ に
骨 髄 腫 は B細 胞 の終 末 分化 段 階 の 形 質 細 胞 が
魔 境 化 した疾 患 で あ り,ク ローナル な形 質細胞 の
ポル テ ゾ ミブ
BOA) は プ ロ テ ア ゾ- ム阻 害
ポ ル テ ゾ ミプ (
剤 で,その作 用機 序 は Ii
C
Bの分解抑 制 に よる NF-
出現 と M 蛋 白 の産 生 を特 徴 とす る.臨 床 症 状 と
J
CB経路 の活性 化抑 制 な どに よ る抗 腺癌 作 用,お
して,1)高 カル シウム血症 ,2) 腎不全,3)貧 血,
よび ,I
L-6や
4)骨 病 変 (
潜 骨 病 変 また は圧 迫 骨 折 を伴 う骨 観
VCAM -1な どの接 着 分 子 の 発 現 低 下 な どに
守,
VEGFな どの増 殖 因 子 の 分 泌 低 下
,5) その他 (
過 粘 鯛 症 候群 ,ア ミロ イ ドー
察症 )
よ る骨髄 ス トロ-マ細 胞 な どの微小 環 境 へ の作 用
シス,年 3回以上 の細 菌 感染 ),が重要 で あ り,こ
な どが想 定 され て い るが詳細 は不 明 で あ る.
れ らは国際診 断基準 持MWG)の症 候性 多発性 骨
海 外 に お け る再 発 ・難 治 性 MM に対 す る臨 床
Sum ) を規 定 す る臓 器 障 害 と して 記 載 さ
髄腫 (
SUMMI
T 試験 ,AP
EX試験 等 )の結 果 ,荏
試験 (
れ て い る 1).臓 器 障害 が存 在 す る もの が SMM と
来の 治 療 に勝 る有 効 性 が確 認 され た.本邦 で も国
な り,治 療 の対 象 とな る.従 来,生 存 期 間 中 央値
内第
は 3年程度 で あ り,きわ めて予 後不 良 な造血蓄膿
壕の ひ とつ で あ る 2)
. しか し新規 治療 薬 の導 入 に
発 ・難 治 性 MM に対 して認 可 され た.BORにデ
よ り,骨髄腫 の 予後 が改 著 されつつ あ る.
効果 も増強 し,後 述 ず る間質性 肺 炎 な どの副 作 用
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Ⅰ/Ⅱ相 臨 床 試 験 を経 て 2006年
1
0月 に 再
DXA) を併 用 す る と (
BD 療 法 )
キ サ メ タゾ ン (
別刷請求先 :〒9
51-8
51
0 新潟市 中央区旭町通 い 7
5
4
新潟大学大学院医歯学総合研究科血液学分野
瀧滞
淳
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新潟 医学 会推誌
第
1
2
5巻 第 2号
平成
2
3年 (
2
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ま
)2月
も軽減す ることが示 されてお り,現 時点で最 も頻
し,世界的 に悲惨 な被害 を引 き起 こした.その た
1
.
3mg/m2,Dl
,4,8,ll
,DXA20mg,
Dl
,2,嬢,5,
血管新生抑制作用 が注 目され るよ うにな り,海外
め1
962年以降 は発売 中止 にな っていたが,その
8,9,ll
,1
2,3週毎 に最 大 8サ イクル授与す るも
で1
9
90年代 よ り固形腺癌や MM に対す る抗腺癌
ので ある.
剤として用い られ るよ うになった
BORの有害 事 象 と して,欧 米 よ り間質性 肺 炎
T托ALの抗腺癌作用の詳細 は不明であるが,1)
の頻度 が高 い可能性 が示唆 され,死亡 に至 った垂
骨髄腫 細胞 を栄 養 す る血管 新 生抑 制 の他 に,2)
症 例 も報告 された 3).本邦 における特定使用成績
骨髄腫細胞増殖 因子
調査 の 中間報告 によると,間質性 肺 炎合併 は 3
%
生抑制 ,3)骨 髄 腫 細胞 の アポ トーシス誘導 ,4)
程 度 で あ った が,肺 疾 患 の既 往 が重 要 で あ り,
骨髄腫細胞 に対 す る腫癌 免疫 の活性 化,5)骨髄
BOR投 与開始前 に,肺 C
T と SpO2値 が正常であ
ることを確認す る必要 がある.肺 合併症の早期診
腫細胞 と間質細胞 との相互作用抑制,などが想定
節 (
呼吸 器症状,体重増加 ,SpO2低 下 など) と,
適切 な治療 (
BOR中 L
Lとステ ロイ ド投与 ) が必
制 し,N
F-A
:
Bの機 能 を抑制す ることが,上記摩
(
F
GF-2
,
VEGFなど)の産
されてい る.THALは I
f
C
Bキナ-ゼの活性化 を抑
周 をもた らす もの と考 えられてい る.
