国産日本麺用小麦等の銘柄別落札価格の推移 円 /t 80,000 北海道 ホクシン 香川 さぬきの夢 2009 北海道 きたほなみ 1 部 香川 さぬきの夢 2000 第 図2-4-5 外国産小麦 5 銘柄平均 60,000 40,000 20,000 0 佐賀 シロガネコムギ 平成 20 年産 21 (2008) (2009) 茨城 農林 61 号 22 (2010) 23 (2011) 茨城 さとのそら 24 (2012) 25 (2013) 26 (2014) 余地が大きいことから、これらの用途に適する品種の開発・普及が進められています。平 成 25(2013)年産におけるパン・中華麺用小麦の作付面積は、北海道産の「ゆめちから」 の作付面積が大幅に増加し、前年産に比べて4千 ha 増加の3万 ha となっています 1。 パン・中華麺用小麦の生産拡大に当たっては、実需者のニーズを踏まえながら全国各地 の気候等に適したパン・中華麺用小麦の新品種を開発・普及していく必要がありますが、 その際、産地と製粉業者や製パン・製麺業者等の実需者とが連携し、品種特性に応じた加 工方法の改良や商品開発等に取り組みながら、生産と利用の拡大を両輪で推進していくこ とが重要となっています。 (3)大豆 (生産の安定化が課題) 平成 25(2013)年産大豆の作付面積は 12 万9千 ha となっており、平成 20(2008)年 産以降、減少傾向で推移しています(図 2-4-6) 。この背景として、排水の良好でない田に おける新規需要米や備蓄米への転換等が挙げられます。 また、平成 25(2013)年産の収穫量は、台風被害、天候不順による登熟期の生育抑制 等のため、前年産に比べて 15%減少し 20 万 t となっています。 大豆は、田における作付けが 85%を占めていますが、湿害の影響を受けやすいため、 播種期の天候不良による発芽不良や播き遅れ等によって単収が大幅に低下することがあり ます。 このため、地下水位制御システムの導入や水田の団地的利用、大豆 300A 技術と呼ばれ る湿害を回避するための耕起・播種技術によって排水対策を徹底するとともに、病害に強 い品種の導入等により収量・品質の安定・向上を図ることが課題となっています。 1 農林水産省調べ (速報値) 127 2 章 パン・中華麺用小麦については、国産の使用割合が少なく、国産小麦の消費が拡大する 第 資料:(一社)全国米麦改良協会「民間流通麦の入札結果」、農林水産省「麦の需給に関する見通し」 注:1)価格は税込み価格。 2)外国産小麦の価格は、国産麦の入札実施年月時点で公表されている政府売渡価格。 3) 「北海道」 については、22 (2010) 年産までは 「ホクシン」 の価格、23 (2011) 年産からは 「きたほなみ」 の価格。 「茨城」 は、23 (2011) 年産までは 「農林 61 号」 の価格、24 (2012) 年産からは 「さとのそら」 の価格。 「香川」 は、24 (2012) 年産までは 「さぬきの夢 2000」 の価格、 25 (2013) 年産からは 「さぬきの夢 2009」 の価格。 第 4 節 主要農畜産物の生産等の動向 図2-4-6 大豆の作付面積、 収穫量等の推移 kg/10a 266 300 10a 当たり収量(北海道) 185 200 100 166 181 162 103 229 136 10a 当たり収量(都府県) 0 千t 300 収穫量(都府県) 271 235 200 250 198 43 収穫量(北海道) 42 262 232 43 37 144 123 100 192 229 150 229 163 152 40 229 227 52 70 54 142 15 (2003) 173 159 173 18 (2006) (右目盛) 230 223 219 57 49 138 137 195 124 0 平成 12 年産 (2000) 225 134 千 ha 300 作付面積(全国) 270 147 58 68 60 181 165 21 (2009) 137 159 250 200 61 145 138 205 236 131 168 129 139 24 25 (2012) (2013) 200 150 100 50 0 資料:農林水産省「作物統計」 (実需者ニーズに対応した生産を推進) 国産大豆は、豆腐、納豆、煮豆等の用途に利用されていますが、実需者からは、豆腐用 にはたんぱく質含量が多いこと、納豆用には糖分含量が多く外観が良いこと、煮豆用には 大粒で外観と食味が良いこと等、用途ごとに異なった成分や外観等の加工適性が求められ ています。 このため、実需者ニーズに対応して、豆腐への加工適性が高く大粒の「里のほほえみ」 、 「シュウリュウ」や納豆への加工適性が高く病害虫に強い「すずかれん」等の新品種が開 発されています(図 2-4-7)。また、これらの新品種の開発・普及に加えて、産地や実需者 さや が品種を切り替えやすいように、既存の豆腐用品種の「サチユタカ」を基に収穫期に莢が はじけて収穫ロスが多いという欠点をピンポイントで改良した「サチユタカ A1」や「フ クユタカ」を改良した「関東 120 号」のような品種も開発されており、新品種への転換 が加速することが期待されています。 また、実需者からは品種の特性に加えて、効率的な加工・製造のためにロットごとの形 質や成分の均質性も求められています。このため、共同乾燥調製施設を活用した大ロット 化等により均質な原料の供給を図ることも重要です。 128 近年開発された大豆の新品種の例 第 図 2-4-7 倒れにくく大粒良質で高たんぱくの大豆 大粒で豆腐加工適性が高く、多収の大豆 1 部 【里のほほえみ】 【シュウリュウ】 導入予定地域:東北・関東・北陸 子実の形状 子実のたんぱく質含量 導入予定地域:東北 子実の外観品質 (単位:%) 秋田県 山形県 里のほほえみ 44.3 45.2 エンレイ 44.3 44.2 スズユタカ 39.6 39.4 上:里のほほえみ 左下:エンレイ、右下:スズユタカ 中:リュウホウ 右:スズカリ 納豆加工適性が高く、病害虫に強い暖地向け大豆 ※サチユタカを改良 【サチユタカ A1】 【関東 120 号】 ※フクユタカを改良 導入予定地域:関東∼九州 納豆加工適性の比較 すずか すずお れん とめ A社 26 25 Bセンター 3.0 1.8 14.1 12.0 C社 左:すずかれん 右:すずおとめ 注:いずれも数値が大きいほど 加工適性が高い 左:サチユタカ、右:サチユタカ A1 (右) 「サチユタカ A1」 は、刈 り 遅 れ て も 莢 (さや)がはじけない た め、自 然 裂 莢 や コ ンバイン収穫ロスが 減少 資料:農林水産省作成 (4)野菜 (野菜の生産量は減少傾向) 平成 24(2012)年度の野菜の生産量は、平成 14(2002)年度からの 10 年間で 10%減 少し 1,197 万tとなっています 1。 一方、輸入量の推移をみると、平成2(1990)年から平成 17(2005)年にかけて多少 の増減があるものの増加傾向で推移していましたが、平成 19(2007)年の中国産冷凍餃 子を原因とする薬物中毒事案の発生により、中国産野菜への不信感が拡大したこと等から 減少に転じました(図 2-4-8)。しかしながら、近年は再び増加傾向で推移しており、野菜 の自給率(重量ベース)は平成 24(2012)年度には 78%まで低下しています。 1 農林水産省「食料需給表」 (平成 24(2012)年度は概算値。) 129 2 章 導入予定地域:東海∼九州 なんれっきょうせい 豆腐用主力品種の難裂莢性を強化した大豆 第 【すずかれん】 葉焼病に対する抵抗性 左:シュウリュウ
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