要で ある.頻度の高 い他の有害事 象 と して,末梢
再発 ・治 療 抵抗 性 MM に対す る THALの相効
1
6.
1% :感覚鈍麻,末梢性 ニェ-ロバ
神経障害 (
率は単剤で 25-3
0%,DXA との併用で 40-65%
チ イー,低 血圧 な ど),消 化管 障害 (
1
4.
5% :守
と報 言
等されて い る 5).本邦 で も THALは 2
008年
柄,便秘 など)
,および感染症 拍2.
9%
:帯
な ど)があ り,重症化の可能性 もあ り注
ら.
意
痛
嫁
1
2削 二再発難治 性 MM に対 して認可 され た.秦
を 要
す
害の悲 劇 を繰 り返 さぬ よ うに,厳 重 な安 全管理
状
海外では未治療 MM に対 して BORを用いた臨
床試験 の結 果が報菖 されている.65歳以上の未治
療 MM に対 して従来 の標準療 法 で ある MP療 法
サ リ ドマ イ ド製 剤
下の使 用 が 義務 付 け られ た (
安 全 管 理 手順 p
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欧 米 では高齢者 未治療 MM に対 して MP療法
と,MPに BORを併用 した Ⅴ-MP療法の無作為
と,MPに THALを併 用 した MFr療法 の無作為
比 較 試験 (
ⅥSTA試験 4)
)の結 果 , -MP療 法
比較試験 が行 われ,4つの結果 か ら奏効率 と無増
Ⅴ
が全生存 期間 で勝 り,2
00
8年 1
0月,BORは米国
悪生存率の改善 が報告 されてい る 5). ドキ ソル ビ
FDA にて未治療 MM に適応拡 大 され た.移 植適
シンや他の新規薬剤 との併用効果 に関す る臨床試
応 で ある若年者 に対 す る寛 解導 入療 法 におけ る
験 も多数進行 中で結果が待 たれ る.
BO沢の有効性 を示 す報告 も散 見 されてい る.本
THALの有嘗 事象 と して血小板減少,好 中球減
邦で も日本骨髄腫研究会 における臨床第 Ⅲ相試験
少,傾眠 ,便秘,末梢神経障害,皮疹,血栓症 など
(
J
MSG-0901 :VAD 寛 解 導 入療 法 に非 奏 効 の
SMM に対す る BD 併用療法 を用 いた自家 末梢血
幹細胞移植 を伴 う大豊化学療法の有効性 と安全性
に注意 を要す る.特 に深部静脈血栓症 往)
潤 )が
の検 討)が終 了 し,現在解析 中である.
惑要で あ り,THAL単剤で 3-5%程度,併用療法
(
DXA,ADR,CPA など)で 20%台 まで頻度 が高
)
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AL あ るいは レナ リ ドマ イ ド関連静脈
まる 6
血栓塞栓症 の予防 につ いて I
MWG が勧告 を示 し
サ リドマイ ド
ている 6
)
.危険 因 子と して肥満,血栓塞栓症の既
往,中心静脈 カテ-テル あるいはペ-スメーカー
サ リ ドマ イ ド (
TI
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AL) は 1
950年代 後 半 か ら
留置,合併症 (心疾患,慢性腎障害,糖尿病チ急性
睡眠導入剤 として使用 されていたが,1
96
0年代初
感染症)
,外科手術,外傷,エ リス ロポエチ ン使用
顔,妊娠 中の女性 が服用す ることによ り胎児の上
などを挙げ,危険 因子数が 0または 1の場合 はア
肢 や感覚 器 , 循環 器 な どに重 い催奇形性 を起 こ
スピ リン併用 を推奨 し,2以上の症例 あるいは太
6
3
血液疾患の治療 をめ ぐる進歩
巌 DXA や ADRを併 用 す る全 症 例 に対 して低 分
予 ヘパ リンまたは ワ- フ ァ リン投与 を推奨 してい
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2)高井和江,瀧滞
レナ リドマイ ド
淳,小山
覚,関
義信,永井
孝一,橋本誠雄,斉藤弘行,野本信彦,小林 政,
レナ リ ドマ イ ド (
LEN) は THALの 副 作 用 を
軽減 す る目的で開発 され た誘導体 で あ る.本邦 で
も2
01
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lに発宣 され た.
欧米 で行 われ た再 発 ・治 療 抵抗性 MM に対 す
るランダ ム化 国 際 第 m相 試験 (
MMOI
Oお よび
MMOO
9) 中間 解 析 の結 果, LEN と大 量 DXAの
丸山聡一,新開公 司,阿部
撃,桃井明仁,青木
定 夫,相滞 義 房 :多 発性 骨髄腫 1
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4曹頼)臨床的
解析 く
新潟 県多施 設 共同研 究 )
.臨床血液 4
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併 用療法 が大 豊 DXA療 法 よ り有 効 と判 明 し,育
効 中止勧 告 され た.この結 果 か ら,2
0
06年 6月に
米 国 FDA にて承 認 を得 た.BOR同様 に LEN も,
1
3q欠失や t(
4;
1
4) な ど従 来 の治 療 にお け る予
後 不 良 因子 を有 す る MM 症 例 に有 効 で あ る こ と
が示 されてい る.
莱 治 療 MM に対 し Ⅰ
£N/大量 DXA併 用 療 法 と
LEN/少量 DXAの 併 用 を比 較 す る無 作
為
第 Ⅲ相
試 験 が ECOG で行 われ た (
E4
AO3試 験 )7).中間
少 量 DXA群 の全 生 存 率 が勝 って い
解 析 で LEN/
た た め 試 験 は 中 止 と な っ た . Ma
yoCl
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LEN/
DXA と TI
i
AL/DXA を比 較 す る後 方 視 的研
究 が行 なわ れ た.LEN/
DXA群 は THAL/
DXA群
に比 して相効 率 ,PFSお よび OSが良好 で あった.
有 害 事 象 と して LEN/DXA群 は好 中球 減 少 が 多
く,T弧
/DXA群 は末梢 神 経 障 害 と静 脈 血栓 症
が 多 く認 め られ た.
ま
と
め
今後の国内臨床 研 究 の集積 によ り,本邦 にお け
る新規薬剤 を用 い た骨髄腫 に対す る標準治療 が確
立 し,治療 に至 る症例 が増 えてい くことを期待 し
たい.
文
献
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新潟医学会雑誌
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25巻 第 2号
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3 チ ロ シ ンキナ ーゼ阻害剤 を用 い た白血 病 の 治 療
古川
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新潟大学医歯学総合病院 ・
高密度無菌治療部
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多 くの造 血 器 悪 性 腺 癌 で は,その 発症 にチ ロシ ンキナ ーゼの異 常 が関 与 して い る,BCR
ABL異常 キ メ ラ遺伝子 が原 因で発症 す る慢性骨髄性 白血病 (
CML) にお け るイマチニ プ単独
-
治療 は,CMLの治療 戦略 に大 きな変革 をもた らした,CMLで は,イマチニ プによ り約 8
0%以
上 の症 例で安定 した細 胞遺 伝学 的寛 解 の維持 が得 られ る.効果不良症例 の予 後園子 と しては,
BCR-ABLキ メ ラ遺 伝子陽性 クロー ンの減 少率 (
特 に定量 的遺伝子 レベル) が最重 要で ある.
イマチニ ブ不応例 では,イマチニ ブ結合部位 を中心 と したア ミノ酸変 異 が原因 と して観察 され
る.最近第二世代の BCR-ABLキ メ ラチ ロシンキナ-ゼ阻害剤 (
ニ Uチニ プ,ダサチニブなど)
が開発 され,イマチニ プ不応例 ・不耐例 に対 して も臨床 的効果 を認 め,今後 は第 選択薬 とし
ph+ ALL) で は,イマチニ プ単独
ての効果 も期 祷 されてい る.Ph陽性急性 リンパ性 白血病 (
治療 による BCR-ABLキ メラチ ロシ ンキナ-ゼ阻害 だけでは,寛解 を得 られ る症例 が極 めて少
な く,多剤併用化学療法 との併用が必要 で ある.しか し従来の化学療法のみ に比 して,イマチニ
ブ併用化学療法 は有意 に良好 な寛 解導 入率,寛解維持率が得 られ た.ただ し治癒 には,同種 造血
幹細 胞移植の併用 が必要で ある.ダサチニ ブは多種類 の チ ロシンキナ-ゼ を阻害す ることか ら,
Ph+ ALLにおけ る治療 効 果 が期 待 され,単独療法臨床 試験 で もイマチニ ブに比 して治療効果
の改善 が認め られ た.さらに化学療 法 との 併 用 に よ る効 果 が期待 され る薬 剤 で ある.今後 は断
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0 新潟市中央区旭町適 1-7
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新潟大学医蘭学総合病院高密度無菌治療部
古川 達 雄